ファイレクシア完全なる統一:ドミヌス

スポンサーリンク

カードセット「ファイレクシア:完全なる統一」で新登場した「ドミヌス(Dominus)」について設定情報をまとめた。ドミヌスに似た誕生経緯を持つ「オヴィカ(Ovika)」も取り上げる。

追記(2023年2月22日):修羅のドミヌス、ドリヴノッド(Drivnod, Carnage Dominus)が登場した短編A Hollow Body公式和訳版)の情報を書き加えた。

追記(2023年6月22日):カードセット「機械兵団の進軍」のシェオルドレッド(Sheoldred)修羅のドミヌス、ドリヴノッド(Drivnod, Carnage Dominus)と合体している件を追記した。

追記(2023年6月22日):新たなるファイレクシアの魂(Soul of New Phyrexia)をドミナスの亜種として解釈し追記した。

ドミヌスの解説

栄光のドミヌス、モンドラク(Mondrak, Glory Dominus)一部拡大図

新ファイレクシアのドミヌス(Dominus)は、カードセット「ファイレクシア:完全なる統一」で新登場した5種類の伝説の単色クリーチャーで、前回のミラディンの傷跡ブロックでは存在しなかった。

メモ:時代設定
「ファイレクシア:完全なる統一」の時代設定はAR4562年であり、ミラディンの傷跡ブロックはAR4557年だ。ドミヌスたちはこの5年間のどこかの時点で誕生したことになる。

ミラディンの傷跡ブロック以降の5年間で、ファイレクシアンは新ファイレクシア次元全体を9つの球層構造へと変える大改造を成し遂げた。次元の大地を完成化させていくにつれ、「生」と「死」と「無生物の物体」1の境界は曖昧になった。次元の一部は意識を持ち始め、やがて動き回る巨大クリーチャーとなった。これらが未だ謎多き存在ドミヌスである。彼らは「宇宙的存在2」や「神のごときファイレクシアン・クリーチャー3」と称されている。

ドミヌスたちは各々の思惑や個性に従って、球層間を徘徊している。ドミヌスの性質は完成化させたファイレクシアンの各派閥と似てはいるものの、ドミヌスは通常、自分のことを派閥政治や派閥への忠誠を超越した存在だと見做している。ただし、目的が合致した際には法務官に協力すると知られている。

ドミヌスの設定解説は、公式記事Planeswalker’s Guide to Phyrexia: All Will Be One公式記事The Legends of Phyrexia: All Will Be OneMTGアリーナの豆知識で公開されている。



栄光のドミヌス、モンドラク

栄光のドミヌス、モンドラク(Mondrak, Glory Dominus)

栄光のドミヌス、モンドラク(Mondrak, Glory Dominus)
データベースGathererより引用

栄光のドミヌス、モンドラク(Mondrak, Glory Dominus)はカードセット「ファイレクシア:完全なる統一」収録の伝説のクリーチャー・カードである。これは白派閥「機械正典」による完成化で目覚めたドミヌスを示している。女性。

公式記事The Legends of Phyrexia: All Will Be Oneの解説を整理すると次の通りだ。

美麗聖堂(The Fair Basilica)

美麗聖堂(The Fair Basilica)
データベースGathererより引用

モンドラクは、機械正典の本拠地である新ファイレクシア次元第七球層「美麗聖堂(The Fair Basilica)」の尖塔群から誕生した。

栄光のドミヌス、モンドラク(Mondrak, Glory Dominus)

ボーダーレス胆液版イラストの栄光のドミヌス、モンドラク(Mondrak, Glory Dominus)
データベースGathererより引用

彼女は何十もの口を生やし、発する耳障りな嘆き声は生命体をファイレクシアに同化させるように仕向けるものだ。モンドラクは脳を溶かすような威容を誇ってそびえ立っている。

尋問のドミヌス、テクータル

尋問のドミヌス、テクータル(Tekuthal, Inquiry Dominus)

尋問のドミヌス、テクータル(Tekuthal, Inquiry Dominus)
データベースGathererより引用

尋問のドミヌス、テクータル(Tekuthal, Inquiry Dominus)はカードセット「ファイレクシア:完全なる統一」収録の伝説のクリーチャー・カードである。これは青派閥「発展の動力源」による完成化で目覚めたドミヌスを示している。男性。

