カード紹介：ペンドレルの変転

ペンドレルの変転（Pendrell Flux）はカードセット「ウルザズ・サーガ」に収録されたエンチャント・カード。

ペンドレルの霧（Pendrell Mists）から続くペンドレル関係の3回目。
前回第2回目の記事はこちら。

ペンドレルの変転の解説
ペンドレルの変転のストーリー
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ペンドレルの変転の解説

Devoured by the mists, Tolaria was stuck in time, trapped between two eternal heartbeats.
トレイリアは霞に呑み込まれ、時間が止まった。2つの永遠の鼓動の狭間に閉じこめられた。
引用：ペンドレルの変転（Pendrell Flux）のフレイバー・テキスト
上段が英語原文、下段が和訳製品版。一部太字で強調。

データベースGathererより引用

ペンドレルの変転（Pendrell Flux）は、トレイリアの「ペンドレルの霧（Pendrell Mists）」との関連性を示唆しているのは明らかである。

具体的には、カード名の「ペンドレル」、「アップキープにマナを払わないとクリーチャーが失われる」メカニズム、フレイバー・テキストの「トレイリア」と「霧」¹といった諸々の要素が証拠になる。

フレイバー・テキストの「（トレイリアの）時間が止まった」とはどういうことだろうか？ちょっと考えてみたい。

これはトレイリアのアカデミーでの時間遡行実験においてAR3307年に発生した時間災害に他ならない。時間災害によってトレイリア島は時間の流れが正常ではなくなってしまった。ある地域では早く、また別の地域では遅く時間が流れるようになってしまった。このカードのカード名「Flux」とは「流れ」を意味する言葉。ペンドレルの霧の「流れ」だけに限らないで、トレイリアの狂った時間の「流れ」をも指しているように思えてならない。

フレイバー・テキストでは、霧に呑み込まれてトレイリアの時間が止まったと書いてある。時間災害によってペンドレルの霧が発生してトレイリア島を包み込んでしまった、となるとどうなるだろうか？

ペンドレルの霧が「トレイリア島を取り巻いている生命力を搾り取る霧」であることは既に確認している（→ペンドレルの霧の記事）。生命力を搾り取ると表現されていたが、実際は異常な時間の流れの悪影響で消耗してしまっていると解釈できるのではないだろうか。ペンドレルの霧の発生原因が時間ならその性質も時間であったとしても不思議ではない。

ペンドレルの変転のストーリー

ペンドレルの霧の記事で以下のように述べた。

トレイリア島が登場する作品で「ペンドレルの霧」という言葉が登場する作品はこれ（短編集Rath and Stormの「Ertai’s Tale」）を除いて発見できなかった。

「ペンドレルの霧」という言葉が登場しないように「ペンドレルの変転」という言葉も同様に登場する作品は見つけられなかった。「ペンドレル（Pendrell）」は（トレイリア島に限定してなら）「Ertai’s Tale」でしか使われていない言葉のようなのだ…。

行き詰ってしまったので、その代わりに、違う切り口から諸作品を調査した。トレイリア島の時間に関係する「霧」すなわち「mist」や「fog」の描写を拾い上げてみる。

小説Time Streamsでは「mist」「fog」は、時間の流れが速い水「速時水（fast-time water）」の霧として登場する。この速時水の霧は、自然に発生したものではなくて、ジョイラの装置で人工的に発生させたものだ。遅い時間の泡に取り残されたテフェリーを救出するために、ジョイラは近くの早い時間のエリアから速時水を汲み上げて霧として散布し、時間の流れを中和してテフェリーを普通の時間へと連れ戻す計画を立てる。速時水の霧が生物にどのような悪影響を与えるかは知れなかったが、時間旅行に耐性のあるカーンが立候補し、霧の中に入って遅い時間からテフェリーを救い出すことに成功した。

続いて小説Bloodlinesではジョイラの噴霧装置の後継機がトレイリアのアカデミーに設置されていることに気付くだろう。時間の流れの遅い実験エリアへ入る際に遅時水（slow-time water）の霧で満たされた部屋を通過する。時間の流れの急激な変化に人体を慣れさせて安全に移動をするための設備である。

「生命力を搾り取る」とされるペンドレルの霧とは真逆に人命救助や研究補助に用いられたのだ。ただ、これらの速時水や遅時水の霧が「ペンドレルの霧」と同じものと言ってよいかは分からないが。

明日もトレイリア島の霧について。→次回