クウィリーオンのドライアド(Quirion Dryad)はカードセット「基本セット2021」に再録されるクリーチャー・カードである。
初出はカードセット「プレーンシフト」で、その後、カードセット「基本セット第10版」とカードセット「基本セット2013」で再録されている。
クウィリーオンのドライアドの解説
“Never underestimate the ability of natural forces to adapt to unnatural influences.”
–Molimo, maro-sorcerer
自然外の影響に順応した自然の力を侮るべからず。
–マローの魔術師モリモ
引用:クウィリーオンのドライアド(Quirion Dryad)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
クウィリーオン(Quirion)とはドミナリア次元コロンドール大陸の白き森の奥地に住むエルフである。ドライアドは樹木の精霊のことだ。したがって、このクウィリーオンのドライアド(Quirion Dryad)は白き森の樹木に宿る精霊種族と考えられる。
カード・イラストは基本セット第10版再録時のバージョンと同じだ。このイラストを観察すると、このドライアドはエルフ女性に似た姿だが髪の毛は葉で、肌の色は緑である。見る限りでは衣服や装身具は身に着けていない。神秘的な光の玉がドライアドを囲むように漂っている。背景の森はコロンドールの白き森の木々だろう。
フレイバー・テキストによると、「自然外の影響に順応した自然の力」とある。「自然の力」がこのドライアドとすると、「自然外の力」は何を指しているのだろうか?カードのメカニズムに目を向けると、ドライアドは緑以外の4色のカードを使うと強化されていく。つまり、「自然外の力」とは緑以外の4色を表していると考えて間違いない。
物語的な側面を考えてみる。このカードが初収録されたカードセット「プレーンシフト」において、AR4205年のドミナリア次元はファイレクシアの侵略戦争下にあった。機械化したファイレクシア人の攻撃に対しドミナリア住人は故郷を守って戦っていた。その背景を考慮すれば、このクウィリーオンのドライアドが順応する「自然外の力」とは、侵略者ファイレクシア自身であり、かつ、クウィリーオン以外のドミナリアの味方勢力でもあった、と解釈できるだろう。敵に対抗する力と、味方と協力する力の両方だ。
フレイバー・テキストの発言者モリモ
ちなみに、フレイバー・テキストの発言者のマローの魔術師モリモ(Molimo, maro-sorcerer)はコロンドールから遠く離れたエローナ大陸のラノワールの森の化身である。AR4560年現在、モリモはラノワールの大樹ペンデルヘイヴン(Pendelhaven)の影で数世紀にわたり休眠状態となっている。現在のラノワールがドミナリアを襲った大災厄からいち早く再生したのはモリモのおかげである。
プレーンシフト初出版のイラストとフレイバー・テキストの和訳
不自然な作用に適応する自然の力を過小評価してはいけない。
–マローの魔術師モリモ
引用:クウィリーオンのドライアド(Quirion Dryad)のフレイバー・テキスト
プレーンシフト初出時の和訳
クウィリーオンのドライアド(Quirion Dryad)が初めて登場したカードセット「プレーンシフト」ではイラストには違うドライアドが描かれていた。このバージョンでは蔦の鞭を振り回している。
また、フレイバー・テキストの英語原文は初出時も再録時も一貫して同じ文章であるが、和訳版は初出時だけ少し違う文章に翻訳されていた。
基本セット2021への期待
最後に、クウィリーオンが住むコロンドール大陸は、AR4560年現在の状況は分かっていない。ただし、「The Art of Magic: The Gathering – Dominaria」によれば、AR4205年のファイレクシア侵略戦争以前のプレインズウォーカー戦争1でコロンドール大陸は壊滅状態だったとされる。
戦争から3世紀以上が経ち、ドミナリア全土が荒廃した裂け目時代(AR4305-4500年)も乗り越えて60年が過ぎた。カードセット「基本セット2021」にはコロンドールのマンガラ(Managara)も新規カードで収録されており、コロンドールの状況がある程度は解明されるのではないだろうか?
期待して待つ。今回はここまで。
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