統率者レジェンズ:ウサギとカメ

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童話「ウサギとカメ」をモチーフにした伝説のクリーチャー・カードがカードセット「統率者レジェンズ」に収録された。

ウサギの巡歴の干渉者、クウェイン(Kwain, Itinerant Meddler)とカメのラグーンの神秘家、アーチェロス(Archelos, Lagoon Mystic)である。この2種類のカードは知的な兔系人型種族と亀系人型種族としては初のカード化でもある。

今回は、この2人の設定とカードを紹介する。記事の最後では兎人と亀人が生息する次元……2人の出身次元がどこかを探ってみる。

ウサギとカメ

巡歴の干渉者、クウェイン(Kwain, Itinerant Meddler)ラグーンの神秘家、アーチェロス(Archelos, Lagoon Mystic)

カードセット「統率者レジェンズ」には童話「ウサギとカメ」をモチーフにした1組の伝説のクリーチャー・カードが収録されている。

ウサギ役で速さ担当が巡歴の干渉者、クウェイン(Kwain, Itinerant Meddler)で、カメ役で遅さ担当がラグーンの神秘家、アーチェロス(Archelos, Lagoon Mystic)である。

この2人は設定解説によると同じ次元出身である。→この節を参照。



ウサギ

“Why so slow, why so slow? Hurry up! You never know what you’ll find.”
どうしてそんなに遅いのさ?急ごうよ!何が見つかるか分からないからね。」
引用:巡歴の干渉者、クウェイン(Kwain, Itinerant Meddler)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

巡歴の干渉者、クウェイン(Kwain, Itinerant Meddler)

巡歴の干渉者、クウェイン(Kwain, Itinerant Meddler)
データベースGathererより引用

巡歴の干渉者、クウェイン(Kwain, Itinerant Meddler)は兎人の男性。「ウサギとカメ」のウサギ役。

「巡歴の干渉者」と訳された二つ名の「Itinerant Meddler」は、噛み砕いて言えば「世界中を飛び回るお節介」くらいの意味合い。

フレイバー・テキストの「どうしてそんなに遅いのさ?」は明らかに童謡「うさぎとかめ」の歌詞「どうして そんなに のろいのか」を意識している。

ケザードリックス(Kezzerdrix)

ケザードリックス(Kezzerdrix)
データベースGathererより引用

知的な兔系人型種族のカードはこのクウェインがMTG史上初と思われる。ただし、直立した兔系クリーチャー・カードにはケザードリックス(Kezzerdrix)とその同類のヴィザードリックス(Vizzerdrix)という先例はある。

また、クウェインはクリーチャー・タイプ「兎」ではMTG史上初の伝説のクリーチャー・カードである。

巡歴の干渉者、クウェインの設定解説文

Kwain, Itinerant Meddler
The rabbitfolk Kwain has many talents. He’s a fast mover, a fast thinker, and a fast talker. To him, the world moves in slow motion. He believes people spend far too much time making up their mind when they could just be doing.
To that end, no one frustrates him more than the turtlefolk Archelos. To Kwain, Archelos represents everything he finds irritating. But still he finds himself drawn to the turtle, literally running circles around him trying to get any sort of reaction.
巡歴の干渉者、クウェイン
兎人のクウェインには様々な才能があります。動きは俊敏、思考は素早く、口もよく回ります。彼の目に、世界は緩慢に動いて見えます。彼は、自分以外の人々は心を決めるまでに時間をかけすぎていると信じています。ただ今やればいいだけなのに。
そのために、亀人間のアーチェロスほど彼を苛立たせる者はいません。クウェインにとって、アーチェロスは彼が苛立つすべての体現です。それでも彼は気付くとその亀に引き寄せられ、文字通りに周りを駆けまわっては何らかの反応を引き出そうと頑張っているのです。
引用:上が公式記事The Legendary Characters of Commander Legends, Part 2
下が公式和訳版『統率者レジェンズ』の伝説たち その2

途中に「彼が苛立つすべての体現です」と妙に硬い表現が出てくるが、原文では「represents everything he finds irritating」とあり、「彼が苛立つようなあらゆるものを象徴している」という意味。ちなみに、ここは後述のアーチェロスの解説文と呼応している。

