下水クロコダイル(Sewer Crocodile)はカードセット「ニューカペナの街角」収録のクリーチャー・カードである。
今回は、都市伝説で知られる下水道の巨大ワニを表現したこのカードを取り上げる。
下水クロコダイルの解説
“Quick, let’s hide in the sewer!”
—Ginsi the Thief, now deceased
「急いで、下水道に隠れよう!」
——今は亡き盗人、ジンシ
引用:下水クロコダイル(Sewer Crocodile)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
下水クロコダイル(Sewer Crocodile)はニューカペナ次元の下水道に生息する巨大ワニだ。
このカードは有名な都市伝説「下水道のワニ」をネタ元としてカード化したものである。
都市伝説「下水道のワニ」
「下水道のワニ」は定番の都市伝説だろう。
「下水道のワニ」といえば、私個人としては1980年の映画「アリゲーター」を思い出してしまう。
怪物的に巨大化した下水道のワニを題材にしたパニック映画だ。この印象が強く記憶に刻まれていたため、なぜ「ニューカペナの街角」で下水道のワニをやるんだろう?当然、大都市ニューカペナなら下水道はあるだろうけれど、「1920年代頃のアメリカ大都市とギャング」がモチーフな世界でわざわざ「下水道のワニ」をやらなくてもいいんじゃないか?と不思議だったのだ。
それで調べてみると、都市伝説「下水道のワニ」の発祥は1980年よりもかなり古く1920年代後半のアメリカにまで遡るという情報が見つかった。そう、「ニューカペナの街角」がモチーフとした時代に丁度重なっているのだ。
これなら納得だ。「下水道のワニ」は当時にまつわるネタとしてピッタリのチョイスだったのだから。
その他の「下水道のワニ」カード
「下水道のワニ」は定番のネタなので、MTGでも何度もカードになっていたはずだよな……そう思っていた。
ところが、こちらも調べるとそれっぽいワニのカードはラヴニカ次元に1枚しか見つからなかった。
それがこの地下墓地のクロコダイル(Catacomb Crocodile)である。
地下墓地のクロコダイル
“I am sewer-king!” said Rat. “I am quick and cunning and I know every tunnel.”
“No, I am king!” said Zombie. “I am cold and deadly and no rot can harm me.”
Then Croc came and ate them both.
「俺が下水の王だ!」ネズミは言った。「俺はすばしっこくて悪賢い。どんなトンネルでも知ってる。」
「いや、俺が王だ!」ゾンビは言った。「俺は冷たくて恐ろしい。どんな腐敗も俺を蝕むことはできない。」
そこへワニがやって来て、どちらも食べてしまった。
引用:地下墓地のクロコダイル(Catacomb Crocodile)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
地下墓地のクロコダイル(Catacomb Crocodile)はカードセット「ラヴニカの献身」収録のクリーチャー・カードである。ラヴニカ次元の地下墓所に生息する巨大ワニだ。
カード名では「地下墓地」とあるので「下水道」に生息しているとは言えそうにないものの、フレイバー・テキストではネズミとゾンビから「下水の王(sewer-king)」の座を実質的に奪い取っていることから、「下水道のワニ」の仲間とみなしてよいと考えられる。
ラヴニカ関連のワニを見ると、灰鱗のガリアル(Grayscaled Gharial)と石載りのクロコダイル(Stonefare Crocodile)の2種類は、イラストの雰囲気やフレイバー・テキストの内容などから、ひょっとすると「下水道のワニ」をイメージしているのかもしれない。
さいごに
今回は以上のように小ネタ記事だ。
「下水道のワニ」みたいな手垢のついたネタはMTGでもやりつくしてるだろ。そう思い込んでいたら、実は直接的なイメージのカード化はこの下水クロコダイル(Sewer Crocodile)がMTG史上初だった。しかも、元ネタは1920年代まで遡ると判明。予想外だ。こんな地味なカードで2度も驚かされるとは思いもしなかった。
まあ、「こんな地味なカード」とは言ったけれど、ドラフトでは意外に侮れないフィニッシャーになることも少なくないので、結構個人的には好きんだよね、このワニ。
では今回はここまで。
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