カード紹介:ペンドレル峡谷の礼拝堂

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ペンドレル峡谷の礼拝堂(The Tabernacle at Pendrell Vale)カードセット「レジェンド」に収録された伝説の土地カードである。

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追記(2022年3月8日):このカードのアートに関するトリビアを記事最後に節を新設して追記した。

ペンドレル峡谷の礼拝堂の解説

ペンドレル峡谷の礼拝堂(The Tabernacle at Pendrell Vale)

データベースGathererより引用

ペンドレル峡谷の礼拝堂(The Tabernacle at Pendrell Vale)はドミナリア次元ジャムーラ南西部スカーウッドの奥地にある虎人(Tigerfolk)の聖地である。「森の暗き中心(Dark Heart of the Wood)」と呼ばれるスカーウッドの森の奥地の浅い谷間にこの礼拝堂を中心とした都市がある。礼拝堂の大魔術師(Magus of the Tabernacle)は信奉者の人間の魔術師である。

ペンドレル峡谷の礼拝堂と都市の起源は虎人の創造神話にまでさかのぼる。虎人の創造神テレント・アメス(Terrent Amese)は虎と人間から虎人を創り出した。最初の虎人がオジャネン(Ojanen)であり、その名は「従僕(servant)」と「番人(sentry)」の両方を意味した。オジャネンはテレント・アメスの寵愛を受け虎と人間、虎人を繁栄へと導いた。ところが、AR27世紀頃、オジャネンはテレント・アメスに反逆し、スカーウッドを捨てて西のスクールヴィア砂漠のオアシスへと虎人を率いて移住してしまう。ペンドレル峡谷の礼拝堂と都市はこうして住人に見捨てられた廃墟となった。数世紀が経過し、オジャネンの反逆の理由や反逆の事実そのものは虎人の歴史から失われ、テレント・アメス信仰だけが受け継がれた。

ドミナリア:ジェディット・オジャネン
マジック・ザ・ギャザリング(MTG)の伝説のキャラクター「ジェディット・オジャネン(Jedit Ojanen)」を紹介。レジェンドに初収録。ドミナリアの最強の猫人戦士として語り継がれる虎人で、歴史上の英雄だ。

AR34-35世紀頃、最初のオジャネンの名を継ぐ虎人の英雄ジェディット・オジャネン(Jedit Ojanen)は数世紀にわたる虎人諸部族間の争いをまとめ、種族の聖地に帰還してペンドレル峡谷の礼拝堂と都を再建した。ジェディットが亡くなる頃には、この密林に栄えた虎人の大帝国はドミナリアの偉大なる国家に連なるほどになった。



トレイリア島のペンドレルとの関係は?

「ペンドレル峡谷」はジャムーラ大陸南西部であるが、ジャムーラより遠方にあるトレイリア島にも「ペンドレル」と名がつく霧や生き物などが存在する。ペンドレルと礼拝堂に関して公式記事や作品をこれまで調査してきた。

特集テーマ:ペンドレルと礼拝堂
様々な製品に収録されたカードの中から「ペンドレル(Pendrell)」に関するカードをピックアップしてストーリーや設定を解説。

今回調査したペンドレル峡谷の礼拝堂の設定詳細は、小説Hazezonによるものだが、そこではカードの特徴である「アップキープにマナを払わないとクリーチャーが失われる」に通じるような具体的な描写がないことも確認できた。ということは、ペンドレル峡谷の礼拝堂のイラストに描かれた霧がペンドレルの霧であるかも推測の域を出ないことになる。

結局のところ、ペンドレルという名称で繋がってはいるものの、両者にはカードのメカニズムの他に設定的な関連性がないことが分かった。……謎が残ってしまった。ジャムーラの峡谷とトレイリアの霧とを結びつけるような作品が今後発表されることを願ってやまない。

ペンドレル峡谷の礼拝堂のストーリー

ジェディット・オジャネン(Jedit Ojanen)

