本記事ではカード化されたウルザ(Urza)を取り上げる。
カードセット「兄弟戦争」では、プレインズウォーカーとなるまでのウルザの人生が改めて振り返られて、複数の新カードで収録されることになった。これで、誕生から幼少期を除いて、ウルザの人生のほぼ全てがカードでカバーされたのである。
ウルザのカード
ウルザを表現したカードは7種類ある。6種類が伝説のクリーチャー・カードで、残り1種類はプレインズウォーカーを表した合体カードである。
その他に1種類、特別なヴァンガード大判カードにもなっている。ジョークカード版ウルザも存在するが今回は割愛した。
ウルザは少年期から最期まで人生のほとんどの時期がカード化されている。大まかにウルザの人生に沿ってカードを紹介していこう。
パワーストーンの神童、ウルザ
パワーストーンの神童、ウルザ(Urza, Powerstone Prodigy)はカードセット「兄弟戦争」収録の伝説のクリーチャー・カードである。
トカシアの発掘キャンプ時代(AR10-20年)のウルザの姿をカード化したもの。
イラストは、AR16年に発見した羽ばたき飛行機械を修理復元している場面である。このイラストの右側は採掘の神童、ミシュラ(Mishra, Excavation Prodigy)に繋がっており、兄弟2人で作業をしている。
工匠の主任、ウルザ
工匠の主任、ウルザ(Urza, Chief Artificer)はカードセット「兄弟戦争」統率者デッキ収録の伝説のクリーチャー・カードである。
カード名の「Chief Artificer」は、「工匠の主任」と職場の役職みたいに訳されてしまっているけれど、国を代表する地位を示す称号である。間に「の」が入っていて称号に見えず、威厳を全く感じさせないので、本サイトでは「工匠長」と表記することにする。
AR21年1、ウルザはヨーティア国の王女カイラ・ビン=クルーグと結婚し、首都クルーグにはウルザ統括の工廠地区が建設される。ヨーティアは国家的事業として工業に力を入れて大いに栄えることとなった。特にウルザが弟子のタウノスと開発した、新型の羽ばたき飛行機械の量産はアルガイヴを凌駕するほどであった。
この時のウルザの称号が「工匠長」あるいは「クルーグの工匠長(Chief Artificer of Kroog)」であった。
AR28年にクルーグが陥落しヨーティアの領土がファラジ帝国に占領され、ウルザは故国アルガイヴに身を寄せて反攻に転じることになる。その時期のウルザは「アルガイヴの工匠長(Chief Artificer of Argive)」と呼ばれている。
AR36年にアルガイヴ・コーリス連合王国が成立した際に、ウルザは連合国の最高工匠卿(Lord High Artificer)および護国卿(Lord Protector)の称号を授かる。以後は「工匠長」でなく「最高工匠卿」の方で呼ばれることになった。
したがって、「工匠長」のウルザはAR21年の結婚後からAR36年の連合王国成立までの姿となる。
クルーグ公、ウルザ
The prince consort was happy to let Yotia’s coffers fund his extravagant research.
公は嬉々として、ヨーティアの財力を好き放題に研究資金へとつぎ込んだ。
引用:クルーグ公、ウルザ(Urza, Prince of Kroog)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
クルーグ公、ウルザ(Urza, Prince of Kroog)はカードセット「兄弟戦争」収録の伝説のクリーチャー・カードである。
AR21年にカイラ・ビン=クルーグと結婚してウルザはヨーティア国の王族に加わった。AR26年のコーリンダの和平会議でクルーグの大将軍が亡くなると、娘のカイラ・ビン=クルーグがヨーティアの女王の地位に就き、ウルザは王配となった。
カード名で「クルーグ公(Prince of Kroog)」、フレイバー・テキストでは「公(The prince consort)」と称されている。この「公」と単純に略されてしまった「The prince consort」は「王配」のことで、女王の配偶者を意味している。小説The Brothers’ War中でも、クルーグ陥落直後でカイラが消息不明になった時にウルザは「王配」と呼ばれて臣下国民への責任を自覚し指示を出すよう迫られる場面が描かれている。
領土を奪われたもののヨーティアは正統王族であるカイラ・ビン=クルーグは健在であったため、ウルザはAR26年からずっと「王配(Prince Consort)」の地位にあったと言える。
フレイバー・テキストの文章は、ウルザが国庫を傍若無人に消費したようにも読めてしまうが、実際には国を挙げての工業振興であってヨーティアに繁栄をもたらしたのである。
“At heart, Urza was an inventor, not a warlord. Over time, the burdens of leadership left him as cold and calculating as his mechanical creations.”
