ファイレクシアの沿革その3

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本記事は「ファイレクシアの沿革」と題して、MTG史上での「ファイレクシア(Phyrexia)」の変遷を時系列に沿って書き出す内容となる。今回は第3回目だ。

その1その2ではカードセット「アンティキティー」から「基本セット第5版」までの範囲をカードと小説、コミックを中心に扱った。

今回も同じ「基本セット第5版」までの範囲であるが、MTGの公式雑誌Duelistと当時の公式サイトDuelist Online内の記事「Encyclopedia Dominia(ドミニア百科事典)」での、ファイレクシア情報を取り上げる。

※ もともと個人的な覚書を最低限読めるように記事化したものなので、雑で味気ないのはご容赦ください。

公式雑誌Duelist

ウィザーズ社のDuelist誌は1994年から1999年の41号まで発刊された。当初は季刊だったが、隔月刊を経て月刊となった。また途中までの誌名は「The Duelist」であって、「The」が取れた「Duelist」表記は後期なのだが本サイトでは「Duelist誌」を基本表記とする。

オンライン版のDuelist Onlineは(Duelist本誌の記述や私の手元に残っている当時プリントした紙資料を見る限り)1996年1には既に存在していた。

今回扱うカードセット「アンティキティー」から「基本セット第5版」はDuelist誌16号までの範囲になる。ではファイレクシア関連情報を雑誌の刊行順に拾ってみよう。



Duelist Suppliment誌

1994年5月、カードセット「アンティキティー」特集号のDuelist Suppliment誌2では、記事A History of the Antiquities Warにおいてファイレクシアはドミナリアとは別の次元の可能性がある場所であり、ジャーシルの記録が残っている、と言及された。

その1で既に詳しく書いたのでそちらを参照のこと。

ファイレクシアの沿革その1
マジック・ザ・ギャザリング(MTG)の最初期からの悪役「ファイレクシア(Phyrexia)」の変遷を、MTG史に沿って順番に書き出していく。第1回目。

Duelist誌13号

ファイレクシアン・ドレッドノート(Phyrexian Dreadnought)

ファイレクシアン・ドレッドノート(Phyrexian Dreadnought)
データベースGathererより引用

1996年10月、カードセット「ミラージュ」期の13号では、ピート・ヴェンタースはファイレクシアン・ドレッドノートのイラストに関するコメントで、彼の抱くファイレクシアのイメージの一端を明かした。

The fiends found in Phyrexia have a twisted, inhuman aesthetic, reminiscent of the biomechanical work of H. R. Giger, but with rusty cogs, gears, and pistons to give them a bit of the steam-punk look. That’s why the creature is such a misshapen mass of parts.
ファイレクシアで見られる悪鬼はH・R・ギーガーの生物機械作品を思わせるような、歪んで非人間的な美的感覚を持ってるが、錆びた歯車やギヤ、ピストンを備えていてスチームパンクの雰囲気もある。そのため、このクリーチャー(註:ファイレクシアン・ドレッドノート)はパーツの不格好な塊となっている。
引用:Duelist誌13号
上が英語原文。下が私家訳

ファイレクシアンが機械生物的な怪物だと語るが、この姿は初出の「アンティキティー」よりもむしろ、後の「アライアンス」やアルマダコミック・シリーズで描かれたファイレクシアンを示すものだろう。ヴェンタースは「アライアンス」からコンティニュイティ部門の担当となっており、その時期から彼自身がファイレクシアンの何たるかをこういった方向へと先導した、あるいは、少なくとも後押ししたと考えられる。

Duelist誌16号

Duelist誌16号

1997年4月、カードセット「基本セット第5版」期の16号では、記事Dominian Chronicleでファイレクシアの解説があった。

Phyrexia is a terrible plane some distance from Dominaria. The planar predations of the Phyrexians have ensured their notoriety throughout much of known Dominia. Even on Dominaria, their artifact horrors roam the dark nights, awaiting the call of their master’s will.
ファイレクシアはドミナリアから少し離れた恐ろしい次元である。次元間略奪行為によって、その悪名はドミニア全域に知れ渡っている。ドミナリアでも、ファイレクシアのアーティファクトの怪が暗夜を彷徨い歩き、主人の呼び声を待っているのだ。
引用:Duelist誌16号
上が英語原文。下が私家訳

