ドミナリア:嘘か真か

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嘘か真か(Fact or Fiction)はカードセット「インベイジョン」初出のインスタント・カードである。

2023年となり最初のカードセット「ドミナリア・リマスター」には、この嘘か真かが新バージョンのイラストとフレイバー・テキストを持たされて再録される。

今回は「ドミナリア・リマスター」再録の機会に、嘘か真かの歴代イラスト&フレイバー・テキストを振り返ってみたい。

嘘か真か

嘘か真か(Fact or Fiction)

嘘か真か(Fact or Fiction)
公式カードギャラリーより引用

嘘か真か(Fact or Fiction)はカードセット「インベイジョン」初出のインスタント・カードである。

登場以来、優秀な性能で長くユーザーに愛用され、数々の派生カードを生み出した名カードである。



インベイジョン版の嘘か真か

嘘か真か(Fact or Fiction)

嘘か真か(Fact or Fiction)
データベースGathererより引用

カードセット「インベイジョン」初出版の嘘か真か(Fact or Fiction)には、ウェザーライト号の乗組員の2人が描かれている。航行長ハナ(Hanna)と、客室係のスクイー(Squee)だ。

このイラストは、AR4205年のファイレクシア侵略戦争における一場面である。

スクイー(左)、ハナ(右)
嘘か真か(Fact or Fiction)一部拡大図

スクイーがためつすがめつ2枚の書類の中身を確認しているのを、ハナが目を見開いて凝視している。ハナは両手を前に差し出しているので、早く書類を渡すようにとスクイーに迫っているように思える。

なぜなら、ウェザーライト号の航行長を務めるハナはアルガイヴの大学で教育を受けた工匠である。それに比べてスクイーは普通のゴブリンの客室係なので専門知識はないに等しい。書類の吟味は、スクイーよりもハナがやった方がどう考えてもいいはずなのだ。

……あるいは逆に、ハナが元々書類を持っていた可能性もあるだろう。その場合は、スクイーがハナの手元から書類を引っ手繰って勝手に内容を確かめている、という場面となるか?

ジェイス版の嘘か真か

“Try to pretend like you understand what’s important.”
「何が重要かわかっているふりでもするがいい。」
引用:嘘か真か(Fact or Fiction)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

嘘か真か(Fact or Fiction)

嘘か真か(Fact or Fiction)
データベースGathererより引用

この嘘か真か(Fact or Fiction)は、プレインズウォーカーのジェイス・ベレレン(Jace Beleren)が描かれた再録バージョン。「ジェイスvsチャンドラ」という製品で登場し、このジェイスのイラストとフレイバー・テキストで何度も再録された。

イラストでは、青い輝きを左右の手に持つジェイスが、右手を残して左手の方を捨てている。2つの束から1つを選ぶカードの機能にイメージがピッタリだ。

フレイバー・テキストのジェイスは、冷淡で隙の無い悪党っぽさがある。一方ストーリーでの彼は、強力な精神魔道士であるにも拘らず、甘っちょろい青二才的な役どころに置かれることがしばしばある。フレイバー・テキストでは悪党だが、ストーリーでは優男。こんなイメージのギャップが彼の魅力の1つであろう。

ドミナリア・リマスター版の嘘か真か

“Slimefoot, I know I said I wanted to grow our repository of knowledge, but this isn’t what I had in mind.”
「スライムフット、確かに知識の保管庫を拡大したいとは言ったけど、私が考えていたのはこれじゃないわ。」
引用:嘘か真か(Fact or Fiction)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

嘘か真か(Fact or Fiction)

嘘か真か(Fact or Fiction)
公式カードギャラリーより引用

これは嘘か真か(Fact or Fiction)の「ドミナリア・リマスター」バージョンだ。

この新規イラストは「インベイジョン」のオリジナル版を意識してか、ウェザーライト号の女性工匠とマスコット役のコンビで描かれている。オリジナルはハナとスクイーだったが、今回はジョイラ(Jhoira)スライムフット(Slimefoot)だ。

ジョイラはAR4560年に再建した新生ウェザーライト号の最初の艦長を務めた人物だ(AR4562年までに艦長の座を降りている)。

スライムフットは菌類系人型種族サリッドである、新生ウェザーライト号の乗組員である。

ドミナリア・リマスター版のフレイバー・テキスト:指摘

“Slimefoot, I know I said I wanted to grow our repository of knowledge, but this isn’t what I had in mind.”
「スライムフット、確かに知識の保管庫を拡大したいとは言ったけど、私が考えていたのはこれじゃないわ。」

和訳製品版のフレイバー・テキストはよろしくない。この日本語作文では笑いどころがさっぱり分からないのだ。

意味が伝わらなくなっている要所は「知識の保管庫を拡大したい」の部分だ。原文は「I wanted to grow our repository of knowledge」となっていて、和訳版で「拡大(したい)」と訳された原文は「to grow」である。この文章では、「to grow」の解釈の行き違いによって珍事が発生している。だから、「拡大」ではなくて、解釈違いが生まれるような言葉選びが必要だったのだ。

ドミナリア・リマスター版のフレイバー・テキスト:解釈

「スライムフット、確かに知識の庫を育てていこうとは言ったけど、私が考えていたのはこれじゃないわ。」

ジョイラは「知識の蔵を育てたい」との旨で「grow」を用いたのだけれど、スライムフットはこの「grow」を文字通りに「栽培する」と解釈してしまい、知識の保管庫内で菌類栽培を始めてしまったのだ。

ジョイラ(左)、スライムフット(右)
嘘か真か(Fact or Fiction)一部拡大図

イラストの様子を見るに、スライムフットはジョイラの過去の発言を引き合いに出して弁明する素振りを見せている。ジョイラは(おそらくこの時はまだ艦長だったのだろう)、スライムフットのやらかしにかなり渋い顔をしている。



さいごに

2023年新年明けにカードセット「ドミナリア・リマスター」の記事をちょっと書いてみた。

嘘か真かを選んだ理由が3つある。第一にこれが有名カードであること。第二に、描かれたキャラクターがハッキリしているのでイラストやフレイバー・テキストについて気軽に書けること。そして第三に、新規フレイバー・テキストの和訳が気になって仕方が無かったことだ。

個人的に「ドミナリア・リマスター」にはもっと既存キャラクターや物品や場所を描いたイラストだったり、既存の固有名詞を差し込んだフレイバー・テキストを望んでいたのだが、ちょっとしょんぼりな感じにまとまってしまったな、という印象があるにはある。でも新規イラストを持たされた各種カードはやはり魅力的に見えるものだな。

では、今回はここまで。