エルドレイン:魔法使いの弟子

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カードセット「エルドレインの王権」とカードセット「エルドレインの森」の「魔法使いの弟子」モチーフのカードをまとめた。

追記(2023年9月19日):煮えたぎるバイパーのショーケース・フレーム版が抜けていたため追加した。

追記(2023年9月27日):公式記事Ten Stories Tallにおいて10種類のアーキタイプの簡単なストーリー解説が行われた。「魔法使いの弟子」アーキタイプには、「ワールドガイド」から大きな変更点があり、師匠の魔法使いの正体がガドウィック(Gadwick)だったことになり、ジョハンが塔で1人になる理由も童話「魔法使いの弟子」の方に寄せたものに挿げ替えられていた。また、ジョハンの物語の流れも大筋が明かされていたため、記事全体に大きく手を入れることができた。

追記(2023年10月14日):カードセット「アルケミー:エルドレイン」の公式カードギャラリーが公開されたため、艱難辛苦の弟子(Accident-Prone Apprentice)を本記事に追加した。

魔法使いの弟子の解説

エルドレイン版「魔法使いの弟子」のジョハン

エルドレイン次元は騎士とおとぎ話をイメージした世界だ。その中には、「魔法使いの弟子(英題:The Sorcerer’s Apprentice)」を基にしたカード群が存在している。

「魔法使いの弟子」モチーフのカードは、最初のカードセット「エルドレインの王権」ではごく少数にとどまっていた(直接的に関連性があるカードは1種類のみ)。

ところが、カードセット「エルドレインの森」では事情が変わった。「魔法使いの弟子」は青赤のアーキタイプとして定められ、多くの関連カードが収録されている。



「魔法使いの弟子」の原作ストーリー概略

老魔法使いが弟子に雑用を言いつけて出掛けた。

弟子は、ほうきに魔法をかけて水汲み仕事をやらせるが、ほうきを止めるやり方はまだ知らなかった。ほうきは水を運び続け一面水浸しになってしまったため、弟子はほうきを叩き割った。ところが、ほうきの破片は新たなほうきとなってさらに水を汲む速度は増してしまう。

手が付けられず洪水のような有様になったところで、魔法使いが戻って来てほうきの魔法を解除し、弟子は叱られるのだった。

「エルドレインの王権」の「魔法使いの弟子」

カードセット「エルドレインの王権」における「魔法使いの弟子」関連カードを紹介する。

ただし、このセット内では特に連続したストーリーを持たされているわけではなく、モチーフの中に「魔法使いの弟子」を据えたデザインだというだけであった。

呪術師のほうき

“Reynald wished for an army to sweep away his enemies. The fae king smiled.”
–Beyond the Great Henge
「レイナルドは敵を一掃する軍隊が欲しいと言った。フェイの王は笑みを浮かべた。」
–グレートヘンジを超えて
引用:呪術師のほうき(Sorcerer’s Broom)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

呪術師のほうき(Sorcerer's Broom)

呪術師のほうき(Sorcerer’s Broom)
データベースGathererより引用

呪術師のほうき(Sorcerer’s Broom)カードセット「エルドレインの王権」に収録されたアーティファクト・クリーチャー・カードである。

明らかに「魔法使いの弟子」の「魔法のほうき」をモチーフにしたカードである。自分で動ける魔法のほうきであり、数を増やす能力を持っている。カード名で「呪術師」と和訳されているものの、原語は「Sorcerer」なので「魔法使いの弟子(The Sorcerer’s Apprentice)」の魔法使いと同じだ。

一方、フレイバー・テキストは「魔法使いの弟子」とは関係ない言葉遊びとなっている。レイナルドが敵を一掃する軍隊を願ったところ、フェイの王は笑みを浮かべた。その理由は、「一掃する(sweep away)」の「sweep」は「掃除する」「(ほうきで)掃く」という意味を含む言葉なので、この数が増える魔法のほうきでもって、文字通り敵を掃除してしまえばいいと考えたのである。

圧倒される弟子

圧倒される弟子(Overwhelmed Apprentice)

圧倒される弟子(Overwhelmed Apprentice)
データベースGathererより引用

圧倒される弟子(Overwhelmed Apprentice)カードセット「エルドレインの王権」に収録されたクリーチャー・カードである。ヴァントレスの魔術師見習いだ。