ちなみにクウェインの設定解説文の担当はアリ・ツィルルニク(Ari Zirulnik)である(イーサン・フライシャー証言)。おそらくアーチェロスも同じだ。

カメ

Life … is not … a race.”
命は……競争では……ない……。」
引用:ラグーンの神秘家、アーチェロス(Archelos, Lagoon Mystic)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

ラグーンの神秘家、アーチェロス(Archelos, Lagoon Mystic)

ラグーンの神秘家、アーチェロス(Archelos, Lagoon Mystic)
データベースGathererより引用

ラグーンの神秘家、アーチェロス(Archelos, Lagoon Mystic)は亀人の男性。「ウサギとカメ」のカメ役。

亀系人型種族のカード化としてはMTG史上初である。ただし、設定上は亀人はドミナリア次元に存在していた(初出は17年前の2003年小説Emperor’s Fist)。

カード・メカニズムを見ると、アーチェロスがアンタップ状態とタップ状態で機能が変化するようになっている。これはMTG史上初の亀であるカードセット「アラビアンナイト」の象亀(Giant Tortoise)を意識したものである(出典:twitchのWeekly MTG: Commander Legends)。

象亀(Giant Tortoise)

象亀(Giant Tortoise)
データベースGathererより引用

アーチェロスのイラストは象亀(Giant Tortoise)と見比べるとそっくりなのが分かる。メカニズムだけでなくイラストもオマージュなのだろう。

フレイバー・テキストの「命は」と訳された主語の「Life」だが、ウサギとカメをモチーフとしているキャラクターなので、ここは「人生は」の方がしっくりくるように思える。

「人生は……競争では……ない……。」

この競争はウサギとカメの競争をイメージしているものだろう。下記のアーチェロスの設定解説文でも、アーチェロスとクウェインの人生への捉え方を比較する件が出てくる。

ラグーンの神秘家、アーチェロスの設定解説文

Archelos, Lagoon Mystic
The turtlefolk shaman Archelos has lived a very long time. So long, in fact, he forgot his own age centuries ago. He spends much of his time meditating in his shell, spreading his considerable magic across the marsh he calls home, feeling and understanding each and every aspect of nature.
His magic power is so immense that one finds themselves drawn into Archelos’s pace. Ask a simple yes or no question, and you’ll find that an hour has passed without you noticing—and you still haven’t received an answer. Only one being, a pesky rabbitfolk, has been able to resist this magic. While Archelos finds the rabbitfolk’s interruptions irritating, he knows he was ancient when the rabbit was born and will be older still when the rabbit rejoins the earth.
ラグーンの神秘家、アーチェロス
亀人間のシャーマン、アーチェロスは非常に長い年月を生きています。実際、あまりに長すぎるため、自らの年齢もとうの昔に忘れてしまいました。彼はほとんどの時間を殻にこもって瞑想して過ごし、少なからぬ魔力を家と呼ぶ沼地の隅々にまで広げ、自然のあらゆる側面を感じ取り、理解しています。
彼の魔法力はとてつもなく、相手は気付かぬうちにアーチェロスのペースに引き寄せられてしまいます。はい・いいえで答えられる単純な質問をしても、気づかぬうちに一時間が過ぎていることでしょう――そしてまだ返答を受け取っていないのです。唯一、とある厄介な兎人だけがこの魔法に抵抗できます。アーチェロスはその兎人の邪魔を腹立たしく思っていますが、自分はその兎が生まれた時にはすでに年経た存在であり、そしてその兎が大地に還ってもまだ年経た存在のままでいると判っているのです。
引用:上が公式記事The Legendary Characters of Commander Legends, Part 2
下が公式和訳版『統率者レジェンズ』の伝説たち その2

アーチェロスの年齢の件が和訳版では「とうの昔に」とぼかされているが、原文では「centuries ago」つまり「数世紀前」なので何百年も生きていることになる。

「アーチェロスはその兎人の邪魔を腹立たしく思っています」の部分は原文では「Archelos finds the rabbitfolk’s interruptions irritating」であり、先述のクウェインの解説文と呼応している。どちらも「S find O irritating(SがOにいらいらしている・腹を立てている)」の形で同じである。表現が一致しているので対応関係がより強調されている。和訳文はクウェインの方が「苛立つ」で、アーチェロスの方は「腹立たしく」であり、意味合いは同じだが表現が揃えられていない。



ウサギとカメの出身次元

ウサギのクウェインとカメのアーチェロスは同じ次元出身であることが分かっている。しかし設定解説にはその次元がどこかまでは書かれていない。

では最後に、兎人と亀人が居住する次元がどこかを探ってみたい。条件に合う候補地はあるのだろうか?