–The Antiquities War
「ウルザは本来発明家であり、軍の指導者ではなかった。時を経るにつれ、指導者としての重圧が、自分が造った機械のように冷酷で計算高くしてしまった。」
–「アンティキティー戦争」
引用:クルーグ公、ウルザ(Urza, Prince of Kroog)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
こちらは別バージョンのクルーグ公、ウルザ(Urza, Prince of Kroog)だ。イラストとフレイバー・テキストが差し替えられている。
このフレイバー・テキストにあるように、ウルザは元々指導者向きな性質ではなかった。AR26年のクルーグの大将軍の死までは研究と発明のことを考えていれば良かったのだが、一転して国と民に対する責任を背負うこととなった。この急な重責は、生まれながら統治者の子として育ったカイラ・ビン=クルーグにしても同じように圧し掛かり、2人を押し潰さんばかりであった。間に入って潤滑油となったのはタウノスで、彼の気遣いで2人は気持ちを切り替え共に重荷を分かち合って歩み始めた。
こうして、指導者の役割にウルザは向き合うようになるのだが、重圧が彼を増々機械のように冷酷で計算高くしていくのだった。この傾向は生涯変わらなかった。
最高工匠卿、ウルザ
最高工匠卿、ウルザ(Urza, Lord High Artificer)はカードセット「モダンホライゾン」収録の伝説のクリーチャー・カードである。
AR36年にアルガイヴ・コーリス連合王国が成立した際に、ウルザは「最高工匠卿(Lord High Artificer)」の称号を賜った。正式には「連合王国最高工匠卿(Lord High Artificer of the Realms)」と表記される。
アルガイヴの歴史において、これ以前にはウルザの「連合王国最高工匠卿」や「連合王国護国卿」、タウノスの「大学者(Master Scholar)」の称号は存在していなかった。そのためウルザとタウノスは儀式用の堅苦しく重たい衣装を着るに留まり、称号の歴史を示す様々な装飾物まではつけずに済んで安堵していた。
Urza’s Miter
Urza’s Miterことウルザのマイター2はカードセット「アンティキティー」収録のアーティファクト・カードである。
このマイターは最高工匠卿の地位を示すものとして連合王国の若き王から授けられた。マイターには宝石ではなく大量の高品質のパワーストーンが装飾されている。
護国卿、ウルザ
護国卿、ウルザ(Urza, Lord Protector)はカードセット「兄弟戦争」収録の伝説のクリーチャー・カードである。
AR36年にウルザはアルガイヴ・コーリス連合王国の護国卿(Lord Protector)に任命され、連合王国軍を指揮した。正式には「連合王国護国卿(Lord Protector of the Realms)」と表記される。
最高工匠卿のマイターのように、護国卿には地位を示す杖(Scepter)があるが、こちらは該当するカードはない。
イラストのウルザはゴーゴスの酒杯を抱え持ち、マイトストーンで攻撃している。これはAR63年の大晦日(12月35日)、ミシュラと1対1の最終決戦の場面である。このすぐ後に酒杯が起爆されて兄弟戦争は終結を迎える。
ヴァンガード版ウルザ
An artificer of unparalleled renown, Urza was a powerful cipher even before he was able to planeswalk. Seeing the world as a large, integrated machine is his greatest strength and weakness, enabling him to solve almost any problem but blinding him to his solutions’ effects on others.
比類なき名声を誇る工匠ウルザは、プレインズウォークができるようになる以前でさえ、強力で謎めいていた。世界を巨大で統合された機械と見ることが彼の最大の強みでありまた弱点でもあった。ほとんどどんな問題でも解決できた反面、その解決法が他者にもたらす影響となるとまるで目に入らなかったのだ。
引用:Urzaのフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が私家訳
このUrzaはヴァンガードという特別な大判カードでデザインされたウルザである。
イラストはヴァンガード版ミシュラと繋がっており、このウルザがプレインズウォーカーとなる以前の姿と分かる。髪はまだ白髪ではないもののもう若々しくもないことから、最高工匠卿・護国卿となって以降でアルゴス島に戦場が移るよりも前と考えられる。
プレインズウォーカー、ウルザ
プレインズウォーカー、ウルザ(Urza, Planeswalker)はカードセット「兄弟戦争」収録の伝説のプレインズウォーカー・カードである。
AR63年大晦日(12月35日)の酒杯爆発を経て、プレインズウォーカーとなったウルザの姿を表している。
カード名では「プレインズウォーカー、ウルザ(Urza, Planeswalker)」と途中にカンマ入りだが、これ以降のストーリー作品では「ウルザ・プレインズウォーカー(Urza Planeswalker)」の名で描かれることになる。
無明の予見者
“I think he sees more than he lets on.”
–Gerrard
彼は言っている以上の物が見えているんだと思うよ。
–ジェラード
引用:無明の予見者(Blind Seer)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
無明の予見者(Blind Seer)はカードセット「インベイジョン」収録の伝説のクリーチャー・カードである。
これはAR4205年のファイレクシア侵略戦争初期において、人間に変装したウルザを表現している。正体を隠して謎の予見者として英雄たちを導いたのだ。
ウィザーズ社のマーク・ローズウォーターはこのカードを何度も記事で取り上げており、小説を読んでいないとウルザと気付けず、そしてほとんどのユーザーに気付かれなかった失敗例として語っている。
さいごに
カードセット「兄弟戦争」が発売されて、ここでウルザを取り上げないのは嘘だなと思い、カード化されたウルザを並べて簡単に紹介した。ジョークカードもあったのだが今回は正史のみとして割愛した。
ウルザという人物を掘り下げると底が無いので取りあえずこれで良しとしておきたい。
では、今回はここまで。
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- 結婚自体はAR22年だった可能性はある
- 「Miter」は「ミトラ、司教冠、宝冠」などとも訳される