この内容は小説とコミックの延長線上であり、「主人の呼び声」という記述を除けば真新しいものではない。このファイレクシアンの「主人」とは何者なのか、この記事からは何も読み取れなかった。しかし、ファイレクシアのより詳しい情報は公式サイト内のDuelist Onlineにある、との誘導するコメントが付記されているものだった。

以上で、カードセット「アンティキティー」から「基本セット第5版」までの範囲のDuelist誌の紹介はおしまいだ。では次はDuelist Onlineをチェックしよう。

ドミニア百科事典

当時の公式サイト内のDuelist Onlineを見ると、MTG世界の様々な情報をまとめた「Encyclopedia Dominia」つまり「ドミニア百科事典」という記事群が更新されていた。3

この百科事典は複数の掌編と、掌編内に出て来たキーワードとなる見出し語の解説で構成されていた。

ファイレクシア関連の掌編は「The Interrogation」と「Tande’s Journal」の2作品である。

見出し語は「Phyrexia」、「Phyrexian Gremlins」、「Phyrexian Portal」、「Yawgmoth Demon」、「Yawgmoth Priest」そして「Dragon Engine」の6つが該当する。

百科事典の編纂者(という設定の)テイジーアによる一言コメントも「Taysir’s Journal」にあったが、このコメントは大した情報ではない。

「Encyclopedia Dominia」から拾い上げた情報は以下の通りだ。

掌編The Interrogation

Priest of Yawgmoth

Priest of Yawgmoth
データベースGathererより引用

掌編The Interrogationはカードセット「フォールン・エンパイア」当時を舞台にした物語だ。

サーペイディア大陸の漆黒の手教団に捕らえられたヨーグモスの僧侶(Priest of Yawgmoth)イシス(Y’sith)が尋問を受ける。イシスは第5サークルの僧侶だと名乗っている。ちなみに個別の名前付きのファイレクシアンが実際に作中に登場したのは、この掌編のイシスがMTG史上初である。4

練達の育種師、エンドレク・サール(Endrek Sahr, Master Breeder)

初出から12年後にカード化された練達の育種師、エンドレク・サール(Endrek Sahr, Master Breeder)
データベースGathererより引用

イシスを尋問するのが漆黒の手教団のエンドレク・サール(Endrek Sahr)で、サールは屍術と錬金術を用いて奴隷種族スラルを創出した魔術師だ。カードセット「フォールン・エンパイア」の重要人物の1人でもある。

尋問の中でファイレクシア流の「生命」の定義が浮き彫りにされていく。

  • サールはファイレクシアンを何世代にもわたる工匠の成果物(つまりアーティファクト)を盗み破壊する存在であり、ヨーグモスという存在を崇拝し、「人工生命(artificial life)5」の破壊を誓った者たちだと認識していた。
  • サールは自分の創ったスラルは「人工生命」ではなく「真実の生命(true life)」であると主張した。
  • 対するイシスはファイレクシアンは破壊などしていないと否定すると共に、「人工生命」と「真実の生命」の区別をそもそもしておらず、あらゆる「生命」とは「エネルギー」であり建設的に利用すべきだと語った。
  • サールは建設的な利用というがファイレクシアンは他者の制作物を嫌悪し消費するだけで何も生み出していないと反論した。イシスは嫌悪して破壊するのではなく、ファイレクシアは弱者や病める者を選別し取り除いている旨を語った。
  • イシスはファイレクシアを「アーティファクトの純粋性の極致(the height of artifact purity)」と表現した。
  • イシスの吐いた唾は油まじりだった。
  • ファイレクシアの「第一球層(the First Sphere)」という表現はここがおそらく初登場。
  • イシスは、ミシュラがファイレクシアの奥深くで横たわり、日々拷問を受け続けていると語った。