公式記事The Legends of Phyrexia: All Will Be Oneの解説を整理すると次の通りだ。

外科区画(The Surgical Bay)

外科区画(The Surgical Bay)
データベースGathererより引用

テクータルは、発展の動力源の本拠地である新ファイレクシア次元第五球層「外科区画(The Surgical Bay)」の水域から出現した。

尋問のドミヌス、テクータル(Tekuthal, Inquiry Dominus)

ボーダーレス胆液版イラストの尋問のドミヌス、テクータル(Tekuthal, Inquiry Dominus)
データベースGathererより引用

彼は耐え難い蔑みを持って宙を漂っている。言葉を発して会話することはないが、自分の体形を変化させて下等存在の姿を模倣すると共に見下すことで、相手に対する嘲笑を伝えてくるのだ。



修羅のドミヌス、ドリヴノッド

修羅のドミヌス、ドリヴノッド(Drivnod, Carnage Dominus)

修羅のドミヌス、ドリヴノッド(Drivnod, Carnage Dominus)
データベースGathererより引用

修羅のドミヌス、ドリヴノッド(Drivnod, Carnage Dominus)はカードセット「ファイレクシア:完全なる統一」収録の伝説のクリーチャー・カードである。これは黒派閥「七人の鋼の族長」による完成化で目覚めたドミヌスを示している。男性。

カード名で「修羅」と訳された原語は「Carnage」である。これは「大虐殺・殺戮」を意味する言葉だ。MTG和訳では通例「殺戮」と置き換えられてきた単語で、「修羅」と和訳されたのは初めてのことである。

公式記事The Legends of Phyrexia: All Will Be Oneの解説を整理すると次の通りだ。

ドロス窟(The Dross Pits)

ドロス窟(The Dross Pits)
データベースGathererより引用

ドリヴノッドは、七人の鋼の族長の本拠地である新ファイレクシア次元第六球層「ドロス窟(The Dross Pits)」の、屍気の浸み込んだ骸骨じみた建造物から生まれた。

修羅のドミヌス、ドリヴノッド(Drivnod, Carnage Dominus)

ボーダーレス胆液版イラストの修羅のドミヌス、ドリヴノッド(Drivnod, Carnage Dominus)
データベースGathererより引用

彼はニヤニヤと笑う棘の生えた巨人であり、下等生命体の拷問に喜びを感じる。犠牲者を杖に突き刺すドリヴノッドは、まるで苦痛の叫びのシンフォニーによるオーケストラを指揮するかのようだ。

修羅のドミヌス、ドリヴノッドの登場ストーリー

短編A Hollow Body公式和訳版「空ろな身体」)には、「苦痛のドミヌス(the Dominus of Pain)」との名でドリヴノッドが登場した。短編主人公のイクセル(Ixhel)はファイレクシアンのベラクシス(Belaxis)を、ドロス窟で休息中のドリヴノッドの棘に突き刺して苦痛を感じ苦しむ様を観察した。また、ドリヴノッドの棘にはあらゆる種類の死骸(その中には這い回り(skitterlings)も含まれる)が突き刺さっていた。

公式和訳版の方では、ドリヴノッドが死骸を突き刺した「spines」を「背骨」と訳しているが、ドリヴノッドの設定とイラストを見るに「棘状突起」と解釈するべきものだろう。

機械兵団の進軍のドリヴノッド

シェオルドレッド(Sheoldred)

シェオルドレッド(Sheoldred)
データベースGathererより引用

シェオルドレッド(Sheoldred)はカードセット「機械兵団の進軍」収録の伝説のクリーチャー・カードである。

このカードのイラストを担当したライアン・パンコースト(Ryan Pancoast)は、シェオルドレッドはドリヴノッドを制御下に置いていると証言している(出典リンク)。

シェオルドレッドは上半身を分離させて、下半身を別のユニットや他のファイレクシアンに交換することができる(例:カードセット「団結のドミナリア」時の下半身はドラゴン・エンジン)。今回はドリヴノッドの巨大な眼窩の上に上半身を融合させた状態となっている(シェオルドレッドの長い脊髄パーツが眼窩を貫いてドリヴノッドの内部に入り込んでいる)。

