統率者レジェンズ:アーボーグの暴君、ネビニラル

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アーボーグの暴君、ネビニラル(Nevinyrral, Urborg Tyrant)はMTG史上最古のキャラクターの1人である。

MTGの歴史27年目となった2020年、ネビニラルは今回カードセット「統率者レジェンズ」で初のカード化となった。初登場からカード化までの期間27年は現時点で最長記録である。

本記事ではネビニラルの設定とストーリー、関連するカードなどをまとめて解説しよう。最古のキャラクターだけあって最古のカード群に何かと関連付けられたカード化のようのだが……。

追記(2020年11月12日):The Art of Magic: The Gathering – Dominariaの情報を追加

アーボーグの暴君、ネビニラルの解説

アーボーグの暴君、ネビニラル(Nevinyrral, Urborg Tyrant)

公式カードギャラリーより引用

アーボーグの暴君、ネビニラル(Nevinyrral, Urborg Tyrant)はドミナリア次元の歴史に名を刻む強力な屍術師でありリッチの王である。氷河期以前の時代(暗黒時代1)に巨大都市アーボーグを支配していた。

不死者たるリッチは「聖句札」という魔法の物品に魂を封じて守っている。ネビニラルの聖句札は円盤型をしており、イラストではペンダントとして首から下げているのが確認できる。かの有名なネビニラルの円盤(Nevinyrral’s Disk)である。

ネビニラルのカードとしての機能を見る。代名詞である円盤が「アーティファクト、クリーチャー、エンチャントの全破壊」であったことと、ストーリーで円盤を使って敵諸共に自爆したことを踏まえてか、「アーティファクト、クリーチャー、エンチャント」限定の呪禁を持ち、死亡時に1マナ払えば「アーティファクト、クリーチャー、エンチャント全破壊」を実行できる。また、ゾンビ・トークンの生成の方は強大なリッチである設定を反映した能力にほかならない。

私見ではあるが、このネビニラルと言うキャラクター造形はカードセット「アイスエイジ」よりも前のカードセットから要素を抜き出して組み合わせ、構築されていると思われる。特に「リミテッドエディション(基本セット第1版)」と「レジェンド」のカードからの引用が要素の大部分を占めている。2



ネビニラルと言うキャラクターの経緯

ここではネビニラルと言うキャラクターがMTG史においてどういった扱いであったかを語りたい。

※ この節ではネビニラルの設定やストーリーには言及していない。設定やストーリーを望むなら、この節は読み飛ばして次の節に進んでも構わない。

ネビニラルはMTG史上初のカードセット「リミテッドエディション(基本セット第1版)」に収録されたネビニラルの円盤(Nevinyrral’s Disk)が初出だ。

ネビニラルの円盤(Nevinyrral's Disk)

ネビニラルの円盤(Nevinyrral’s Disk)
データベースGathererより引用

この円盤は、アーティファクト、クリーチャー、エンチャントを全部破壊する効果を持ち、無色なのでデッキの色を選ばない汎用性も備えており、MTG黎明期から高く評価され、使われ続けてきた有名カードである。

「ネビニラル(Nevinyrral)」と言う名前は作家ラリー・ニーヴン(Larry Niven)の名前を後ろから逆に並び替えたジョークであった。それゆえかネビニラルという人物も冗談扱いと受け取られていたようで、ウィザーズ社公式も設定やストーリーを特に公開していなかった(おそらくこの時点では設定もストーリーも存在すらしていなかった)。

そしてMTG誕生から4年が経過し、ピート・ヴェンタース(Pete Venters)がMTGのコンティニュイティ部門で辣腕を振るう時代になった。カードや小説、コミック、雑誌記事、カレンダーのコメントなどに至るまで…既存の全情報を整理して統合し、MTGの世界再構築が徹底的に行われた。多元宇宙のコスモロジーが体系化され、時系列の辻褄合わせと年表化が進み、カードセットはビジュアルの統一感が保たれるように変化し、ドミナリアの各地の地図やドミナリア地球儀も作成された。雑誌やサイトでのストーリーや背景世界記事、小説作品は密度を濃くしていった。

