ニューカペナ:悪魔的な客室係

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悪魔的な客室係(Devilish Valet)カードセット「ニューカペナの街角」収録のクリーチャー・カードである。

悪魔的な客室係はパワーを倍々にしてとんでもないダメージを叩き出すコンボで遊ばれているカードだ。MTGアリーナで百や千を軽く超える大ダメージを出したスクショなんかも目にすることがある。

そんなゲーム的に面白いこのカードだが、カード名やフレイバー・テキストの和訳がものすごくおかしいことに気付いているだろうか?今回は、悪魔的な客室係のカード名とフレイバー・テキストの誤訳を見直して、正しい意味を読み取る記事である。

追記(2022年5月23日):少し説明を付け足したり一部表現を変えた。

悪魔的な客室係の解説

Nobody thought twice about checking their weapons at the door, until they were informed there was no weapon check at the door.
玄関先で武器検査を行なわない旨を知らされるまで、玄関先で自分の武器を検査することを誰一人疑いもしなかった。
引用:悪魔的な客室係(Devilish Valet)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

悪魔的な客室係(Devilish Valet)

データベースGathererより引用

悪魔的な客室係(Devilish Valet)はニューカペナ次元のデビルだ。カードのテキスト欄にマークがあるので、舞台座一家の構成員と考えられる。

カード名で「客室係」と訳されているがこれは間違っていて、本来はおそらくホテルのフロントの預り所スタッフ(の振りをした人物)だと思われる。

その上、フレイバー・テキストの方も和訳が滅茶苦茶だ。原文では「武器検査」なんてしてはいないのだから。

では、このカードは実際はどんな職種で、どんな行動をしている人物なのだろうか?次節以降で順番に確認して行こう。



悪魔的な客室係のカード名

「悪魔的な客室係」と訳されている英語カード名は「Devilish Valet」である。

「Devilish」はこのカード自身が「デビル」なので、単純に「デビルの……」の意味となる。

メモ:訳被り問題
「Devilish」は「悪魔の……・悪魔的な……」でも辞書的には正しい。とはいえMTGでは種族の混同という問題があるため、本サイトでは「悪魔」訳はなるべく避けたい。なぜなら、MTGのカード名ではデビルもデーモンも一緒くたに「悪魔」と訳されてしまっているので、和訳からは両種の区別ができなくなっているのだ。

次に「Valet」の方は辞書を見ると色々な意味があるのだが、このカードの場合は「主人の服装の世話をする側仕えの者」や「それと同じような役目をするホテル従業員」「ホテルのボーイ」の意味合いだろう。

一方、和訳の「客室係」とは、客室の清掃や整備をするいわば裏方の従業員を指す言葉なので、「valet」とは全く違うのだ。

以上から、この「Devilish Valet」は「デビルの世話係」や「デビルのボーイ」くらいになるだろうか。

悪魔的な客室係のフレイバー・テキスト

Nobody thought twice about checking their weapons at the door, until they were informed there was no weapon check at the door.
玄関先で武器検査を行なわない旨を知らされるまで、玄関先で自分の武器を検査することを誰一人疑いもしなかった。

今度はフレイバー・テキストを確認しよう。和訳製品版は有り体に言ってしまうが誤訳だ。

「武器検査」という解釈が完全に間違っている。原文は「weapon check」だが、これはホテルの「cloak check(外套や手荷物の預け所)」と同類であろう。クローク(外套)ではなく「武器の預け所」なのだ。

「checking their weapons」の方の「check」は名詞でなく動詞だが、「(外套や所持品を)預ける」という用法なので、意味合いは同じものだ。

ではこんな風に訳せるだろう。

玄関先で武器を預けることを誰も気にしていなかった。それも玄関に武器の預け所などないと知らされるまでのことだ。

どうやらこのデビルは、出入り口で勝手に武器の預りを行っていたようだ。もしかしたら正規のホテル従業員であるかも疑わしい。だとしたら、預けた武器は二度と戻ってこないかもしれない!?これは大変だぞ……。



悪魔的な客室係の結論

悪魔的な客室係(Devilish Valet)

データベースGathererより引用

さて、これでこのデビルの正体が判明した。

実はホテルの玄関先で武器の預り所スタッフを騙って、勝手に客から武器を集めている人物だったのだ。(客室係ではなかった!)

これでカードのメカニズムにも説明がつく。「他の味方クリーチャーが戦場に出るたびに自分のパワーを倍加させる」能力を持たされているが、これは客が来る度に武器を預かっている(取り上げている)という解釈ができる。つまり、武器を集めて重武装になるほどパワーが倍々に増えていくのである。

ホテルのフロント係かベルボーイの勝手な判断での武器預かりか、偽の従業員の武器窃盗か、そこは判然とはしないものの、カードの意味するところを正しく読み取れたと思っている。個人的にはこれだけできればスッキリ満足だ。

では今回はここまで。

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