ヴィーアシーノの飛脚(Viashino Runner)はカードセット「ウルザズ・サーガ」に収録されたクリーチャー・カード。
ヴィーアシーノの飛脚の解説
ヴィーアシーノの飛脚(Viashino Runner)は、カード・メカニズム的には「2体以上のクリーチャーによってしかブロックされない」という回避能力(「威迫」)を持つだけの、4マナで3/2の、取るに足らない赤のクリーチャー・カードである。シヴのヴィーアシーノとゴブリンが対立していた時代を表しているカードの1つでもある。ちょこまか動きやがってさ、刺し止めてやろうとしたのにさ、あたしの頭を飛び越えてさ、どっかに消えちまったんだ。
–ゴブリンの略奪者ジュラ
引用して私家訳:ヴィーアシーノの飛脚(Viashino Runner)のフレイバー・テキスト
イラストに目を向けてみると、岩山の上のゴブリンの射手を尻目に、身軽なヴィーアシーノが岩場を駆け下りていく姿が描かれている。「威迫」持ちだからゴブリン1人では止められない、というメカニズムとの合致が心地よい。
フレイバー・テキストでも同様で、ゴブリンの略奪者ジュラがヴィーアシーノの素早い動きにあっちへこっちにと翻弄されて、「I could stick it」してやろうとする前に、頭上を飛び越えられて姿を見失ってしまう様子が書かれている。あえて「I could stick it」と英語のままで書いたけれど、これはもしかしてフレイバー・テキストがイラストと対応しているんじゃないか、という可能性。つまり、「ジュラは弓で矢を突き刺して動きを止めてやろう」としていた、という解釈が成り立つんじゃないだろうか?(詳細後述)
ヴィーアシーノの飛脚のフレイバー・テキスト
“It moved this way, an’ that way, an’ then before I could stick it, it jumped over my head an’ was gone.”
–Jula, goblin raider
引用:ヴィーアシーノの飛脚(Viashino Runner)のフレイバー・テキスト英語原文
ヴィーアシーノの飛脚(Viashino Runner)は「ウルザズ・サーガ」と「基本セット第10版」の2回収録されている。英語原文ではフレイバー・テキストは2回とも同じ文であるが、和訳製品版では翻訳が変わっている。
「I could stick it」の部分に注目。「stick」は「(尖ったもので・を)突き刺す」「(ノリや接着剤などで)貼る」といった意味があって、「画鋲などを刺して止める」ときにも使われるのでその辺から「貼る」とかの意味合いが出てきたのだろう。上で書いたけれど、イラストのゴブリンは弓矢を持っているから、「相手を矢で射抜いて動きを止める」という意味合いで「sitck it」は十分に説得力を持っていると思えるが、いかがだろうか。
以下では、製品版での和訳フレイバー・テキストと、私の個人的な感想などを書いている。
ウルザズ・サーガ和訳製品版フレイバー・テキスト
そいつはあっちの方へ行って、そいからこっちの方へ行って、そいであたしが突っつこうとしたら頭の上を飛び越えてって、そいで見えなくなっちゃったのよ。
–ゴブリンの略奪者ジューラ
引用:ウルザズ・サーガ和訳製品版のフレイバー・テキスト
原文の「an’」の繰り返しを「そいつは…行って」「そいから…行って」「そいで…てって」「そいで…ちゃった」と韻を踏んでいるし、動きに翻弄されてわたわたしてる感じが出てるのがいい。上手いと思う。ただ、言葉が増えて文量が嵩増しになったせいで、言ってることがスッと入ってこない感じがする。
基本セット第10版和訳製品版フレイバー・テキスト
こっちいって、あっちいって、飛びつこうと思ったら、その前に頭を飛び越えられてどっかいった。
–ゴブリンの略奪者ジュラ
引用:基本セット第10版和訳製品版のフレイバー・テキスト
言葉のテンポよく訳されてて雰囲気はいい感じ。だけれど、主語を省略していることで2通りの見方が出来て誤読可能性が上がっているのがよくない。かなりよくない。それに「飛びつこう」という意味合いは、「stick」を「貼りついて相手の動きを止める」と解釈したのだろうか、私は違うと思う。
主語の省略によって生じた2通りの見方というのは次のようなこと。
(私は)こっちいって、あっちいって、飛びつこうと思ったら、
見方その2:相手が私を翻弄し、私は相手に飛びつこうとした
(相手は)こっちいって、あっちいって、(私は)飛びつこうと思ったら、
正しいのはもちろん見方その2の方だけ。見方その1でも「身軽さ勝負で相手の方が上手だった」という意味で文全体が通ってしまうのが問題。悪文だ。
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