1997年、ピート・ヴェンタースはDuelist誌19号記事Dominian Chroniclesにおいてネビニラルのストーリーを初めて公開した。アーボーグはカードセット「ウェザーライト」の舞台の1つであり、このセットの黒の代表地であったので、この地の歴史と地勢、現在を解説する上でネビニラルのストーリーが語られたのだった。

以降、ネビニラルはいくつかのカードのフレイバー・テキストで名前を見せるようになり、細々と存在を主張するようになった。2018年発売のThe Art of Magic: The Gathering – Dominariaでは、ネビニラルが都市アーボーグを支配し破滅した時代が「暗黒時代」だとの1文が記載された。とはいえ、Duelist誌19号記事を超える情報が明かされることはなかったのである。

登場以来27年経った2020年、ネビニラルはカードセット「統率者レジェンズ」でカード化を果たした。カードのレビュー記事公式邦訳)では改めてネビニラルの設定とストーリーが語り直されている。その内容の大部分はDuelist誌19号と同じであるものの、ボガーダンとの戦争の推移や火山噴火の原因、円盤が聖句札であったこと、レジェンドサイクル2小説三部作を踏まえたボガーダンの描写などの新情報や深掘りがされている。イラストにその姿が描かれたのは今回が初めてだ。

カード化の発表はユーザーの反響を呼んでいるが、ネビニラルが人名であると初めて知ったユーザーも多い感触を受ける。20年以上前の絶版雑誌に拠らずとも、公式サイトで誰でも設定とストーリーが閲覧できるようになったのは、本人のカード化以上に歓迎したい。

こうしてカードとして具体的な姿形を持った人物と一般ユーザーに認知されたことで、ネビニラルはようやくキャラクターとしての確固たる存在感を得られたのだ。

アーボーグの暴君、ネビニラルのストーリー

ネビニラルの設定とストーリーはDuelist誌19号記事Dominian Chroniclesおよびカードセット「統率者レジェンズ」レビュー記事Your Wish Is My Commander Legends, Part 2の2つで語られているので、ここでまとめてみた。

アーボーグ(Urborg)とボガーダン(Bogardan)
現代ドミナリア地図

ネビニラルは氷河期より前の時代(暗黒時代)にアーボーグ(Urborg)の都市を支配していた。

ネビニラルの時代には、「アーボーグ」とはまだ島の名前ではなく彼の支配する都市のみを指し示す名称であった。アーボーグは強力な魔法のアーティファクト群の力によって法が施行される地獄めいた巨大都市だ。力を渇望するネビニラルは近隣の火山島ボガーダン(Bogardan)にアンデッドの軍団を派兵し、かの地を支配する神のごとき謎の存在達との戦争を起こした。

ボガーダンのヘルカイト(Bogardan Hellkite)

ボガーダンのヘルカイト(Bogardan Hellkite)
データベースGathererより引用

ところがネビニラル軍は打ち負かされてしまい、ボガーダンからの反撃を受けることとなった。空からはヘルカイト・ドラゴンが襲来し、都市アーボーグは火炎の達人魔導士たちに包囲された。達人魔導士がグラウンドパウンダーで大地を打つとそれが引き金となって、都市は中心部で噴火が起こり、溶岩の海に呑み込まれていく。

Urborg

MTG史上初のアーボーグ関連のカード「Urborg」
データベースGathererより引用

都市を失い敗北を悟ったネビニラルは自身の魔法、アーティファクト、財宝を敵の手に渡してなるものかと、全魔法を聖句札に注ぎ込んで爆破させた。ネビニラルの自爆によって、都市から10マイル以内の全てのものが蒸発したのだった。

アンデッドの王(Lord of the Undead)

後世アーボーグのリッチの王を描いたカードの1つ
アンデッドの王(Lord of the Undead)
データベースGathererより引用

ネビニラルはこうして滅んだ。後世では、島自体がアーボーグと呼ばれており、この地のリッチの王や屍術師の中にはネビニラルの後継者や腹心を自称する者たちが大勢現れることになった。だが、それらの実力はネビニラルの10分の1にも満たないと言われている。

