ケルドの闘車(Keldon Battlewagon)はカードセット「プロフェシー」に収録されたアーティファクト・クリーチャーである。
ケルドの闘車の解説
ケルドの闘車(Keldon Battlewagon)は、ドミナリア次元のAR4205年にケルド軍が北ジャムーラ亜大陸で運用した巨大戦車タイプの戦争機械である。
小説Prophecyには、このケルドの闘車そのものは登場していないが、ケルド軍は「陸艇(Barge)」と呼ばれる乗り物を活用しており、このカードは陸艇の1種に該当すると考えられる。
「Barge」とは「はしけ・平底の荷船」を意味する言葉。一方、プロフェシー戦争でケルド軍が運用した「Barge」は陸上用の乗り物である。小説Prophecyでは、通常のはしけと区別して「Land Barge」とも記述されている。
本サイトでは、このケルドの兵器「Barge」および「Land Barge」を「陸上の小型船」を意味する「陸艇」と呼称することとする。
ちなみに、このカードは「Battlewagon」だが、小説Prophecyによるとケルド軍は普通の「荷馬車(wagon)」も利用している。
ケルドの陸艇
ケルドの陸艇は小説Prophecyにのみ登場した戦争機械である。
陸艇は北ジャムーラを高速で移動できる乗り物であり、兵員や兵器の輸送でも活躍した。陸艇は「英雄の血(Heroes’ Blood)」と呼ばれる液体を燃料としており、燃料の封を切って陸艇の貯蔵タンク(reservoir)に充填させるのは奴隷の役目である。
陸艇の大きさには幅がある。小型のものは小陸艇(Small (Land) Barge)とも呼ばれている。
陸艇の主武装は「火球(fire ball)」や「火炎流(fire streamer)」であり、特に1種の火炎放射器である火炎流はキパム連盟の飛行船に対する対空兵器として威力を発揮した。さらに「火炎ツバメ(fire swallow)」はツバメを改造した、いわば生物ミサイルであり、陸艇から発射された火炎ツバメの群れは目標に爆炎となって降り注ぐ。火炎ツバメは目を閉じた状態で縫われており、体表は何らかのコーティングにより光沢を放っている。こうして炎で武装した陸艇は「火炎艇(Fire Barge)」の別名でも呼ばれている。
陸艇には虚ろの戦士(Hollow Warrior)やマニキン(Manikin)などの戦争機械を搭載して前線まで輸送する役割もある。虚ろの戦士は、敵のキパム連盟軍を構成する生物型機械兵器への有力な対抗手段であるのだが、稼働時間はそれほど長くはない。そこでその欠点を陸艇による輸送で補っているのだ。
ケルドの新兵器とファイレクシア侵攻戦争
ケルドの闘車と陸艇、あるいは虚ろの戦士などはプロフェシー戦争より前の時代には見られなかった戦争機械である。この点について記事や作品を調べてみた。
公式記事Prophecy Novel Guideでは、卓越した工匠であるラトゥーラ(Latulla)は北ジャムーラでの戦争でアーティファクト兵器の実地試験を行う、と書かれている。さらに小説Prophecyでも、ケルドの工匠たちが「新兵器、新たな破壊機械(new weapons, new engines of destruction)」を製造していると語られている。
つまり、闘車や陸艇こそがAR4205年当時のケルドの最新兵器群である。ケルド本国で製造されたばかり、あるいは北ジャムーラで新開発されたものだ。
これらの新兵器はプロフェシー戦争で大量投入され戦果を上げ、有効性を証明している。ところが、首謀者ラトゥーラを初めとする侵略軍は異端としてケルド本国から追放され、最終的には北ジャムーラ亜大陸で敗北してしまった。その結果、新兵器や新技術、工匠の多くが失われたと考えられる。
プロフェシー戦争の数週間後にファイレクシア侵攻戦争が勃発している。ファイレクシア侵攻戦争を描くインベイジョン・ブロックのカードセットや小説三部作では、ファイレクシアと戦うケルド本国軍がこれらの最新機械兵器を運用していないのは奇妙である。だが、異端派と共に失われてしまったとすれば、つじつまが合う。
プロフェシー戦争ではケルドからは新兵器と新技術、多くの兵力が失われた。戦った北ジャムーラのキパム連盟も同様だ。北ジャムーラ亜大陸の資源は大いに消耗し、人々は疲弊し、さらに追い打ちで原因不明の疫病が広がり始めたのだ。もしドミナリア人同士のこの戦争が起こらなかったとしたら、直後のファイレクシアとの戦争ではより有利に戦えたに違いない。
このようにプロフェシー戦争はファイレクシアにとってあまりにも都合のいい結果となった。それに疫病兵器は侵攻戦争でファイレクシア人の用いた攻撃手段の1つである。もしや北ジャムーラで流行する疫病と何らかの関係性があるのではないか…?
………。
では今回はここまで。
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