ドミナリア:ジャスミン・ボリアル

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ジャスミン・ボリアル(Jasmine Boreal)カードセット「レジェンド」で初登場したキャラクターである。

2022年9月発売の新カードセット「団結のドミナリア」の「語り継がれる伝説」という特別枠で七のジャスミン・ボリアル(Jasmine Boreal of the Seven)という新バージョンが登場することになった。初出以来実に28年振りの再カード化である。

今回は新たなカード化を記念して、古参キャラクターのジャスミン・ボリアルを取り上げる。

※ 記事は作成途中で後ろ半分は書きかけ状態だ。中途半端でお見苦しいが、取りあえず暫定版として公開する。

追記(2022年9月10日):細かい編集を加えたが内容には大きな違いはない。

追記(2023年7月29日):七のジャスミン・ボリアル(Jasmine Boreal of the Seven)のイラストに鹿が描かれている件について、および、ジャスミン・ボリアルの恋愛話に関して、情報を追加した他、細かい修整を加えた。

ジャスミン・ボリアルの解説

“Peace must prevail, even if the wicked must die.”
邪な者の命が奪われようとも、平和は守られねばならないのです。
引用:ジャスミン・ボリアル(Jasmine Boreal)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版1

ジャスミン・ボリアル(Jasmine Boreal)

データベースGathererより引用

ジャスミン・ボリアル(Jasmine Boreal)AR34世紀のドミナリア次元西ジャムーラ亜大陸に生まれた人間女性のドルイドである。

ジャスミン・ボリアルは小説Jeditに登場し、主人公ジェディット・オジャネン(Jedit Ojanen)の仲間の1人として活躍している。時代設定AR3334年。

彼女はドミナリアの後世に名を残す有名な海賊「ロバラン傭兵団(Robaran Mercenaries)」の七人衆2の1人であった。しかし短期間の冒険生活を送った後に、海賊業を引退する。西ジャムーラ亜大陸南部にある針葉樹林帯アルボリア(Arboria)に居留し、ドルイド本来の道を歩むことを選び、物語から退場したのである。

ジャスミンは他のストーリー作品に出てきたことはない。彼女の設定と物語はこの小説Jeditで語られたものだけなのだ。

次の節では新バージョンとしてリデザインされたジャスミンのカードを見ていこう。小説Jeditの設定がしっかりと盛り込まれていることを順番に証明しよう。



七のジャスミン・ボリアル

“I’ve had my adventures. All I wish now is to sit in peace and speak with the pines.”
「かつて私の冒険がありました。今願うのは、ただ事もなく松と語ることのみです。」
引用:七のジャスミン・ボリアル(Jasmine Boreal of the Seven)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

七のジャスミン・ボリアル(Jasmine Boreal of the Seven)

七のジャスミン・ボリアル(Jasmine Boreal of the Seven)
公式カードギャラリーより引用

七のジャスミン・ボリアル(Jasmine Boreal of the Seven)はジャスミンの2回目のカードとなるが、小説Jeditでの設定を反映させていることが明らかに見てとれる。

では小説の描写がどのようにデザインに反映されているか確認して行こう。

その1:ドルイド

今回の再カード化で、ジャスミンのクリーチャー・タイプは「ドルイド」が追加された。これは小説Jeditで描かれた設定である。

カードの持つ能力もドルイド設定由来と考えられる。まず、タップしてのマナ生産はドルイドの定番中の定番だ。そして、もう1つの「能力を持たないクリーチャー」に利点を与える能力だが、小説作中でドルイド魔法により仲間の身体能力を強化する描写があるため、その手のバフの一種とすれば辻褄が合う。

その2:カード名の二つ名

次にカード名だ。

七のジャスミン・ボリアル(Jasmine Boreal of the Seven)の二つ名部分に注目したい。和訳製品版で「七」と味気なく訳された「the Seven」のことだ。

上述した通りジャスミンはロバラン傭兵団の「七人衆」メンバーであった。七人衆は原文では「Circle of Seven」であるが、略式に「the Seven」とも表記されていた。ジャスミンにまつわる数字の「the Seven」はこの七人衆を置いて他には見つからない。

