テヴェシュ・ザットの信奉者(Disciple of Tevesh Szat)はカードセット「コールドスナップ」収録のクリーチャー・カードである。
カードセット「統率者レジェンズ」でテヴェシュ・ザット本人がカード化して、本サイトではテヴェシュ・ザットのストーリーや背景設定などを最近の記事で扱ってきた。
今回は少し軽めにテヴェシュ・ザット関連の過去カードを取り上げたい。
テヴェシュ・ザットの信奉者の解説
“You pray to Freyalise, but she cannot hear your pleas. It is Tevesh Szat who will claim your soul.”
フレイアリーズに祈ろうが、やつはお前の願いなど聞きはせぬ。お前の魂はテヴェシュ・ザット様のものだ。
引用:テヴェシュ・ザットの信奉者(Disciple of Tevesh Szat)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
テヴェシュ・ザットの信奉者(Disciple of Tevesh Szat)はプレインズウォーカーのテヴェシュ・ザット(Tevesh Szat)に献身する者たちである。
このカードが収録されたカードセット「コールドスナップ」はドミナリア氷河期が終わったすぐ後の時代(20数年後)を描いている。この時代にはテヴェシュ・ザット本人はドミナリア次元を離れており、この信奉者たちは主人不在のドミナリアに取り残されつつも信仰と忠誠を尽し続けている。
こういったテヴェシュ・ザットに献身する者たちは氷河期中にも確認できる。その代表例を挙げるなら、コミック版アイスエイジvol.1の氷河王国ストーガードのミーコ王(King Miko)や屍術師リム=ドゥール(Lim-Dûl the Necromancer)の2人は外せない。
フレイバー・テキストに目を向けると、プレインズウォーカーのフレイアリーズの名前が出てきている。テヴェシュ・ザットとフレイアリーズは氷河期のストーリーで宿敵同士として描写された因縁がある。信奉者同士も敵対していて当然だ。
テヴェシュ・ザットの信奉者のイラスト
テヴェシュ・ザットの信奉者のイラストには、テヴェシュ・ザットにまつわる要素が盛り込まれていると感じた。テヴェシュ・ザットの出身地で諸帝国を崩壊させたサーペイディア、そして、ドミナリアに生きる全生命の絶滅を画策した氷河期の諸々の要素だ。
いつも通り、イラストを並べて比較図を作成してみた。
赤丸で囲んだのは切り裂かれた瞼、緑丸は短剣、水色四角の囲みは丸い鉢を示している。
では、イラストごとに類似点・共通点を説明しよう。
コミック版アイスエイジ
コミック版アイスエイジvol.1のテヴェシュ・ザットとミーコ王の会談。このイラストはテヴェシュ・ザットがコミックに初登場した記念すべきシーンである。
ストーガード氷河王国の隠された祈祷の間において、ミーコ王が恭しくひざまずいてテヴェシュ・ザットから助言を授かっている。ミーコ王の前には丸い大鉢が置かれている。
このイラストは、テヴェシュ・ザットの信奉者のイラストと類似性が高い。第1に「ひざまずく信奉者」、第2に「信奉者の前の丸い鉢」、第3に「テヴェシュ・ザットの触手」である。第1と第2の要素は明白だ。3番目についてはコミックの方はテヴェシュ・ザット本人の触手で、カードの方はテヴェシュ・ザットを模した人工物という違いはある。
テヴェシュ・ザット初登場シーンに合わせてカードのイラストがデザインされていてもおかしくはない。そう思えるくらい似ている。
Gaze of Pain
Remove the guardians to ensure your victory.
勝利を確定するために守護者を排除せよ。
引用:Gaze of Painのフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が私家訳
「Gaze of Pain」すなわち「苦痛の凝視」はカードセット「アイスエイジ」に収録されたソーサリー・カードである。上下の両瞼が縦に切り裂かれている強烈な印象のイラストだ。
テヴェシュ・ザットの信奉者のイラストもよく見ると、この苦痛の凝視と同じく瞼を切っているのが確認できる。このアイスエイジのカードを意識して取り入れたのは明らかである。
Implements of Sacrifice
Relics of the Order of the Ebon Hand, the bowl and dagger bespeak the hideous cruelty of its rituals.
漆黒の手教団の秘宝である鉢と短剣が身の毛もよだつ儀式の恐ろしさを物語っている。
引用:Implements of Sacrificeのフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が私家訳
「Implements of Sacrifice」すなわち「生け贄用の祭具」はカードセット「フォールン・エンパイア」に収録されたアーティファクト・カードである。
このカードはサーペイディア大陸の漆黒の手教団が用いていた丸い鉢と黒い短剣を表している。
テヴェシュ・ザットはサーペイディア出身だが漆黒の手教団と直接的な関係性を持っていない。とはいえ、これらのサーペイディア様式の祭具はテヴェシュ・ザットの信奉者のイラストで描かれているものと類似性が認められるものだ。鉢と短剣で一組で扱われ、メカニズム上は血や生命を捧げて何らかの恩恵を授かるもので、これらは両者に共通している。
ただし、テヴェシュ・ザットの信奉者とImplements of Sacrificeを比べると、鉢の大きさも短剣の刃の形状もピッタリ同じというものではない。また、コミック版アイスエイジのイラストには丸い鉢が置かれているものの、色も大きさも全く違うし、短剣の方が存在しない。このImplements of Sacrificeに関しては、私は少々こじつけて深読みしすぎているかもしれない。
テヴェシュ・ザットの信奉者のイラストまとめ
テヴェシュ・ザットの信奉者のイラストには、テヴェシュ・ザットにまつわるコミックや過去カードの要素が盛り込まれていると確認ができた。テヴェシュ・ザット初登場シーンとの類似性はかなり高いし、Gaze of Painの切り裂かれた両瞼に至っては確実である。このカードは制作陣の過去へのリスペクトが感じられる1枚であった。
では今回はここまで。