これは「魔法使いの弟子」モチーフとは限らない。とはいえ、「エルドレインの王権」において、未熟な魔法使いの弟子要素を満たすカードではあった。

以上で、カードセット「エルドレインの王権」の分は終わりだ。

次が本命のカードセット「エルドレインの森」になる。

「エルドレインの森」の「魔法使いの弟子」

カードセット「エルドレインの森」では、「魔法使いの弟子」は青赤のアーキタイプのモチーフとなっている。

主役の魔法使いの弟子役は伝説のクリーチャー・カードのジョハン(Johann)が務めており、英雄譚カードの見習いの愚行(The Apprentice’s Folly)という直接的に物語を表現したカードをはじめとして、数々の関連カードが収録されている。

ジョハンの物語をまとめるにあたって

エルドレイン版「魔法使いの弟子」のストーリーや背景設定は、各種カードで散見されるほか、MTGアリーナの豆知識においてもう少し詳しく説明されてはいる。しかし、2023年9月10日現時点ではまとまった解説は公式サイトでもされてはいない状況にある。正直に言って、分からないことだらけなのだ。

ただし1つの救いがあった。

日本の渋谷では、MTG30周年記念展示が2023年9月1日から9月10日まで開催され、「エルドレインの森ワールドガイド」という設定資料が世界初の限定公開されていた(もちろん撮影禁止。メモは可)。1この資料において、未公開のエルドレイン版「魔法使いの弟子」の背景設定が詳細に記載されていたのである。

ワールドガイドには、エルドレインの森版「魔法使いの弟子」での主人公や塔の来歴、正体不明の師匠の魔法使い、どうして物語が始まったか、までは書かれている。

しかし、個別のどのカードがストーリー上でどういう役割や関わり合いをどの順にしたのか、あるいは、物語の結末がどうなったのか、というところまでは触れていないのだ。(従来ならそれを語るのがストーリー短編なのだが、ウィザーズは今回はその枠を設けなかった。)

本記事は、当初はこの「ワールドガイド」の情報に基づいてエルドレインの森版「魔法使いの弟子」を解説していたものだ。

しかし、2023年9月25日(北米時間)に、公式記事Ten Stories Tallが公開されて10種類のアーキタイプの簡単なストーリー解説が行われ、「魔法使いの弟子」には大幅な設定変更あるいは新たな設定が加わっていた。また、この記事によってストーリーの大まかな流れと結末まで見通せるようになった。現在の本記事はこうした変更や新情報を反映させた再編集版である。

それでは、エルドレインの森版「魔法使いの弟子」アーキタイプの設定と物語を解説しよう。

カーヴェリンの塔と魔法使い

眠らずの尖塔(Restless Spire)

眠らずの尖塔(Restless Spire)
データベースGathererより引用

カーヴェリン(Caervelin)は、エルフが建造した古代の塔である。

現在の塔には、強大で謎めいた男性の魔法使い2が住んでいる。かつてヴァントレスの大魔道士だったと言われる人物だ。なんとその正体は、現役のヴァントレスの指導者ガドウィック(Gadwick)その人であった。

老いたる者、ガドウィック(Gadwick, the Wizened)

老いたる者、ガドウィック(Gadwick, the Wizened)
データベースGathererより引用

カーヴェリンでは、複雑なエンチャントが召使いや番兵の代わりとなるが、経験豊富な魔道士でなければ、それらを全て正常に機能させることなどできやしない。それに、かの魔法使いであってさえ、塔の上部にある秘密の各階層にはアクセスできないと噂されている。

カーヴェリンの魔法使いは10年に一度境界地の共同体から弟子を迎え入れてきた。

魔法使いの弟子ジョハンの物語

見習い魔術師、ジョハン(Johann, Apprentice Sorcerer)

見習い魔術師、ジョハン(Johann, Apprentice Sorcerer)
データベースGathererより引用

ジョハン(Johann)は初級魔術のコツを掴んだだけの落ち着きがない村の少年だったが、めでたくカーヴェリンの魔法使いの弟子に選ばれた。

弟子入りは新ファイレクシア侵略戦争が勃発する前のことで、ジョハンはそれからの1年間は塔に籠りきりで、外界での出来事を全く知らない。ジョハンが塔で暮らしている間に、外の世界には侵略戦争の戦火が広がり、終戦を迎えてもエルドレイン中に忌まわしき眠りの呪いが拡散していったのであった。

