ドラーナとリンヴァーラ(Drana and Linvala)はカードセット「機械兵団の進軍」収録の伝説のクリーチャー・カードである。
伝説キャラクター2人がコンビを組んで、1枚のカードとなったシリーズの1枚だ。色々な次元の異色コンビが収録されているが、この2人がゼンディカー次元の代表である。
今回は、ゼンディカーを代表する吸血鬼ドラーナと天使リンヴァーラがコンビを結成するストーリーを解説すると共に、これまでの2人の歴史を振り返る。
ドラーナとリンヴァーラの解説
AR4562年、新ファイレクシアによる次元間侵略戦争が勃発しゼンディカー次元も戦場となった。
吸血鬼の長ドラーナ(Drana)と天使リンヴァーラ(Linvala)は奇妙な偶然から共闘することになった。これまで決して友好的な関係には無かった2人だったが、力を合わせて戦ううちにお互いを認め合う気持ちが芽生えてきたのである。
ドラーナとリンヴァーラのストーリー
ドラーナとリンヴァーラがコンビを組むに至ったストーリーは、公式記事The Legendary Team-Ups of March of the Machineで語られている。
2023年4月15日現時点では、公式和訳版は公開されていないため、本サイトでは記事中の文章を独自翻訳した。以下の通りだ。
何たる偶然か、吸血鬼の血の長ドラーナと天使リンヴァーラは、ゼンディカーの侵略戦争の只中で同じ空域で戦闘状態となっていた。戦場での偶然の出会いが衝撃的な発見へと繋がった。血の長の魔法と天使の力は驚くほどに相性がよく、2人が協力すると別個でいた時よりも大きな損害を与えられたのだ。戦っているうちに、お互いに抱いていた軽蔑と嫌悪の気持ちがいつしか相手の力量への尊敬と感謝の念に変化していった。
吸血鬼と天使、決して相容れなかったはずの存在が、新ファイレクシアの次元間侵略の前に手を結んだ。新たな関係性の萌芽を今、我々は目撃しているのかもしれない。
ドラーナとリンヴァーラの1000年間の不和
ドラーナとリンヴァーラの関係は1000年の長きにわたる不和の歴史であった。
ゼンディカー次元の吸血鬼は、およそ1000年前にエルドラージの封印が解けかけた際に誕生した種族である。ドラーナは吸血鬼の第一世代12人の内で最後の生き残りであることから、彼女の年齢はおよそ1000歳と導き出せる。
一方、ゼンディカー次元の天使は、およそ6000年前のエルドラージのゼンディカー初襲来時点で既に存在が確認されている。1000年前のエルドラージ再封印後に、全天使が光輪を目を隠す位置まで下げるようになったのだが、唯一リンヴァーラだけはそれに従わなかった。リンヴァーラの年齢は少なく見積っても1000歳以上であり、可能性としては6000歳を超えていても不思議ではない。
本記事で重要なのは、ドラーナの誕生時点でリンヴァーラは存在していることだ。この1000年間にわたって、両者の関係は決して友好的ではなく、互いに軽蔑し嫌悪し合っていたことになる。
AR4562年、新ファイレクシア侵略戦争での共闘がきっかけとなり、1000年間の長き不和に融和の兆しが見えてきている。ドラーナとリンヴァーラ、これは奇跡的なコンビ結成と言えるだろう。
ドラーナとリンヴァーラ(AR4557年)
初めてカードセットにゼンディカー次元が登場したのが、ゼンディカー・ブロックであった。1ドラーナとリンヴァーラもその時が初出のキャラクターであった。
時代設定はAR4557年である。つまり、これが5年前のドラーナとリンヴァーラの姿となる。
この1000年間、ゼンディカー次元の状況は安定しており、それもあってか2人の表情は穏やかである。
カラストリアの血の長、ドラーナ
“If our former masters would have us kneel again, they shall feel our defiance slashed across their membranes.”
「かつての我らの支配者が我らを再びひざまずかせようとするなら、我らの反逆の傷をその皮膚に感じることになるだろう。」
引用:カラストリアの血の長、ドラーナ(Drana, Kalastria Bloodchief)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
カラストリアの血の長、ドラーナ(Drana, Kalastria Bloodchief)はカードセット「エルドラージ覚醒」収録の最初のバージョンだ。
角は2本で湾曲している。目の周りの血化粧はまだない。
静寂の守り手、リンヴァーラ
Those who seek to disturb the harmony of life will see their instruments taken from them.
