幕屋の大魔術師（Magus of the Tabernacle）はカードセット「次元の混乱」に収録されたクリーチャーカード。
前回のペンドレルの霧（Pendrell Mists）から続くペンドレル関係の2回目。
幕屋の大魔術師の解説
The Tabernacle’s disciples channel the emanations from Pendrell Vale, spreading its paradoxical demand to be both worshipped and left alone.
かの幕屋の信奉者たちは、ペンドレル峡谷からの力と繋がることにより、崇拝と孤立という矛盾した要求を広めている。
引用：幕屋の大魔術師（Magus of the Tabernacle）のフレイバー・テキスト
上段が英語原文、下段が和訳製品版。一部太字で強調。
データベースGathererより引用
さて、今回の本題はこのカードの日本語名「幕屋の大魔術師」の「幕屋」という言葉である。
「幕屋」とは日本語的には「幕を張りめぐらした小屋、テントなどのこと」「能などの楽屋」といった意味。なぜそんな場所が特殊な力を授けるのだろうか？
まずカードを確認する。カードのメカニズム、カード名、フレイバー・テキストの全てがそう示しているように、「幕屋」とは「ペンドレル峡谷の幕屋（The Tabernacle at Pendrell Vale）」に他ならない。
続いて「幕屋」の英語原文の「Tabernacle」を調べる。広い一般的な意味合いは「礼拝する場所・神殿・聖櫃」を指しているが、聖書では「出エジプト記の移動神殿。幕屋」の意味が出てくる。語源はラテン語の「テント」すなわち幕屋である。
「Tabernacle exodus」で検索した結果がこちら。幕を張った小屋の神殿を描いた画像が沢山引っ掛かってくる。これが「出エジプト記の移動神殿・幕屋」。言葉通りに幕を張りめぐらした小屋である。
これで辞書的には意味が通った。だが、これが間違いなのだ。
ペンドレル峡谷の幕屋は幕屋ではない
データベースGathererより引用
ご覧のようにイラストには幕屋はない。
しっかりとした石造りの礼拝堂が描かれている。
したがって「幕屋」は設定的な意味合いがくみ取れていない不適切な訳語であることがこれで明らかになった。辞書的には正しくとも、競技MTG上では何の問題はなくとも、ヴォーソス的にはNGなのだ。
本サイトでの「The Tabernacle at Pendrell Vale」の便宜上の和名は「ペンドレル峡谷の礼拝堂」に変更することにする。「Magus of the Tabernacle」も以降記事で触れる場合は「礼拝堂の大魔術師」と記すことに定める。
礼拝堂の大魔術師のストーリー
このカードのストーリー的な面は全てカードに詰まっている。カード名とイラストと主にフレイバー・テキストだ。
カード名から視点を変えて、フレイバー・テキストを読んでみよう。「The Tabernacle’s disciples channel the emanations from Pendrell Vale」とある。和訳製品版は不明瞭なので改めて訳すると「かの礼拝堂の門弟はペンドレル峡谷からの発散と経路を結ぶ」くらいになるか、ここで注目は「ペンドレル峡谷からの発散（the emanations from Pendrell Vale）」である。
では、「ペンドレル峡谷からの発散（the emanations from Pendrell Vale）」とは何か。この大魔術師に力を与える源であろうものとは？
個人的にこれは「ペンドレルの霧（Pendrell Mists）」を指していると推測している。「ペンドレル峡谷の礼拝堂（The Tabernacle at Pendrell Vale）」のイラストを見るに、そこに描かれている発散物とは低い位置に漂っている「霧」のことではないだろうか？
明日もペンドレル関連記事が続く。
礼拝堂の大魔術師の関連記事
ペンドレルと礼拝堂に関連する記事リストはこちら。