ジョハンの師匠ガドウィックはカーヴェリンの塔から外出中に、忌まわしき眠りによる目覚めぬ眠りに捕らわれてしまった。こうしてジョハンは主の帰らぬ古代の魔法の塔に独りきりとなった。

見習いの愚行(The Apprentice's Folly)

見習いの愚行(The Apprentice’s Folly)
データベースGathererより引用

師匠の導きを失ったジョハンは、不注意にも塔の制御を試みて失敗し、魔法のエレメンタルによる大混乱を引き起こしてしまう。

ジョハンの一時凌ぎ(Johann's Stopgap)

ジョハンの一時凌ぎ(Johann’s Stopgap)
データベースGathererより引用

ジョハンはどうにか元に戻そうと必死になっているのだが……無事に事態を収拾することができるのだろうか?

塔の点火(Torch the Tower)

塔の点火(Torch the Tower)
データベースGathererより引用

ジョハンはあれやこれやと手を出すものの、やればやるほどに事態はますます混迷を深めていった。

水の翼(Water Wings)

水の翼(Water Wings)
データベースGathererより引用

万策尽きたジョハンは、エレメンタルの混沌から逃れようと、窓から外へと飛び出した。

衝撃の震え(Impact Tremors)

衝撃の震え(Impact Tremors)
データベースGathererより引用

そうして、ジョハンはカーヴェリンがエレメンタルの炎に焼かれていくのを眺めるほかなかったのである。



ジョハンの物語に関連するカード

カードセット「エルドレインの森」から、ジョハンの物語に関連のあるカードを1種類ずつピックアップして紹介する。

見習い魔術師、ジョハン

“Okay. First I’ll calm the elementals. Then I’ll put out the fire. Then I’ll unflood the basement. Then I’ll do the chores myself.”
「よし、まずはエレメンタルを鎮めよう。その後に、火を消す。そうしたら、地下室の水を抜いて、雑用は僕が自分でやる。」
引用:見習い魔術師、ジョハン(Johann, Apprentice Sorcerer)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

見習い魔術師、ジョハン(Johann, Apprentice Sorcerer)

見習い魔術師、ジョハン(Johann, Apprentice Sorcerer)
データベースGathererより引用

見習い魔術師、ジョハン(Johann, Apprentice Sorcerer)はカードセット「エルドレインの森」に収録された伝説のクリーチャー・カードである。

ジョハンがエルドレイン版「魔法使いの弟子」の主人公役だ。カード名で「見習い魔術師」と訳された「Apprentice Sorcerer」は、「魔法使いの弟子」の英題「The Sorcerer’s Apprentice」と(語順は違うが)ピタリと合致している。

ちなみに「魔法使いの弟子」の大元は、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)の詩である。これが音楽や映画やその他になったのだ。ここでゲーテの名前をよく見ると、「Johann」とある。おそらくこれが、エルドレインの「ジョハン」の命名由来であろう。

トリビア:ジョハンとヨハン

ヨハン(Johan)

ヨハン(Johan)
データベースGathererより引用

MTGには「ジョハン(Johann)」と綴りがほぼ同一の「ヨハン(Johan)」というキャラクターがいる(「n」の数の違いだけ)。ヨハンはカードセット「レジェンド」初出なのでMTG最初期のカードだ(ちなみに1200年も昔のドミナリア次元の魔術師)。

和訳名は「ジョハン」と「ヨハン」で間違えはしないだろうが、実は英語圏ではどちらも同じように読める名前で発音には差がない。つまり、「ジョハン」とも「ヨハン」とも読める。

「レジェンド」の多くの伝説キャラたちは、カードセット「団結のドミナリア」でリデザインされた新カードになったが、このヨハンはその機会を逃している。もしかすると、エルドレインの新キャラでジョハンが登場する予定があったから、名前かぶりをするヨハンが外されたんじゃないだろうか?

