フォライアス(Foriys)はドミナリア次元にある島で、そこに住む双頭巨人で知られている。
フォライアスの初出は、MTG史上初のカードセット「リミテッドエディション(基本セット第1版)」のTwo-Headed Giant of Foriysである。
今回はフォライアスの島と双頭巨人、そして諸々の関連カードを紹介する。最後におまけとして、フォライアスの周辺の島2つヴァーナルカ(Varnalca)とキシュ(Kish)を解説する。
追記(2021年7月1日):ドミナリアの双頭巨人カード「双頭巨人(Two-Headed Giant)」を追加した。
追記(2021年7月2日):さいごにまとめのコメント節を書き足した。
フォライアスの解説

南エローナ大陸南部現代ドミナリア世界地図より引用
フォライアス(Foriys)はドミナリア次元ドメインズ地方の島である。南エローナ大陸南東、蜜潮の海(Honeyed Sea)の沖に位置している。
フォライアスはカードセット「リミテッドエディション(基本セット第1版)」初出、つまりMTG史上最古の地名であり、双頭巨人の生息地として知られているものの、ほとんど情報が公開されていない。
ストーリー作品で直接舞台となったこともなく、1997年カレンダー付属地図でも解説はただ一言「フォライアス、巨人の住み処(Foriys, inhabited by giants)」とのみだ。
カードには双頭巨人と戦う人間たちも確認できる。カレンダーの「巨人の住み処」との記述が先であったことを踏まえると、人間たちは後から到来した島の侵略者であると考えられよう。
ドミナリアにはフォライアスの他にも、アイスヘイヴン(Icehaven)の地に双頭巨人が確認できる。→こちらの記事参照。
フォライアスの巨人は双頭なので目が4つあることから、「four-eyes」を捩って「Foriys」と命名された。和訳は「フォライアス」であるけれど、命名由来からすれば「フォライズ」くらいの発音かもしれない。
フォライアスの関連カード
フォライアスに関係するカードを紹介しよう。全てのカードに双頭巨人が描かれている。
フォライアスの双頭巨人
None know if this Giant is the result of aberrant magics, Siamese twins, or a mentalist’s schizophrenia.
この巨人がどのようにして誕生したのか、常軌を逸した魔法、結合双生児、あるいはメンタリストの統合失調症によってか、誰も知らない。
引用:Two-Headed Giant of Foriysのフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が私家訳
Two-Headed Giant of Foriysことフォライアスの双頭巨人はカードセット「リミテッドエディション(基本セット第1版)」収録のクリーチャー・カードである。MTG史上初の巨人カードの1枚であり、しかも双頭という特徴を持たされている。もちろん「フォライアス」に言及したのもこのカードが初めてだ。
双頭巨人のリコ
小説グリーンスリーヴズ三部作(AR4070年代の設定)の登場人物、リコ(Liko)は戦いで片腕を失った双頭巨人の男性だ。頭のめぐりは鈍いものの仲間を大事にする巨人の力持ち。主人公の仲間である。
小説ささやきの森では、リコは腹の黄色いカモメ1のいる海の近くの土地で、仲間もなく孤独に暮らしていたと語られており、そこがフォライアスだと考えられている。
フォライアスの大部隊
“A double-edged sword lets you cut down your enemies with the backswing as well.”
–Gerrard of the Weatherlight
両刃の剣なら、構えなおすときにも敵が切れる。
–ウェザーライトの艦長代行、ジェラード
引用:フォライアスの大部隊(Foriysian Brigade)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
フォライアスの大部隊(Foriysian Brigade)はカードセット「ウェザーライト」収録のクリーチャー・カードである。
このカードの登場によって、AR4204年のフォライアスには双頭巨人だけでなくそれと戦う人間の部隊もいることが分かった。先述済みだが、これ以前はフォライアスは巨人の住み処としか解説が無かったので、人間たちはこの時代に到来した侵略者と考えられる。フレイバー・テキストの発言者がベナリア人のジェラードだが、だからといって、この部隊がベナリアの遠征軍だと判断するのは早計だろうか…。
フォライアスの介入者
A focal point for time rifts, Foriys contends simultaneously with foes both new and old.
時の裂け目の焦点となったフォライアスは、新たな敵と古い敵の両方と同時に戦っている。
引用:フォライアスの介入者(Foriysian Interceptor)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
フォライアスの介入者(Foriysian Interceptor)はカードセット「時のらせん」に収録されたクリーチャー・カードだ。
カード名の「Interceptor」は「迎撃・要撃する者」のこと。カード・メカニズムとして瞬速を持ち、1体多くの攻撃クリーチャーをブロック可能なことから、単に「介入者(割り込む者)」よりも「要撃者(待ち伏せて迎え撃つ者)」と解釈した方がしっくりくると感じる。
フレイバー・テキストによると、裂け目時代(AR4306-4500年)には、フォライアスは時の裂け目の焦点となった。このことから、かつてフォライアスの地ではドミナリアの次元構造を損壊し、裂け目を生み出すに足る「何らかの事件」が発生したことになる。その事件がどのようなものか、2021年6月現在まで一切語られていない。
さらにフレイバー・テキストの「フォライアスは、新たな敵と古い敵の両方と同時に戦っている」とはどういうことだろう?このカードが人間部隊でなので、そちら視点の文章だとすると、彼らにとっての古い敵は双頭巨人であろうから、新たな敵は時の裂け目から出現した何らかの敵ということになるか。
フォライアスのトーテム像
フォライアスのトーテム像(Foriysian Totem)はカードセット「時のらせん」に収録された、昔のクリーチャーになれるマナ・アーティファクト・サイクル5種の内の赤担当カードだ。このカードはフォライアスの双頭巨人に変化するトーテム像である。郷愁をもたらす過去のクリーチャーとして選ばれただけであろう。特にストーリーや設定は持たされていないようだ。
双頭巨人
He watches the pass in both directions, and all must pay his toll.
巨人は道の両方向を見張っていて、必ず通行料を取る。
引用:双頭巨人(Two-Headed Giant)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
双頭巨人(Two-Headed Giant)はカードセット「ドミナリア」収録のクリーチャー・カードである。
修復時代(AR4500年以降)のドミナリアの双頭巨人だが、カード名やフレイバー・テキストでは特に地域は限定されていないように見える。だが、既知の範囲でドミナリアの双頭巨人の生息地はフォライアスとアイスヘイヴンの2か所であり、このカードのイラストは寒冷なアイスヘイヴンには見えない。となれば、フォライアスの双頭巨人を表現した新たなカードである可能性が高い。
おまけ:フォライアスの周辺の島々

