不吉なワルツ(Sinister Waltz)はカードセット「イニストラード:真紅の契り」統率者デッキ収録のソーサリー・カードである。
今回は「真紅の契り」に収録される様々な舞踏会の踊り手たちを取り上げる記事だ。
不吉なワルツの解説
For one evening, the dueling bloodlines channeled their feuds into elaborate footwork.
今夜だけは敵対する血統も、確執の矛先を手の込んだ足さばきに向けた。
引用:不吉なワルツ(Sinister Waltz)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
不吉なワルツ(Sinister Waltz)はヴォルダーレン家の舞踏場を描いたカードだ。
オリヴィア・ヴォルダーレンとエドガー・マルコフの結婚式には全血統の吸血鬼が招待されている。普段は敵対しているような家同士であっても、今宵ばかりは血生臭い決闘ではなく舞踏場での踊りの巧みな足さばきで競い合うことにした。
カードのメカニズムは、あなたの墓地のクリーチャー・カード3枚から、無作為に選んだ2枚を戦場に出し、残りはライブラリーの一番下に置くというもの。ワルツのカードなので、戦場に出た2体は踊る2人組だろうが、それじゃあ残りの1枚の方は……誰にも踊りの相手に選ばれなかった可哀想な参加者なのだろうか?
不吉なワルツのイラスト
イラストを担当したJason Rainvilleによると、今まで手掛けたMTGのアートの中で一番多くの人物を描き込んだそうだ。(出典)
イラストの発注指示によれば、ヴォルダーレンの居城内のボールルーム(舞踏場)でのダンスシーンで、全ての血統の吸血鬼が優雅に踊っている。焦点が当たっている2人は、一方がヴォルダーレン家、もう一方がマルコフ家の吸血鬼だという。そして、様々な血統に属する吸血鬼たちの衣装は血統ごとに特徴が異なるようで、舞踏場の大勢の踊り手を描くために35ページ以上の参考資料が指定されていたようだ。(出典)
…ということは、つまりイラスト中央の男女の素性が明らかになったわけだ。
この右側の男性がおそらくヴォルダーレン家だ。なぜなら相手方の女性の衣装にマルコフ家の特徴があるからだ。
では、左側の女性の特徴的な棘付き装飾に注目していただきたい。実はこの棘々は今回のマルコフ家の特徴として散見されるデザインなのだ。
ヴォルダーレン家とマルコフ家の始祖同士が結婚する祝宴会場で、両家に属する別の一組がワルツを踊る。そこにあるのはロマンスがあるのか、それとも……?
舞踏場の踊り手たち
ヴォルダーレン家の舞踏場での踊り手を表現したカードは他にもいくつかデザインされている。それらのカードデザインの特徴は、踊る2人組をかなり意識していることだ。
該当カードをピックアップしたのでご覧あれ。
ファルケンラスの祝賀者
ファルケンラスの祝賀者(Falkenrath Celebrants)はカードセット「イニストラード:真紅の契り」収録のクリーチャー・カードである。
カード名で「祝賀者」と訳された「Celebrant」は文脈で色々と違う意味も出てくる言葉だが、このカードの場合は「祝賀会の参加者」の意味だ。
つまり、このカードはオリヴィア・ヴォルダーレンの結婚式に参列したファルケンラス家の吸血鬼2人組である。
カードのメカニズム上にも2人組のイメージが反映されている。
まず「威迫」能力により、ファルケンラスの祝賀者は2体以上のクリーチャーにしかブロックされないが、これは2人組なので1人では捌き切れないということだろう。
そして、戦場に出た時に生成する血トークンの数が2つであるが、これはイラストの2人がそれぞれに血のグラスを手にしていることに対応したものだと考えられる(つまり、2つのグラスに2つの血トークンが対応している)。
こちらのイラストでも吸血鬼の女性の組が描かれているものの、残念ながら踊ってはいない。
マルコフの円舞手
“I’ll lead.”
「私がリードするよ。」
引用:マルコフの円舞手(Markov Waltzer)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
マルコフの円舞手(Markov Waltzer)はカードセット「イニストラード:真紅の契り」収録のクリーチャー・カードである。
マルコフ家の吸血鬼でワルツの踊り手だ。踊りの相手に片手を差し出して誘っている。
このカードは戦闘時に最大2体のクリーチャーに+1/+0修正を与えるが、これは踊りの1組を表したものであろう。対象が2体に限定されないのは、ゲーム的な都合1であって、決して踊りの相手が見つからなくて寂しく孤独に踊る様子を想定したものではない……と思いたい。
特別版イラストの方でも紳士的に誘いの手を差し伸べている。
今回のセットでマルコフ家の装束を見るたびに思うのだが、肩などに生えている棘がとても特徴的で、力を感じるものがある。…だが、その棘々は踊りの時に邪魔にならないのだろうか?
魅惑する求婚者
“May I have this dance?”
「一緒に踊りませんか?」
引用:魅惑する求婚者(Alluring Suitor)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
魅惑する求婚者(Alluring Suitor)はカードセット「イニストラード:真紅の契り」収録のクリーチャー・カードである。両面カードであり、条件を満たして変身すると命取りの踊り手(Deadly Dancer)となる。
カードのメカニズムを見ると、ちょうど2体だけのクリーチャーで攻撃した場合に、このカードを変身させる機能がある。これは2人で踊るワルツを意識してるのだろう。
特別版イラストの求婚者の方は髭の男性で、通常版より年上に見える(吸血鬼の年齢は必ずしも外見とは一致しないが)。そして通常版と違って赤いバラの花束は持っていなく手ぶらであるが、花束なぞなくとも、という自信の現れなのか?
命取りの踊り手
命取りの踊り手(Deadly Dancer)は魅惑する求婚者(Alluring Suitor)が変身したカードの裏面側だ。
無事に求婚相手に承諾されたようで、2人で情熱的な踊りを舞っている。
カードのメカニズムはというと、この命取りの踊り手ともう1体のクリーチャーに+1/+0修正を与える強化能力がある。もちろんこれは求婚者と相手の2人をイメージしている。
特別版イラストの2人はより激しい踊りを披露している。
女性側の方だが、随分肌の露出が多い大胆な格好である。これはおそらく四大血統でもストロムカーク家(流城家)の特徴になる。
ストロムカーク家は始祖ルノ・ストロムカーク(流城のルノ)のイラストからも察せられるが……
このように肌の露出が……
多いのが服装の特徴なのである。
始祖ルノが古代の海神の崇拝者であり、ストロムカーク家の本拠地は海に繋がりの深いネファリア州にある。だから、水に濡れても平気な薄着を好んでいる……あるいはそんな理由なのかもしれない。
さいごに
今回は結婚式でも統率者デッキのカードを切り口として、「真紅の契り」のカードから舞踏場の踊り手たちをピックアップして記事にしてみた。
現時点では「真紅の契り」はまだ未発売であり、ストーリーの全貌も明かされてはいない。この煌びやかな大舞踏会場がこのまま無事に終わるとはとても思えないのだが、愛の言葉を交わし合う踊り手や求婚者たちは幸せを掴むことができるのだろうか……ストーリーの顛末が気になってならない。
せめて恋人たちの……
幸せを願って……
今回はおしまいとしたい。ではまた。
んん!?まさかストロムカーク家のルノさん!?