機械兵団の進軍:ヤーグルとムルタニ

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ヤーグルとムルタニ(Yargle and Multani)はカードセット「機械兵団の進軍」収録の伝説のクリーチャー・カードである。

ヤーグルとムルタニは伝説キャラクター2人がコンビを組んで、1枚のカードとなったシリーズの1枚だ。色々な次元の異色コンビが収録されているが、この2人がドミナリア次元の代表である。

今回は、ヤーグルとムルタニがどのような経緯でコンビを組むに至ったのか?その仲介者となった2人に関わる「ある人物」とは?その辺を取り上げる。

ヤーグルとムルタニの解説

“I’ve heard much about you from my daughter,” Multani rumbled. “There was a time when I’d balk at your aid, phantom, but she has shown me the merit in Urborg’s strange ways.”
“Gnshhagghkkapphribbit,” replied Yargle.
「おまえのことは娘からよく聞いておる。」ムルタニは唸った。「幻影よ、おまえの手助けには言いたいこともあるがね、アーボーグの変わったやり方にも良さがあることをあの子が教えてくれたのだ。」
「グルルシャーガルルガフゲコ。」ヤーグルはそう返した。
引用:ヤーグルとムルタニ(Yargle and Multani)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

ヤーグルとムルタニ(Yargle and Multani)

データベースGathererより引用

ヤーグルとムルタニ(Yargle and Multani)は、ドミナリア次元の伝説のキャラクターのコンビカードだ。AR4562年の新ファイレクシア侵略戦争において、夢の異色タッグチームが結成されたのである。

元のカードのヤーグルは、パワー/タフネスが9/3なだけの黒の伝説のバニラ・クリーチャーであった。今回はムルタニが加わって2人になったことで、パワー/タフネスは2倍の18/6となった。もちろん何の能力も無いバニラ・クリーチャーのままだ。ムルタニ要素は、色に緑が追加されたことと、名前とイラストにムルタニも一緒に記されていることだ。

9月3日はヤーグルの日
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グルルシャーガルルガフゲコ。」フレイバー・テキストの原文は「Gnshhagghkkapphribbit,」なので、そのままの音写には無っていないが、むしろ日本語の蛙の化け物の言葉として上手くローカライズできている。

「グルルシャーガルルガフゲコ。」音の響きが心地よい。



ヤーグルとムルタニのストーリー

ヤーグルとムルタニがコンビを組むに至ったストーリーは、公式記事The Legendary Team-Ups of March of the Machineで語られている。

2023年4月14日現時点では、公式和訳版は公開されていないため、本サイトでは記事中の文章を分割して独自翻訳した。関連カードを交えてストーリーを並べると以下のようになる。

アーボーグの暴食、ヤーグル(Yargle, Glutton of Urborg)

機械兵団の進軍再録特別版イラスト
アーボーグの暴食、ヤーグル(Yargle, Glutton of Urborg)
データベースGathererより引用

悪魔のような蛙の精ヤーグルは初めてファイレクシア軍の突撃を受けた際、「なんて沢山の食べ物だろう、みんな食べられたがってるじゃあないか!」と喜色満面となった。彼は思ってもいなかったけれど、食べれば食べるほど危険なウイルス性のぎらつく油にさらされるのだ。しかし、それに気づいた何者かがいた。

記事原文(折り畳み表示)
When the demonic frog spirit Yargle first noticed the Phyrexians charging toward him, he was elated: so much food, all so eager to be eaten! What he didn’t realize was that the more he ate, the more he exposed himself to the dangerously virulent glistening oil. Someone else noticed, though:
墓場波、ムルドローサ(Muldrotha, the Gravetide)

ダブルマスターズ2022再録版
墓場波、ムルドローサ(Muldrotha, the Gravetide)
データベースGathererより引用

それがムルドローサ。アーボーグの精霊にして、マローの魔術師ムルタニの娘その人である。

記事原文(折り畳み表示)
Muldrotha, an Urborg elemental who was the daughter of the maro-sorcerer Multani.
ヤヴィマヤの化身、ムルタニ(Multani, Yavimaya's Avatar)

