バロッグの混乱起こし(Burrog Befuddler)はカードセット「ストリクスヘイヴン:魔法学院」に収録されたクリーチャー・カードである。
このカードはMTG世界でも珍しい蛙系人型種族である。文化的な知的蛙人種族としてはMTG史上初のカードと言っていいかもしれない。
今回はアルケヴィオス次元の蛙人とその生息地ドラドゥールの情報をまとめると共に、この次元の種族の設定がほとんど公開されていない問題に触れる。最後はおまけでMTG史上の蛙人種族をピックアップした。
バロッグの混乱起こしの解説
Students who seek river herbs in Doradur quickly find themselves slightly damp and thoroughly surrounded.
ドラドゥールで水草を探す生徒は、自分が少々濡れて周囲を完全に囲まれていることに気づく。
引用:バロッグの混乱起こし(Burrog Befuddler)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
バロッグの混乱起こし(Burrog Befuddler)はアルケヴィオス次元の蛙人のカード化である。
これ以外に蛙人は収録されていないので、かなり謎の多い人型種族である。世界設定解説記事Planeswalker’s Guide to Strixhavenや他のカードを調べても、蛙人種族に関しての情報は特に見当たらないのだ。
バロッグの混乱起こしについて推測
まずカード名の「バロッグ(Burrog)」だが、「蛙(Frog)」に似た綴りでもあるので、これが種族名かと思われる。
次にフレイバー・テキストやイラストから考えて、このバロッグはドラドゥール(Doradur)の水辺に生息する種族である。ストリクスヘイヴンの魔道生徒がドラドゥールで川の薬草を探索していると、いつの間にか周囲を取り囲み水をかけてくるようだ。
カード・メカニズム上の瞬速は不意を打って出現する様を表し、パワーを一時的に減退させる能力は水をかけて相手を怯ませるくらいの含み、ではないだろうか。
バロッグが魔道生徒をどうみなしているのか?正確なところは分からない。あるいは、バロッグは閉鎖的な社会を形成し、魔道生徒を侵入者とみなして威嚇しているのかもしれない。またあるいは、悪戯好きの種族で、水をかけて脅かしてからかっているだけなのかもしれない。それともあるいは…?
ちなみに、フレイバー・テキストの和訳製品版では「水草」と訳しているが、原文は「river herbs」なので「川に生えている薬草」を意味するものだ。「水草」は水中に生える植物のことで、普通は水の外には出ない種類をイメージさせてしまう。だが、原文はそうとは限らず、川辺に生えている草や水面に突き出て伸びる植物など様々な形態を含みうる言葉である。言葉選びにはもう少し注意を払ってほしいものだ。
ドラドゥール
ドラドゥール(Doradur)はアルケヴィオス次元のオーリシア1大陸西部に位置する地域である。
地図の西海岸に突き出た半島部辺りがドラドゥールだ。緑に塗られていることから自然が豊かな地域と推測できる。ここにはバロッグが住み薬草が採取できる河川域が広がっているのだろう。
かたやストリクスヘイヴンはオーリシア大陸北東の端に位置する。したがって、魔法生徒ははるばる大陸を横断してドラドゥールまで薬草採取にやって来ていることになる。
でも実は、情報不足は蛙人だけに限ったものではないのだ。次節ではアルケヴィオス次元の種族設定について取り上げる。
アルケヴィオスの種族設定
カードセット「ストリクスヘイヴン:魔法学院」の舞台アルケヴィオス次元には、蛙人の他にも亀人や熊人、梟人オーリン、トカゲ人2などがカード化されており、人型種族はバラエティーに富んでいる(他にも定番種族が沢山)。
だが、世界設定解説記事Planeswalker’s Guide to Strixhavenにはこの多種多様な種族に関して全く解説が書かれていない。驚きである。
魔法学院をメインテーマに据えたカードセットであるのは重々承知しているが、解説は大学のことばかりで終わっている。次元を支配する種族や生き物について、もう少し文面を割いてしかるべきでなかったか。
ぜひアルケヴィオス次元には再訪してもらわなければ気が済まない。ウィザーズ社頼むぞ。
おまけ:MTG世界の蛙人
これまでMTGの世界には蛙系人型種族はほぼ存在していない。ドミナリア次元のオタリア大陸に生息する「アヌーリッド(Anurid)」くらいしか見当たらないが、アヌーリッドはそれほど知的な種族とは言えないし、姿形も人型からやや遠いものだった。
またドミナリアにはヤーグル(Yargle)という名の伝説のクリーチャーもいる。こちらはドミナリア人のヤー=クール(Yar-Kul)が狂気魔法の影響で変わり果てた姿であり種族ではない。
ラヴニカ次元に目を向けると、クリーチャー・タイプに「カエル」を含む人型クリーチャー・カードは確認できるものの、これらはシミック連合が改造した生物なので種族とは言えないものだ。
そして蛙人ではないが、同じ両生類系ならばアンフィン(Amphin)と呼ばれる種族がいた。アンフィンはシャンダラー次元の種で、いわばサンショウウオ人だ。
以上のようにMTG世界では蛙人は非常に貴重な存在なのである。だから、バロッグの混乱起こし(Burrog Befuddler)は、ひっそりとカードになって存在を主張しないままの状態ではもったいない。マイナー志向で判官贔屓な本サイトでは、今後もバロッグの動向を見守っていきたい。では今回はここまで。
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