この掌編は、エンドレク・サールが尋問の中で譲歩する姿勢を見せて懐柔しようと試みたが交渉は決裂し、イシスを教団員の手に委ねて尋問室から立ち去って終わる。

ヨーグモスがファイレクシアンの崇拝対象だと明示されたのはこの作品が初だ。

これまでファイレクシアはアーティファクトを奪って破壊する「アーティファクトのための地獄」と考えられていたが、それは部外者の認識に過ぎないことが示唆された。実態は弱者の選別と淘汰であり、ファイレクシアンはアーティファクトを嫌悪しているわけでも、アーティファクトの人工生命と普通の生き物の生命を区別していないことも明らかになった。ファイレクシアを「アーティファクトの純粋性の極致(the height of artifact purity)」と呼んだことから、むしろ優れたアーティファクトを尊んでいるようでもあった。

この作品が、ファイレクシアが「アーティファクトのための地獄」を脱却した転機、と言ってよいだろうか(もちろん設定が先にありその反映がこの作中描写であろうが)。

ウルザの罪(Urza's Guilt)

ウルザの罪(Urza’s Guilt)
データベースGathererより引用

ミシュラがファイレクシアの奥底で拷問を受けている、この時点ではその真偽は謎であった。しかし、兄弟戦争の結末が語られていない当時としては十分にあり得る可能性として捉えられるものだった。これは後の小説The Brothers’ Warでミシュラがゴーゴスの酒杯の大爆発の中心に居たことから生存はあり得なさそうだと思われたが、さらにその後のカードセット「プレーンシフト」と小説Planeshiftでは実際にファイレクシアの深層部で拷問を受けるミシュラが登場した。

掌編Tande’s Journal

Phyrexian Portal

Phyrexian Portal
データベースGathererより引用

掌編Tande’s Journalを要約すると次の通りだ。工匠タンデ(Tande)の恋人トレベシア(Trebecia)が突如開いたファイレクシアの次元門に引き込まれてしまった。タンデは後を追って次元門に飛び込み、ファイレクシアの第一球層から第四球層まで誘拐犯の足跡を辿って一層ずつ下っていった。第四球層でついにトリベシアと誘拐したグレムリン達を発見し、2人で力を合わせてグレムリンに抵抗した。そして、グレムリンが遂行中だった儀式を利用すると次元門が開いたため、何とか2人は帰還を果たした。タンデはファイレクシアを旅した経験から精神を病んでしまった。

恋人を救いに地獄を訪れる系統の話ではあるが、見どころはファイレクシアの地勢や住人の方であり、ファイレクシア風「神曲」と見做せる作品である(主人公の名前も明らかにダンテ(Dante)の捩りだ)。

本作ではファイレクシアが複数の球層からなる世界で、層ごとに独自の特徴が持たされており、第一球層から第四球層までの様相が語られている。この設定は本作で初めて具体的に描かれたものだ。ただし、作中では後に正式名称となる「第N球層(The N-th Shpere)」ではなく単に「N層(N-th Layer)」と表現されている。

  • 第一層は自然を模倣した人工物の景色が広がっていて、自然と煤と油まみれになってしまう。
  • タンデは工匠としてミシュラのドラゴン・エンジンに関する知識は十分に持っていた。しかし、第一層で遭遇したドラゴン・エンジンは既知のものとは全く違っていて、タンデは有機的でありながらも機械的でもあり、製造されたのではなく育てられた機械のようだと感じた。
  • 第二層は黒く煤けた大地で、巨大な煙突群から煤と炎が噴き上がっていて、全身真っ黒になってしまう。
  • 第三層は入り組んだパイプなどで通過が困難な迷路のような場所であった。
  • 第三層でのタンデの記憶は曖昧なイメージが思い出されるのみだったが、その中には金髪と黒髪の2人の男が永遠に争って互いに相手の喉を締めている姿があった。
  • 第四層は黒い油の雨が降り、廃墟や炉がある場所であった。
  • ファイレクシアン・グレムリン達がヨーグモスの悪魔のトーテム像の前でたむろし、恋人トリベシアと真鍮人間(Brass Man)を捧げ物にする儀式を行っていた。
  • 真鍮人間はアーティファクト・クリーチャーだが「まだ意識(conscious)があるように見えた」とか「瀕死の状態」とか、まるで普通の生き物と同じような表現がされていた。
  • タンデはトリベシアを救出し、生き残ったグレムリンをトリベシアの代わりに悪魔像に差し出すとグレムリンが行っていた儀式が成立し、帰還するための次元門が開いた。

