アルケミー:ニューカペナの街角の二色カード

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MTGアリーナ限定のカードセット「アルケミー:ニューカペナの街角」が実装された。カードセット「ニューカペナの街角」と世界設定を同じくしたセットであり、新規カードはニューカペナ次元のものとなっている。

デジタル限定セットのためか、ウィザーズ社公式のカードギャラリー(リンク)には英語版テキストの画像しかなく、和訳版のカード名やフレイバー・テキストの有無すらも確認できない。MTGアリーナを調べない限り知ることができないのだ。

だから、本サイトでは「アルケミー:ニューカペナの街角」の各種カードの和訳カード名とフレイバー・テキストを記事としてまとめて記録に残すことにした。また、各カードには背景世界的な分析やコメントも加えている。

第6回目となる今回は「アルケミー:ニューカペナの街角」の多色カードの内、2色のカード10種類を取り上げる。

※ MTGアリーナ限定のアルケミーのカードは、紙として印刷された通常のカードとは違い、後々バランス調整の名目でデータが修整される可能性がある。したがって、この記事の記述は執筆時点の情報に基づいている点に注意されたい。

追記(2022年6月8日):舞台座一家のお祭り騒ぎ(Cabaretti Revels)に関して、テーマやフレイバー・テキストがそっくりな過去カードが存在すると指摘を受けたため、その旨を追記した。→こちら

アルケミー:ニューカペナの街角の二色カード

カードセット「アルケミー:ニューカペナの街角」には、友好色2色(白青、青黒、黒赤、赤緑、緑白)を持つカードがそれぞれレアに2種類ずつ、合計で10種類収録されている。

2色カードの中には所属する一家が明確のものもあれば、それとなく一家が察せられるものや、あるいは一家に所属するかどうかすら不明瞭なものもある。一見すると、5つの一家にそれぞれ2種類ずつ割り振られているような予感もするし、そうであったらスマートなデザインになるのだが、その辺は明示されていないのだ。



白青レア

白青レアは以下の2種である。

それぞれ斡旋屋一家と常夜会一家に属するカードだ。

斡旋屋一家の護衛

斡旋屋一家の護衛(Brokers' Safeguard)

斡旋屋一家の護衛(Brokers’ Safeguard)
公式カードギャラリーより引用

斡旋屋一家の護衛(Brokers’ Safeguard)は斡旋屋一家の防御魔法だ。

カード名で「護衛」とクリーチャーのように訳されているが、これはインスタント・カードである。「Safeguard」という英単語はクリーチャー・カード名にも使われることがあるので、和訳以前の段階で少々紛らわしい。

イラストやカード名、メカニズムを考慮するに、斡旋屋一家所属のエイヴンが保護対象の鞄を持った人物を身体を張って守っている。エイヴンは襲って来たラクーンフォークの一団の前に立ちはだかって盾のような力場を張り、護衛対象の窮地を救ったのだ。

常夜会一家の変身術士

“Enjoy your new life, little bird.”
「新たな生を謳歌しなよ、小鳥さん。」
引用:常夜会一家の変身術士(Obscura Polymorphist)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

常夜会一家の変身術士(Obscura Polymorphist)

常夜会一家の変身術士(Obscura Polymorphist)
公式カードギャラリーより引用

常夜会一家の変身術士(Obscura Polymorphist)は常夜会一家所属のセファリッドの魔術師だ。相手を別の生物へと変身させる魔法に長けており、イラストでは鳥へと変えている。

カードのメカニズムの方では、対象のクリーチャーを追放してしまうが、代わりにそのコントローラーのライブラリーから無作為に選んだ別のクリーチャー・カードが手札に加えられる(抽出される)。こうして変身魔法を表現している。

青黒レア

青黒レアは以下の2種である。

所属一家は不明であるが、それぞれが常夜会一家と貴顕廊一家のように感じさせる特徴を備えている。

守秘義務

守秘義務(Bind to Secrecy)

