ドミナリア:マーホルト・エルスドラゴン

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マーホルト・エルスドラゴン(Marhault Elsdragon)カードセット「レジェンド」初出のキャラクターである。

1994年のカードセット「レジェンド」で、伝説のクリーチャー・カード「竜公マーホルト(Marhault Elsdragon)」として初登場。

28年後のカードセット「団結のドミナリア」において、「語り継がれる伝説1」という特別枠でリデザインされ、竜公マーホルト将軍(General Marhault Elsdragon)という新バージョンで収録された。

本記事では、マーホルト・エルスドラゴンを紹介する。

追記(2023年7月16日):ビジュアル・ガイドにおいて、マダラ帝国でのニコル・ボーラスの死がAR3607年と確定されたため、年代の記述を修正し、その他にも情報を足した。また、「テツオ・ウメザワ」を「梅澤哲雄」に表記変更した。

追記(2023年7月23日):マーホルト・エルスドラゴンの紋が「鷹」であることについて書き足した。24日:「鷹」を「隼」に変更。

マーホルト・エルスドラゴンの解説

竜公マーホルト将軍(General Marhault Elsdragon)

竜公マーホルト将軍(General Marhault Elsdragon)
公式カードギャラリーより引用

マーホルト・エルスドラゴン(Marhault Elsdragon)AR3607年のドミナリア次元マダラ帝国において、皇軍ケンツ(Kentsu)を率いる「御大将(Genaral)」の地位に在ったエルフ男性である。帝国にはほぼ20年に渡って忠義を尽くしていた。

マダラ帝国は皇帝ニコル・ボーラス(Nicol Bolas)の下で、「帝国暗殺官」「御大将」「帝国英雄官」のトップスリーによる三頭政治が敷かれていた。マーホルトはその一角であり、帝国暗殺官ラムセス・オーヴァーダーク(Ramses Overdark)そして帝国英雄官の梅澤哲雄2(Tetsuo Umezawa)の2人とは同格である。

AR3607年、御大将マーホルト・エルスドラゴンは、皇帝の命によりエデミ諸島の反乱鎮圧の任務に当たった際、帝国暗殺官ラムセスの謀略によって暗殺されてしまうこととなる。マーホルトの腹心であるケンツの将校ジョーガン・ヘイグ(Jorgan Hage)がラムセスの魔法に魅入られ、刺客となっていたのだ。ジョーガンは何食わぬ顔で皆の前に現れて、梅澤哲雄がエルスドラゴン御大将を殺害し逃走した、と宣言したのだった。



伝説時代の壁画のマーホルト

魔力の墓所(Mana Crypt)

ラト=ナム大学廃墟を描いた小説プロモカード
魔力の墓所(Mana Crypt)
データベースGathererより引用

「マーホルト」という名前の人物は、アンティキティー戦争期に破壊されたラト=ナム大学の遺跡の壁画にも描かれている。おそらく伝説時代に生きていた人物と考えられる。

これがもし同名の別人ではなく、同一人物であったとするなら、マーホルト・エルスドラゴンは3600歳を超えていたことになる。ドミナリア次元には並外れた長命者や不老不死がまれに存在するため、可能性が無いとは言い切れない。

マーホルトに関する本サイトの方針

本サイトでは「マーホルト・エルスドラゴン」に関しては公式和訳とは異なる翻訳を選択している。

「竜公マーホルト」ではなく「マーホルト・エルスドラゴン」とし、マダラ帝国での役職は「将軍」ではなく「御大将」とする。

その理由は次の通りだ。

「竜公」ではなく「エルスドラゴン」

「Marhault Elsdragon」は、公式和訳の「竜公マーホルト」ではなく、「マーホルト・エルスドラゴン」と音写したカタカナ表記を選んだ。

まず和名の「竜公マーホルト」だが、カードセット「クロニクル」の日本語版に際して初めて公式に名付けられたものだ。当時の翻訳スタッフは「Elsdragon」を名前ではなく「竜公」という称号と解釈していた。

しかし、後にレジェンド・サイクル2小説三部作でマーホルトが登場すると、彼の地位は「General」であり、「Elsdragon」は称号でなく姓名の一部のように書かれていた(少なくとも私はそう読んだ)。

「Elsdragon」を称号に読む正当な理由は見当たらないため、音写した「エルスドラゴン」がより正しく、かつ無難だと判断した。

「将軍」ではなく「御大将」

マダラ帝国皇軍ケンツの最高司令官「General」は、本サイトの訳語として「御大将」を選択した。理由は2つある。

まずケンツという軍組織は最高位が「General」だがその次に「Marshal」がくる。普通に日本語に置き換えると「将軍」の下に「元帥」となり、なんだか据わりが悪いのだ。そこで少し変わった言葉にするのが良いと考えた。3