したがって、このカード「Jasmine Boreal of the Seven」は「(ロバラン傭兵団)七人衆のジャスミン・ボリアル」という意味合いが込められているのだ。

その3:フレイバー・テキスト

“I’ve had my adventures. All I wish now is to sit in peace and speak with the pines.”
「かつて私の冒険がありました。今願うのは、ただ事もなく松と語ることのみです。」

フレイバー・テキストも小説Jeditの物語を踏まえたものである。

ジャスミンは冒険を引退して、アルボリアのドルイドとして生きていくことを選択した。アルボリアの別名は「松の森林(Pinelands)」である。フレイバー・テキストの「松と語る(speak with the pine)」とはアルボリアの森で生きることを指し示すものだ。

したがって、このフレイバー・テキストはアルボリアのドルイドとなったジャスミン・ボリアルの言葉であると解釈ができる。

その4:イラストの鹿

新バージョンのイラストではジャスミンは大鹿に乗っているが、該当するようなシーンは小説中には無かったはずだ。

ただし、アルボリアに住む松の民(Pinefolks)には鹿革の衣類を着た者が確認できることから、この森に鹿や大鹿がいるのはごく自然なことなのである。したがって、このイラストも小説の描写を反映しており、鹿を選出したと考えられるだろう。

以上4つのポイントから、ジャスミン・ボリアルの新バージョンは小説Jeditの設定をしっかりと踏まえたものだ、とお分かり頂けただろうか。

次はジャスミン・ボリアルというキャラクターの経緯を確認したい。

ジャスミン・ボリアルと言うキャラクターの経緯

ここではジャスミン・ボリアルと言うキャラクターがMTG史においてどういった扱いであったかを語りたい。

※ この節ではジャスミン・ボリアルの設定やストーリーには言及していない。設定やストーリーを望むなら、この節は読み飛ばして次の節に進んでも構わない。

1994年、カードセット「レジェンド」収録のジャスミン・ボリアル(Jasmine Boreal)が初出だ。MTG史上初の多色カードであり伝説のクリーチャー・カードの1つであった。

ジャスミン・ボリアル(Jasmine Boreal)一部拡大図

カードの強さ弱さには関係なく、このセットでMTG初参加となったリチャード・ケイン・ファーガソン(Richard Kane Ferguson)のイラストが人気を集めていた。ただし、私の個人的な感触では「レジェンド」はMTG史上の初めてが色々と重なった存在なのでもの珍しさも加味されていたようにも思う。

1996年、アルマダ・コミックのコミック版黒き剣のダッコン巻末掲載の短編The Dragon Warでは、ジャスミン・ボリアルのフレイバー・テキストが別の登場人物チョンデー(Chondaeh)の台詞として転用された。ただし、ジャスミン・ボリアルは短編に言及はなかったし、ジャスミンとチョンデーとの繋がりを示唆する情報もなかった。

2001年、レジェンド・サイクル1小説三部作の第2作目小説Jeditで、ジャスミン・ボリアルはストーリー作品に初登場を成し遂げた。ドルイド設定がつけられたのはこの時だ。主人公ジェディット・オジャネン(Jedit Ojanen)の仲間の1人として共に冒険して活躍を見せた。

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2006年、ジャスミン・ボリアルはカードセット「時のらせん」のタイムシフト枠で再録された。公式記事Piecing Together the Timeshifted Mosaic公式記事Preserving the Coolness of Legendsによれば、カードセット「レジェンド」の「何の能力も無い伝説のクリーチャー」の代表者として選ばれたようだ。また記事からはイラストの受けが良いことも伺い知れる。

2022年、カードセット「レジェンド」の伝説のクリーチャーから選ばれた20種類が、カードセット「団結のドミナリア」において特別なカード枠としてリメイクされることになった。ジャスミン・ボリアルはこうして七のジャスミン・ボリアル(Jasmine Boreal of the Seven)として生まれ変わった。カード名やクリーチャー・タイプ、フレイバー・テキストを見るに、小説Jeditの設定をガッツリと反映させているのは明らかであった。