ドラゴン・エンジンが単なる機械ではなくより生き物のようだとの言及は見出し語Dragon Engineの方を参照。

作中のファイレクシアン・グレムリンは、小説Shattered Chainsでの知覚あるアーティファクトを奪ってファイレクシアに持ち帰り破壊しようとするデーモンの群れと合致する。また、グレムリンが第四球層に住み次元移動手段を用いて他次元からアーティファクトを盗んで来る描写は後の小説Planeswalkerでも継承されている。

第一球層から第四球層までの情景はその後の作品でも継続して同じであり、この時点で既に正式設定となっていたことが分かる(おそらくは第五から第九球層までも設定済みであったのではないか)。

第三層でタンデが見たかもしれない争う金髪と黒髪の2人は、ウルザとミシュラを思い起こさせるものだ。当時は兄弟戦争の結末は語られておらず、また掌編The Interrogationで先述したように、ミシュラがファイレクシアで拷問を受けているとの記述も相まって、ひょっとするとこの2人の姿は本物ではあるまいか、と思わせるものであった。現在では本物ではないと判明しているため、ファイレクシア流の皮肉めいた作り物であるか、あるいはタンデが見たそのままの情景ではなかったのかもしれない。



見出し語Phyrexia

ファイレクシアへの貢ぎ物(Phyrexian Tribute)

ファイレクシアへの貢ぎ物(Phyrexian Tribute)
データベースGathererより引用

The dark plane of Phyrexia is a place few beings other than the foul natives of this plane have ever had the misfortune to visit. Creatures living in Phyrexia include Yawgmoth demons, Phyrexian gremlins, and numerous artifact-slaves.
Phyrexia is often called “the final Hell for artifacts.” Its skies are filled with soot and smog, with the constant sound of grinding cogs and screeching metal tormenting the air. Unimaginably large furnaces throw ash and fire into the skies, illuminating in their harsh red glare the tortures of the artifacts trapped here. The plane itself is formed from multiple hollow spheres, each darker and more horrid than the last. Although legend says the true fiend Yawgmoth lives in the innermost sphere, there is no one known who can confirm this tale.
暗黒次元ファイレクシアは、この次元の不浄な住人以外はほとんど訪れる者のいない場所である。ファイレクシアに住むクリーチャーにはヨーグモスの悪魔、ファイレクシアン・グレムリン、そして数多くのアーティファクトの奴隷が含まれる。
ファイレクシアはしばしば「アーティファクトのための最終地獄」と呼ばれる。空は煤とスモッグで満たされ、大気を責め苛むような歯車を削る音と金属の軋む音が絶え間なく響いている。想像を絶する巨大炉が灰と炎を空に舞い上げ、そのどぎつい赤い光がここに幽閉されたアーティファクトの苦悶を照らし出している。この次元自体は複数の空洞の球体(球層)で形成されており、下の球層ほどより暗く、よりおぞましい。伝説によると、最奥の球層には真の悪鬼ヨーグモスが住んでいるというが、この話を確認できる者はいない。
引用:Encyclopedia Dominia
上が英語原文。下が私家訳

ファイレクシアは「アーティファクトのための最終地獄」と呼ばれ、住人はデーモンとグレムリン、そして苦しめられているアーティファクトの奴隷とあり、小説の既存情報と合致する。

この解説ではドラゴン・エンジンなどの機械生物の存在についての言及が抜け落ちている。完全な情報とは言えないものだが、そもそもMTG世界内で書かれた百科事典という体裁なので、記述者の知識外のことは書けなかっただけだと解釈できる。

