カード紹介:稲妻の大蛇

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稲妻の大蛇(Lightning Serpent)はカードセット「コールドスナップ」収録のクリーチャー・カードである。

フレイバー・テキストで何かおかしいぞと引っ掛かりを覚えたカードをピックアップする。前回記事の驚くべき発育(Startling Development)とは「海蛇(Serpent)」つながりでこのカードを選択した。

稲妻の大蛇の解説

Ice exploded into steam in its wake, hissing like a thousand serpents hailing their blazing master.
氷はその波紋の中で爆発し、燃え盛る主を迎える何千匹もの海蛇のような音を立てた。
引用:稲妻の大蛇(Lightning Serpent)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

稲妻の大蛇(Lightning Serpent)

データベースGathererより引用

稲妻の大蛇(Lightning Serpent)はドミナリア次元の稲妻のエレメンタル大蛇である。

カード・メカニズム的には、MTG黎明期のカード「ボール・ライトニング(Ball Lightning)」の流れを汲んでおり、パワーが高い反面タフネスはたった1で、速攻とトランプルを持ち、ターン終了時に生け贄に捧げられる。1ターンしか戦場には残っていられないので、1回攻撃したら終わりのカードだ。

イラストとフレイバー・テキストも加味して考えると、この大蛇はドミナリアの氷河上を蛇行して突進し、爆発的に融解した氷の蒸気を痕跡として残して去っていく。蒸気のシュウシュウという音は、千匹の蛇が稲妻の大蛇を讃えて迎えているようだという。イラストの右下にいる人影と大きさを比べると、稲妻の大蛇は非常に巨大であることに気付く。



稲妻の大蛇の生息地

テリシア(Terisiare)は右端真ん中あたりの群島
北方大陸(Northland)は地図最上部
現代ドミナリア全体地図
公式サイト記事より引用

稲妻の大蛇がドミナリア次元のどこに生息しているのかを考えてみる。

カードセット「コールドスナップ」はAR2954-2956年のテリシア地方が舞台という設定である。ドミナリア氷河期終焉からまだたった20余年しか経過していない。「洪水時代」と称されるこの時期には、氷河が解けて海が陸を飲み込み、テリシア大陸は群島へと姿を変えていった。

したがって、稲妻の大蛇は洪水時代のテリシア地方で、氷河の残滓上を疾走していることになる。ならば、稲妻の大蛇の生息地はテリシア地方であると言えるのだろうか?実はそう単純ではない。

稲妻の大蛇が「氷河の生き物」であるか、そうでないか、で答えが違ってくるのだ。

稲妻の大蛇が氷河の生き物である場合

稲妻の大蛇が「氷河の生き物」であるならば、生息地はドミナリア次元の北極「北方大陸(Northland)」に絞られる。

カードセット「コールドスナップ」を含むアイスエイジ・ブロックでは、氷河期の氷の生き物はドミナリア次元の北極「北方大陸」より渡ってきたと設定されている。1ルアゴイフやイエティ、恐竜2の故郷は北方大陸であり、氷河期終焉による温暖化で北方大陸へと戻っていった。

AR4560年現在、稲妻の大蛇も同様に北方大陸にまだ生息していておかしくはない。

稲妻の大蛇が氷河の生き物でない場合

稲妻の大蛇が「氷河の生き物」でないならば、生息地はテリシア地方となる。

このカードで氷河上を疾走しているのは単に洪水時代に氷河がまだ残っていたからにすぎない。冷たい氷河を好んでいるわけではないという解釈だ。

個人的には、氷を爆発的に融解させている描写を見るに氷河期後の暖かい世界の生き物を象徴しているように思える。だから、テリシア地方の方が生息地としてより説得力があると感じている。



稲妻の大蛇のフレイバー・テキスト

Ice exploded into steam in its wake, hissing like a thousand serpents hailing their blazing master.
氷はその波紋の中で爆発し、燃え盛る主を迎える何千匹もの海蛇のような音を立てた。

和訳製品版フレイバー・テキストは不可解だ。「氷はその波紋の中で爆発」するとは、どういうことなのだろう。「その波紋」が何を指しているのかからして不明瞭だ。

では原文を確認してみよう。

「explode into …」は「爆発して…になる」ことなので、「Ice exploded into steam」は「氷が爆発して蒸気となった」という意味である。この時点で和訳製品版からは「蒸気」の要素が欠落していることが分かる。

次に「何千匹もの海蛇」と訳された部分は「a thousand serpents」なので「千匹の蛇」だ。「何千」では「千」の数倍はあるかもしれないという含みが出てしまう。また、MTGでは慣例的に「serpent」を「海蛇」と訳してきた経緯があるが、本来「serpent」は海蛇でなく「蛇」という意味でしかない。イラストを見ても陸上にいるので、この稲妻の大蛇は明らかに海蛇ではない。

そして「hiss」は「蛇や蒸気などがシューと音を立てる」を意味している。

最後に「wake」は「通った跡」のことで「船の航跡」の意味もある。「in its wake」はここでは「それ(稲妻の大蛇)の通過した跡に」と解釈して間違いない。

では「稲妻の大蛇の通過した跡に」がなぜ「その波紋の中で」となったのだろうか?視点を変えてカード名を見る。このカードの英名は「Lightning Serpent」で、「Serpent」は「海蛇」と慣例的に訳されてきたものだ(上述)。これで話が見えた。つまり、海蛇が「通った跡」なら海上には「波紋」が残される、という連想が翻訳者の中で成立したのだろう。もう一度カード・イラストを観察してみたが、「波紋」は描かれていない。大蛇の通った跡には「蒸気」が立ち上るばかりだ。

以上を踏まえて訳してみるとこうなるだろう。

それが通過すると、氷は爆発して蒸気となり、燃え盛る主を迎える千匹もの蛇のようなシュウシュウという音を立てた。

原文を読んでみれば何のことはない。カード・イラストに描かれている情景と、そっくりそのままの文章にすぎなかったのだ。

スッキリできたので今回はここまで。

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  1. 出典はカードセット「ドミナリア」の公式ポッドキャスト
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