生命の調和を乱そうとする者は、その曲が自らを離れることになるだろう。
引用:静寂の守り手、リンヴァーラ(Linvala, Keeper of Silence)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
静寂の守り手、リンヴァーラ(Linvala, Keeper of Silence)はカードセット「エルドラージ覚醒」収録の最初のバージョンだ。
両手に天秤を携えた、4枚羽の天使である。武装はしていない。
ドラーナとリンヴァーラ(AR4559年)
戦乱のゼンディカー・ブロックでゼンディカー次元は再びストーリーの舞台となった。時代設定はAR4559年つまり3年前だ。
エルドラージの封印が解け、ゼンディカー次元全体が存亡の危機に陥った。ゼンディカーは一丸となってエルドラージの脅威に立ち向かった。
種の存続をかけた極限の戦争状態であり、ドラーナとリンヴァーラの表情は硬く引き締まっている。
マラキールの解放者、ドラーナ
“I will not live as a slave. If you would be free, then fight alongside me.”
「我は奴隷として生きはせぬ。自由になるつもりなら、我と共に戦うがよい。」
引用:マラキールの解放者、ドラーナ(Drana, Liberator of Malakir)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
マラキールの解放者、ドラーナ(Drana, Liberator of Malakir)はカードセット「戦乱のゼンディカー」収録バージョンだ。
角は複雑な形になり本数が増え、顔には血化粧がされている。
保護者、リンヴァーラ
保護者、リンヴァーラ(Linvala, the Preserver)はカードセット「ゲートウォッチの誓い」収録のバージョンだ。
解放されたエルドラージと戦うリンヴァーラは、鎧と武具を装備している。胴鎧、肩当て、籠手、脛当てで身を守り、左手には先端が輪になった杖、右手には天秤の描かれた円盾だ。
ドラーナとリンヴァーラ(AR4561年)
AR4561年がカードセット「ゼンディカーの夜明け」の時代設定となる。たった1年前なので、2人の姿はAR4562年現在とほとんど変わっていない。
これまでの2人のイラストは目線が別々の方向を向いていた。ドラーナは左を向き、リンヴァーラは右を向いていたのだ。それがこの時には同じ右向きとなっている。将来を暗示しているかのようだ。
最後の血の長、ドラーナ
最後の血の長、ドラーナ(Drana, the Last Bloodchief)はカードセット「ゼンディカーの夜明け」収録のバージョンだ。
海門の擁護者、リンヴァーラ
海門の擁護者、リンヴァーラ(Linvala, Shield of Sea Gate)はカードセット「ゼンディカーの夜明け」収録のバージョンだ。
白単色から白青の多色カードとなった。そのためか、イラストでは青い装束を身に纏うようになった。
ドラーナとリンヴァーラ(AR4562年)
AR4562年、カードセット「機械兵団の進軍」ではドラーナとリンヴァーラは1つのカードに収まった。
2人は同じ左に身体を向けており、視線は互いの方へと送られているように思える。さらに、両者とも今までにないほど生き生きとした表情を見せている。
さいごに
前回のヤーグルとムルタニに続き、今回も異色コンビのテーマでドラーナとリンヴァーラを取り上げてみた。
私個人としては、ドラーナに比べてリンヴァーラはいまいち印象の薄いキャラクターだったのだが、公式記事The Legendary Team-Ups of March of the Machine2でコンビを組んだ背景が明かされるとグッと魅力的な組み合わせに見えてきた。ネット上の反応を見ると、2人の新たな関係性には好意的な声が多いようだ。
「機械兵団の進軍」の短編Zendikar: Battles in the Field and in the Mind3はゼンディカーの侵略を背景として語られたストーリーであった。しかし、作中にはリンヴァーラは出演していたものの、ドラーナは未登場だ。今となっては、コンビで扱わなかったのが残念でならない。
ウィザーズ社がゼンディカー編を語るストーリーに話数と文章量を与えてあげれば、執筆陣はきっと嬉々として描いてくれただろうにな。
では、今回はここまで。