以上がネビニラルにまつわる物語である。



ネビニラルの円盤

続いて、ここではネビニラルの代名詞的カードネビニラルの円盤(Nevinyrral’s Disk)について解説する。

ネビニラルの円盤は先述したようにカードセット「リミテッドエディション(基本セット第1版)」収録のカードで、ネビニラルの名前が初めて出てきたカードである。

Nevinyrral’s final act of spite was to make sure all of his magic was destroyed along with him.
ネビニラルの最後の嫌がらせは、自分の魔法がすべて、自身とともに破壊されるようにすることだった。
引用:ネビニラルの円盤(Nevinyrral’s Disk)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

ネビニラルの円盤(Nevinyrral's Disk)

ネビニラルの円盤(Nevinyrral’s Disk)
公式カードギャラリーより引用

この円盤はネビニラルと一緒にカードセット「統率者レジェンズ」で再録されている。イラストは2010年の製品From the Vault:Relicsで刷新されたもので、それ以降はこれで定番化している。ネビニラル本人のカードイラストでも、円盤はこちらのデザインで描かれている。そして、フレイバー・テキストは今回新規に追加されたもので、ネビニラルの最期に言及している。

ネビニラルと円盤

この円盤はネビニラルにとっては自分の魂を封じた「聖句札」である。ストーリーではネビニラルは自分の全魔法を注ぎ込んで爆破して、周囲10マイルを蒸発させた自爆装置でもあった。

ネビニラルのイラストを観察すると、首からペンダントとして吊り下げた円盤が確認できる以外にも、随所に円盤のデザインを意識した同系統の意匠が散りばめられていることが分かるだろう。

リッチと聖句札とは:
聖句札の死者(Phylactery Lich)

聖句札の死者(Phylactery Lich)
データベースGathererより引用

リッチ(Lich)は元々「死」「死者」を意味する単語だが、RPGのD&Dで高位魔術師のアンデッド・モンスターを意味する名前として用いられた。MTGでもリッチはD&Dとほぼ同様のイメージのアンデッドとしてカード化されている。ただし、MTGの和訳では長らく「死者」と訳されてきたため、和訳名を見ただけではそれがリッチであるかどうかが判別しづらくなっている。


不死者たるリッチは「聖句札(Phylactery:せいくふだ、フィラクタリー)」という魔法の物品に魂を封じて守っている。聖句札が失われない限り滅ぼされることはないのだ。これもD&Dのリッチからの設定である。MTGでは聖句札の死者(Phylactery Lich)のカード名で「聖句札」と訳された。

Lich

MTG史上初のリッチを表現したカード「Lich」
データベースGathererより引用

MTGではプレイヤーをリッチ化させるようなメカニズムのカード群がある。「リミテッドエディション(基本セット第1版)」収録のLichはまさにその元祖だが、ライフが0でも負けなくなるなどのメリットがあるもののこのLichが失われるとプレイヤーは敗北するデメリットが持たされている。いわばLichのカード自体がプレイヤーの聖句札になっているのだ。

保護器(Conservator)

保護器(Conservator)
データベースGathererより引用

余談だが、刷新後のネビニラルの円盤のイラストは保護器(Conservator)にかなり似ているように感じる。カードセット「リミテッドエディション(基本セット第1版)」初出のこのカードは円盤と同期の最古のカードの1つだが、その縁で敢えて似せたのだろうか?

この保護器はデザインの類似性からネビニラルの所有したアーティファクトの1つと言われても納得できてしまいそうだ。

次の節はネビニラルのイラストを観察して検証する。

アーボーグの暴君、ネビニラルのイラスト

プレビュー記事扉のアーボーグの暴君、ネビニラル(Nevinyrral, Urborg Tyrant)の大画像を観察していたところ、このイラストには昔のカードの要素がいくつか盛り込まれていると気付いた。

その昔のカードとは3種類。ネビニラルの円盤(Nevinyrral’s Disk)Lich破滅のロッド(Rod of Ruin)である。いずれも初出はカードセット「リミテッドエディション(基本セット第1版)」のカードだ。

ネビニラルの円盤との比較

ネビニラルの円盤(Nevinyrral's Disk)

ネビニラルの円盤(Nevinyrral’s Disk)
公式カードギャラリーより引用

一番最初に目につくのはやはりネビニラルの円盤(Nevinyrral’s Disk)だ。前節でも指摘した通り、首から下げた円盤があり、それ以外にも円盤を意識した同系統の意匠が認められる。ローブの襟の縁飾り、ベルトのバックル、頬から飛び出ている円形の装身具などだ。

