7月6日は「甲鱗のワーム」の日

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7月6日は甲鱗のワーム(Scaled Wurm)の日、ということで例年通り今年もツイッターなどなどで盛り上がっていた。私も触発されたので、便乗して小ネタを書いておこう。

甲鱗のワームの解説

“Flourishing during the Ice Age, these Wurms were the bane of all Kjeldorans. Their great size and ferocity made them the subject of countless nightmares–they embodied the worst of the Ice Age.”
–Kjeldor: Ice Civilization
氷河期のあいだに繁栄を極めたこのワームは、キイェルドーのありとあらゆる人々にとって恐怖の的だった。その巨体と狂暴な性格が呼び起こした悪夢は数知れない–甲鱗のワームはまさに、氷河期の災厄の象徴だった。
–「キイェルドー:氷の文明」
引用:甲鱗のワーム(Scaled Wurm)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

甲鱗のワーム(Scaled Wurm)

甲鱗のワーム(Scaled Wurm)
データベースGathererより引用

甲鱗のワーム(Scaled Wurm)はカードセット「アイスエイジ」に収録されたクリーチャー・カードである。

初心者の目を引き付けやすい重くて大型なコモン・クリーチャーとして、そして「氷河期の災厄の象徴」という仰々しいフレイバー・テキストで人気を博している。8マナでパワー/タフネスが7/6なので、876と数並びが気持ちよく。また、ゲームに慣れてくると別段強くなかったと判明する登竜門的存在であったことなども含めて、愛され続けているアイコン・キャラクターである。

甲鱗のワームは、ドミナリア次元に生息する典型的な大喰いのワーム系統の、巨大で狂暴なワームだ。ドミナリア氷河期に繁栄を極め、テリシア大陸東部のキイェルドーにおいて「災厄の象徴」と記されるほどの脅威であった。

では次節からは甲鱗のワームに関するネタを5つ紹介していこう。



ネタ1:甲鱗の屋根

The wurms become so big, a single scale can be used as a roof for a human dwelling.
このワームは非常に大きくなるため、鱗一枚で人間の住居の屋根が作れる。
引用:甲鱗のワーム(Scaled Wurm)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

甲鱗のワーム(Scaled Wurm)

甲鱗のワーム(Scaled Wurm)
データベースGathererより引用

基本セット第9版では新イラストとフレイバー・テキストが与えられて再録している。フレイバー・テキスト曰く、甲鱗のワームの鱗1枚で屋根が作れる。

イラストを観察すると、周囲の様子は氷河期らしくはない。甲鱗のワームは氷河期終焉後のドミナリアでも生息している、というわけだ。

ネタ2:甲鱗のワーム、ラインドル

復仇(Reprisal)

復仇(Reprisal)
データベースGathererより引用

短編集The Colors of Magic収録の短編Reprisalでは、東部キイェルドーを荒らす甲鱗のワームのラインドル(Rhindle)が登場し、王の影武者フィンロイ(Finroy)に率いられた民衆に追い払われた。

ラインドルのストーリーは14年前に要約したテキストがあるので再掲しよう。

田舎育ちの少年フィンロイは
東部キイェルドーの大都市ヨルンスタドで才能を見込まれて
王様付きの世話係になりました。

大変立派な人物と評判のロスチャイルド王でしたが、
本当のところはホラ吹きの呑んだくれの臆病者…

祭りの目玉、馬上槍試合の挑戦を受けたはいいものの試合直前に雲隠れ、
どこを探しても王様は見つからず、忠義に厚いフィンロイ少年は
王様の鎧一式を身にまとい影武者として試合に臨むことに。

フィンロイは試合に負けて大怪我を負いましたが、
王様の面子はたもたれました。
なんと再戦を期待する街の声も聞こえてきます。

さてそんな折、
フィンドホーンの森から恐ろしい甲鱗のワーム・ラインドルが現れ、
人々を恐怖のどん底に叩き落してしまいます。

ロスチャイルド王は領民の安全を守るため不埒なワームの討伐を約束します。
しかし討伐に出発する予定の日、
酔っ払ってベロンベロンのグデングデンとなった王様の姿。
フィンロイは意を決して、ふたたび王様の影武者となって1人ワームの森へと向かいます。

たった1人で戦いに赴く完全武装の王様を目にした村人たちは、
助太刀にと熊手やくわなど農具を手にしてぞろぞろとその後をついていきます。

そして森の中…
ついにラインドルと対峙する影武者フィンロイ。
勇気を振り絞って雄雄しく立ち向かいますが、
如何せん相手は甲鱗のワーム、到底歯が立つ相手ではありません。

死を覚悟するフィンロイ…。
そのとき、いつもは臆病な農民たちがいっせいにワームに立ち向かっていったのです。
身体を農具で小突かれフライパンで叩かれ、石つぶてを投げつけられたラインドルは
これはたまらんと、フィンドホーンの森の奥へと帰っていったのでした。