ファイレクシア次元が複数の球層から形成され、最奥部にヨーグモスが住むという情報はEncyclopedia Dominiaで新たに明かされたものだ。

ファイレクシアの情景として書かれている内容はほとんど第四球層のことである。

見出し語Phyrexian Gremlins

Phyrexian Gremlins

Phyrexian Gremlins
データベースGathererより引用

Phyrexian gremlins are short, often hairy, ebon-black beings who serve the will of the Yawgmoth priests and demons. With their fierce, glowing eyes and razor-sharp teeth, Phyrexian gremlins seem at best semi-intelligent servants. They evince an extreme, almost gleeful, excitement at the prospect of destroying artifacts and artificers, and descend en masse upon anyone unfortunate enough to stumble into their domain.
ファイレクシアン・グレムリンは短躯で、しばしば毛深い、漆黒の存在で、ヨーグモスの僧侶とデーモンの意志に従って働く。獰猛に光る目と鋭い歯を持ち、ファイレクシアン・グレムリンはよくても知力の低い召使い程度にしか見えない。アーティファクトや工匠を破壊できそうな機会が巡ってくれば極端な(ほとんど喜びに満ちた)興奮を露わにして、不運にも彼らの領域に足を踏み入れた者に大挙して襲いかかる。
引用:Encyclopedia Dominia
上が英語原文。下が私家訳

ファイレクシアン・グレムリンの描写は小説Shattered Chainsのデーモンの群れとほぼ同じだ。

見出し語Phyrexian Portal

Phyrexian Portal

Phyrexian Portal
データベースGathererより引用

The plane of Phyrexia is only accessible through a series of magical gates and portals. Such planar apertures are usually opened through the sacrifice of either creatures or artifacts. However, at times the sacrifice of a great deal of magical energy or knowledge will also open one of these portals. Unfortunately, any individual opening such a portal may find the sacrifice required is far different, and far more dear, than he or she ever imagined.
ファイレクシア次元には、複数ある魔法の門(ゲート)や入口(ポータル)を通してのみアクセスできる。このような次元の開口部は大抵クリーチャーかアーティファクトを生け贄にすることで開かれる。しかし、時には生け贄は莫大な魔力または知識でもよい。残念ながら、このようなポータルを開く者は、必要とされる生け贄が自分の想像とはかけ離れ、高すぎるものだと知ることになる。
引用:Encyclopedia Dominia
上が英語原文。下が私家訳

ファイレクシア次元に通じる次元門の解説であり、カードセット「アンティキティー」のGate to Phyrexiaや、アルマダコミックのコイロスの次元門を踏まえた内容だが、より直接的にはカードセット「アライアンス」のPhyrexian Portalのメカニズムを意識したものとなっている。挿絵もPhyrexian Portalのイラストであった。

この解説によってファイレクシア次元に繋がる次元門は、ドミナリア次元のコイロスの洞窟の他に複数(少なくとも「アライアンス」の時代には)存在することが確定した。これも後の小説Planeswalkerでの次元移動装置アンビュレーターや、小説Bloodlinesでの流動石関連技術を利用した次元転移装置などで継承される設定だ。

見出し語Yawgmoth Demon

ヨーグモスの悪魔(Yawgmoth Demon)

ヨーグモスの悪魔(Yawgmoth Demon)
データベースGathererより引用

Servants of the dread entity Yawgmoth, the Yawgmoth demons are intelligent beings that take great joy in constantly attempting to outdo one another in destroying artifacts. Some artificers claim the demons are preparing for the day when Yawgmoth releases them in a rampaging horde to destroy all the imperfect artifacts currently loose in Dominia. This final purge will, in turn, prepare the multiverse for the coming of Yawgmoth.
ヨーグモスという恐ろしい存在の下僕、ヨーグモスの悪魔は知的生命体であり、アーティファクトの破壊行為を通じて互いに凌駕しようと常に努めており、そこに大きな喜びを見出している。一部の工匠は、ヨーグモスが不完全なあらゆるアーティファクトを破壊する大軍をドミニアに解き放つその日に悪魔たちは備えているのだ、と主張する。この最終浄化によって、今度は多元宇宙がヨーグモスの到来に備えることになるだろう。
引用:Encyclopedia Dominia
上が英語原文。下が私家訳

ヨーグモスとはファイレクシアのデーモンを下僕とする存在だと語られた。これまで通りにデーモンはアーティファクトを破壊する者たちであるものの、その破壊の対称が「不完全なあらゆるアーティファクト(all the imperfect artifacts)」とする点は新情報だ。そして、大軍を解き放った後にヨーグモス自身が到来だろうという、後のファイレクシア侵略戦争の預言めいた新たな記述もここで初めて確認できる。

