ドミナリア史:暗黒時代

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暗黒時代(The Dark)はドミナリアの時代区分でAR64年~AR450年頃の時代。

暗黒時代の概略

暗黒時代は兄弟戦争終結後からドミナリアの大部分が氷に覆われるまでの間を指す。

テリシアでは兄弟戦争の影響で数々の文明が崩壊し、魔法の機械を操ったウルザとミシュラの兄弟を初めとして全ての魔術師への忌避感が高まった。そうして教会組織による魔術師への弾圧が盛んに行われることになった。その反動として、魔術師と魔法を保護する魔導士議事会影の都といった魔術師の隠れ里も活動していた。また、ゴブリンが隆盛して文明圏を襲撃しており、ソーン騎士団はゴブリン討伐の聖戦を戦った。

暗黒時代のサーペイディア地方ではAR170年頃に五大帝国が崩壊した。



暗黒時代のストーリーはどこで読める?

おおむね時系列準に並べて紹介する。

The Brothers’ War & Planeswalker

小説The Brothers’ WarのエピローグはAR64年であり、暗黒時代最初の1年目のテリシアが描かれている(小説での扱いはアンティキティー戦争期の結末という意味合いではあるが)。

小説Planeswalkerでは、暗黒時代のテリシアの最初の5年間(AR64年~AR69年)がウルザの視点で描写されている。相互に矛盾する記述もあり、やや時系列はあやしい(この小説冒頭時点からウルザの正気は少し疑わしくなっていると思われる)。

Song of Time

小説Song of Timeによると、アルマーズ地方は「工匠戦争(Artifice Wars)」終結後から「アーグの盗賊団時代(Time of the Erg Raiders)」が到来する。飢餓に錯乱した諸部族や略奪団が失われた指導者を求めて砂丘を放浪し、都市へと襲撃する時代である。首都スミファが新たな土地に再建される時代(AR14世紀頃と推測できる)までこの状態が続ていたことが確認できる。したがって、アルマーズでは暗黒時代から少なくとも氷河期の途中までは、アーグの盗賊団時代であったと考えられる。

また「彷徨いの時(The Wandering)」という時代もある。こちらは旧首都スミファが砂嵐に消えて(AR53年~AR56年頃と推測できる)から氷河期の終わりまで、スミファの民が彷徨う苦難の時代を指しているように読める(ただし記述内容があいまい)。

したがって、暗黒時代はアルマーズの時代区分では「アーグの盗賊団時代」や「彷徨いの時」と呼ばれた時代の一部であったと言える。

Bound in Shallows

短編集The Colors of Magic収録の短編Bound in Shallowsは暗黒時代最初の数年か十数年間かに起こった物語。空は曇って煤けた灰色で気候は年々悪化しつつあり、兄弟戦争に出兵した人々が帰郷してくる姿がまだ見られる。貧者は富者と、不幸な者は幸運な者と、魔法を持つ者は持たぬ者と、世界中のそこかしこで小さな諍いが起こり始めている。

物語は(おそらくテリシア地方の)とある都市が舞台。賭博場(casino)で働く主人公の男はアニスの心が離れていくのは、賭博場の主人デュモスの横恋慕のせいだと決めつけると、暗い情念から2人に仕返しを行っていく。

Loran’s Smile

短編Loran’s SmileAR73年のテリシア北西部のコルガン山脈付近から、北部中央のロノム湖付近までが舞台である。最愛の女性ロランと死別した老フェルドンは彼女を取り戻すために、テリシアを旅して5色の魔法を習得して行く物語。作者は小説The Brothers’ Warで高評価を得たジェフ・グラブ

短編集The Colors of Magic収録作品だが、フェルドンがカード化された際に特別に公式サイトで閲覧可能になっている。

Loran's Smile
This short story originally ran in The Colors of Magic anthology published in 1999. It retells portions of the story of Antiquities, including the story of Feld...

The Fog

短編集The Dragons of Magicに収録されたThe Fogは、アルガイヴ諸島の船乗りアグリッパが海棲ドラゴンの住む海に囲まれた島に漂着する物語。その浜辺は砂ではなく黄金であり、かつてアグリッパの曽祖父パリが発見した伝説の「パリの黄金砂浜(Pari’s Golden Beach)」であった。この宝島の情報を持ち帰るには島から脱出しなければならない、そのためにはドラゴンが…。

