カイラス・ニンの信奉者(Disciple of Caelus Nin)はカードセット「兄弟戦争」の統率者用の特別枠で収録されるクリーチャー・カードである。
今回は、26年前の小説Song of Timeから再登場した、時の神カイラス・ニンの信徒を取り上げる。
カイラス・ニンの信奉者の解説

カイラス・ニンの信奉者(Disciple of Caelus Nin)特別版公式カードギャラリーより引用
カイラス・ニンの信奉者(Disciple of Caelus Nin)はドミナリア次元テリシア、アルマーズ地方の時の神カイラス・ニンの信者である。
カイラス・ニンは1996年発行の小説Song of Timeでのみ言及された神であった。小説の冒頭2章分はアンティキティー戦争期のアルマーズを舞台としているため、カードセット「兄弟戦争」で26年振りに再登場させることが可能となったのだろう。古参ヴォーソスでも中々知る人の少ない神なのだが……。
MTGのゲーム・メカニズムでは、フェイジングは時間魔法を表現する伝統的な手法だ。カイラス・ニンの信奉者が、広範囲なフェイズ・アウトを行い、フェイズ・インを禁止する機能を持たされたデザインなのは、時の神の信者として理に適っている。
カイラス・ニンの日時計像

スミファ(Sumifa)は大陸南西に位置するTerisiare (1999)公式記事Dominarian Cartographyより引用
アルマーズ(Almaaz)の首都スミファ(Sumifa)の近隣にはカイラス・ニンの巨大な立像が建っており、時を司る神らしく、像自体が日時計として機能している。
スミファは兄弟戦争後期(AR55年頃)に大砂嵐で砂漠の底に沈んでしまったが、少なくともAR3050年頃までは、カイラス・ニンの日時計像は変わらぬ姿で立ち続けていた。

現在のスミファ(Sumifa)はアルマーズ(Almaaz)の島の南西にあるTerisiare | Art by Ethan Fleischer公式記事Dominarian Cartographyより引用
AR4562年現在、アルマーズの首都は古都より西に移転した新スミファ(New Sumifa)である。新スミファの再建はAR1350年に遡ると推定され、3000年以上の長い歴史を積み重ねてきた都だ。現在のスミファの状況は未だ詳しく語られていないものの、カイラス・ニンの日時計像は古代より変わらずそこにあり、アルマーズに時を告げているのかもしれない。
ニン教徒の変貌
かつてはカイラス・ニンの信者はスミファの歌魔道士団の同胞であった。しかし、カイラス・ニン信仰は氷河期の間に大きく変化した。
荒鷲ポロス(Poros the Raptor)はAR55年頃に呪いで人間の姿を失って以来、少なくとも3000年間、アルマーズ地方を裏から支配することになった姿なき悪しきジンだ。荒鷲の企みの1つは、自分がカイラス・ニンの顕現にならんと暗躍したことだった。
AR1050年頃にはカイラス・ニン信仰を乗っ取り、ニン教徒(The Ninnite)は荒鷲の手足となるカルトの暗殺集団に変貌した。ニン教徒に与えられた使命は、スミファの正統王族の血統と歌魔道士の後継者を狩り出し、根絶やしにすることだ。
小説Song of Timeの現在時間軸であるAR3050年頃のニン教徒はそのような存在だった。
さいごに
カイラス・ニンの信奉者(Disciple of Caelus Nin)を紹介した。
正直言うと、カードセット「兄弟戦争」では小説Song of Timeからもっと多くの引用がされると期待していた。
メジャーなスミファの歌魔道士(Songmage)は確実だと思っていたのだが、そちらはフレイバー・テキストで1回軽く触れただけで、まさかもっとドマイナーなカイラス・ニンを出されるとは流石に予想できなかった。これはこれで嬉しい驚きだ。
だけれど、伝説のキャラクターとして、悪の黒幕である荒鷲ポロス(Poros the Raptor)や歌魔道士の長、蒐集家サモル(Samor the Collector)、怪物コカトリスの時の獣(The Beast of the Hours)、時の鍵クロニクラーヴェイ(Chroniclave)などなどがカード化されて欲しかったんだよなぁ……。
では、今回はここまで。
カイラス・ニンの信奉者の関連記事
カードセット「兄弟戦争」の関連記事
