ストリクスヘイヴン:料理長、ギヨーム

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料理長、ギヨーム(Gyome, Master Chef)カードセット「ストリクスヘイヴン:魔法学院」に関連するカードセット「統率者2021」の伝説のクリーチャー・カードである。

本記事では料理長、ギヨームの設定や関連カードを解説する。記事の最後はおまけとして、設定解説記事の翻訳のおかしいところの指摘も行っている。

料理長、ギヨームの解説

料理長、ギヨーム(Gyome, Master Chef)

データベースGathererより引用

料理長、ギヨーム(Gyome, Master Chef)はアルケヴィオス次元フェルンボスク出身のトロールの男性。ウィザーブルーム大学で料理長をしている。

ギヨームは地元食材と故郷フェルンボスクの味を組み合わせ、常に新しい珍味を提供している。ウィザーブルーム大学に限らず、ストリクスヘイヴンの各大学の魔道生徒たちがギヨームの食を求めて詰めかけるほどの人気がある。ギヨームの料理は、一人前の量が大盛り過ぎる、それだけが難点だという。

ストリクスヘイヴンの掌編作品「束縛の鎖(原題:The Chains That Bind」では、ギヨームの名前が登場していた。ウィザーブルーム大学の学部長たちは、要望があればどんな料理でも手掛けることができる有能な料理人と評価しているようだ。



料理長、ギヨームの関連カード

この節ではギヨームに関連する各種カードを紹介していく。大抵はギヨームがフレイバー・テキストに出てきているカードである。

詰め込み期間

The only thing more delicious than a top grade is Gyome’s signature cake.
最優秀よりも甘美なものはただひとつ。ギヨームとっておきのケーキだ。
引用:詰め込み期間(Cram Session)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

詰め込み期間(Cram Session)

詰め込み期間(Cram Session)
データベースGathererより引用

フレイバー・テキストの「最優秀」と訳された「a top grade」には「トップの成績」「最高点」「満点」といった意味合いも含んでいる。試験前の追い込みをかけている学生にとっては、最優秀の成績を修めるよりもギヨームのケーキの方が魅力的のようだ。

害獣召喚学

“Step 1: Put the pests in mud.
“Step 2: Wait.”
–Gyome’s Guide to Pest Breeding
「1.害獣を泥の中に入れる。
2.待つ。」
–ギヨームの害獣飼育読本
引用:害獣召喚学(Pest Summoning)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

害獣召喚学(Pest Summoning)

害獣召喚学(Pest Summoning)
データベースGathererより引用

害獣(Pest)」と呼ばれる、このアルケヴィオス次元に生息する生き物はサラマンダーに似ている。害獣は一般的には厄介な生き物と思われている。不愉快で、シュウシュウ鳴き、怒りっぽく、躾けても噛みつき癖は治らない怪物である。だが一方で、ウィザーブルーム大学の魔導士は、この害獣を魔法のための生命力を引き出すために頻繁に利用している。時にはペットとしてもかわいがるほどだ。(出典記事リンク

有刺カローク

“The bogs are deeper than you realize. Most of the space beneath the surface is taken up by these enormous karoks. You might think your feet are touching the bottom. They’re probably not.”
–Gyome, Witherbloom chef
「沼地は思ったよりも深いものです。水面下の大半はこういった巨大なカロークが占めています。足が底についたと思っても、たぶんそうじゃありません。」
–ウィザーブルームの料理人、ギヨーム
引用:有刺カローク(Spined Karok)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

有刺カローク(Spined Karok)

有刺カローク(Spined Karok)
データベースGathererより引用

有刺カローク(Spined Karok)はアルケヴィオス次元の沼地に生息するワニ類。

ウィザーブルーム大学を取り囲むセッジムーアには色々なクリーチャーがいるが、こういったワニ系怪物でも知られている(出典記事リンク)。

トラッジの庭

“Sure, trudges smell like soggy death, but the mushrooms on their backs are the tastiest delicacy in Sedgemoor!”
–Gyome, Witherbloom chef
「確かにトラッジは湿った死のような臭いがしますが、背中のキノコはセッジムーア最高の珍味ですからね!」
–ウィザーブルームの料理人、ギヨーム
引用:トラッジの庭(Trudge Garden)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

トラッジの庭(Trudge Garden)

トラッジの庭(Trudge Garden)
データベースGathererより引用

「トラッジ」と呼ばれるクリーチャーはアルケヴィオス次元で初めて登場した種だ。英単語の「trudge」には「てくてく歩く・とぼとぼ歩く」と言った意味合いがある。

トラッジの外見的特徴は、各種カードのイラストを見る限り、尾のある四足獣で、反り返った板状の顎が目を引く。体表は植物性の腐敗物で覆われキノコ類が繁殖している。

トラッジは湿地帯を闊歩し自然界の分解者の役割を担っている。ウィザーブルーム大学の緑の魔導士にはトラッジの庭師(Trudge Gardener)と呼ばれる者がいて、トラッジの体表から微小な生命体を採取して利用するという。(出典記事リンク

