星界の騙し屋、ティボルト(Tibalt, Cosmic Impostor)はカードセット「カルドハイム」収録のプレインズウォーカー・カードである。
ティボルトはカルドハイムではメインの悪役としてイキイキと活動している。これまで脇役扱いが多かったティボルトには驚きの好待遇である。カルドハイムのストーリー連載はいまだ途中で全貌が見えないが、現時点でのティボルトの輝かしき躍進を軽くまとめてみた。(後々に記述を足していく予定)
星界の騙し屋、ティボルトの解説
星界の騙し屋、ティボルト(Tibalt, Cosmic Impostor)はティボルトの3度目1のカード化になる。
イニストラード次元出身の人間男性であったが自身の魂とデビルの魂を融合させている。生き物が受ける苦痛にあくなき興味を持つ嗜虐嗜好の狂人である。
今回のティボルトは両面カードのプレインズウォーカーとして登場した。表面が伝説の神クリーチャーの嘘の神、ヴァルキー(Valki, God of Lies)で、星界の騙し屋、ティボルトは裏面になる。
このカードがプレビューされた時、ヴァルキーとティボルトが両面カードになっているが、2人の関係は一体どういうことになっているのか?様々な憶測を呼んで話題になっていた。それから少し経ってカルドハイムの連載ストーリーが語られると、連載第2話でティボルトがヴァルキーの姿に変身していることが判明した。さらに第3話ではティボルト視点でのカルドハイムにおけるこれまでの行動と目的が語られることになった。この第3話はその名も「ティボルトの英雄譚」で、ティボルト主観描写による語り口が面白く、大いにファンの中で盛り上がっていた。
嘘の神すら欺くデビルマン、ティボルトの伝説がいよいよ始まった感がある。今回運よく生き残れれば、多元宇宙の大物悪役の地位を確立できそうだ…。
嘘の神、ヴァルキー
嘘の神、ヴァルキー(Valki, God of Lies)はティボルトのカード表面である。
ヴァルキーはカルドハイムの神々であるスコーティ神族の男性で、嘘と欺きのトリックスターである。悪辣かつ身勝手な性格で次々とトラブルを引き起こす厄介者だ。
カードセット「カルドハイム」開始時点で、ヴァルキーはティボルトによってカーフェル領界に幽閉されてしまっている。ストーリー上で登場しているヴァルキーはティボルトが化けた偽者なのだ。
ティボルトとヴァルキーのイラスト違いカード
今回のティボルト(とヴァルキー)には2パターンのイラスト違いの特別版が用意されている。
イラスト違いパターンA
イラスト違いパターンB
星界の騙し屋、ティボルトのストーリー
カルドハイムのティボルトはメインストーリーで表立って行動する悪役である。「注目のストーリーカード」に指定された各種カードの多くがティボルト本人か、彼の行動が関与したカードであることが分かる。
これまでのティボルト
カードセット「カルドハイム」のティボルトは、灯争大戦の後日談小説とチャンドラが主役のコミックシリーズが終了した後である。
つまり、これまでのティボルトの動向はというと…。
まず灯争大戦に参戦してラヴニカ次元での激戦の1日を生き残った。次に、敗走したテゼレットの前に現れてボーラスの死を告げた。テゼレットの苦しむ姿を堪能しようとしたのだが逆に喜んだ様子になってしまったので、ティボルトは当てが外れてどこかに立ち去った。その次は、ギデオンの喪失で苦しむチャンドラを標的に選び、彼女につきまとって母親を誘拐するなどした。チャンドラの心をいたぶって楽しんだものの、結局は打ち負かされてイニストラード次元で拘束されてしまった。
今回のティボルトはイニストラードからどのようにしてか脱走して、カルドハイム次元に来たことになる。
ティボルトはカルドハイムでの暗躍にはすでに数か月を費やしている。コミックからさらに数か月も経過したと考えることができるものの、灯争大戦以前からカルドハイムに関わっていた可能性も十分あるだろう。どちらにしても、カルドハイム現在は灯争大戦から最大で数か月後であり、まだ1年までは経過していないと思われる。
巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス
巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス(Vorinclex, Monstrous Raider)は新ファイレクシア次元出身の緑派閥の指導者「法務官」の地位にあるファイレクシアンである。
ティボルトがカルドハイムで暗躍を始めた後のどこかのタイミングで、「獣」に襲われて「種」と呼ばれる毒を注入された。「獣」はカルドハイム次元に動乱を招くように指示し、その見返りに「種」の除去を約束したという。連載ストーリー第3話時点では明言されてはいないものの、ティボルトに毒を注入しカルドハイム動乱を命じた「獣」とはこのヴォリンクレックスにまず間違いない。