ヤヴィマヤの化身、ムルタニ(Multani, Yavimaya’s Avatar)
データベースGathererより引用

ヤーグルが突っ込みかけている危機を察知した彼女は、父ムルタニに助けを求めた。

記事原文(折り畳み表示)
Seeing the danger that Yargle was in, she sent a plea for assistance to her father.
ヤーグルとムルタニ(Yargle and Multani)

特別版イラストのヤーグルとムルタニ(Yargle and Multani)
データベースGathererより引用

ムルドローサに説得されたムルタニは、彼の能力と目下知りうるだけのファイレクシア知識を動員すると、自分自身とヤーグルを結合させてぎらつく油への抵抗力を高めたのである。

記事原文(折り畳み表示)
Muldrotha managed to persuade him, and Multani bound himself to Yargle, using his powers and existing knowledge of Phyrexia to grant increased resistance to glistening oil.

ヤーグルとムルタニ(Yargle and Multani)一部拡大図

当初は乗り気でなかったものの、ムルタニはヤーグルの飽くなき食欲に感銘を受けると共に、アーボーグの変わったやり方を改めて実感していた。

記事原文(折り畳み表示)
Though Multani had been initially reluctant to help, he found himself impressed by the insatiable nature of Yargle’s appetite and found himself with a new appreciation for Urborg’s strange ways.

以上、ヤーグルとムルタニのストーリー完結。

おまけ:アーボーグの暴食、ヤーグルの再録版

Consuming even a single drop of the oil would spell doom for most living things. But Yargle was not most living things, and he ate enough to clean up most of Urborg.
油を一滴でも飲み込んだら、ほとんどの生命は息絶える。しかし、ヤーグルは「ほとんどの生命」とは違った。自らアーボークの汚れをほとんど全て平らげた。
引用:アーボーグの暴食、ヤーグル(Yargle, Glutton of Urborg)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

アーボーグの暴食、ヤーグル(Yargle, Glutton of Urborg)

機械兵団の進軍再録特別版イラスト
アーボーグの暴食、ヤーグル(Yargle, Glutton of Urborg)
データベースGathererより引用

アーボーグの暴食、ヤーグル(Yargle, Glutton of Urborg)はカードセット「機械兵団の進軍」の特別な枠で再録されている。イラストとフレイバー・テキストは、新ファイレクシア侵略戦争時を描いた新規のものだ。

イラストでは、ヤーグルがファイレクシアンの肉をうまそうに食べている。まるで「カニの食べ放題」のようだ。

フレイバー・テキストの和訳製品版で「息絶える」と訳された「would spell doom」だが、この文脈では「破滅を迎える」の方がより状況に合っている。ぎらつく油に感染しても、「息絶える」わけではなくファイレクシア化してしまうのだからだ。

油を一滴でも飲み込んだら、ほとんどの生命は破滅を迎える。しかし、ヤーグルは「ほとんどの生命」とは違い、アーボーグの汚れをほとんど平らげてしまった。

こんな感じかと、訳し直してみた。



さいごに

ヤーグルとムルタニ(Yargle and Multani)一部拡大図

「機械兵団の進軍」で新ファイレクシアのストーリーアークがようやく終幕を迎えた。

個人的な意見。正直、新ファイレクシアの侵略物語には「ファイレクシア:完全なる統一」の頃にはもう目にするのも飽き飽きになって来ていた。相変わらず「機械兵団の進軍」でも、ストーリーの話数が少なすぎて物足りない、まるで打ち切りみたいな展開で終わってしまった。連載ストーリーの話数は全10話といつもの倍ではあったけれど、1話ごとの分量がむしろいつもよりコンパクトだった印象を受けた。

ストーリー執筆を担当した作家陣は、もっと話数と各話のワード数を与えてあげたら見違えるほどいい仕事ができたはずだ。プロットを説明するだけで手一杯で、本来の手腕を振るえるだけの場が無くて、私は読書している間、執筆陣が可哀想だった。

さて、ストーリーは不遇に終わったけれど、今回の異色コンビカードだったり、マイナー次元やキャラクターの再登場だったり、といったイベントはとても楽しく受け入れられている。

素材は悪くなかった。面白くできる余地はあったんだよな。

では、今回はここまで。

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