カードセット「団結のドミナリア」の短編ストーリー「死と救済(Death and Salvation)」の雑感を記す。
この作品の公式和訳版には最後の最後、最重要部分にとんでもない誤訳がある。本サイトは、この部分を見過ごしたまま放っておくわけにはいかないので、こうして記事化して誤った情報の拡散を幾分かでも防ぎたいと考えた次第だ。8月18日翻訳一部改訂として既に問題は解消されている。
※ 本記事は性質上、ネタバレとなってしまうので先に短編を読了してから読むことを強く推奨する。
関連記事:連載ストーリー第1話、第2話、第3話、第4話の雑感。
追記再編集(2022年8月19日):公式和訳版において問題のあった部分の文章がより正しいものに変更された。それに応じて本記事に再編集を加えた。
短編「死と救済」公式リンク
Death and Salvation

サイドストーリー:死と救済

短編「死と救済」雑感
短編ストーリー「死と救済(Death and Salvation)」を読んでの雑感を思いつくままにザックリと書き記していく。
基本の方針は連載ストーリー第1話の雑感と同じ
短編「死と救済」の舞台
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短編ストーリー死と救済の舞台ドミナリア世界地図
ドミナリア次元オタリア大陸のとある山である。元々ゴブリンが居住していたとの情報があるので、オタリアの大山脈地帯の南半分を占めるスカーク分水嶺(Skirk Ridge)だと考えられる。
最重要部分の誤訳
この節は公式和訳版における誤訳を指摘したものだが、8月18日翻訳一部改訂として既に該当部の文章は変更され、問題は解消されている。
この節は変更があったという記録として残したものだ。
「救さん、おいらは戻りたい、けどもうひとつお願いがあるんだ。誰かをびっくりさせてやりたい、できるだけ長く。おいらは死んだって思って、それからそうじゃないってわかって、泣いて笑ってるところが見たい」
公式和訳版の短編「死と救済」(8月18日翻訳一部改訂前)より引用
この公式和訳は完全に誤訳である。
不死者である主人公スクイー(Squee)の発言である。短編の最後で「今までのように死から蘇る」か、「今度こそ死ぬ」か、どちらを選んでもよい。そう問われた際に、第3の選択として、自分の望みを赤裸々に打ち明けている。
公式和訳版の文章は、生き返りを選ぶが、誰かを騙す死んだふりの悪ふざけをしたい。それで笑って済ましたい。といった旨の内容となっている。生き返る理由が何ひとつとして合っていない。
原文の確認
“I wanna go back, Sally, but I only want one more. I want a chance to last as long as I can, a chance to blow somethin’ up, think I’m dead for a minute, realize I’m not, and then cry laughing.”
短編Death and Salvationより引用
短編の原文はこうなっている。
細かい説明は抜きにして、私がこれを訳したものが以下になる。
再翻訳
おいらは戻りたいんだ、サリー。でもこれ1回きりでいいよ。自分でやれるだけやったらお終いってチャンスでいい。なにかを吹っ飛ばして、おいら死んだかもってちょっと思うんだけど、まだ生きてるって気が付いてさ、笑って泣いちゃったみたいな、そういうチャンスでいいんだ。
上記引用部の私家訳
本当はスクイーはこんなことを語っている。
私のこの翻訳は言葉も補っているし、意訳もしている。だが、スクイーの発言の要点はこうなのだ。
スクイーはもう不死でも不老でもない。ファイレクシアの改造も元通りになっているが、並のゴブリンのように傷つき、死にうるのだ。それを彼は自分の意志として選んだのだ。
8月18日翻訳一部改訂後
「救さん、おいらは戻りたい。けどあと一回だけでいい。あと一回だけがんばって長く生きて、その生きたので何かぶっとばして、おいら死んだって思って、けど死んでないってわかって、泣いて笑いたい」
公式和訳版の短編「死と救済」より引用
公式和訳版は8月18日翻訳一部改訂として、問題のあった上記該当部を含む少なくとも2か所の文章をより正しい内容に書き換えている。上の引用は変更後のより正しくなった文章である。
時間が出来たら、もう少しじっくりと書き上げたい。
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