シェオルドレッドのストーリーを確認すると、カードセット「ファイレクシア:完全なる統一」においてウラブラスクと共に主流派に反乱を起こし、続くカードセット「機械兵団の進軍」では反乱は失敗に終わり斬首刑に処されてしまう。したがって、ドリヴノッドと融合したイラストの形態は、上記した短編A Hollow Body公式和訳版「空ろな身体」)よりも後の、反乱中の姿だったことになる。

擾乱のドミヌス、ソルフィム

擾乱のドミヌス、ソルフィム(Solphim, Mayhem Dominus)

擾乱のドミヌス、ソルフィム(Solphim, Mayhem Dominus)
データベースGathererより引用

擾乱のドミヌス、ソルフィム(Solphim, Mayhem Dominus)はカードセット「ファイレクシア:完全なる統一」収録の伝説のクリーチャー・カードである。これは赤派閥「静かなる焼炉」による完成化で目覚めたドミヌスを示している。女性。

公式記事The Legends of Phyrexia: All Will Be Oneの解説を整理すると次の通りだ。

自律焼炉(The Autonomous Furnace)

自律焼炉(The Autonomous Furnace)
データベースGathererより引用

ソルフィムは、静かなる焼炉の本拠地である新ファイレクシア次元第三球層「自律焼炉(The Autonomous Furnace)」で鍛造された。

擾乱のドミヌス、ソルフィム(Solphim, Mayhem Dominus)

ボーダーレス胆液版イラストの擾乱のドミヌス、ソルフィム(Solphim, Mayhem Dominus)
データベースGathererより引用

彼女は幾つもの槍で織ったガウンを纏う冥界の巨人4だ。高温で溶解した付属器官を用い、金属の風景に狂った命令を刻み込むが、その命じは常に緊急のもので、かつ、常に前とは矛盾するものなのだ。

飢餓のドミヌス、ゾパンドレル

飢餓のドミヌス、ゾパンドレル(Zopandrel, Hunger Dominus)

飢餓のドミヌス、ゾパンドレル(Zopandrel, Hunger Dominus)
データベースGathererより引用

飢餓のドミヌス、ゾパンドレル(Zopandrel, Hunger Dominus)はカードセット「ファイレクシア:完全なる統一」収録の伝説のクリーチャー・カードである。これは緑派閥「悪意の大群」による完成化で目覚めたドミヌスを示している。女性。

公式記事The Legends of Phyrexia: All Will Be Oneの解説を整理すると次の通りだ。

狩猟迷宮(The Hunter Maze)

狩猟迷宮(The Hunter Maze)
データベースGathererより引用

ゾパンドレルは、悪意の大群の本拠地である新ファイレクシア次元第四球層「狩猟迷宮(The Hunter Maze)」の出身だ。

飢餓のドミヌス、ゾパンドレル(Zopandrel, Hunger Dominus)

ボーダーレス胆液版イラストの飢餓のドミヌス、ゾパンドレル(Zopandrel, Hunger Dominus)
データベースGathererより引用

彼女は雄大な姿で、角を生やし、鎌のような手足を持った存在である。頂点捕食者の無慈悲な残忍さで巡回している。行く先々でファイレクシア化作用を持つ胞子を散布し、捕まえた獲物は貪り尽くす前に斬首する。

以上で、5種類のファイレクシアン・ドミヌスの解説は完了した。

次の節では、ドミヌスと似た誕生経緯を持つ新ファイレクシアのキャラクター、オヴィカ(Ovika)を紹介する。

謎のゴライアス、オヴィカ

謎のゴライアス、オヴィカ(Ovika, Enigma Goliath)

謎のゴライアス、オヴィカ(Ovika, Enigma Goliath)
データベースGathererより引用

謎のゴライアス、オヴィカ(Ovika, Enigma Goliath)はカードセット「ファイレクシア:完全なる統一」収録の伝説のクリーチャー・カードである。男性。

オヴィカはドミヌスではないが、誕生経緯の設定には類似した点がある存在だ。クリーチャー・タイプはファイレクシアン・ナイトメアである(ドミヌスはファイレクシアン・ホラー)。