Lichとの比較

Lich

Lich
データベースGathererより引用

円盤の次に気付いたのはネビニラル本人の顔がLichのイラストとかなり似ていると言うことだ。そして2つのイラストを並べてみると全体的なポーズや着ているローブも非常に共通する要素があると感じられた。

ネビニラルとリッチの比較図
1:赤は顔
2:青はローブ
3:緑は両腕

上の比較画像をご覧いただきたい。

まず赤丸で囲ったのは「顔」だ。骨と皮だけになって干からびた皮膚感、落ち窪んだ眼窩、むき出しの歯茎と半開きの口、耳から後ろが被り物で隠れている点が同じである。

次に、青で示したのは「ローブ」だ。全体的にボロボロで前開きであること、そしてピンと立てた襟と末広がりの袖が共通している。

そして最後に緑は「両腕」のポーズだ。右腕は肘を曲げて上向きで、左腕は肘を曲げて下向きである。

破滅のロッドとの比較

破滅のロッド(Rod of Ruin)

基本セット第10版バージョンの破滅のロッド(Rod of Ruin)
データベースGathererより引用

最後はネビニラルの持つ杖のデザインだ。これは破滅のロッド(Rod of Ruin)に似ている。このカードはバージョン違いのイラストが多数あるが、似ているのはカードセット「基本セット第10版」再録時のイラストだ。

ネビニラルの杖と破滅のロッドの比較

長い杖と短めのロッドの違いはあるが、先端には杖から放射状に突き出た板が複数あり、基本の造りは同じである。

Lichはネビニラル本人ではない

以上のような類似要素が見つけられたことで、ネビニラルのイラストは最古のカードを意識して生み出されたことが窺い知れる。特にLichのカードとは全体像がかなり似せてあるので、時代を遡って、Lichはネビニラルの別バージョン・イラストだと見做すことすらできそうではある。

……だが、Lichはネビニラル本人ではない。かつてウィザーズ社は公式にLichのカードはネビニラルではないと否定した記録が残っているからだ。

Duelist誌27号記事Dominian FAQにおいてこんな質問があった。「たしかネビニラルがリッチだとどこかで見たんだけどストーリーはあるの?円盤は?Lichのカードはネビニラル?」と言った感じ。それに対するピート・ヴェンタースの回答は、ネビニラルと円盤のストーリーは19号に掲載していることとストーリー概要をかいつまんで説明した後に「It’s unlikely he’s alive, and rumors that he snuck onto the Lich card are false….(彼が生きている可能性は低いし、Lichのカードに忍び込んだって噂は間違い……)」と結んでいる。

そういうわけで、Lichはネビニラルではない。ネビニラルのイラストはLichのオマージュではあろうけれど。

さて、次の節ではネビニラルと戦争したボガーダンについて取り上げよう。

ボガーダンの達人魔導士とグラウンドパウンダー

ネビニラルのストーリーにはボガーダンの「達人魔導士(master mage)」と「グラウンドパウンダー(Ground-Pounder)」が登場している。

ボガーダンの達人魔導士(master mage)はサークル(circle)と言う階級組織を形成している。サークルは下から上まで10の階級が刻まれ、例えば、「第6サークル達人(sixth circle master)」と言ったふうに名乗り呼ばれる(数が大きいほど上位)。

グラウンドパウンダー(Ground-Pounder:「地面を殴打するもの」の意)は1組の篭手やナックルダスター型をしたボガーダンの魔法道具である。達人はグラウンドパウンダーで地面を叩き、地下深くの赤マナ源である溶岩の力にアクセスすると、微震を起こし、土地を隆起させ、地割れを作り、岩や溶岩、熱、炎、火山性ガスを武器として振るうことができるのだ。グラウンドパウンダーを両手にはめた達人魔導士は並の兵士では歯が立たず、時には1人で戦場の地形すら変化させて部隊以上の働きを見せるのである。

これらはアーボーグの暴君、ネビニラルのレビュー記事Your Wish Is My Commander Legends, Part 2でボガーダンとの戦争に触れた件で登場している。「fire masters」および「Pounding the ground with their metal-gauntleted fists, the Bogardan masters triggered a volcanic eruption in the middle of Urborg.」の部分だ。