老いたる者、ガドウィック

His name is spoken only in whispers—but he hears just the same.
その名は囁き声でのみ口にのぼる。しかしその耳にはそのまま届いている。
引用:老いたる者、ガドウィック(Gadwick, the Wizened)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

老いたる者、ガドウィック(Gadwick, the Wizened)

老いたる者、ガドウィック(Gadwick, the Wizened)
データベースGathererより引用

老いたる者、ガドウィック(Gadwick, the Wizened)カードセット「エルドレインの王権」に収録された伝説のクリーチャー・カードである。

「エルドレインの森ワールドガイド」の時点では、ジョハンの師匠であるカーヴェリンの魔法使いは正体不明の人物であった。ところが、公式記事Ten Stories Tallにおいて、正体はガドウィックだったことになったのだ。

ガドウィックは王国の宮廷の1つ、ヴァントレス(Vantress)の(実質的)指導者の地位に就いている老魔術師である。人間男性。

カーヴェリンの塔の主という新設定が加わったことで、ガドウィックはヴァントレス宮廷を統治しつつ、10年ごとにカーヴェリンの塔で弟子を迎え入れて育てているという多忙な二重生活をしていることになったのだ。

ジョハンが塔で1人なった理由の変更

「ワールドガイド」と公式記事Ten Stories Tallでは、ジョハンが塔で1人になる理由が異なっている。

「ワールドガイド」では、カーヴェリンの魔法使いは忌まわしき眠りの呪いによって目覚めぬ眠りに落ちてしまったと記されていた。

一方、公式記事Ten Stories Tallでは、ガドウィックが謎の魔術師の仕事でカーヴェリンを離れたことがきっかけで、ジョハンが塔のメカニズムを制御しようとして失敗する、と全く異なる状況が書かれている。

両ソース間の齟齬は、解釈を工夫すれば上手くつじつま合わせできる。つまり、ガドウィックがカーヴェリンの塔を離れた後に、忌まわしき眠りに囚われたとすればいいのだ。

ちなみに、外出の理由は「謎の魔術師の仕事」となってるが、ガドウィックの地位から考えてヴァントレス宮廷での政務であるか、侵略戦争や忌まわしき眠りに関わる仕事であったと考えておくのが妥当な線だろう。

眠らずの尖塔

眠らずの尖塔(Restless Spire)

眠らずの尖塔(Restless Spire)
データベースGathererより引用

眠らずの尖塔(Restless Spire)はカードセット「エルドレインの森」に収録された土地カードである。

このカードはカーヴェリンの塔をカードとして表現したものだ。イラストでは、ジョハンがきっかけで暴れる赤と青のエレメンタルが塔を中心にらせんを描いている。このエレメンタルがクリーチャー化するメカニズムの正体だ。

眠らずの尖塔(Restless Spire)

特別版イラスの眠らずの尖塔(Restless Spire)
データベースGathererより引用

特別版イラストの方では、カーヴェリンの塔がエレメンタルによって崩壊しかかっている。古代エルフの遺産である魔法の塔カーヴェリンは、こうして失われてしまったのだろうか?

メモ:カーヴェリンはヴェリンの砦?
「Caervelin」を2つに分解して考えたところ、「caer」はウェールズ語では「砦」なのだが、「velin」の方にしっくりするものが見つからなかった。

ここでウェールズの街カーマーゼンに注目してみる。カーマーゼンはウェールズ語で「Caerfyrddin(カエルヴァルジン)」と表記し、その語源が「caer(砦)」+「Myrddin(マルジン:魔術師マーリンに相当する人物)」だと主張する説があるのだ(語源の説は他にもある)。

もしこの説に応じて命名されたとしたら、「Caervelin」は「ヴェリンの砦」という意味合いで、「カエルヴェリン」と発音するのかもしれない。ヴェリンはエルフの名か、それとも、現在の主の名か

1つの可能性としてここに書き残しておく。

見習いの愚行

見習いの愚行(The Apprentice's Folly)

見習いの愚行(The Apprentice’s Folly)
データベースGathererより引用

見習いの愚行(The Apprentice’s Folly)はカードセット「エルドレインの森」に収録された英雄譚エンチャント・カードである。

魔法使いの弟子ジョハンの物語を英雄譚カードとして表したものだ。

カードのメカニズムを見ると、まずはトークンを生み出しており、これはイラストにもある魔法のエレメンタルたちなどを表したものだろう。そして、英雄譚の最終章では、せっかく生み出したものが全てなくなってしまう。これは、万事元通りというハッピーエンドなのか、それとも、何もなくなるという悲惨な結末なのか、どちらを暗示しているのだろう。