公式記事The Legends of Phyrexia: All Will Be Oneの解説を整理すると次の通りだ。

ミレックス(Mirrex)

ミレックス(Mirrex)
データベースGathererより引用

ファイレクシアの各球層の建造物から生まれたドミヌスたちとは異なり、オヴィカは、ファイレクシア軍によって建築資材を略奪された後のミラディンの残骸から誕生した。

公式解説では明示されていないものの、新ファイレクシア次元第二球層「ミレックス(Mirrex)」は元々はミラディン次元の地表であり、ここを材料として9つの球層構造が建造された。従って、オヴィカを生み出した残骸はミレックスに在った可能性が高い。

謎のゴライアス、オヴィカ(Ovika, Enigma Goliath)

ボーダーレス胆液版イラストの謎のゴライアス、オヴィカ(Ovika, Enigma Goliath)
データベースGathererより引用

彼は廃材から巨大な肉体を造り上げ、この魅力的な次元を監督し調査するために必要な目と手足の全てを手に入れたのである。

次に節を新設して、もう1つ関連性が見られるカードを追加した。

新たなるファイレクシアの魂

新たなるファイレクシアの魂(Soul of New Phyrexia)

新たなるファイレクシアの魂(Soul of New Phyrexia)
データベースGathererより引用

新たなるファイレクシアの魂(Soul of New Phyrexia)はカードセット「基本セット2015」収録のアーティファクト・クリーチャーである。同セットには、神話レアの「魂(Soul)」アバター・クリーチャーのサイクル(全6種類)があり、アーティファクト担当がこのカードであった。

公式記事Magic 2015—It’s In Thereによれば、魂クリーチャーは「MTG世界に存在する各種次元を体現したクリーチャーのサイクル(a cycle of creatures that embodied the various planes of existence in Magic)」としてデザインされた、と説明されていた。各カードの名称は「次元名の魂」で統一された。

したがって、新たなるファイレクシアの魂は「新ファイレクシア次元を体現するアバター(化身)のアーティファクト・クリーチャー」なのである。

ただ、カード名の「魂」は設定と食い違いが出る言葉だ。なぜなら、ファイレクシアンは「魂」を持たないのだ。この齟齬に関しウィザーズ公式は当時から設定的な説明をしていないまま、新ファイレクシアがカードセット「機械兵団の進軍」でストーリーの舞台から退場してしまった。公式な設定解説はもう期待できない。

私としては、このカードは「魂を持った新種のファイレクシアン」と考えるよりも、カードのサイクル全体に名前を揃えたための設定無視(あるいは設定の見落とし)であったと見做すのが妥当に感じる。8年が経過してドミヌスが登場したことで、新ファイレクシアの魂もドミヌスやオヴィカと同類として説明付けられるようになった。

すなわち次元の一部が完成化を経て、意識を持ち動き出した。新ファイレクシアの魂とは固有名称を持たない無名のドミナス亜種、それが現時点での私の解釈である。

メモ:カード名
カード名の「New Phyrexia」は、過去にあったカードセットと同じ「新たなるファイレクシア」と訳されているが、この場合は次元名なので正しいとは言えない。本来はこのカードは「新ファイレクシアの魂」と訳されるべきものだ。



さいごに

今回はドミヌスとオヴィカの計6人のキャラクター情報を整理した。

伝説キャラクターを解説する公式記事The Legends of Phyrexia: All Will Be Oneが公開されてから1週間以上が経過した。しかし、まだ記事の公式和訳版が公開されておらず、私には新規キャラクターだけでも情報をまとめておく価値はあるように感じられた。それでこの記事ができたという次第だ。

では、今回はここまで。

ドミヌスの関連記事

ファイレクシア完全なる統一:MTGアリーナの豆知識

ファイレクシア完全なる統一:MTGアリーナの豆知識
マジック・ザ・ギャザリング(MTG)のカードセット「ファイレクシア:完全なる統一」のストーリーや設定に関係した『MTGアリーナの豆知識』を収集してまとめた。
  1. 原文「life, death, and inanimate object」
  2. 原文「cosmic beings」
  3. 原文「godlike Phyrexian creatures」
  4. 原文「an infernal giant in a gown of spears」