団結のドミナリア:荒廃の塊&塵と化す

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荒廃の塊(Blight Pile)塵と化す(Smash to Dust)はどちらもカードセット「団結のドミナリア」収録のカードである。前者はクリーチャー、後者はソーサリーだ。

今回は、カード・タイプも色も異なる2種類のカードの両方が持っている『ある共通点』について取り上げる。

荒廃の塊の解説

“Keep your distance. It may be broken, but it’s far from benign.”
–Stenn
「距離を保て。故障しているかもしれんが、無害には程遠い。」
–ステン
引用:荒廃の塊(Blight Pile)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

荒廃の塊(Blight Pile)

荒廃の塊(Blight Pile)
公式カードギャラリーより引用

荒廃の塊(Blight Pile)は、カードのメカニズム上は防衛機能力を持つファイレクシアン・クリーチャー・カードだ。

防衛があるため、攻撃に参加することはできない。その反面、起動型能力によって、自軍に居る防衛持ちクリーチャーの数だけ対戦相手のライフを喪失する攻撃的な機能も持たされている。

フレイバー・テキストは、新アルガイヴの貴族ステン(Stenn)の言葉である。ステンはダリアン王(King Darien)の命令により、ファイレクシア対策の任務に就いていた。

イラストに描かれた荒廃の塊は、旧時代のファイレクシアンの巨大な遺物である。ステンはこれを発見し部下のアルガイヴの部隊に慎重な対応を言明している。



塵と化すの解説

塵と化す(Smash to Dust)

塵と化す(Smash to Dust)
公式カードギャラリーより引用

塵と化す(Smash to Dust)は3つのモードから効果を選べるソーサリー・カードだ。

こちらのイラストには、巨大なファイレクシアンが建物を破壊している場面が描かれている。

実はこの塵と化すのファイレクシアンは、荒廃の塊と同タイプなのである。ただ一見しただけでは、両者はそれほど似ていないように見えるかもしれない。

では、これらの元となったオリジナルの旧世代ファイレクシアンのカード「ファイレクシアの巨像(Phyrexian Colossus)」を紹介しよう。見比べれてみれば、同タイプだと分かるはずだ。

ファイレクシアの巨像

ファイレクシアの巨像(Phyrexian Colossus)

ファイレクシアの巨像(Phyrexian Colossus)
データベースGathererより引用

ファイレクシアの巨像(Phyrexian Colossus)はカードセット「ウルザズ・サーガ」初出のアーティファクト・クリーチャーである。

「ウルザズ・サーガ」の時代設定を考えると、アンティキティー戦争期には既に存在していたかもしれないタイプのファイレクシアンである(どんなに遅くともドミナリア近代には確実に存在)。

AR4205年に勃発したファイレクシア侵略戦争に投入された兵器であった。

荒廃の塊(Blight Pile)

荒廃の塊(Blight Pile)
公式カードギャラリーより引用

御覧のように、荒廃の塊とイラストを比較すれば、同じ形状の頭部と胴体、手の鉤爪が確認できる。

ファイレクシアの巨像の別イラスト

ファイレクシアの巨像(Phyrexian Colossus)

ファイレクシアの巨像(Phyrexian Colossus)
データベースGathererより引用

ファイレクシアの巨像(Phyrexian Colossus)は何度か再録されており、カードセット「基本セット第7版」では新規イラストで再登場を果たした。ちなみに「第8版」でもこのイラストで連続再録されている。

塵と化す(Smash to Dust)

塵と化す(Smash to Dust)
公式カードギャラリーより引用

こちらのファイレクシアの巨像は、塵と化すと全く同じ姿形をしている。

復元したファイレクシアの巨像

以上のように、荒廃の塊塵と化すのイラストは細部の形状が異なるものの、ファイレクシアの巨像という同タイプの巨大兵器だったのである。

しかし、ファイレクシアの巨像はおよそ3世紀半もの間、戦争で破壊され放棄されたままの残骸や遺物であったはずだ。それがAR4562年現在のドミナリアに蘇ってきたのである。いったいどんなからくりがあるのだろうか?

黙示録、シェオルドレッド(Sheoldred, the Apocalypse)

黙示録、シェオルドレッド(Sheoldred, the Apocalypse)
公式カードギャラリーより引用

大昔の遺物が復活した原因は、黒の法務官シェオルドレッド(Sheoldred)にある。

シェオルドレッドは新ファイレクシア次元からドミナリア次元に来訪し、カルト組織「ミシュラ一派1(Society of Mishra)」を傘下に収めた。

シェオルドレッドの心酔者、ローナ(Rona, Sheoldred's Faithful)

シェオルドレッドの心酔者、ローナ(Rona, Sheoldred’s Faithful)
公式カードギャラリーより引用

ミシュラ一派は、古代の工匠ミシュラの名を冠したトレイリアのアカデミー内部に潜む秘密結社である。親ファイレクシア派の彼らは、遺伝的・機械的な完成への道を探究する者たちであった。当然、旧ファイレクシアのテクノロジーに関する知識を有している。

そんなミシュラ一派と侵略者シェオルドレッドが手を組んだ。

ローナ(Rona)らミシュラ一派は新ファイレクシアのテクノロジーによって、ドミナリアのそこかしこにある旧ファイレクシアの遺物を復元し軍団を作り上げた。遺物には無機物である外殻や骨格、機構が残っている。そこに生き物を材料にした有機物を補完して甦らせたのだ。

塵と化す(Smash to Dust)

塵と化す(Smash to Dust)
公式カードギャラリーより引用

こうして復元された1つがファイレクシアの巨像だった、とこういう訳である。

荒廃の塊(Blight Pile)

荒廃の塊(Blight Pile)
公式カードギャラリーより引用

完全復元は無理でも、このような半壊状態でも十分な脅威となっているようだ。

これで最新カード2種に共通するファイレクシアの巨像の正体が明らかになった。

実はもう1種類、現代ドミナリアにはファイレクシアの巨像が描かれたカードが存在している。それが次で紹介する灰からの成長(Grow from the Ashes)である。

灰からの成長

灰からの成長(Grow from the Ashes)

灰からの成長(Grow from the Ashes)
データベースGathererより引用

灰からの成長(Grow from the Ashes)はカードセット「ドミナリア」収録のソーサリー・カードである。

このカードのイラストには、ファイレクシアの巨像の残骸が描かれている。外殻を突き破って生える木々に埋もれており、こうまで損壊してしまっては新ファイレクシアのテクノロジーでも復元は出来ないかもしれない。

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  1. 個人的に「ミシュラ一派」という命名が全然好みではない。設定解説ではトレイリアのアカデミー内の「secret societies」つまり「秘密結社」の1つなのだ。「結社ミシュラ」とか「ミシュラ協会」とか何か別の名前があっただろうに