ジョハンの一時凌ぎ

“Just . . . stay in there . . . for one . . . second!”
「そこで……じっと……していろ……一秒でいいから!」
引用:ジョハンの一時凌ぎ(Johann’s Stopgap)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

ジョハンの一時凌ぎ(Johann's Stopgap)

ジョハンの一時凌ぎ(Johann’s Stopgap)
データベースGathererより引用

ジョハンの一時凌ぎ(Johann’s Stopgap)はカードセット「エルドレインの森」に収録されたソーサリー・カードである。

ジョハンは水のエレメンタルを丸い瓶の中に閉じ込めようとしているのだろうか?

荒ぶる炎の稲妻

Johann’s conjecture about draconic fire dispelling rainwater elementals proved to be correct. Now he just needed a way to dispel draconic fire.
火のドラゴンが雨水のエレメンタルを鎮めるというジョハンの推測は正しかった。あとは火のドラゴンを鎮める方法を見つければいいのだ。
引用:荒ぶる炎の稲妻(Frantic Firebolt)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

荒ぶる炎の稲妻(Frantic Firebolt)

荒ぶる炎の稲妻(Frantic Firebolt)
データベースGathererより引用

荒ぶる炎の稲妻(Frantic Firebolt)はカードセット「エルドレインの森」に収録されたインスタント・カードである。

水に対しては火が有効である。それは正しい。ところが、ジョハンは水どころか火の方だってマスターできていないのだ。

水生まれの錬金術師

水生まれの錬金術師(Aquatic Alchemist)

水生まれの錬金術師(Aquatic Alchemist)
データベースGathererより引用

水生まれの錬金術師(Aquatic Alchemist)はカードセット「エルドレインの森」に収録されたクリーチャー・カードである。出来事は泡立て(Bubble Up)だ。

カーヴェリンの青のエレメンタルの1種。

水飛沫の呪文使い

水飛沫の呪文使い(Splashy Spellcaster)

水飛沫の呪文使い(Splashy Spellcaster)
データベースGathererより引用

水飛沫の呪文使い(Splashy Spellcaster)はカードセット「エルドレインの森」に収録されたクリーチャー・カードである。

カーヴェリンの青のエレメンタルの1種。

かまどの精

かまどの精(Hearth Elemental)

かまどの精(Hearth Elemental)
データベースGathererより引用

かまどの精(Hearth Elemental)はカードセット「エルドレインの森」に収録されたクリーチャー・カードである。出来事は火おこしの天才(Stoke Genius)だ。

カーヴェリンの赤のエレメンタルの1種。

煮えたぎるバイパー

煮えたぎるバイパー(Scalding Viper)

煮えたぎるバイパー(Scalding Viper)
データベースGathererより引用

煮えたぎるバイパー(Scalding Viper)はカードセット「エルドレインの森」に収録されたクリーチャー・カードである。出来事は蒸気洗浄(Steam Clean)だ。

カーヴェリンの赤のエレメンタルの1種。

煮えたぎるバイパー(Scalding Viper)

煮えたぎるバイパー(Scalding Viper)
公式カードギャラリーより引用

煮えたぎるバイパーにはショーケース・フレームの特別デザイン版も存在している。

速足の学び

At first, Johann was annoyed that the library had decided to reorganize itself. But he had to admit that storing the cookbooks in the cauldron made a certain kind of sense.
最初、ジョハンは図書室が勝手に整頓を始めたことに苛立ちを感じた。しかし料理本を大釜の中に保管したときは、いくらか納得してしまった。
引用:速足の学び(Quick Study)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

速足の学び(Quick Study)

速足の学び(Quick Study)
データベースGathererより引用

速足の学び(Quick Study)はカードセット「エルドレインの森」に収録されたインスタント・カードである。

赤と青のエレメンタルが宙で絡み合って暴れる中、動く魔法の大釜や書見台などが図書室の蔵書を整頓しようと歩き回り、混乱の度合いが増している。

生ける書見台

生ける書見台(Living Lectern)