この記事の公式和訳版あなたの望みが『統率者レジェンズ』 その2では「fire masters」は「炎使い」となっているが、上述したように炎を使う単なる魔導士ではなくボガーダンでは達人階級の魔導士を指している。

この達人とグラウンドパウンダーの設定はレジェンドサイクル2小説三部作に出典がある。2作目小説Emperor’s Fistでは、ボガーダンの達人魔導士コロー・メハ(Kolo Meha)がグラウンドパウンダーをはめて敵陣に乗り込み活躍する場面が数章に渡ってある。また、達人魔導士のサークルについての解説も三部作で何度かに分けて説明されているものだ。

23年前のDuelist誌記事Dominian Chroniclesではネビニラルとボガーダンの戦争は詳細不明とされ、アーボーグの都市が噴火した原因も書かれていなかった。つまり、統率者レジェンズでネビニラルのストーリーが再構成された時に、ボガーダン側にレジェンドサイクル2設定の描写が新たに加えられて深掘りされたことになる。

ストーリーや設定や検証などの重たい話は以上でおしまい。後は個別の関連カードを取り上げる。



アーボーグの暴君、ネビニラルの関連カード

本記事の残りでは、ネビニラルに関連するフレイバー・テキストを持つ各種カードを個別に取り上げることにして結びとする。

蠢く骸骨

“The dead make good soldiers. They can’t disobey orders, never surrender, and don’t stop fighting when a random body part falls off.”
–Nevinyrral, Necromancer’s Handbook
死者は兵士に絶好である。命令に逆らうこともなければ、降伏することもありえない。しかも、身体のどこかが取れたぐらいでは戦いをやめないのだから。
–ネビニラル「ネクロマンサーの手引き」
引用:蠢く骸骨(Drudge Skeletons)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

蠢く骸骨(Drudge Skeletons)

基本セット2010再録版蠢く骸骨(Drudge Skeletons)
データベースGathererより引用

蠢く骸骨(Drudge Skeletons)はカードセット「基本セット第5版」で再録されて以降、フレイバー・テキストがネビニラル関連のものになった。このアンデッド・クリーチャーは屍術によって働かされる骸骨の下僕である。

ちなみに、フレイバー・テキストの「ネクロマンサー」は第5版当時の「Necromancer」の訳語だが、かなり前から「屍術師」が定訳に改められている。

また、カード名で「蠢く」と訳された「Drudge」は本来は「こつこつ働く」「奴隷のように働く」と言った意味で、このカード以降のカードでも長らく「蠢く…」が踏襲されていたが、カードセット「ドミナリア」収録の「酷役の歩哨(Drudge Sentinel)」で、ようやく辞書的に正しい意味合いを含む「酷役」と翻訳された。

円盤の大魔術師

Studying the journals of the necromage Nevinyrral leaves disciples gripped with the urge to exercise his draconian judgment.
屍道士ネビニラルの日誌を学ぶことで、信奉者達は彼の過酷な審判の実行に駆り立てられていく。
引用:円盤の大魔術師(Magus of the Disk)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

円盤の大魔術師(Magus of the Disk)

円盤の大魔術師(Magus of the Disk)
データベースGathererより引用

円盤の大魔術師(Magus of the Disk)はドミナリア裂け目時代(AR4306-4500年)のネビニラルの信奉者である。

カードの能力はネビニラルの円盤(Nevinyrral’s Disk)と同等の機能があり、カードのイラストにも円盤が描かれている。

ネビニラル本人のカードの色に「白」が含まれているのは、このカードの存在があったからかもしれない。屍術師でリッチであることはMTGでは通常「黒」に属することなのだから。

墓暴き

“I deal so often in rotting corpses that when I come across the freshly dead… why, it’s like my birthday come early.”
–Nevinyrral, necromancer
「いつも腐れ落ちた亡骸ばかり扱うものだから、新鮮な死体に出くわすと……何だか、誕生日が早く来たみたいだ。」
–屍術師ネビニラル
引用:墓暴き(Disentomb)のフレイバー・テキスト(カードセット「基本セット2013」再録版)
上が英語原文。下が和訳製品版