時代設定の手がかりを拾い上げると、「氷河期の到来の前」、「曽祖父パリは世界を吹き飛ばした(ゴーゴスの酒杯の)大破壊後に年老いて亡くなった」、「アグリッパはアルガイヴ諸島のライシウス王(King Lyssius)の信頼を勝ち得るほどの実績を上げている大人」と、このあたりになる。したがって、暗黒時代に入ってアグリッパで3世代目に当たることが分かる。暗黒時代の最初の100年以内と見るのが妥当だろうか、仮にアグリッパの祖父と親の世代を可能な限り長く見積もっても200年は越えない範囲になるだろう。

ちなみにテリシアの「アルガイヴ諸島(Isles of Argive)」はこの作品でしか登場したことがない。

A Song Out of Darkness

短編集The Colors of Magic収録の短編A Song Out of Darknessはアルゴスのエルフが故郷を失った時代を生き抜く物語。小説The Brothers’ Warに登場したグウェンナが再登場する。戦争から100年後なのでAR163年頃の出来事となる。

Dark Legacy

小説Dark Legacyはテリシア大陸西部(ただし、ラト=ナム島より明確に北)を舞台とする。カードセットのザ・ダークのフレイバー・テキストに登場するキャラクター(ヴェルヴァモンマーヴィン・オドナー)が主要な登場人物に含まれている。ザ・ダーク収録カードに言及するクリーチャーや描写もなかなかに多い。

正確な年代は特定できないものの、この作品中に登場した石炭ゴーレム(Coal Golem)が手掛かりになる。後述の短編A Monstrous Dutyでは石炭ゴーレムの存在が言及されていることから、それよりも前に(どれくらい昔か不明だが)小説Dark Legacyの出来事が発生していると考えることができる。

A Monstrous Duty

短編A Monstrous Dutyはテリシアの物語。フラーグのゴブリン討伐に失敗した都市国家アングリマーのローガン王が、呪いにより夜ごとに怪物に変身するという話。短編集Distant Planesに収録。

時代設定はイス卿が投獄中のいずれかの時点である。フラーグのゴブリンがテリシアを荒らす情勢やソーン騎士団のゴブリン討伐の動きが垣間見える。

The Gathering Dark

小説The Gathering Darkジョダー(Jodah)を主人公とするアイスエイジ小説三部作の一作目であり、AR430年頃のテリシアが舞台である。ジェフ・グラブのキャラクターとストーリーはいつも通り素晴らしく読みやすい。マジックらしい世界観・魔法観、カードへの言及も豊富。安心しておすすめできる作品である。暗黒時代のテリシアの全体像が1冊で把握できる作品はこれだけであろう。

カードセットのザ・ダークに収録されたカードのかなり多くの量がこの小説で扱われている。イス卿の投獄に関する出来事を中心として、ザ・ダークの出来事の少なくない数がAR430年前後に発生している。カード名やフレイバー・テキストから登場しているキャラクターを挙げるとイス卿やメアシル、バール、ヴォスカ、デルフィン大主教、ベトエイ修道女らが登場している。

また、端役としてソーン騎士団ティヴァダールがまだ少年として登場している。上述の短編A Monstrous Dutyと合わせるとソーン騎士団はティヴァダールが少年時代に創設したことになる。少年騎士団長とはまさに英雄譚だ。

The Time of Dark

掌編The Time of DarkPCゲーム「Battlemage」内で、コロンドールの図書館に保存された文書として登場する。この文書は数々の人の手を渡った末に、テイジーアが保存していたものである。

時代設定は、作中で後世の学者が「兄弟戦争の200年後、大雑把に言ってサーペイディア諸帝国の転落と同時期1」と注釈を入れている。だが、前者は63+200=AR263年、後者はAR170年頃となり、100年も離れているため、ちょっとこの注釈は信用がおけない。



関連するストーリー

ザ・ダークの掌編

Duelist誌#2には、カードセット「ザ・ダーク」の掌編と開発チームのクレジットが掲載されている(掌編とクレジットで1ページずつ)。掌編のタイトルは単純に「The Dark」とだけ書かれており、登場人物はプレインズウォーカーのミンドレル(Mindrel)とブランド(Brand)の2人。ミンドレルは数年前の魔法実験で片耳を失った女性で、ブランドは禁忌の「ザ・ダークの呪文(the Dark spells)」に手を出した男性である。

この掌編で書かれているザ・ダークの呪文はまるで「黒に属する呪文」かのように受け取れる。舞台となる次元や場所、時代設定はドミナリア暗黒時代とはちょっと思えない。商品販促用のミニストーリーとして書かれたものかもしれないが、カードセットのザ・ダークらしさがあまり感じられないのが残念(失礼ながら、個人的には雑誌ページの埋め草のように思えてしまう)。