ヴォリンクレックスがどのような手段で次元移動してカルドハイム次元に出現したのかはいまだ不明である。
氷縛りの柱
氷縛りの柱(Icebind Pillar)は柱に鎖で縛られ氷漬けにされた嘘の神ヴァルキーが描かれている。
ティボルトは嘘の神ヴァルキーを騙し魔法の鎖で拘束した。領界で最も寒冷な(とティボルトがみなす)カーフェル領界にヴァルキーを運び、カーフェルのアンデッド王ナーフィと共謀して氷河王宮にある迷宮2へとヴァルキーを幽閉してしまった。
こうしてティボルトはヴァルキーの姿に変身して、カルドハイム次元中で暗躍を始める。カルドハイムで知られた神の名と姿はティボルトの仕事に好都合であったのだ。
タイライト剣の鍛錬
タイライト剣の鍛錬(Forging the Tyrite Sword)は注目のストーリーカードの1枚だ。
タイライト(Tyrite)とは世界樹の樹液が硬化したもので、高い魔力を宿している。神々でなければ安全に取り扱うことは難しい。
鍛冶場主、コル(Koll, the Forgemaster)は全ドワーフ中で最高の鍛冶師である。タイライトを扱って鍛冶を行える唯一の人物であり、戦神ハルヴァールに捧げる領界の剣(Sword of the Realms)を鍛造した。
領界の剣
領界の剣(Sword of the Realms)はガラスのような刀身を持ち、領界同士を繋げる力を有する魔法の剣だ。
悪戯の神の強奪
悪戯の神の強奪(The Trickster-God’s Heist)は注目のストーリーカードの1枚だ。
ヴァルキーに変身したティボルトが、鍛冶場主、コル(Koll, the Forgemaster)の手から剣を強奪する物語が描かれている。ヴァルキーの姿でコルに近付き領界の剣を渡すように迫るが、どうしても従わないコルを殺害して剣を手に入れた。
領界路の開放
領界路の開放(Open the Omenpaths)は注目のストーリーカードの1枚だ。
このカードでは剣を振るって領界同士をつなぐ道を開くティボルトが描かれている。
カルドハイム次元の10ある領界は互いに隔てられているが、たとえ次元移動ができるプレインズウォーカーであっても、容易く領界から領界へとプレインズウォークすることができない。領界の剣は領界間を股にかけて暗躍するティボルトにはまさにおあつらえ向きの秘宝であったのだ。
ヘラルド王の復讐
スケムファーはエルフが支配する領界である。ヴァルキーに変装したティボルトはスケムファーのエルフ王ヘラルドに数々の虚言を弄して、現在のカルドハイムの神族であるスコーティに対する反抗心を扇動してのけた。かつてエルフはアイニール神族としてカルドハイムの神々の座にあったが、スコーティ神族の下剋上によって神の座を奪われたのだ。
ヘラルド王の復讐(King Harald’s Revenge)は注目のストーリーカードの1枚だ。
このカードでは、スコーティからアイニールの栄光と神の座を取り戻すと誓うヘラルド王が描かれている。
タイヴァー・ケルの追跡
ヘラルドの弟タイヴァー・ケル(Tyvar Kell)はヴァルキーの痕跡を追う。偉大な兄王を唆した嘘の神に違和感を覚えていた。
タイヴァーには領界を越えて移動する魔法があり、エルフのスケムファー領界からトロールのノットヴォルド領界へと到着した。そこでプレインズウォーカーのケイヤ(Kaya)に出会う。ケイヤはヴァルキーがティボルトの変装であったことを暴いたのだった。
ティボルトは悪魔の支配するイマースターム領界に逃亡したが、そこで追跡者たちがやってくるのを手ぐすね引いて待ち構えている…。
騙し屋の崩落
騙し屋の崩落(Fall of the Impostor)は注目のストーリーカードの1枚だ。
現時点では連載ストーリーで語られていない物語が描かれている。世界樹を登る2人のプレインズウォーカー、ケイヤとタイヴァー・ケルが中央にいる。下方を見ると、墜ちていくティボルトの姿があり、悪玉の彼はここで倒される運命にあると思われる。
ケイヤとタイヴァー・ケルの上る世界樹の先には、ヴォリンクレックスに似た意匠が描かれている。ティボルトの背後には新ファイレクシアの執政官が控えているようである。
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前回カード化された無頼な扇動者、ティボルトの記事
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- 原文は「dungeon of this King Narfi’s glacial palace」だが公式和訳では「ナーフィ王の宮廷の地下牢」となっている。イラストは明らかに空が見えており地下ではないため「地下牢」では不適切であろう