ジャンプスタート:祝福されたエミエル

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祝福されたエミエル(Emiel the Blessed)は2020年発売の特殊なカードセット「ジャンプスタート」収録の伝説のクリーチャー・カードである。

※ 2021年8月18日:雑語りな記事ではあるが取りあえずこの状態で公開とする。

追記(2021年8月19日):記事に諸々の記述を加筆し、地図を挿入した。

追記(2021年8月29日):1997年日めくりカレンダーからアダーカーの一角獣に関する解説文を発見したので、その旨に触れた。

祝福されたエミエルの解説

祝福されたエミエル(Emiel the Blessed)

祝福されたエミエル(Emiel the Blessed)
データベースGathererより引用

祝福されたエミエル(Emiel the Blessed)はドミナリア次元の伝説の一角獣である。性別は不明。

一角獣は幸運を呼ぶ生き物と考えられており、エミエルは取り分け特別な存在のようだ。人が一角獣を目撃すると一生が良い方向に変わると言われる。では、当の一角獣たちはどうかと言えば、エミエルを目撃した時には一角獣も同じように感じるのだという。

エミエルの生息地はおそらくテリシア地方である。ただ、エミエルがいつの時代に誕生し、生きていたか(あるいは現在も生きているか)は確定はできない(キイェルドー国が存在した氷河期後期である可能性は十二分にある)。



祝福されたエミエルの公開されているストーリーと設定

祝福されたエミエルの設定やストーリーは公式記事The Lore of Jumpstart on the Cardsで語られている。

該当部分を引用して翻訳してみたのが以下の通りだ。

Some priests of the Kjeldoran plains say that seeing a unicorn protects you from any future harm. Others say it’s the start of eight years of good luck. No matter the details, they all agree that seeing a unicorn forever changes one’s life for the better. Unicorns feel the same way about seeing Emiel.
キイェルドー平原の僧侶によれば、一角獣を目撃すると将来の災いから守られるという。あるいは、8年に渡る幸運の始まりだという者もいる。いずれにせよ、一角獣を目撃すれば一生が良い方向に変化する、それには全員が同意する。当の一角獣はというと、エミエルを目撃すると同じように感じるのだ。
引用:公式記事The Lore of Jumpstart on the Cards
上が英語原文。下が私家訳

キイェルドー(Kjeldor)氷河期のテリシア東南部一帯に栄えた国家である(AR25世紀頃に建国)。「キイェルドー平原(Kjeldoran Plains)」という地名が既存の地図に記載されたことはないが、キイェルドーの領域に広がる平原地帯を指すと見て間違いはないだろう。1

そのキイェルドー平原の僧侶は、一角獣とは目撃すると人生を上向きに変えてくれる幸運の生き物だ、と捉えている。

そして、そう思われている一角獣に至っては、伝説の一角獣エミエルの事を同じように目撃すれば幸運をもたらす存在と考えているようだ。

エミエルはいつの時代?

Terisiare (Ice Age)

氷河期のテリシア地図
公式記事Dominarian Cartographyより引用

エミエルがいつの時代のキャラクターであるかを考えてみよう。

エミエルの解説文には「キイェルドー平原(Kjeldoran Plains)」という地名が登場している。上述の通りキイェルドーは氷河期の国である。だから、素直に考えれば、エミエルもキイェルドーと同時代の一角獣である可能性が高いように思える

だがここで注意すべきポイントがある。「キイェルドー平原」という名称が必ずしも氷河期だけの地名とは限らないことだ。つまり現在もキイェルドー平原と呼ばれている可能性がある。

テリシアの氷河期の地図とAR4560年現在の地図を比較してみると、1500年以上も経過しているのになお同じ地名がいくつも存在しているのだ。例えば、カープルーザン山脈(Karplusan Mountains)バルデュヴィア大草原(Balduvian Steppe)アダーカー荒原(Adarkar Wastes)ヤヴィマヤ(Yavimaya)などといった有名な地名が挙げられる。

Terisiare | Art by Ethan Fleischer

AR4560年現在のテリシア地図 | Art by Ethan Fleischer
公式記事Dominarian Cartographyより引用

AR2954年にキイェルドーは同盟国バルデュヴィア(Balduvia)と合併して「新アルガイヴ(New Argive)」へと生まれ変わり、AR4560年現在も存続している。カープルーザン山脈やバルデュヴィア大草原などの地名は、新アルガイヴ人が先祖伝来の名称を頑なに受け継いできたとすれば説明がつけられる。

だから、新アルガイヴ東部の平原が今でも「キイェルドー平原」と呼ばれていても何もおかしくはないのだ。

これで、エミエルの設定解説文はキイェルドーが存在していたAR25世紀頃から現在の新アルガイヴに至るまで、どの時代においても成立することになる。

以上が、エミエルの生きていた時代が、キイェルドー国が存在した氷河期後期である可能性は十二分にあるものの、必ずしも氷河期に時代を特定できない理由である。

テリシアの一角獣

エミエル以外のドミナリアの一角獣とはどんな生き物で、どのようなカードがあるのだろうか?