墓暴き(Disentomb)

カードセット「基本セット2013」再録版の墓暴き(Disentomb)
データベースGathererより引用

墓暴き(Disentomb)のカードセット「基本セット2013」再録版では、フレイバー・テキストがネビニラルのコメントとなっている。大屍術師にしてリッチの暴君が「誕生日が早く来たみたいだ」と茶目っ気のある発言をしていて面白い。

闇の取り引き

“I have pustules of the great Ratadrabik, very cheap. No? Surely you’ll want a tincture of Nevinyrral’s pulverized remains. Genuine!”
「大ラタドラビックの膿疱がある。安くしとくよ。だめかい?じゃあ、ネビニラルの屍骸粉液ならいいだろう。本物だよ!」
引用:闇の取り引き(Dark Bargain)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

闇の取り引き(Dark Bargain)

闇の取り引き(Dark Bargain)
データベースGathererより引用

闇の取り引き(Dark Bargain)はカードセット「ドミナリア」収録のカードである。カードのイラストはAR4560年頃のアーボーグの露店を描いており、フレイバー・テキストでは「ネビニラルの屍骸粉液」が売りに出されている。

ネビニラルの屍骸粉液」と訳された「a tincture of Nevinyrral’s pulverized remains」だが、原文を噛み砕いていうなら「ネビニラルの遺骸をすり潰してアルコールに抽出した薬剤」である。4000年以上前に滅んだネビニラルの遺骸がまだ残っていて、こんなで店で売られているとはにわかに信じられない。あきらかにインチキな代物だ。

ちなみに「大ラタドラビックの膿疱(pustules of the great Ratadrabik)」の方はと言うと、「pustule」は「皮膚にできた膿の溜まった水膨れ」やそれに似たいぼ状のものを指す。そして「ラタドラビック(Ratadrabik)」は時のらせんブロックのフレイバー・テキストで登場したアーボーグの人物で、それ以外の情報はない(いつかはネビニラルのように設定が作られ、カード化されることがあるかもしれない)。3

悪魔の知識

「偉大な文学作品は読者を永久に変えてしまう。」
–アーボーグの暴君、ネビニラル
“The greatest works of literature leave the reader forever altered.”
–Nevinyrral, Urborg tyrant
引用:悪魔の知識(Demonic Lore)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

悪魔の知識(Demonic Lore)

悪魔の知識(Demonic Lore)
公式カードギャラリーより引用

悪魔の知識(Demonic Lore)カードセット「統率者レジェンズ」収録のエンチャント・カードである。

このカードはネビニラル本人のカード・レビューに先行して公開されたもので、アーボーグの暴君(Urborg tyrant)という称号はこのフレイバー・テキストで初めて出てきたものだ。



おまけ:ネビニラルのディスコ

Ladies' Knight

Ladies’ Knight
データベースGathererより引用

ジョークセット「アンヒンジド」収録のLadies’ Knightのイラストには「ネビニラルのディスコ(Nevinyrral’s Disco)」の看板が描かれている。

もちろんこれは「円盤(Disc)」と「ディスコ(Disco)」をかけたダジャレに過ぎない。余談だがイラストの一番左にいる女性は天使アクローマ(Akroma)だ。彼女もネビニラルと一緒にカードセット「統率者レジェンズ」に新カードで収録されることになっている。

さて、最後におバカなカードを紹介した。今回はここまで。

アーボーグの暴君、ネビニラルの関連記事

カードセット「統率者レジェンズ」関連のリスト

カード紹介:統率者レジェンズ
カードセット「統率者レジェンズ」収録のカードの中からピックアップしてストーリーや設定を解説。
  1. Duelist誌19号記事では「as it predates of the Ice Age」、統率者レジェンズの設定では「In the time before the Ice Age」であるが、The Art of Magic: The Gathering – Dominariaには「In the Dark Ages」とより時代を明確化している
  2. 設定の「In the time before the Ice Age」という表現からして、「ドミナリア氷河期」と「カードセットのアイスエイジ」のダブルミーニングではないかと疑っている
  3. ラタドラビックが屍術師だと断定的に記している非公式ファンサイトも存在しているが、それを裏付ける公式ソースは私には見つけられない