ドミナリア:ラスプーチン・ドリームウィーバー

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ラスプーチン・ドリームウィーバー(Rasputin Dreamweaver)カードセット「レジェンド」でカード収録された伝説のクリーチャー・カードである。主に統率者戦(EDH)で使われることがあるこのカードについて解説する。

カードセット「団結のドミナリア」では、語り直された伝説としてリデザインされた新カード、夢語り、ラスプーチン(Rasputin, the Oneiromancer)となった。

追記(2022年9月10日):リデザイン版ラスプーチンに関して情報を追加した。また、「夢の紡ぎ手ラスプーチン」から「ラスプーチン・ドリームウィーバー」へと名前の翻訳を改めた。

ラスプーチン・ドリームウィーバーの解説

Rasputin Dreamweaver

データベースGathererより引用

ラスプーチン・ドリームウィーバードミナリア暗黒時代の人間の魔術師男性である。

暗黒時代のテリシアではゴブリンの大群が脅威となっており、ソーン騎士団はゴブリン族の根絶に献身する組織であった。ラスプーチン・ドリームウィーバーはソーン騎士団に援助した魔術師として知られている。

ちなみに「ドリームウィーバー」とは「夢の紡ぎ手」という意味合いで、以前は本サイトでは「夢の紡ぎ手ラスプーチン」と称号のように訳していたのだが、現在では名前の一部として解釈することに改めた。



夢語り、ラスプーチン

夢語り、ラスプーチン(Rasputin, the Oneiromancer)

夢語り、ラスプーチン(Rasputin, the Oneiromancer)
公式カードギャラリーより引用

夢語り、ラスプーチン(Rasputin, the Oneiromancer)カードセット「団結のドミナリア」の特別枠でリデザインされた新バージョンだ。

カード名で「夢語り」と訳された言葉は「Oneiromancer」である。「oneiro-」は「夢」、「-mancer」は合成語で「~術師(~に関する魔法使い)」を作る言葉である。MTGの通例なら「夢術師」と訳されていたはずの言葉である(なぜ今回に限って「夢語り」としたのかは分からない)。

リデザインに当たって、元のラスプーチンと同様にパワー/タフネスが4/1で「夢カウンター」を使う点が踏襲されている。その上、今回は設定を反映して、ゴブリンとソーン騎士団にも関わるような機能が付与されている。対戦相手にはゴブリン・トークンを与え、自分には騎士トークンを呼び出せるのだ。

カードのイラストでも、ラスプーチンの背後には2名のソーン騎士が控えている。

団結のドミナリアの騎士トークン

団結のドミナリアの騎士トークン
公式記事The Tokens of Dominaria Unitedより引用

その上、カードセット「団結のドミナリア」の騎士トークンも、きちんと赤い仮面で鎧をまとったソーン騎士が描かれている。

ラスプーチン・ドリームウィーバーの設定公開は登場から12年後

実はラスプーチンの設定はカードセット「レジェンド」が発売されてから12年も経って初公開されたものだ。

カードセット「時のらせん」において、ソーン騎士団創設者ティヴァダールがカード化された際、公式記事The Legends of Time Spiralでラスプーチンの設定が公開された。

これまでラスプーチンは小説やコミック、記事でも一言も言及されていないキャラクターだったので、この設定公開は(たった1文だけであっても)衝撃的であった。レジェンド収録のラスプーチンとザ・ダーク収録のソーン騎士団を結びつけて考えていたヴォーソスも恐らくいなかったのではないだろうか?1

意外な設定公開であったとはいえ、「英雄的な騎士団の指導者」と「助言者の魔術師」。この組み合わせはアーサー王とマーリンなど定番中の定番である。少年騎士団長ティヴァダールを支える賢者ラスプーチンの姿はいかにもしっくりくるものだ。

ラスプーチン・ドリームウィーバーのストーリー

ラスプーチンは小説やコミックには登場していない。あのクレイトン・エマリィ作品ですら悪態で1回も登場したことがない。

ラスプーチン・ドリームウィーバーのトリビア

ロシア系の名前に馴染みのない日本人としては「ラスプーチン」と聞くと、どうしてもロシアの怪人物「グリゴリー・ラスプーチン」を連想してしまう。

「カードのラスプーチンはロシアの実在した僧侶がモデルなのだろうか?」かつて資料を漁って調査したことがある。

最初に結論から言うと「違う」である。ラスプーチン・ドリームウィーバーはグリゴリー・ラスプーチンではない。

カードセット「レジェンド」開発者スティーヴ・コナード(Steve Conard)は、レジェンド当時からカードの開発秘話を惜しげ無く語ってくれる人物であった。

例えば…
「堕天使(Fallen Angel)」と言うカードは「セラの天使(Serra Angel)」の神聖が汚されたとしたらという発想が原点である2とか、
「Alchor’s Tomb」のAlchorはウィザーズ社社長(当時)のピーター・アドキンソンのD&Dの持ちキャラクターの名前を拝借したものだ3とか、
「ネブカドネザル(Nebuchadnezzar)」は古代メソポタミアのカルデア帝国の王ネブカドネザルがモチーフだよ4とか…。

こう言った具合にインタビュー記事などで度々語ってくれている。

公式記事A real legendによると、レジェンド開発時には、現実世界の伝説の人物をカード化する案が確かに存在していた。けれど、スティーヴ・コナードはその案を破棄している。実際にカードとして残ったのは「ネブカドネザル(Nebuchadnezzar)」だけであった。そもそも開発時の現実世界モチーフの人物リストにさえ「グリゴリー・ラスプーチン」の名前は載っていないのである。

「ラスプーチンといったら、ロシアのラスプーチンに違いない。おそらくそうに違いない。」
そんな当時の思い込みは、我ながら浅はかだったなぁ…と自戒を込めてここに記す。
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ラスプーチン・ドリームウィーバーの関連カード

カードセット「レジェンド」関連のリスト

レジェンド
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  1. 2000年頃の熱心なファンによる個人サイト「The Legends of Magic」では、ティヴァダールを援助する魔術師役は同じザ・ダークのキャラクターであるイス卿とされていた。この情報は調査したところ公式な裏付けが見つからなかった。おそらくファン設定の1つだ。
  2. 出典:コミックFallen Angel巻末インタビュー
  3. 出典:公式記事Tome… or Tomb?
  4. 出典:公式記事A real legend
  5. グリゴリー・ラスプーチン説は、私は誰かにまことしやかに吹聴したりしたことはないので実害は出していない。念のため