ラース次元

ケザードリックス(Kezzerdrix)

ケザードリックス(Kezzerdrix)
データベースGathererより引用

まずラース次元を考えてみる。クウェインの節で先述した通り、直立する兔系クリーチャーのケザードリックス(Kezzerdrix)が存在している。ケザードリックスはラース次元の生き物だ。

パッと見ても狂暴なケザードリックスと、おとぎ話から出てきたようなクウェインでは同種族にはとても思えない。それにラース次元では亀人の存在も確認できないので、この次元は候補からは除外する。

エルドレイン次元

雷声のカミツキガメ(Thunderous Snapper)

エルドレインの亀は亀ハイドラが特徴的だ
雷声のカミツキガメ(Thunderous Snapper)
データベースGathererより引用

エルドレイン次元はおとぎ話がテーマとなっている次元だ。

現在のところ兎人も亀人もエルドレインに存在が確認はできないのだが、おとぎ話の世界である「僻境(The Wilds)」ならこんな生き物がいてもおかしくないように思える。ただし、エルドレインには大きな問題がある。

実はクリエイティブ・チームはエルドレインには動物系人型種族を入れない方向で世界を構築している。例えば「長靴をはいた猫」はNGである。(公式記事Odds & Ends: Throne of Eldraine/和訳版

したがって、(世界構築の方針が現状のままでは)服を着て喋る兔人は明らかに許容範囲外になるだろう。これでエルドレインも候補から外れる

ドミナリア次元

Ebon Praetor

ドミナリアには兎人が存在する
Ebon Praetor
データベースGathererより引用

既存の次元で一番有望なのがドミナリア次元だ。

Ebon Praetorのカード・イラストには御覧の通り直立した兎人が描かれている。このカードはAR170年頃のサーペイディア大陸である。同族が他にいる可能性は十分あるはずだ。

さらに亀人の方もドミナリアには生息している。レジェンドサイクル2小説三部作によると、マダラ地方クショ島にはケロニアン(Chelonian)という名の亀系人型種族が存在していることが確認できる(2作目小説Emperor’s Fistが初出と思われる)。

問題があるとすれば、サーペイディアとマダラは同じ南半球ではあるとはいえ距離がかなり離れていることくらいだ。

まあ、ドミナリア次元はMTGの歴史の集積地なので大概なんでも揃ってしまう反則的な世界ではある。

お菓子とウサギさんたちのふわふわもこもこ次元

兎の話をすると必ずこれを引き合いに出す人がいるので一応取り上げる。

この「お菓子とウサギさんたちのふわふわもこもこ次元(出典和訳記事)」と訳されたものは、そもそも固有の次元の名称ですらない。英語原文記事では「a plane filled entirely with fudge and bunny rabbits」なので「ファッジ(キャンディの1種)とウサギさんで完全に満たされた次元」くらいの意味合い。想像できる限りのありとあらゆる幻想的な次元が存在するという文脈で出てきた極端な例にすぎない(こういう次元も存在しうるということ)。

仮にこの「ファッジ(キャンディの1種)とウサギさんで完全に満たされた次元」があったとして、この名の通りの世界だとするなら、クウェインのイラストではリアリティレベルが高すぎるだろう。亀人のいる沼地はもっとそぐわない(ファッジとウサギさんで完全に満たされているのだから)。それに、もしもこの次元があったとしたら、もっとファンシーなキラキラしたイメージの場所だと思う。もちろん除外だ

以上、まとめるとクウェインとアーチェロスの出身次元はドミナリア次元が最も有望と考えられる。もし今後、兎人と亀人が主要種族になっているような新次元が設定されても、それはそれで面白い。では今回はここまで。

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