南エローナ大陸南部現代ドミナリア世界地図より引用
フォライアスの周囲には有名無名の島々がある。名前の判明している島を挙げると、南東の先のヴァーナルカ(Varnalca)と、北北東のキシュ(Kish)の2つだ。
北東の大きな島はカードやストーリー作品で知名度があるシャノーディン(Shanodin)やオネイア(Oneah)の所在地だが、島全体を指す名称は定まっていない。2
ヴァーナルカ
ヴァーナルカ(Varnalca)は南東の島で、AR41世紀頃は平和が長く続く農地であった。オレンジの生産地として知られる。
ちなみに小説アリーナ 魔法の闘技場の冒頭は、片目のガース(Garth One-Eye)が露店からヴァーナルカ産オレンジを失敬して味わった後、街中で私闘中の橙(オレンジ)のフェンテスク家闘士の勝利に賭ける、という場面から始まる。
ヴァーナルカは小説アリーナ 魔法の闘技場でオレンジが登場した他は、小説Ashes of the Sunで平和な農地とのごく短い言及があったのみだ。
キシュ
キシュ(Kish)はサーシ(Sursi)やヴェナーリア(Venaria)の東、オネイア(Oneah)の西、フォライアスの北北東にある島だ。小説アリーナ 魔法の闘技場で登場した。
キシュのナキの織り手(Naki Weaver)による壁掛け(タペストリー)は高価な輸出工芸品である。

現代地図(左)と旧地図(右)のキシュの位置の比較図
昔のドメインズ地図にはしっかりと島が描かれていたのだが、AR4560年現在の世界地図には影も形も無くなっている。もしかすると、AR4205年からのファイレクシア侵略戦争やその後の裂け目時代(AR4306-4500年)に何らかの変動が起きて、キシュ島は消失したのかもしれない。
さいごに
フォライアスに関して日本のMTG wikiに記事を書いてからもう13年以上経ってしまった。今回改めてまとめるために、少しでも多くの情報を盛り込みたいと再調査をしてみたものの、特に新情報を掘り当てることはなく、当時MTG wikiに書かなかったより細かい小説関連の情報を詰め込むことで何とか形にできた。
調査の手掛かりにならないかと、海外のファンサイトやヴォーソスのコメントなども軽く洗ってみたのだが、出典不明情報の書き込みを見つけてその検証に少し手こずったりもした。十中八九、公式ソースなしの創作や決めつけを断定的に書き込んだものと判断して無視した。「フォライアスの巨人は時折、近隣地域の沿岸を襲撃している」などいかにももっともらしい記述であっても、全くそれを裏付ける公式ソースは見つからない。この手の負の遺産がまだまだ眠っているのだから、空恐ろしくもなった。
まあ今回はまとまったのでこれで良し、だ。
では、話題も尽きた。今回はここまで。
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