データベースGathererより引用

ペンドレル峡谷の礼拝堂の物語は小説Hazezonで読める。上述した物語の全てはこの作品中に書かれている。以下には主人公たちがペンドレル峡谷に初到来した際の内容を抜粋して概略を紹介する。

ジェディット・オジャネン、ハゼゾン・タマル、アディラ・ストロングハートらロバラン傭兵団はスカーウッドを訪れる。一行は居住地をゴリラ族に奪われたヒメバチのドルイド(Ichneumon Druid)と友好関係を結び、スカーウッドの森へと踏み入っていく。ジェディット虎人女性の祖霊(the tigeress ghost)に導かれ、スカーウッドの奥地「森の暗き中心(Dark Heart of the Wood)」に到達した。そこには7世紀もの間、廃墟として見捨てられた虎人の創造神テレント・アメス(Terrent Amese)の都が遺されていた。

聖都の礼拝堂には虎人の歴史を描いた絵画が続いていた。虎の先祖となる剣歯虎(Sabertooth Tiger)から始まり、テレント・アメスによる虎人創生、最初のオジャネンの先導による繁栄…。虎人女性の祖霊の姿もオジャネンと共に描かれており、彼女はかつてのオジャネンの恋人であった。しかし、歴史絵巻は唐突に途切れて終わっていた。オジャネンがテレント・アメスに反逆したのだ。

ウル=ドラゴ(Ur-Drago)

データベースGathererより引用

虎人女性の祖霊の態度が豹変し、ジェディットを裏切者と罵り復讐を叫ぶ。礼拝堂の奥から怪物「ウル=ドラゴ(Ur-Drago)」が出現しジェディットに突撃してくる。テレント・アメスは反逆者オジャネンに罰を与えるためこの怪物を創り出して廃都に住まわせていたのだった。いにしえからの因縁の対決が始まった。(→ウル=ドラゴの記事も参照)



クレイトン・エマリィ!

小説Hazezonでは「The Tabernacle at Pendrell Vale」と「The Tabernacle of Pendrell Vale」の両表記が混在している。ちなみに「Dark Heart of the Wood」も「the Wood」と「the Woods」が入りまじって登場する。

クレイトン・エマリィの作品ではよくあることだが、登場人物が感嘆や罵りの場面や単に言葉の調子を揃えるために固有名詞を口にする。小説Johanではハゼゾン・タマルが少なくとも3回「礼拝堂の塔よ(Tower of the Tabernacle)」と漏らしている。この作品はレジェンドサイクル1小説三部作の1作目だが、2作目以降ではこの言い回しは全く出てこなくなる(上述の通り3作目小説Hazezonでは、まさに「礼拝堂(Tabernacle)」その場所にハゼゾン自身も訪れているのだが…)。「Tower」と「Tabernacle」で頭韻を踏んでいる以外にこの言い回しに特に意味はない。



ペンドレル峡谷の礼拝堂のトリビア

イラストの担当者Nicola Leonardによると、当時のアート指示はカード名といくつかのカードのゲーム的な情報を与えられるだけで、アーティストはかなり自由に発想して描き、それが受け入れられていた。このカードのイラストはスコットランド民話のBrigadoonをもとにして創作しており、静かな隠れ谷の神秘的な場所で、200年ごとに霧の中から現れ、それに偶然出くわす旅人たちもいると考えた。また、カラカス(Karakas)でミャンマーのシュエダゴン・パゴダをモチーフにしたように、実在する場所や歴史的な場所をアートの題材にするのが好きな理由は、そこがとても魅惑的であり素晴らしい歴史と文化に満ちているからだ、とも語った。(出典:Interview with Artist Nicola (Leonard) Beeson

ペンドレル峡谷の礼拝堂(The Tabernacle at Pendrell Vale)のイラストを見ると、イングランドのノッティンガムシャーにあるサウスウェル・ミンスターの建物が非常に酷似している点が指摘されており、このイラストもインタビューで語った通り現実の場所を題材にした創作だったと考えられる。

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