イコリア:嘶くナール

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嘶くナール(Trumpeting Gnarr)カードセット「イコリア:巨獣の棲処」収録のクリーチャー・カードである。

ナール(Gnarr)はカードセット「アポカリプス」が初出で、嘶くナールはMTG史上4種類目のナールであり、初のドミナリア次元以外に生息が確認されたナールでもある。

ナールの新種登場は14年ぶりである。随分懐かしいクリーチャーの新種が登場したものだ。しかし、ブラッシュワグとは違って、誰もナールの新種登場を話題にしていない。気付いてもいない様子だ。

あまりにナールが不憫なので、今回はそもそもナールがどういった生き物かまとめて取り上げることにした。

ナールの解説

公式記事Eat Your Wordsの解説によると、英単語の「gnarr」は「うなる・呻く」という意味だが、MTG世界のナール(Gnarr)とは、うなり声を上げる蹄のある森林地帯の獣である。

生息が確認できる次元はドミナリア次元とイコリア次元である。

各種カードのイラストを見ると、林間地の水場や湿地帯、沼地が生息地のようだ。

ナールの外見的特徴は、全体的に鹿の仲間に似た雰囲気を持っている。角の形は、鹿のような枝角のものと、山羊のようなものとがいる。確認できる範囲では蹄があるのは前脚だけで、後ろ足は鉤爪である。首の付け根の位置は低く、背中は高く盛り上がっており、太さのある先細りの長い尾を持っている。体毛は茶や橙系で、縞や斑の模様があり、腹側の色は薄いか白い。



嘶くナールの解説

嘶くナール(Trumpeting Gnarr)

嘶くナール(Trumpeting Gnarr)
データベースGathererより引用

嘶くナール(Trumpeting Gnarr)はイコリア次元に確認されたナールである。首の脇からも枝角が生えているのが独特である。

メカニズム上では、変容するたびに3/3のビースト・トークンを1つ生成する機能がある。

イコリア:巨獣の棲処のビースト・トークン

イコリア:巨獣の棲処のビースト・トークン
公式記事より引用

嘶くナールが生み出すビースト・トークンは、同じナールの姿で描かれている。大きさも3/3で嘶くナールと同じである。嘶く声に集まってきた同種の群れの仲間か、あるいは、ナールが産んだ子供が成長した姿であろうか?

カード名

公式バリアント・カードギャラリーより引用

イラスト違い特別版の嘶くナール(Trumpeting Gnarr)だが、こちらは首が太く短く、随分と肥え太っている。

インダサのナール

公式記事Planeswalker’s Guide to Ikoriaには、ナールが描かれたイラストが掲載されている。

記事の記述を見るに、イコリア次元インダサ(Indatha)地方の低地に広がる湿地帯がナールの生息地のようだ。イラストの背景にはインダサ特有のらせん樹(Helica Tree)の林があり、画面の手前にはナールに比べてあまりに小さい人間が隠れている。

小説版イコリア:巨獣の棲処

イコリア:巨獣の棲処の小説「Ikoria: Lair of Behemoths – Sundered Bond」に、ナールが登場するのだろうか?ストーリー上で登場したならどういった描写になっているのか興味あるところである。


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さっそく「ナール(Gnarr)」という文列を探して小説を確認してみたが、なんと残念。ナールの出番は全くなかった。ブラッシュワグと同様に、懐かしのクリーチャーという括りであって、物語にはかかわるような枠ではなかったようだ。→こちらの記事も参照。

ドミナリア次元のナール

ドミナリア次元のナールは以下の3種類である。2001年発売のカードセット「アポカリプス」で2種類が初登場し、5年後のカードセット「時のらせん」で1種類が作られた。それから4年後が経って、カードセット「イコリア:巨獣の棲処」が発売されるまでナールはドミナリア次元でしか確認されない希少種であった。

林間のナール

Long thought merely a legend, the appearance of the gnarr was seen by the defenders as a sign of good luck.
ナールは長い間伝説に過ぎないと思われていたが、実際にその姿を見た防衛軍は、それを幸運のしるしだと受け取った。
引用:林間のナール(Glade Gnarr)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

林間のナール(Glade Gnarr)

林間のナール(Glade Gnarr)
データベースGathererより引用

ドミナリア次元では、ナールは伝説の生き物と考えられていたが、AR4205年のフィレクシア侵略戦争時、実在すると認知された。

林間のナール(Glade Gnarr)はその時代のナールであり、ドミナリアの防衛者たちはナールを「幸運のしるし」とみなしたのだった。

沼ナール

Not all of Dominaria’s defenders were nourished by the light.
ドミナリアの防衛者たちは光にはぐくまれる者ばかりとは限らないんだ。
引用:沼ナール(Bog Gnarr)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

沼ナール(Bog Gnarr)

沼ナール(Bog Gnarr)
データベースGathererより引用

沼ナール(Bog Gnarr)もファイレクシア侵略戦争時のナールであるが、こちらは林間地ではなく、暗い沼地に生息している。



獣群のナール

Long ago, the solitary gnarr was a sign of good luck. Now they have become wild pack hunters, a sign of impending danger.
遥か昔、ナールを一匹見かけることは幸運のしるしだった。今ではそれは駆り立てる野生の群れとなり、差し迫った危険のしるしとなっている。
引用:獣群のナール(Herd Gnarr)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

獣群のナール(Herd Gnarr)

獣群のナール(Herd Gnarr)
データベースGathererより引用

獣群のナール(Herd Gnarr)は、ドミナリア裂け目時代(AR4306-4500年頃)の群れを成すナールである。

塩の嵐が吹き荒れ酸の雨が降る荒廃した時代であるためだろうか、ナールは今までのような水場ではなく乾いた地面を駆けている。かつては「幸運のしるし」であったナールは、群れを成す野生の狩人と化しており、「差し迫った危険のしるし」とみなされるようになってしまった。

ちなみに、このカードのイラストで初めて、ナール(うなる・呻く)という名前通りに、口を開いて吠え声を上げる姿が描かれた。

嘶くナールの〆

ナールはドミナリアに限らずイコリアにも生息していた。しかし、これが最後のナールとは思えない。これからもMTG世界が探索され続けるなら、あのナールの同類がまた多元宇宙のどこかへ現れてくるかもしれない。

次回の新種ナールの登場を期待して待ちたい。今回はここまで。

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