カード紹介:虚ろの戦士とマニキン

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虚ろの戦士(Hollow Warrior)はカードセット「プロフェシー」に収録されたアーティファクト・クリーチャーである。

虚ろの戦士の解説

Though it moves like a living thing, anyone can tell it lacks a soul–not to mention mercy.
こいつはまるで生きているように動くが、魂を持っていないってことは誰が見てもわかるよ。慈悲の心なんて論外さ。
引用:虚ろの戦士(Hollow Warrior)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

虚ろの戦士(Hollow Warrior)

データベースGathererより引用

虚ろの戦士(Hollow Warrior)は、AR4205年のプロフェシー戦争でケルド軍が運用した遠隔操作ゴーレムである。ただ、遠隔操作とは言うものの、操作はゴーレムの肩に乗って行うという極めて限定されたものである。(イーサン・フライシャーの証言

カードのメカニズム的には、他のクリーチャー1体をタップしない限り攻撃にもブロックにも参加できないという制約がつけられている。これはゴーレムを操作するケルド人が必要なことを表しているのだろう。このメカニズムは、プロフェシーから16年後のカードセット「カラデシュ」で初実装されたメカニズム「機体」と「搭乗」に似ている。



虚ろの戦士の細部形状

虚ろの戦士の拡大図

虚ろの戦士は右腕の先は大きな盾となっており、左腕の先は棘付きの鈍器となっている。これら2本の腕の下(脇腹の位置)には、細い腕が2本生えている。左肩から張り出した手すり付きの台には操縦者のケルド人が乗っている。

顔には丸い目玉状のパーツが2つあり、頭頂部には複数の円筒が並んでいて蒸気か煙が立ち上り、顎のあたりから左右2本のパイプが背中側に張り出した箱に繋がっている。

操縦者のケルド人と比較すると巨大さがよく分かる。ケルドの大人は身長が6フィート(約1.8m)を超えるのが普通で、7フィート(約2.1m)以上もざらである。ということは、このイラストの虚ろの戦士は5~6mあるいはそれ以上の高さがあることになる。機械の巨人だ。

虚ろの戦士とマニキン

小説Prophecyでは、ケルド軍の人型戦争機械は「虚ろの戦士」だけでなく、もう1種類登場している。それが「戦争用マニキン(War Manikin)」である。1

戦争用マニキンは単にマニキンとも呼ばれる機械兵士で、その大きさはケルドの戦士と同サイズである。表面はレンガ色の皮革のような材質で、関節は膨れていて、手はクルミを束ねたような形状である。頭部は兜に覆われ、下あごはなく、ガラス玉か水晶球のような眼にはまぶたはない。

マニキンはケルドの魔術師がかける魔法で起動して戦闘行動に移る。燃料は「英雄の血(Heroes’ Blood)」と呼ばれる液体(稼働を続けると魔術師が疲弊するような記述もあるので、魔術師の魔力と英雄の血のどちらかだけでも活動可能なのかもしれない)。

マニキンと虚ろの戦士は稼働可能時間が長くないため、戦場まで陸艇(Land Barge)で運搬され、戦闘中にエネルギーを与えられて起動される。

マニキンは兵士のように戦えるが、生身の人間と違って死を恐れることが無いので、身を投げ出して数で敵の巨大戦争機械を圧殺する戦い方ができる。

実は小説Prophecyの記述を注意深く読むと、「マニキン」と「虚ろの戦士」は同じもののように書かれていることが確認できる。だが、マニキンは人間サイズであるが、虚ろの戦士はカードにおいて巨人サイズで描かれており、両者は区別して考えた方が整合性の面で都合がいい。おそらく大型のマニキンの1種が虚ろの戦士なのだろう。

おまけ:
マナキン人形(Manakin)

アイコニックマスターズ再録版のマナキン人形(Manakin)
データベースGathererより引用

ちなみに「マニキン(Manikin)」に似た名前の「マナキン人形(Manakin)」というカードがある。タップで無色1マナを出すアーティファクト・クリーチャーである。

あるいはマナ生産機能を持つマニキンがマナキンかもしれないが、両者には人型のアーティファクト・クリーチャーという以外に設定面の共通点は見つからなかった。



反転の一撃

“Enemies can be your weapons or your shields. Simply show them which they are.”
–The Teachings of Zho
敵はそなたの武器あるいは盾になる。そのどちらであるか、まずは見せてやることだ。
–ゾオ派の教え
引用:反転の一撃(Mirror Strike)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

反転の一撃(Mirror Strike)

反転の一撃(Mirror Strike)
データベースGathererより引用

このカードのイラストは、ケルドの虚ろの戦士(Hollow Warrior)をジャムーラのゾオ派の修道士が反転の一撃(Mirror Strike)の呪文で攻撃している場面である。(イーサン・フライシャーの証言

カードのメカニズムは、ブロックされなかったクリーチャーがあなたに与える戦闘ダメージをクリーチャーのコントローラーへと弾き返すような効果である。フレイバー・テキストにあるように、敵を利用して自分の武器や盾の代わりとして利用しているのだ。

反転の一撃の拡大図

イラストを観察すると、この呪文によって虚ろの戦士を操縦するケルド人が操縦台からバランスを崩して転げ落ちそうになっている。「ブロックされなかったクリーチャー」を「虚ろの戦士」と置き換えるなら、「クリーチャーのコントローラー」は「虚ろの戦士の操縦者」と読みかえることが可能だろう。その意味で、ダメージを弾き返されたケルド人の操縦者が転落するのは筋が通っている。

SF的なケルドのロボット

反転の一撃のイラストに描かれた虚ろの戦士はSFのロボット的で、MTGの雰囲気とはかけ離れた異質感があるデザインだ(一応は4本腕で右腕には大盾、左肩に乗った操縦者というように、虚ろの戦士の特徴はちゃんと備えているが)。

2020年5月にウィザーズ社開発部のイーサン・フライシャー(Ethan Fleischer)はこのイラストを取り上げて、これは一体どういう場面を描いているんだろう?と話題にしていた(メタリックで近未来感のあるデザインに対して、いくつか反応する声が上がっていた)。一連のツイートの中で、フライシャーはプロフェシー当時の資料を漁って、その正体がケルドのゴーレムだと解明していった。(ツイートのリンク

当時、私はリアルタイムでツイートを追っていて、とても興奮したことを思い出す。イーサン・フライシャーはこの手のヴォーソス好みのツイートもたまにしてくれるので、興味がある方はフォローしておいて損はない。

では、今回はここまでとする。

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