見出し語Yawgmoth Priest

Priest of Yawgmoth

Priest of Yawgmoth
データベースGathererより引用

Yawgmoth priests venerate the entity Yawgmoth. Working in concert with lesser Yawgmoth demons, the priests conduct strange rituals to purge unfit artifacts from all realms of existence. When an artifact creature shows promise, though, the priests guide its evolution towards perfection.
ヨーグモスの僧侶はヨーグモスという存在を崇拝している。ヨーグモスの下級悪魔と協力して働き、僧侶は奇妙な儀式を行って、全ての存在領域から不適切なアーティファクトを浄化している。ただし、もしアーティファクト・クリーチャーが有望であったならば、僧侶はその進化を完璧へと導くのだ。
引用:Encyclopedia Dominia
上が英語原文。下が私家訳

ヨーグモスとは崇拝対象だとここでも明記されている。僧侶は不適切なアーティファクトを滅して、有望ならば進化を完璧へと導く。

これまで小説やコミックではファイレクシアンはアーティファクトをただ破壊する存在と描かれてきたが、ここで有望なアーティファクトの「完璧(Perfection)」への「進化」を導く者たちだという別の姿が明かされた。後のファイレクシア流哲学を象徴する「完成(Compleation)」の原型はここにある。

見出し語Dragon Engine

ドラゴン・エンジン(Dragon Engine)

ドラゴン・エンジン(Dragon Engine)
データベースGathererより引用

The dragon engines were first introduced to Dominaria by the renowned artificer Mishra. Powerful artifact creatures capable of destroying almost anything in their path, Mishra’s dragon engines were nevertheless only pale shadows of the original Phyrexian creations. Phyrexian dragon engines are as intelligent and swift as organic dragons, not in the slightest hampered by their mechanical origins. Many of Dominaria’s goblin tribes believe that carrying a gear or cog from a dragon engine will keep other dragons from attacking the bearer.
ドラゴン・エンジンは、高名な工匠ミシュラによって初めてドミナリアに導入された。行く手を阻むほとんどのものを破壊できる強力なアーティファクト・クリーチャーであるが、ミシュラのドラゴン・エンジンはファイレクシアが創造したオリジナルの薄い影に過ぎなかった。ファイレクシアのドラゴン・エンジンは有機的なドラゴンと同様に知性があり素早く、機械的な起源が少しも足枷となっていない。ドミナリアのゴブリン部族の多くは、ドラゴン・エンジンのギヤや歯車を携帯することで他のドラゴンから攻撃されなくなると信じている。
引用:Encyclopedia Dominia
上が英語原文。下が私家訳

ミシュラのドラゴン・エンジンはファイレクシアの模倣であることはアルマダコミックと同じだが、それは劣化版であり、オリジナル版は有機的なドラゴンと同程度の機械生物だとの情報は新規のものだ。ドミナリアのゴブリン族の迷信もおそらく同様にここが初出である。



やっと基本セット第5版まで終わった

以上で、ファイレクシア関連情報をカードセット「基本セット第5版」までほぼ全ての当時公開された情報を拾い終った(はずだ)。

基本セット第5版で区切った理由は、この後のカードセット「ウェザーライト」から「テンペスト」、「ストロングホールド」、「エクソダス」までは「ラース・サイクル」というひと纏まりになっており、いわゆるウェザーライト・サーガの序章となっているからなのだ。ウェザーライト・サーガはそれ以降と以前ではMTGの様相が一変する大転機であり、ファイレクシアも同様に変化することになる。

したがって、次回はラース・サイクルに移る予定だ(あるいは一旦情報を整理するかもしれない)。→その4

では今回はここまで。

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マジック・ザ・ギャザリング(MTG)の最初期からの悪役「ファイレクシア(Phyrexia)」の変遷を、MTG史に沿って順番に書き出していく。第2回目。
  1. 海外有力wikiは1999年5月に登場などと書かれていたりもするが明らかに間違いだ
  2. Duelist誌の1.5号に相当する
  3. ちなみにサイト内では1年に6回更新と告知されていたのだが、私が覚えている限りでは、確か4回は更新されたはずだが、予定の6回までは続かなかったはずだ。
  4. 小説のAshtokは名前のみの登場で終わったし、コミックのデーモンは後の法務官ギックスとなるキャラクターであるがこの時点では無名だった
  5. 「アーティファクトの生命体」つまり「アーティファクト・クリーチャー」を指すように思える