守秘義務(Bind to Secrecy)
公式カードギャラリーより引用

守秘義務(Bind to Secrecy)のイラストには、人差し指を立てて口に当てたセファリッドが描かれている。

青黒という色、秘密を取り扱うセファリッド、という各種要素を踏まえると、常夜会一家を描くカードと考えられる。

カード名は「守秘義務」と和訳されているが、原語の「Bind to Secrecy」は「秘密厳守を誓わせる」「口止めする」くらいの意味合いだ。

「守秘義務」という言葉は、普通「confidentiality」の訳語であるし、「職務上知った秘密を守る」含みがある日本語なのでこのカードとは意味合いがずれている。「口止め」という和名カードは既に存在しているので、「他言無用」辺りの言葉の方が妥当だったんじゃないかと私には思えるのだが……。

組織の勧誘者

組織の勧誘者(Syndicate Recruiter)

組織の勧誘者(Syndicate Recruiter)
公式カードギャラリーより引用

組織の勧誘者(Syndicate Recruiter)は安置された死体に魔法をかける吸血鬼のようだ。

このクリーチャーが戦場に出た時、条件を満たせば手札に屍体の掘り起こし(Dig Up the Body)が1枚創出される。

屍体の掘り起こし(Dig Up the Body)

屍体の掘り起こし(Dig Up the Body)
データベースGathererより引用

屍体の掘り起こし(Dig Up the Body)は墓地からのクリーチャー・カード回収魔法で、テキスト欄には貴顕廊一家のマークがある。

組織の勧誘者は、色が青黒で、死体の掘り起こしを創出でき、吸血鬼である、との諸々の要素から、貴顕廊一家所属と考えられる。貴顕廊一家は構成員に吸血鬼が多いのが特徴なのだ。あるいはこのカードは死者を吸血鬼に変えて仲間に引き入れる場面なのかもしれない。



黒赤レア

黒赤レアは以下の2種である。

土建組一家所属のカード1種類と、一家との関係性が不明なカード1種類である。

銀行での仕事

銀行での仕事(Bank Job)

銀行での仕事(Bank Job)
公式カードギャラリーより引用

銀行での仕事(Bank Job)は銀行強盗を表現したカードだ。穴を掘って金庫室の地下から潜入して略奪しているのだ。

カードのメカニズムはこの強盗場面の雰囲気をよく再現している。アップキープの開始時に、ライブラリーの一番下にあるクリーチャー・カードを1枚追放する。このカードはターン中に唱えることができるが、終了ステップ開始時に追放されたままならば、それを墓地において宝物トークン1個が得られる。つまり、地面深くに穴を掘る強盗と金庫から奪った宝だ。

土建組一家の工作員

土建組一家の工作員(Riveteers Provocateur)

土建組一家の工作員(Riveteers Provocateur)
公式カードギャラリーより引用

土建組一家の工作員(Riveteers Provocateur)は土建組一家所属のヴィーアシーノだ。

「工作員」と訳された「Provocateur」はフランス語語源の「人を唆して違法行為をさせる秘密工作員」のことだ。

イラストは、ニューカペナの最下層カルダイヤ地区で、このヴィーアシーノの工作員が労働者たちを煽って何か騒ぎを起こしている場面ようだ。画面の奥では爆炎が上っているようにも見える。

赤緑レア

赤緑レアは以下の2種である。

舞台座一家所属のカード1種類と、一家との関係性が不明なカード1種類である。

舞台座一家のお祭り騒ぎ

“What are we celebrating? Join us and find out!”
「何のお祝いかわからないの?来ればわかるよ!」
引用:舞台座一家のお祭り騒ぎ(Cabaretti Revels)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

舞台座一家のお祭り騒ぎ(Cabaretti Revels)