侍の御大将、武野(Takeno, Samurai General)

侍の御大将、武野(Takeno, Samurai General)
データベースGathererより引用

侍の御大将、武野(Takeno, Samurai General)というカードが目に留まった。神河次元のカードで「General」が「御大将」と訳されているのである。

言語面から見ると、マダラ地方は神河の影響が強く見られ、ケンツも含めて和風の単語がそこかしこに顔を出す。神河語で「General」が「御大将」なら、マダラでも同じが望ましいのではないか。

以上のことから、ケンツの「Genaral」は「将軍」とは異なる言葉にする必要があり「御大将」を選択した。



マーホルト・エルスドラゴンのカード

マーホルト・エルスドラゴンは2回カード化されている。

竜公マーホルト

Marhault Elsdragon follows a strict philosophy, never letting emotions cloud his thoughts. No chance observer could imagine the rage in his heart.
竜公マーホルトは、感情によって思考を曇らせることなかれという教えを忠実に実践している。たとえ胸の内で憤怒が渦巻いていようとも、彼をよく知らぬ者には、それをうかがい知るすべはない。
引用:竜公マーホルト(Marhault Elsdragon)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

竜公マーホルト(Marhault Elsdragon)

竜公マーホルト(Marhault Elsdragon)
データベースGathererより引用

竜公マーホルト(Marhault Elsdragon)カードセット「レジェンド」収録の伝説のクリーチャー・カードである。

これがマーホルト・エルスドラゴンの最初のカードである。イラストの風貌にフレイバー・テキストの文章が合わさったことで、スタートレックのバルカン人を想起させるような人物として描写されている。

最初のマーホルト・エルスドラゴンのイラスト一部拡大図

この最初のイラストでは、マダラ地方の和装ではなく、彼のいる場所もマダラ帝国領内とは思えない荒野である。マダラ帝国ケンツでキャリアを始める以前の姿であったと解釈ができる。マダラへの渡来人だとすると、彼はどこからやって来たのだろう?伝説時代のテリシア地方のマーホルトとは彼の先祖か、あるいは3600年以上昔の彼自身だったのかもしれない。

竜公マーホルト将軍

Driven by rage, directed by his emperor’s claw.
怒りが駆りたて、皇帝の爪が導く。
引用:竜公マーホルト将軍(General Marhault Elsdragon)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

竜公マーホルト将軍(General Marhault Elsdragon)

竜公マーホルト将軍(General Marhault Elsdragon)
公式カードギャラリーより引用

竜公マーホルト将軍(General Marhault Elsdragon)カードセット「団結のドミナリア」でリデザインされた新バージョンである。

2度目のカード化は「マダラ帝国皇軍ケンツの御大将マーホルト・エルスドラゴン」として描かれている。イラストでは、和風の侍のような格好で同様に武装した軍団を従えているが、これはマダラ地方が神河文化の影響を受けているためだ。

マーホルト・エルスドラゴン御大将と皇軍ケンツ

実は皇軍「ケンツ(Kentsu)」も和風の名称である。正式名称は「ヒドー・ツライ・ケンツ(Hido Tsurai Kentsu)」であり、その意味を翻訳すると「皇帝の恐ろしくも痛ましい拳(The Emperor’s terrible, dolorous fist)」となる。つまり元は「非道で辛い拳骨」であったろう。

イラストに関してもう1点。作中ではマーホルト・エルスドラゴンの紋は「隼(Falcon)」との記述があるので、カードイラストの軍旗にも隼がデザインされているはずだ。赤字の旗には複雑に曲がり入り組んだ白い線が描き込まれている。これは図案化された隼なのであろうけれど、私にはそれが判別できなかった。

カードの開発について。カードのリデザインを担当したイーサン・フライシャー(Ethan Fleischer)によると、小説での登場場面が多いとは言えなかったため、ランページのメカニズムを改良することにしたのだという(出典リンク)。



さいごに

こうしてまとめてみたものの、マーホルト・エルスドラゴンもまだまだ謎の多いキャラクターである。レジェンドサイクル2のファンとして、次回の再登場・再カード化を望んでやまない。

では、今回はここまで。

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  1. 原文は「Legends Retold」なので、本来は「新たな形で語り直された伝説」くらいの意味合い。「語り継がれる伝説」という和訳はかなり意味がずらされている。
  2. 和訳製品版では「テツオ」だが、中国語版を参考に「哲雄」と漢字表記とした
  3. 以前の私は前者を「大将軍」、後者を「将軍」と変則的に訳していたこともあった