エルドレイン次元のアルコン(Archon)について解説する。
本記事では、カードセット「エルドレインの王権」とカードセット「エルドレインの森」の両方からアルコンに関連したストーリーや設定、カードをまとめている。
追記(2023年8月24日):カードセット「エルドレインの森」に収録される新たなアルコンを追加し、記事全体を微調整した。
追記(2023年8月25日):カードをもう1種類追加した。
追記(2023年9月12日):MTG30周年記念展示で公開された「エルドレインの森ワールドガイド」に基づいて、アルコンという種族の解説に一部手を加えた。
エルドレインのアルコンの解説
エルドレイン次元のアルコンも他の次元と同様のMTGらしい特徴を備えている。
カード化されているアルコンは3種類で、それに小説「Throne of Eldraine: The Wildered Quest」での描写を加味すると、エルドレインのアルコンは顔の見えない人型をしており、立派な大鹿のような飛行クリーチャーに騎乗している。この騎乗生物は、大きな鳥のような翼を持ち、頭からは複雑に枝分かれした角が生えている。
エルドレインの森ワールドガイドによると、乗り手と軌条生物の1組で1体のアルコンという存在を成している。また近年、アルコンが数多く目撃されており、これがフェイの王タリオンの帰還の前兆(omen)だという者もいたとのことだ。
スペクター
MTGの「スペクター(Specter)」はアルコンと対称的な存在である。スペクターが黒の属性を体現していることを除けば、アルコンとの共通点が驚くほど多い。詳細はこちらの記事を参照。
エルドレインの天使
カードと小説の情報によると、エルドレイン次元で「天使(Angel)」の存在が確認できない(存在しないとまではまだ言い切れない)。仮定の話だが、一般的な次元での天使の役割は、エルドレインでは白のフェアリーの一部とアルコンが担っているのではなかろうか。
エルドレインのアルコン関連カード
カードセット「エルドレインの王権」とカードセット「エルドレインの森」に収録されているアルコン関連カードをまとめた。
カードセット「エルドレインの王権」にはカード化されたアルコンが2種類収録されている。カードセット「エルドレインの森」にはアルコン1種類と関連カード1種類だ。
赦免のアルコン
赦免のアルコン(Archon of Absolution)はカードセット「エルドレインの王権」に収録されているアルコン・クリーチャー・カードである。
イラストを見ると、赦免のアルコンは大鹿の枝角のような武器を携えている。
調和のアルコン
First among equals.
全ての上に立つもの。
引用:調和のアルコン(Harmonious Archon)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
調和のアルコン(Harmonious Archon)はカードセット「エルドレインの王権」に収録されているアルコン・クリーチャー・カードである。
フレイバー・テキストの英語原文「First among equals.」とは、ラテン語の「primus inter pares」の翻訳に当たるお決まりの表現。横並びの集団において唯一上に立つ存在くらいの意味合いがある。
カードメカニズムでは、このフレイバー・テキストの通りに他すべてのクリーチャーは平等に3/3になり、この調和のアルコンだけが全ての者を超越した存在となるのだ。
野薔薇のアルコン
The curse of Redtooth Keep could only be broken by a mystical rose that blooms in moonlight.
赤歯砦の呪いは、月明かりに咲く神秘的な薔薇でのみ解くことができる。
引用:野薔薇のアルコン(Archon of the Wild Rose)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
野薔薇のアルコン(Archon of the Wild Rose)は、カードセット「エルドレインの森」で収録された、新たなアルコン・クリーチャー・カードである。
カード名、イラスト、フレイバー・テキストにおいて、このアルコンは赤い薔薇と深い関係があると示されている。
「エルドレインの森」の緑白には「美女と野獣」モチーフのカードが複数収録されているが、この野薔薇のアルコンもそこに含まれる。赤歯砦(Redtooth Keep)のエルフは人狐の呪いをかけられており、騎士が愛と共に捧げた薔薇の力で呪いを解くという筋書きだ。前者の人狐エルフが「野獣」、後者の騎士が「美女」の役回りということになる。
野薔薇のアルコンは、人狐エルフの呪いを解ける神秘の薔薇と深い関りを持たされた存在なのである。
アルコンの栄光
A winged dawn dispels the terrors of night.
翼の暁が、闇夜の恐怖を払拭するのだ。
引用:アルコンの栄光(Archon’s Glory)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
アルコンの栄光(Archon’s Glory)は、カードセット「エルドレインの森」で収録されたインスタント・カードである。
小説のアルコン
※ネタバレ※になる記述なので、小説を読む体験を損なう可能性があります。
テキストは折り畳まれています。表示する際には注意してください。
※ 2019年10月14日時点ではここまで明日以降に考察を加筆予定。→以下10月23日に追記。
翻訳について
最後に「Archon」の和訳についての誤りについて解説する。
MTGでは「Archon」には2つの公式訳がある。「アルコン」と「執政官」だ。結論を先に言っておくと、本サイトでは「アルコン」が正しく、「執政官」は誤りと考えている。
まず、英語の「Archon」の語源はギリシア語で「統治者」「支配者」といった意味合い(出典)。辞書的には「統治者」「支配者」の他に、ある種の超自然的な存在を指して用いられる言葉である。
こういう意味の単語であるためか、MTGの公式和訳では最初は役職として解釈して「執政官」と翻訳されていて、もうすでに定訳化してしまっている。エルドレインの王権現時点では、クリーチャー・タイプとしては「執政官」が定訳。カード名では「執政官」が大多数で、まれに「アルコン」と訳されている。
「執政官」とは「政治を取り仕切る者」という意味なので、設定的に明らかに間違いだが、競技ゲーム的には(残念ながら)問題がない。だからおそらくは、変更すると印刷されたカードとの食い違いが生じ競技的にはむしろ混乱が増えるために、クリーチャー・タイプとしては「執政官」という訳語が変更されることはないだろう。
まだ幸いなことに、エルドレインの王権では、少なくともカード名は「アルコン」とより正しい翻訳になっている。今後のカード名でも「アルコン」のまま継続して訳されることを期待したいものだ1。
本サイトは、競技ゲーム的側面よりも、MTGの背景世界や設定を重視している。したがって、この種のクリーチャーは「アルコン」と呼称する(極力「執政官」訳は用いない)。
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