舞台座一家のお祭り騒ぎ(Cabaretti Revels)
公式カードギャラリーより引用

舞台座一家のお祭り騒ぎ(Cabaretti Revels)は、その名の通り、舞台座一家がお祭り騒ぎをしながら練り歩いている場面のようだ。

和訳製品版のフレイバー・テキストは、原文とはニュアンスが違って読めるものでよろしくない。

和訳文では、フレイバー・テキストの発言者は「何のお祝いかわからないの?」と自分は「何のお祝いか」を承知しており、それを明かさずに「来ればわかるよ!」と人を誘っているように書かれている。

ところが原文は「What are we celebrating?」なので、発言者自身も含めて「何を祝っているのか」分かっていないのだ。

したがって、以下のように訳せるだろう。

「私たち一体何を祝ってるのかしら?一緒になって探しましょうよ!」

自分達も何のために祝うのか分からずに陽気に騒ぎ、それを不思議に思った者すらも声を掛けて取り込んでしまう。こういう雰囲気のカードなのだ。

そもそも舞台座一家は終わらぬ祝祭を続ける組織とされており、こうした光景は日常茶飯事なのかもしれない。

おまけ追記:ゴブリンの祝祭(Goblin Festival)

“What are we celebratin’ again?”
何のお祭りだったっけ?
引用:ゴブリンの祝祭(Goblin Festival)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

ゴブリンの祝祭(Goblin Festival)

ゴブリンの祝祭(Goblin Festival)
データベースGathererより引用

ゴブリンの祝祭(Goblin Festival)は23年前、1999年のカードセット「ウルザズ・デスティニー」収録のエンチャント・カードである。

このカードも舞台座一家のお祭り騒ぎと同じ祝祭をテーマにしたエンチャントであるが、実はテーマだけでなくフレイバー・テキストがそっくりなのだ。「“What are we celebratin’ again?”(何のお祭りだったっけ?)」と、御覧のように「What are we celebrating?」と基本は同じ文章となっている。

ゆすり屋のボス

ゆすり屋のボス(Racketeer Boss)

ゆすり屋のボス(Racketeer Boss)
公式カードギャラリーより引用

ゆすり屋のボス(Racketeer Boss)のイラストには、手下のデビルを引き連れて店を荒らし、店員の胸倉を掴んで凄むレオニンが描かれている。

カード名で「ゆすり屋」と訳されている「Racketeer」は「恐喝・ゆすり・詐欺などによって不正に金儲けをする者」を意味する言葉だ。

レオニンは赤緑白の舞台座一家の構成員に多い種族なのだが、荒っぽい仕事振りやデビルたちは黒赤緑の土建組一家の雰囲気もある。このゆすり屋のボスがどっちの一家所属か(あるいはフリーランスなのか)まではちょっと判断できない。



緑白レア

緑白レアは以下の2種である。

舞台座一家所属のカード1種類と、一家との関係性が不明なカード1種類である。

武装する祝祭

For the Cabaretti, everything is a party.
舞台座一家にとっては、すべてがパーティ。
引用:武装する祝祭(Arming Gala)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

武装する祝祭(Arming Gala)

武装する祝祭(Arming Gala)
公式カードギャラリーより引用

武装する祝祭(Arming Gala)は、様々な銃器を手にして武装化を進める舞台座一家の様子が描かれている。

イラストの奥には立派な椅子に腰かけた、舞台座のボス、ジェトミアの姿も見える。

整列ロープの係員

整列ロープの係員(Rope Line Attendant)

整列ロープの係員(Rope Line Attendant)
公式カードギャラリーより引用

整列ロープの係員(Rope Line Attendant)は何か華やかな催しで立ち入り制限のロープを管理するレオニンの係員のようだ。

このカードの色が緑白であることから、契約によって秩序を守る緑白青の斡旋屋一家の警備要員にも見えるし、祝祭を催す赤緑白の舞台座一家の一員にも見える。

さいごに

これでカードセット「アルケミー:ニューカペナの街角」における友好色2色のカードを紹介し終えた。最終回の次回は友好色3色のカードを取り上げる。

では今回はここまで。

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