ジャスミン・ボリアルの設定

ジャスミン・ボリアルの唯一の登場作品小説Jeditから、彼女のもう少し詳しい設定やエピソードをピックアップして紹介したい。

出身地と経歴

ジャスミンの出身地は西ジャムーラ亜大陸のジェイマ海沿岸地域かその近隣のどこかと推察されるが正確な位置や地名は明かされていない。

小説Jeditの記述によれば、ジャスミンの故郷はアルボリアから見てノスリ湾(Buzzard’s Bay)の向こうに位置しているという。地元が近いのでロバラン傭兵団の一員としてアルボリアを来訪した際には、一行の中でジャスミンだけがアルボリアの歴史や住人の松の民(Pinefolks)とノスリ湾の関係についての知識を有していた。

Clergy of the Holy Nimbus

データベースGathererより引用

とはいえ、近年の事情には疎いようだった。ノスリ湾の代弁者として働く聖なる後光の僧侶(Cleric of the Holy Nimbus)バードルフ(Bardolph)によれば数十年前から消息不明だったアルボリアの松の民が3年前から再び姿を見せるようになった、というのである。これはジャスミンも知らない情報であり、アディラ・ストロングハートやウィスルダヴ・キスキンと一緒にバードルフが語る森の最新情報に熱心に耳を傾けていた。

したがって、ジャスミンは故郷近くのノスリ湾やアルボリアには少なくとも3年は帰ってきていないことになる。そもそもの話、ジャスミンはノスリ湾に到着する36日と少し前に七人衆の正式メンバーになったばかりなのだが、それ以前の経歴はドルイドであることを除いて不明なのだ。

前作の小説Johanのロバラン傭兵団にはジャスミンの姿はない。また、小説Jedit作中では、港町のノスリ湾は魚の生臭さが気になると不満を漏らしたり、船に乗って海に出ることに拒否反応を示していた。ロバラン傭兵団は海賊なのでこれらの反応は不自然である。

おそらくジャスミン・ボリアルがロバラン傭兵団に参加したのはごく最近、おそらくヨハンが南部に戦争を仕掛けてきた以降のことと考えられる。ヨハンの侵略軍との戦いの中、ジャスミンはドルイドの能力がアディラ・ストロングハートの目に留まって、ロバラン傭兵団に勧誘された。おそらくそんなところじゃないだろうか?

ジャスミンの恋愛話

ロバラン傭兵団七人衆に参加した短期間の冒険生活において、ジャスミン・ボリアルはある男性との仲を深めていた。その相手が七人衆でも古参のヒース(Heath)である。

ジャスミンとヒースに関する解説は別の記事で取り上げている。詳細はそちらを参照のこと。

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※ 以下は執筆途中の未完成

ドルイド魔法

ドルイドの物入れ(Druidic Satchel)

ドルイドの物入れ(Druidic Satchel)
データベースGathererより引用

ロバラン傭兵団と七人衆

ロバラン傭兵団(Robaran Mercenaries)

AR4562年時点でのロバラン傭兵団(Robaran Mercenaries)
公式カードギャラリーより引用

アルボリアのドルイド

アルボリア(Arboria)

アルボリア(Arboria)
データベースGathererより引用



さいごに

本記事は2022年7月28日時点で暫定版として公開した。後半のジャスミン・ボリアルの細かな設定やエピソードは書きかけである。なるべく早めに完成版としたい。

(ぶっちゃけると団結のドミナリア以降のネタバレを予期せず見てしまったことで白けてしまって……ちょっとモチベーションが低下中なのだ。)

ジャスミン・ボリアルの関連カード

カードセット「レジェンド」関連のリスト

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  1. 普通なら「」で括られるはずだが当時のMTG和訳では何故か「」は省略されるものだった
  2. このグループに関して、公式な和訳がない(そもそも日本でレジェンド・サイクル1を好んで取り上げる人を見たことがない)ので本サイトでは「七人衆」とした