生ける書見台(Living Lectern)
データベースGathererより引用

生ける書見台(Living Lectern)はカードセット「エルドレインの森」に収録されたアーティファクト・クリーチャー・カードである。

これはカーヴェリンの図書室で普段なら役に立っているはずの魔法の家具。

物騒なカタパルト

An autonomous, self-loading catapult had seemed like such a good idea.
自動装填式の自律型カタパルトは、構想段階では便利なもののように思えた。
引用:物騒なカタパルト(Unruly Catapult)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

物騒なカタパルト(Unruly Catapult)

物騒なカタパルト(Unruly Catapult)
データベースGathererより引用

物騒なカタパルト(Unruly Catapult)はカードセット「エルドレインの森」に収録されたアーティファクト・クリーチャー・カードである。

制御不能となった、自動装填式の自立型カタパルトはエレメンタルの混乱に更に火を注いでいる。

塔の点火

塔の点火(Torch the Tower)

塔の点火(Torch the Tower)
データベースGathererより引用

塔の点火(Torch the Tower)はカードセット「エルドレインの森」に収録されたインスタント・カードである。

カーヴェリンの内部にエレメンタルの火炎がどんどん延焼していく。

水の翼

Luckily for the plummeting Johann, the hydroloft spell was one he had actually mastered.
落下するジョハンは、幸いにも水流噴射の呪文は習得していた。
引用:水の翼(Water Wings)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

水の翼(Water Wings)

水の翼(Water Wings)
データベースGathererより引用

水の翼(Water Wings)はカードセット「エルドレインの森」に収録されたインスタント・カードである。

カーヴェリンの塔の上階からジョハンが飛び降りた場面のようだ。塔内で展開されるエレメンタルの混沌から外に逃げ出したのだろう。

その後、公式記事Ten Stories Tallが公開されて、塔内の騒動の後で最後にジョハンが塔の窓から外に飛び出した場面だと語られ、本記事の解釈が正しかったことが証明された。

衝撃の震え

“With tears in his smoke-scorched eyes, he watched the living flames consume the only home he’d ever known.”
–The Apprentice’s Folly
「彼は目を灼く煙で涙を流しつつ、生ける炎が彼の知る唯一つの故郷を焼き尽くすのを見ていた。」
–「見習いの愚行」
引用:衝撃の震え(Impact Tremors)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

衝撃の震え(Impact Tremors)

衝撃の震え(Impact Tremors)
データベースGathererより引用

衝撃の震え(Impact Tremors)はカードセット「エルドレインの森」のおとぎ話という特別枠で再録されたエンチャント・カードである。カードセット「タルキール龍紀伝」が初出。

フレイバー・テキストは「見習いの愚行」からの引用となっている。

おそらくこのカードがエルドレイン版「魔法使いの弟子」の結末ではないか、と考えられる。つまり、塔から脱出したジョハンは、カーヴェリンの塔がエレメンタルによって焼かれていく光景を、外からただ見ているしかできなかったのだ。(公式の解釈は示されていないので、私個人はこう解釈した。)

前の節で書いたように、公式記事Ten Stories Tallによって、ジョハンが最後の塔から外に逃げ出した流れが裏付けられた。したがって、やはりこのカードがジョハンの物語の最終場面で間違いない。

ゆるくテーマに繋がりがあるかもしれないカード

創意の神童

創意の神童(Ingenious Prodigy)

創意の神童(Ingenious Prodigy)
データベースGathererより引用

創意の神童(Ingenious Prodigy)はカードセット「エルドレインの森」に収録されたクリーチャー・カードである。

年少で才能ある魔術師のおそらく弟子を表すカードだ。「魔法使いの弟子」とは直接の関連は無いものの、それとは逆の優秀な見習い魔術師と見ることはできようか。つまり、ジョハンより若く有望な対の存在……かもしれない。

遊び戯れの使い魔

遊び戯れの使い魔(Frolicking Familiar)

遊び戯れの使い魔(Frolicking Familiar)
データベースGathererより引用

遊び戯れの使い魔(Frolicking Familiar)はカードセット「エルドレインの森」に収録されたクリーチャー・カードである。出来事は鬱憤ばらし(Blow Off Steam)だ。

