機械仕掛けの鳥(Clockwork Avian)はカードセット「アンティキティー」初出のアーティファクト・クリーチャー・カードである。
今回は兄弟戦争の空中戦で成果を上げたウルザとタウノスの合作兵器を紹介しよう。
機械仕掛けの鳥の解説
機械仕掛けの鳥(Clockwork Avian)は兄弟戦争期のアルガイヴ連合軍に所属する飛行生物型の自動機械だ。群体を成して行動し、1機の大きさは人間程度である。
ファラジ帝国の飛行型ドラゴン・エンジンに対抗する兵器として開発された。巨大なドラゴン・エンジンに対して飛行メカは小さいがより素早く、数で圧倒し、鋭いくちばしで外装に穴を穿ち、内部に潜り込んで爆発物を拡散して敵機を爆破することができた。ドラゴン・エンジンの噛みつきやブレス攻撃では、鳥メカを個別にしか破壊することしかできず、消耗戦に持ち込むと機械仕掛けの鳥に分があったのだ。
AR43年に実戦投入され、AR63年の終戦まで対飛行型ドラゴン・エンジン兵器として成果を上げた。
機械仕掛けの鳥のカード名とイラスト
カード名で「鳥」と訳された「Avian」は、「鳥類」という意味の他に「鳥に似た飛行生物」という広い意味合いでも用いられる言葉だ。イラストをよく観察すると、このアーティファクト・クリーチャーは「鳥」ではなく「翼竜」タイプだと気付ける。
つまり、このカードの「Avian」は正確には「鳥に似た飛行生物」すなわち翼竜タイプのメカだったのである。
イラストを担当したランディ・アスプルンド=フェイス(Randy Asplund-Faith)は、1997年日めくりカレンダーにおいて「ただの金属ドラゴンにしたくなかった。エドワード・シザーハンズ1とメカ翼竜2を組み合わせた本当に悪い態度の奴を考えて、機械仕掛けの鳥ができあがった。」との旨のコメントをしていた。
イラストの翼竜メカは鋭いくちばしに血で染まった布切れを挟み、後ろ足の鉤爪や尾の先も鮮血で赤くなっている。これはなぜか?地面を目を凝らして観察すると、2人の犠牲者が倒れているのが確認できるだろう。
機械仕掛けの鳥のストーリー
機械仕掛けの鳥は小説The Brothers’ Warに登場し、開発経緯から戦場での戦闘描写、そして成果までしっかりと語られている。
機械仕掛けの鳥はAR43年、タウノス(Tawnos)の発明を基にしてウルザ(Urza)が再設計して実戦投入した兵器だ。
当時、ファラジ帝国が新たに実用化した飛行型ドラゴン・エンジンが脅威となっていた。アルガイヴ連合軍の飛行戦力には有効打が無かったのだ。更に悪いことに、飛行型ドラゴン・エンジンは燃える液体のようなブレス攻撃まで装備すると、さしものウルザもお手上げ状態となった。
この時、ウルザには頼みの綱のタウノスが不在であった。トマクルの戦いにおいて行方不明になっており、戦死したものと思われていた。実際にはタウノスはファラジ帝国の捕虜としてトマクルで投獄されていたのだ。彼がアシュノッドの助けを得て脱獄するまでにおよそ1か月かかり、さらに連合軍の領域に帰還するまで大砂漠を踏破するだけの時を要したのである。
このタウノス不在期間中に、ウルザは息子のハービン(Harbin)と共に、タウノスの残した研究開発資料に目を通した。そして、ウルザの目にある発明品が留まった。ハービンが幼い時分にタウノスが贈った鳥の玩具であった。まさに天の恵み。ウルザはこれを解析して、単純で安価に生産できる機械仕掛けの鳥の群体を開発したのである。
急造兵器であったがタウノスの基本設計が優秀であったのだろう、機械仕掛けの鳥は飛行型ドラゴン・エンジンへの対抗策として成果を上げた。
トマクルから帰還してきたタウノス自身もこの機械の鳥の群れに危機を救われており、ドラゴン・エンジンと戦う様子を観察し、自分の発明品を発想元にしてウルザが開発したものだとすぐに見抜いたのだった。
こうして生み出された機械仕掛けの鳥は、AR63年の最終決戦まで飛行型ドラゴン・エンジンの対抗策として戦場で活躍したのである。
さいごに
前回のテトラバス(Tetravus)の記事の時に、この機械仕掛けの鳥とドラゴン・エンジンの関係を軽く説明したので、今回はもう少し詳しいストーリーを添えて紹介することにした。
カードセット「兄弟戦争」でファラジ帝国の飛行型ドラゴン・エンジンがカード化されたことで、ゲームでも空中戦を再現できるようになった。これは嬉しい。
ところが28年ものカード・デザインの歴史がカード・パワーの差となって圧し掛かってくる。原作ストーリーと違って、鳥メカよりドラゴン・エンジンの方が優秀だ。困った、ちょっと勝てない……。
では、今回はここまで。
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