好意的に解釈するなら「ザ・ダークの呪文(the Dark spells)」は「ドミナリア暗黒時代の魔法」を意味するだろうから、それに手を出したプレインズウォーカーのブランドと友人ミンドレルの小噺と言ったところだろうか。ドミナリア暗黒時代中かもしれないし、それよりも後の時代かもしれない。

私的な評価として、この掌編は雑誌掲載ストーリーの中でも入手困難でレアであること以外に価値が認められない。おすすめはしない作品である。

ラバイアのテイジーア

PCゲーム「Battlemage」の背景設定「The Story of the Battlemage Ravidel」によると、ラバイアのテイジーアは兄弟戦争の少し後(つまりドミナリアの暗黒時代に)誕生した。したがって、5色5人のテイジーアが1人のプレインズウォーカー・テイジーアに統合されるコミック版Arabian Nightsの出来事もドミナリア暗黒時代の出来事と考えられる。ただし、テイジーアがドミナリアに来訪するのは「12世界のシャード」が形成される直前である(暗黒時代より後)。

暗黒時代のカードセット

カードセットの「ザ・ダーク」はその名の通りにドミナリアの暗黒時代を扱っている。

ザ・ダークの舞台設定
最初のうちはカードセットの舞台となる地域は特定していなかった。しかし、短編や小説で物語が語られた結果、大部分のカードがテリシア地方に属することが判明した。ただし、古いカードセットであるためか、公式記事で雑感が触れられる場合は「舞台はテリシア」とざっくりと言い切られることが珍しくはない。

ザ・ダークの時代設定
ザ・ダークはそれまでは兄弟戦争後で氷河期前という扱いであったが、Duelist誌#34初出の年表ではAR300年頃と公表された。この時点ですでに小説The Gathering Darkの時代設定とずれが生じているのが問題であった。その後の公式サイトでは、年表はミラディン期まで公開され続けていたが、最後までずれは修正されなかった。

解決法としては、時代区分としての暗黒時代は兄弟戦争後で氷河期前(AR64年~AR450年頃)であるが、「小説や短編で時代が特定されていないザ・ダークのカード類はAR300年頃のものである」と考えるとつじつまが合う。ザ・ダークの多くのカードがAR300年頃から外れてしまうかもしれないがこれで整合性は保たれる。

暗黒時代の年表

AR64年
コイロスに集まったギックス教団はギックスの片腕を修復した後にファイレクシアに旅立つ。

AR64年~AR69年
ウルザはプレインズウォーカーの能力を活用して、ドミナリアの状況を観察したり、変身して姿を偽って親しい者たちに接触をしたり、一端ドミナリアを離れて多元宇宙を旅するなどした。初遭遇したプレインズウォーカーであるメシュベルと短期間ともに行動する。
その後ウルザはドミナリアを離れる。

AR69年
タウノスがカイラ・ビン=クルーグの下に帰還する。

AR73年
ロランが死亡しフェルドンは5色の魔術師となる。

AR64年~AR164年(年代不明だがこの期間におそらく発生した出来事)
カイラ・ビン=クルーグが「アンティキティー戦争」を記す。
ジャーシルがファイレクシアに行って戻ってくる。
ライシウス王のアルガイヴ諸島統治時代。

AR170年頃
プレインズウォーカーのテヴェシュ・ザットが怪物化する。
サーペイディア大陸の五大帝国が崩壊する。

AR300年頃
カードセット「ザ・ダーク」のうち、年代の特定できない出来事がこの頃に発生する。

AR413年
ジョダーが誕生する。

AR417年頃
ティヴァダールが誕生する。

AR418年
メアシルが魔導士議事会を乗っ取り、イス卿がバールの檻に投獄される。

AR418年~AR430年
ソーン騎士団の創設。
アングリマーのローガン王が呪いを受ける。

AR430年
イス卿が解放されメアシルが倒される。魔導士議事会が業火で消失する。

暗黒時代のまとめ

  1. ドミナリアの暗黒時代はAR64年~AR450年頃の時代。
  2. 暗黒時代は兄弟戦争終結後からドミナリアの大部分が氷に覆われるまでの間を指す。
  3. テリシアでは魔術師への教会による弾圧が盛んになる反面、魔法を保護する魔導士議事会や影の都が活動した。
  4. サーペイディアでは五大帝国が崩壊した。
  5. 暗黒時代の大まかな年表を作成した。

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マジック・ザ・ギャザリング(MTG)のドミナリアの歴史を大まかな時代区分に分けて解説する。公式ではAR-20000年からAR4560年までの約2万5千年をフォローしているが、さらに本サイトでは「先史」と「未来」を新たに追加設定して説明する。
  1. 原文から抜粋:perhaps two hundred years after the Brothers’ War, roughly concurrent with the downfall of the Sarpadian empires