魔法使いに使い魔は定番の相棒だが、これは珍しいカワウソの使い魔だ。

イラストでは、カワウソの使い魔は魔法使いの帽子をかぶり、空飛ぶほうきにしがみついて飛んでいる。使い魔の周囲に水流が飛び回り、使い魔の両掌の間には魔法の炎が輝いている。

出来事名で、「鬱憤ばらし」と訳された「Blow Off Steam」は直訳すると「蒸気を吹き飛ばす」となるが、これは「ストレスを解消する」「鬱憤を晴らす」「息抜きする」と言った意味合いとなる。

イラストも合わせて考えると、使い魔は水流を炎で蒸気にして吹き飛ばそうとしているようにも思えるし、主の帽子とほうきを拝借して魔法を使ってストレスを解消している、とも解釈できる。

もしかすると、ジョハンあるいは師匠の魔法使いのどちらかの使い魔である可能性もありそうだが……。

「アルケミー:エルドレイン」の「魔法使いの弟子」

艱難辛苦の弟子

艱難辛苦の弟子(Accident-Prone Apprentice)

艱難辛苦の弟子(Accident-Prone Apprentice)
公式カードギャラリーより引用

艱難辛苦の弟子(Accident-Prone Apprentice)はカードセット「アルケミー:エルドレイン」に収録されたクリーチャー・カードである。出来事は両生類の失敗(Amphibian Accident)だ。

カード名の「Accident-Prone」は「普通より事故を起こしがち」という意味合い。一方、公式和訳版の「艱難辛苦」とは「非常な困難に直面し苦しみ悩む」という意味なので、大分違っている。したがって、このカードは「苦しい目に遭っている魔術師の見習い」ではなくて、「事故を何度も起こしている魔法使いの弟子」なのだ。

その意味では「魔法使いの弟子」モチーフのカードと言える。

カードを総合的に見て、この魔法使いの弟子は相手を蛙に変身させる魔法をかけたものの、事故を起こして自分の方はカワウソになってしまった。そういうミニストーリーが込められている。

また、これは「ジョハン(Johann)が再びやらかしてしまった」と解釈しているユーザーを何度も目にするカードだ。イラストを見ると、カワウソになる前に身に着けていた衣服や杖、装備品が床に散乱しているが、青と赤を基調としている点がジョハンに共通している。

実際、これがジョハンなのかどうか判然としないものの、ジョハンならまたやりかねない、と少なくないヴォーソスがそう思っているのは確かだ。「やらかしキャラ」として個性を確立し認知されている点において、ジョハンというキャラクターは十分に成功していると言える。



さいごに

エルドレイン版「魔法使いの弟子」のジョハン

今回は童話世界エルドレインの「魔法使いの弟子」を記事にまとめた。新キャラクター、ジョハンの物語と背景が大分はっきりと見えたのではないだろうか?

これまでならば、こういったサイドストーリーは公式サイトでの短編ストーリーとして掲載されるものであったが、今回「エルドレインの森」ではその掲載枠は無くなってしまった。その他のこれまで定番記事であった、伝説のキャラクターの解説記事や世界解説記事も2023年9月10日現時点では公開されてもいない。

物語の結論は各々のプレイヤーに任される、自分独自の物語を紡げばいい。……と言えば聞こえはいいが、ウィザーズはクリエイティブ系に割くソースを絞り始めているように思えてならない。

MTG30周年記念展示でワールドガイドを閲覧できたから、何とかジョハンの物語と背景を知ることが叶ったわけだが、次回以降はどうなるのだろうか?不安である。

では、今回はここまで。

エルドレインの「魔法使いの弟子」の関連記事

カードセット「エルドレインの王権」関連のリスト

エルドレインの王権
マジック・ザ・ギャザリング(MTG)のカードセット「エルドレインの王権(Throne of Eldraine)」収録のカードの中からピックアップしてストーリーや設定を解説する。
  1. 註:私は1回しか展示を見に行けず、メモ取り作業も突貫で要点だけ抜き出しただけのため、正確性が幾分怪しいところがある。最終日にもう1回出掛けたかったが奇禍に遭い腰を痛めて断念した。
  2. もちろん原文では「sorcerer」