メルカディア:のたうつウンパス

スポンサーリンク

のたうつウンパス(Thrashing Wumpus)は、1999年のカードセット「メルカディアン・マスクス」収録のクリーチャー・カードである。

2023年1月2日、新年早々に驚かされた。のたうつウンパスってそういうカードだったの!?って。私はこのカードのことを20年以上ずっと勘違いしていたのだ。

今回はのたうつウンパスの真相に迫る。

のたうつウンパス

Young wumpuses are malevolent and vicious–but they grow out of it.
ウンパスの仔は敵意と悪意のかたまりだ–しかし奴らは成長する。
引用:のたうつウンパス(Thrashing Wumpus)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

のたうつウンパス(Thrashing Wumpus)

データベースGathererより引用

のたうつウンパス(Thrashing Wumpus)は、メルカディア次元に生息するウンパスという動物の1種である。しかもまだ若い個体だ。



のたうつウンパスのメカニズムと勘違い

カードのメカニズム的には、黒マナ1点を消費して、全てのクリーチャーと全てのプレイヤーに1点のダメージを与える能力を持っている。敵も味方も関係なく、自分自身にも等しくダメージを与えるのだ。

黒死病(Pestilence)

黒死病(Pestilence)
データベースGathererより引用

このカードは、MTG最初のカードの1つ黒死病(Pestilence)を内蔵したようなデザインのクリーチャーだ。

のたうつウンパスは、カード開発史的に黒死病の系譜に連なるカードなのは明らかである。ゆえに、のたうつウンパスも疫病系のフレイバーを持たされたものだろう。私は深く考えもせずにそう思い込んでいた。

でも真相は違っていた。

のたうつウンパスの真相

のたうつウンパス(Thrashing Wumpus一部拡大図

イラストを担当したジェフ・ミラコラ(Jeff Miracola)が、のたうつウンパスがどういう状態なのかを明かしてくれたのだ(出典リンク)。

それによると、可哀想なウンパスがのたうち回っている理由は、巨大ヒルが何匹も体中にたかっているからなんだよ、と。

なんてこった!?これヒルだったのか!!

私は疫病に侵された身体の一部だと思い込んでいた。20年以上も。

ということは、カードの能力はこう解釈できるだろうか?

黒マナを払うたびにヒルたちが活性化して吸血するため、ウンパスは苦しみ、ヒルを剥がそうとのたうちまわる。その余波によって、周囲に損害が出て、全員にダメージが与えられる。

確かにこれは、地面を砕いてのたうってるイラストの様子とも辻褄が合うぞ!

のたうつウンパスのフレイバー・テキスト

Young wumpuses are malevolent and vicious–but they grow out of it.
ウンパスの仔は敵意と悪意のかたまりだ–しかし奴らは成長する。

ではフレイバー・テキストの方はどういう意味だろう?

若いウンパス

フレイバー・テキストの前半では「ウンパスの仔は敵意と悪意のかたまりだ」とある。

「ウンパスの仔」は原文では「Young wumpuses」なので、必ずしも子供とは限らず「若いウンパス」くらいに受け取っておいた方が無難に思える。

この若いウンパスとは、のたうつウンパスのことであろうか?

狩り立てられたウンパス(Hunted Wumpus)

狩り立てられたウンパス(Hunted Wumpus)
データベースGathererより引用

のたうつウンパスの他に、ウンパス・カードは2種類存在している。そのどちらもパワー/タフネスは6/6であり、のたうつウンパスの3/3の2倍も大きい。

したがって、のたうつウンパスが若いウンパスなのは間違いないだろう。

成長する

「しかし奴らは成長する」と訳された後半部分。

私はなんだかもやもやしたものが残ってしまう。「成長」がいい方向になのか、更に悪い方になのかが、この書かれ方では定まらないせいだ。例えば、「しかし奴ら『も』成長する」だったらいい方向だと明確なのだが。

その曖昧さをはっきりさせるために原文を確認する。原文にある「grow out of …」という表現は「成長することで(悪い癖など)を捨て去る」という意味合いが含まれる。

文章の前半で若いウンパスは「敵意と悪意のかたまり」とまで言われているので、そういった好ましからざる傾向が成長することで改善される、とそういう内容と読める。

のたうつウンパスのフレイバー・テキストを訳してみた

若いウンパスは敵意と悪意のかたまりだ–しかし成長すれば改善される。

自分なりに訳し直すとこんな感じになるか。

フレイバー・テキストの軸からのたうつウンパスを読み解くと、ダメージを与える能力は「このウンパスがまだ未熟で敵意と悪意のかたまりのような厄介者だから」って辺りに落ち着きそうだ。

でもそれじゃイラストとはチグハグなんだよな……。

のたうつウンパス(Thrashing Wumpus)

データベースGathererより引用

若い奴は気性が荒いねえ。俺も若い頃は尖ったナイフみたいでさ、周りが敵に見えて当たり散らしたもんだよ。

ウンパス界隈ではそんな風に見られているのかもしれないな。いやいや。このウンパス君が暴れてるのはヒルのせいですよ。大人がしっかり見てあげて下さいよ。



さいごに

のたうつウンパスに関しては、私は20年以上も勘違いしていた。今回、イラストの真相を知って驚かされた。

私はウンパス君自体を疫病キャリアーだと思い込んでいたし、当時の日本のMTG漫画では邪悪な存在のように描写された事もあったようだ。

のたうつウンパスはむしろ被害者、悪いのはヒル(と黒マナをつぎ込むプレイヤー)だったのに……。真相を知ったら可哀想に思えてきたよ。

では、今回はここまで。