下支え(Shore Up)はカードセット「団結のドミナリア」収録のインスタント・カードである。
今回はカード名「下支え(Shore Up)」に隠された意味を探った。記事のおまけとして「隠れホマリッド」を取り上げてもいる。
下支えの解説
Homarid shells are adapted to the crushing pressure of the deepest depths; on land, their sturdiness seems supernatural.
ホマリッドの甲殻は深海の奥底の水圧に耐えられるように適応しており、陸ではその硬度は超常的と恐れられている。
引用:下支え(Shore Up)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
下支え(Shore Up)は、カードのメカニズム上は、自分のクリーチャー1体にターン終了時まで+1/+1修整と呪禁を与え、さらにアンタップする。対戦相手の除去を無力化したり、コンバットトリックとして、今後は何かと重宝されそうな軽い呪文だ。
さて、イラストは陸に上がったホマリッド(Homarid)が描かれ、フレイバー・テキストはホマリッドの甲殻の硬さを語る内容である。
ホマリッド(Homarid)は、ドミナリア次元に生息するカニやエビに似た甲殻類系人型種族である。こちらの記事を参照のこと。

その一方で、カード名は「下支え」と訳されている。この場合の「下支え」は経済的な意味合いではなく「他者の運動を支持・応援すること」の意味であろうが、このカードではどういった含みを持たされているのだろうか?
ホマリッドの上陸や甲殻の硬さと「下支え」に一体どんな関係があるのだろう?
下支えのカード名
「下支え」と訳された「Shore Up」には2通りの意味がある。
その1「補強する」
まず1つ目は「補強する」という意味だ。
「shore」には、名詞で「支柱」や「支え」の意味があり、動詞では「shore up」で「支柱で支える」となって、「補強する」「支援する」を意味する。
カードのメカニズムでの「+1/+1修整・呪禁・アンタップ」、そして、フレイバー・テキストの「甲殻の硬さ」はこの「補強する」で説明がつけられる。
その2「上陸する」
次に2つ目の意味が「上陸する」である。
こっちの「shore」は、名詞で「岸・海岸・陸」のことだ。動詞で用いられると、「(海や湖や川から)上陸する」との意味合いになるのだ。
イラストでは、海洋深海種族ホマリッドが地上に現れた場面を描いている。
結論
英語名の「Shore Up」には「補強する」と「上陸する」の2つの意味があると確認できた。
「補強する」の方は、「カード・メカニズム上の機能」と「フレイバー・テキストのホマリッドの甲殻の硬さ」に合致する。
「上陸する」の方は、「ホマリッドが深海から陸に上がって来たイラスト」にピタリと符合している。
したがって、カード名「Shore Up」はダブルミーニングの言葉遊びだったのだ。おそらく軽い補強呪文としてデザインされたカードに、ホマリッドを絡めた冗談を思いついたのだろう。制作陣の楽しいおふざけだ。
おまけ:隠れホマリッド
ホマリッドは、決して人気の種族と言うわけではないのだけれど、一部に熱狂的なファンがいる。もうずっと何年も新たなホマリッド・カードの登場を待ち望んでいる人たちだ。
4年前のドミナリア再訪では、ホマリッドの探検者(Homarid Explorer)という新規カードが1種類収録されていた。ファン待望の新ホマリッドであった。
ところが、今回のカードセット「団結のドミナリア」にはクリーチャー・タイプが「ホマリッド」のカードは一切収録されなかった。これじゃあ、ホマリッドのいないドミナリアなんてドミナリアじゃない、なんて嘆きも聞こえてきそうだ。
そんなファンの気持ちに応えて、制作陣はホマリッドをイラストやフレイバー・テキストで言及するようにしたのであろう。クリーチャー・カードにホマリッドを入れる枠が無いから、せめてホマリッドのこと忘れていないと伝えたがっているようにも思わせる。
下支えにはイラストとフレイバー・テキストでしっかりとホマリッドが描写されている。
そして、実はもう1枚、団結のドミナリアにはホマリッドが登場しているカードがあるのだ。ご存じだろうか?
怪物的戦ヒル
怪物的戦ヒル(Monstrous War-Leech)はカードセット「団結のドミナリア」収録のクリーチャー・カードである。
イラストを担当したChristopher Burdettによると、このクリーチャーはドミナリアの沼地で死んだ動物を貪り喰らう巨大なヒルの怪物であり、ホマリッドが騎乗することでドミナリアだと示しているのだそうだ(出典リンク)。

ホマリッド、巨大ヒルに乗る怪物的戦ヒル(Monstrous War-Leech)一部拡大
どうやらホマリッドは巨大な騎乗用生物、あるいは陸上戦闘用生物を手に入れてしまったようだ。ホマリッドは凍りつくような深海から、虎視眈々と地上征服を企んでいるのかもしれない。ファイレクシア侵略戦争の次の脅威はホマリッドであろうか!?
さいごに
以上で今回の記事はおしまいだ。
下支えのカード名解説を行ったが、それに絡めて、「団結のドミナリア」で収録を逃したホマリッドについてもちょっと取り上げてみた。
では今回はここまで。
下支えの関連記事
ホマリッド関連記事

カードセット「団結のドミナリア」の関連記事