キイェルドー万歳! ロスチャイルド王万歳!
農民たちの歓声にフィンロイは心底満足するのでした。おしまい。

再掲:14年前(2007年8月25日)に私が2ちゃんねる(当時)に投稿した短編Reprisalの要約

ネタ3:大喰いのワーム

The most terrifying thing about the Craw Wurm is probably the horrible crashing sound it makes as it speeds through the forest. This noise is so loud it echoes through the trees and seems to come from all directions at once.
このワームのいちばんの恐ろしさは、木々を砕いて森を進むときのすさまじい音にある。その音は木々の間で激しくこだまし、まるで自分がその中心にいるような錯覚を起こさせるのだ。
引用:大喰いのワーム(Craw Wurm)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

大喰いのワーム(Craw Wurm)

大喰いのワーム(Craw Wurm)
データベースGathererより引用

大喰いのワーム(Craw Wurm)はMTG史上初のワームだ。ドミナリア次元には大喰いのワームか、これに類似した種が各地で確認されており、これがドミナリアで一般的なタイプと言える。

イラスト担当はダニエル・ゲロン(Daniel Gelon)で、甲鱗のワームのイラストと同じだ。

同一作者の2つのワームのイラスト。これに関して1997年日めくりカレンダーに証言が残っている。それによれば、甲鱗のワームのイラストはオリジナルである大喰いのワームを再考したものであった、そうだ。

そして、もう1組ダニエル・ゲロンのイラストをご覧入れよう。

キノコザウルス(Fungusaur)

キノコザウルス(Fungusaur)
データベースGathererより引用

1枚目がカードセット「リミテッドエディション」のキノコザウルス(Fungusaur)である。

そして、もう1枚が……

ジョータル・ワーム(Johtull Wurm)

ジョータル・ワーム(Johtull Wurm)
データベースGathererより引用

カードセット「アイスエイジ」収録のジョータル・ワーム(Johtull Wurm)である。

御覧の通りキノコザウルスとジョータル・ワームには全く同じ生き物のイラストが描かれている。これには訳がある。

MTGが発売される以前、アイスエイジはリミテッドエディションとは独立した互換性のない(背面デザインの違う)カードセットを予定していた。そして、アイスエイジにはリミテッドエディションから再録されるクリーチャーがあり、氷河期を舞台にした新しいイラストが描かれることになっていた。そうして、ダニエル・ゲロンに氷河期版キノコザウルスが発注された。しかし、当初の計画は変更されたことで、アイスエイジにキノコザウルスは再録されなくなり、完成したイラストは別のワームに転用されたのである。(出典

ダニエル・ゲロンの大喰いのワームと甲鱗のワーム

ここからは想像なのだが、大喰いのワームと甲鱗のワームも、キノコザウルスとジョータル・ワームと同じだったのではないだろうか?つまり、氷河期版の大喰いのワームとして、甲鱗のワームのイラストが描かれた。「大喰いのワームを再考した」という意味はそういうことだったのかもしれない。



ネタ4:氷の文明

甲鱗のワームのフレイバー・テキストで、「氷河期の災厄の象徴」と記した「キイェルドー:氷の文明」は、アイスエイジ・ブロックの他2種類のカードで登場している。

バルデュヴィアの蛮族

“Barbarian raids were a concern to those living in the northwest provinces, but the Skyknights never dealt with the problem in a systematic way. They thought of the Balduvians as an ‘amusing model’ of their forebears’ culture.”
—Kjeldor: Ice Civilization
北西地方に住んでいる者たちにとって、蛮族の来襲が大きな問題だった。しかし、飛空騎士たちは組織的にこの問題に対処したことはなかった。彼らはバルデュヴィア人のことを祖先から受け継いだ自分たちの文明の“面白いモデル”だと考えていたのだ。
–「キイェルドー:氷の文明」
引用:バルデュヴィアの蛮族(Balduvian Barbarians)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

バルデュヴィアの蛮族(Balduvian Barbarians)

バルデュヴィアの蛮族(Balduvian Barbarians)
データベースGathererより引用

バルデュヴィアはテリシアの北東地域の草原に居住していた蛮族だ。そこから南下してカープルーザン山脈を越えたテリシア大陸南東地方が、キイェルドーの領土である。

キイェルドーの王、ダリアン

“With his dream of unification fulfilled, Darien became the last king of Kjeldor. Those who followed were known as the kings of New Argive.”
–Kjeldor: Ice Civilization
「ダリアンは統一の夢を達成したことで、キイェルドーの最後の王になった。その後を継ぐ王達は新アルガイヴの王として知られている。」
–「キイェルドー:氷の文明」
引用:キイェルドーの王、ダリアン(Darien, King of Kjeldor)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

キイェルドーの王、ダリアン(Darien, King of Kjeldor)

キイェルドーの王、ダリアン(Darien, King of Kjeldor)
データベースGathererより引用

キイェルドーの王、ダリアン(Darien, King of Kjeldor)はバルデュヴィアと同盟を結び、20年後に両国は統一されて新アルガイヴとして生まれ変わった。







以上でネタは打ち止めだ。

おしまいに

7月6日は毎年恒例の「甲鱗のワーム」の日……であるのを、すっかり忘れていた。SNSで甲鱗のワームのネタをたくさん見て、こちらも慌ててネタを記事にして何とか夜に間に合った。たまには皆で愛されキャラで盛り上がるのも楽しいものだ。では今回はここまで。

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