ドミナリア次元に属する一角獣のカードは複数存在してるが、その中でもテリシア地方に生息していると明らかなカードは2種類ある。エミエルもおそらくこれらの種に近い一角獣なのだろう。

この2種の共通点は、「純白の一角獣」、「存在が確認できた時代はどちらも氷河期」、そして「生息地がキイェルドーの支配領域より離れており、カープルーザン山脈2を越えた西の地域」である。

アダーカーの一角獣

“There is no nobler creature in all of Terisiare.”
–General Jarkeld, the Arctic Fox
「テリシア全土において、これよりも気高き生き物はいない。」
–北極の狐、ジャーケルド将軍
引用:Adarkar Unicornのフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が私家訳

Adarkar Unicorn

Adarkar Unicorn
データベースGathererより引用

Adarkar Unicorn」つまり「アダーカーの一角獣」は、カードセット「アイスエイジ」収録のクリーチャー・カードである。

氷河期のテリシア地方のアダーカー荒原(Adarkar Wastes)に存在が確認できた一角獣だ。

During Dominaria’s Ice Age, a mage who controlled one or more of these creatures was easily identified as a practitioner of the white and blue arts–and a powerful one at that.
ドミナリア氷河期には、これらのクリーチャー1体以上を操る魔道士は白と青の技の実践者であり、その上強者である、と簡単に見分けがつけられた。
引用:1997年日めくりカレンダー
上が英語原文。下が私家訳

1997年日めくりカレンダーの解説文では、アダーカーの一角獣は氷河期の白と青の魔導士が操る生き物として知られていた、という。

この解説文は、アダーカーの一角獣がカード・メカニズムとして累加アップキープの支払いのためのマナを生み出す能力を持っていることを、設定に反映させたものだろう。アダーカーの一角獣自身の色が「白」で、生み出すマナが「青」だ。累加アップキープはカードセット「アイスエイジ」で初登場し、アイスエイジ・ブロックの売りの1つとなったメカニズムである。だから、この一角獣は氷河期の白と青の魔導士に好まれたのだ。

ロノムの一角獣

The aberrant magic of the Rimewind drew the unicorns back from the northern wastes to do battle once again.
常軌を逸した霧氷風の魔術を感じ取った一角獣たちは、北方の荒原から再び戦場へ帰ってきた。
引用:ロノムの一角獣(Ronom Unicorn)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

ロノムの一角獣(Ronom Unicorn)

ロノムの一角獣(Ronom Unicorn)
データベースGathererより引用

ロノムの一角獣(Ronom Unicorn)はカードセット「コールドスナップ」収録のクリーチャー・カードだ。

テリシア地方北部のロノム氷河(Ronom Glacier)に生息が確認できた一角獣である。

コールドスナップは氷河期の終焉から20数年が経過したテリシアが舞台であったが、フレイバー・テキストから推測するに、このロノムの一角獣はそれ以前の氷河期中からロノム氷河にいたようだ。霧氷風の魔術で気候が再び寒冷化を始めたために北方の荒原より戻ってきたのだという。ということは、氷河期テリシアの一角獣は寒冷な気候を好むのだろうか?

メモ:ロノム氷河
AR4560年現在にはロノム氷河は存在していない。洪水時代(AR2934-3285年)に、気候温暖化で氷河が融け去るとともに、テリシアの広範囲が洪水で海の底に沈んだことで、かつてのロノム氷河はもう地図上にはないのだ。

氷河期テリシアの一角獣生息地の分布

氷河期のテリシア地図に地名を記載
左からロノム(Ronom)、アダーカー(Adarkar)、カープルーザン山脈(Karplusan Mountains)、キイェルドー(Kjeldor)の順
赤四角の範囲が大雑把にカープルーザン、緑丸がキイェルドーを示している

氷河期のテリシア地図に一角獣の生息するアダーカーとロノムの位置を書き入れてみた。

どちらの生息地も、テリシア東南のキイェルドーから山地帯を挟んで西側にあるのが分かる。特にロノムは大陸の反対側だ。これだけの地形的・距離的な隔たりがあることから、キイェルドー平原の僧侶が一角獣を目にする機会はあまりなかっただろうと推測できる。そういった希少性も加味されて、一角獣が幸運を呼ぶ逸話が醸成されていったのかもしれない。

また、ロノムの一角獣のフレイバー・テキストを考慮するに、気候の温暖化と共に北の荒原へと居住地域を変えて行ったようだ。テリシアの北方にはドミナリアの北極「北方大陸(Northland)」がある。氷河期には氷河で地続きになった北方大陸より様々な生き物が南下して移り住み、氷河期の終焉を機に再び北へと戻っていった。テリシアの一角獣もまたそういった北極の生き物であったのかもしれない。




さて語る内容も尽きた。今回はここまで。

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  1. 少なくとも2021年8月現時点ではテリシア東部の平原地帯は無名である。氷河期からそれ以降に渡って、各種ソースを当たったが特定の名称で呼ばれた例は見当たらなかった
  2. より正確にはカープルーザンとその南に連なる「カー分水嶺(Kher Ridges)