このカードの名称が「トラッジの庭(Trudge Garden)」であることから察するに、トラッジの庭師が管理する繁殖地なのだろう。

そして、ギヨームはさすが名料理人らしく、トラッジの背中に生えるキノコを調理して最高の珍味に仕上げるのだ。

色々なトラッジ

Most trudges are covered with decaying plant matter, making them ideal breeding grounds for fungal spores.
大抵のトラッジは枯れた植物質に覆われており、きのこ類の胞子を栽培するのに最適である。
引用:汽水トラッジ(Brackish Trudge)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

汽水トラッジ(Brackish Trudge)

汽水トラッジ(Brackish Trudge)
データベースGathererより引用

汽水トラッジ(Brackish Trudge)は名前の通り汽水域に生息するタイプのトラッジだ。

フレイバー・テキストでは、「枯れた植物質」とあるが、原文は「decaying plant matter」であるので適切な訳とは思えない。植物に関しての「decay」は「腐敗する・朽ちる」の意味なので、「腐敗した植物質」くらいがふさわしい。

つまり、トラッジは腐葉土や朽木といった植物由来の腐敗物で覆われていて、菌類の栽培に適しているのだ。

発芽背のトラッジ(Sproutback Trudge)

発芽背のトラッジ(Sproutback Trudge)
データベースGathererより引用

発芽背のトラッジ(Sproutback Trudge)は背中の腐敗物や菌類が他のカードのトラッジよりも大きく発達している。それにカードのパワー/タフネスも非常に高く、このトラッジ自身も相当巨大であると想像できる。

以上で、ギヨームに関連する諸々のカードを紹介し終わった。最後の節はおまけだ。公式翻訳記事の指摘を行っている。



ギヨームの設定紹介記事の翻訳のおかしいところ

公式サイトでは、ストリクスヘイヴンの伝説のキャラクター設定紹介記事が公開されている。個性的な設定を持つ面々が取り上げられており、ファンとしてはかなり興味深い記事だ。ただ、公式和訳版には、おかしな内容がそこかしこにあった。ギヨームの紹介分もそのうちの1つだ。

ギヨームの設定解説の翻訳がどうおかしいのかを具体的に指摘してみたい。

Anyone who thinks a troll can’t be a great chef has never met Gyome. He combines local ingredients with flavors from his wild Fernbosk homeland into an ever-changing menu of new delicacies, and students from every college trek through Sedgemoor in droves for his food. The only “complaint” he ever receives is that his portions are unreasonably large.
ギヨームに会ったことがなければ、トロールは偉大な料理人になどなれないと思うでしょう。彼は地元の食材と故郷フェルンボスクの野趣あふれる風味を組み合わせ、変化に富んだメニューに新たな珍味を加えています。どの大学の生徒も、はるばるセッジムーアを抜けて彼の料理を食べにやって来ます。ギヨームが受けてきた不満はただひとつ、彼の取り分が理不尽に多いということです。
引用:上が公式記事The Legends of Strixhaven、下が公式和訳版ストリクスヘイヴンの伝説たち

まず初めに「故郷フェルンボスクの野趣あふれる風味」の部分について、「野趣あふれる」が「風味」を修飾している点が原文と異なっている。原文はというと「flavors from his wild Fernbosk homeland」であり、「wild」はギヨームの故郷のフェルンボスクの方を修飾していて、「flavors」には掛かっていないことが確認できる。

次に「はるばる…やって来ます」と訳された部分だが、原文に「はるばる」に相当する箇所が見当たらない。その代わり、原文には「ぞろぞろと、大挙して」を意味する「in droves」があるため、「大挙してやって来ます・つめかけてきます」といった訳の方がより適しているだろう。

最後に一番内容に問題があるのが、「彼の取り分が理不尽に多い」のところだ。「portion」は「切り離された一部」や「分け前」という意味を持ち、料理では「一人前」を指して用いられる。もしかすると、この記事の翻訳担当者は「彼の取り分が理不尽に多い」と読み間違って、「料理の代金が高額である」と解釈をしたのかもしれない。

追記:本記事を投稿した後に、ギヨームの「取り分」に関して興味深い感想を見つけた。公式翻訳を読んでギヨームが「つまみ食い」をしていると受け取った人たちが少なからずいたようだ。なるほど料理人キャラだからそういう見方に解釈を誤誘導されてしまうこともあるか…。現象として興味深いと感じた(誤訳がキャラの解釈を歪めさせる証拠なので愉快ではないが)。追記ここまで

トロールは偉大な料理人になれっこないと思っているなら、ギヨームに会ってごらんなさい。彼は地元食材と、自然豊かな故郷フェルンボスクの味を組み合わせて、常に新しい珍味を提供しています。どの大学の生徒も、セッジムーアを抜けて彼の料理を食べにつめかけてきます。ギヨームがよく受ける「苦情」は、一人前が大盛り過ぎる、それだけです。

翻訳し直してみたが、こんな感じになるだろう。

こんなところでギヨームに関するネタが尽きた。今回はここまで。

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