ストリクスヘイヴン大学のあるアルケヴィオス次元のマーフォーク(人魚)について取り上げる。
カードセット「ストリクスヘイヴン:魔法学院」と関連セットの「統率者2021」に収録されたカードの中からマーフォーク関連のカードを抜き出して調査しまとめてみた。
追記(2021年5月17日):プリズマリの学舎(Prismari Campus)のイラストにマーフォークが描かれていることを見落としていたので記述を追加した。
追記(2021年5月25日):マーフォークのコンセプトアートを追記した。
追記(2021年6月25日):爆発的歓迎(Explosive Welcome)のイラストにもマーフォークを発見したので追加した。
ストリクスヘイヴンのマーフォーク
ストリクスヘイヴン大学のあるアルケヴィオス次元には、多種多様な人型種族が生活している。人間やオーク、ドワーフのようなメジャーな種族から、亀人・蛙人・トカゲ人といったマイナーなものまで様々だ。
MTGの青の定番種族であるマーフォークもアルケヴィオス次元に生息する種族だ。ストリクスヘイヴンではプリズマリ大学(青赤)とクアンドリクス大学(緑青)に関係するカードに登場している。クリーチャー・カードとしては4種類あり、その他のカードのイラストにも多数描かれている。それなりによく見かける種族である。
マーフォークはいわゆる人魚・魚人のことだが、アルケヴィオスのマーフォークは水中生活だけでなく、2本足で歩き陸上生活が可能である。外見的には魚風のヒレなどの特徴を持った人間といった雰囲気を漂わせている(外見の詳細は次の節で)。
マーフォークに関する設定情報は、アルケヴィオスの他の種族と同様に、ほとんど公開されていない。伝説のクリーチャーであるアドリックスとネヴの設定文に書かれている情報がほぼ全てと言っていいほどだ。それによると、オーリシア大陸南西部のピンザリ諸島(Pinzari Isles)にはマーフォークの共同体が存在している。その他はストリクスヘイヴンには多数のマーフォークが所属していること、分かっているのはほとんどそれだけなのだ。
マーフォークの外見的特徴
アルケヴィオス次元のマーフォークの外見的特徴をまとめると以下の通りだ。
身体の各所にヒレがある魚類系人型種族。陸上生活が可能で、2本の足で歩行できる。1身長は人間とほぼ同じ。
マーフォークの肌の色は赤・青・緑系統である。一方、ヒレは肌の色より鮮やかな赤や濃い色合いであるか、目立つような模様がある。
頭部には髪はなく、代わりにモヒカン状の大きなヒレが生えている。頭部のヒレはピンと直立していたり、横に垂れていたりしている。頭部のヒレが複数枚ある者も中にはいる。
顔の両脇にあるヒレ(あるいは突起)は、顎や頬の辺りから後ろに伸びており、人間の外耳に当たる突起の代わりにこのヒレがあるような具合だ。
その他、前腕部にもヒレが確認できるイラストがあるものの、着衣の上からは他の部分のヒレの有無は分からない。
そして手の指の間に水かきがあり、指先の爪は鋭い。足の方の状態はイラストからは細部の確認はできなかった。
マーフォークの体形を比較すると、角ばってがっしりとした男性風の骨格と、丸みを帯びた膨らみのある女性風の骨格があることに気付かされる。おそらく、人間と同様に、それがマーフォークの男性と女性の身体的な違いだ。
マーフォークと他種族との外見上の見分け方
アルケヴィオス次元にはマーフォークと同じ青系の肌を持つ人型種族が存在している。それが「オーク」と「ジン」である。
マーフォーク、オーク、ジンはどれも青絡みのカードに登場してくるのでいっそう紛らわしくなる(プリズマリ大学の格好をするとさらに)。しかし、パッと見たところ見間違えるかもしれないが、いくつか明確に違う部分があることに気付ける。
要点をまとめると次の通りである。
オークとの違い。オークは青や紫系の肌の種族だが、髪の毛があり、尖った耳もある。ヒレはない。下側に2本の犬歯を持ち、その先端は下唇より外に突き出ている。
ジンとの違い。ジンも青系の肌の種族だが、頭には髪もヒレもなく、尖った耳がある(オークの耳より細長い)。
つまり、マーフォークは髪の毛が生えているか、ヒレがあるか、耳はどうか、牙があるかでオークやジンと判別がつけられるのだ。
ピンザリ諸島
ピンザリ諸島(Pinzari Isles)はアルケヴィオス次元のオーリシア2大陸南西部に位置する群島である。この海はマナが豊富である。
ピンザリ諸島はマーフォークの双子アドリックスとネヴの故郷であり、彼らの設定文章から考えて、少なくともこのピンザリの海域にはマーフォークの共同体が確実に存在している。
また、アルケヴィオスのマーフォークは陸上生活が可能であり、内陸にあるストリクスヘイヴンにも多数のマーフォークが生活している。とはいえ、魚類系種族なのだから内陸より海や湖などの水場により大きな居住地を形成しているのが自然だろう。
オーリシア大陸は海で囲まれており、マーフォークが棲息する条件は各所に整っていると考えられる。ピンザリの他の海域にもマーフォークの居住地があってもおかしくはない。
マーフォークのカード
カードセット「ストリクスヘイヴン:魔法学院」と関連セットの「統率者2021」に収録されたカードの中からマーフォークのクリーチャー・カードを紹介する。
マーフォークのクリーチャー・カードは全4種類で、伝説のマーフォークが1種類含まれる。
メカニズム面で見ても、マーフォークの種族として共通する特徴は特に見当たらない。色に青を含み、基本のパワー/タフネスの合計が4であることくらいか(4種中3種が2/2)。
双子唱者、アドリックスとネヴ
双子唱者、アドリックスとネヴ(Adrix and Nev, Twincasters)は青と緑のマナの組み合わせに習熟したクアンドリクス大学の教授だ。アルケヴィオス次元ピンザリ諸島(Pinzari Isles)の海出身の双子である。性別は男性のように見えるが断定できない。
2人は子供の頃から才能を発揮し始めており、当時のマーフォーク社会で最も尊敬される学者でさえ見逃してしまうようなパターンを、潮汐や潮流に見出すことができた。ある時、突発的な大津波を予測して百人もの命を救ったことから、2人の才能を疑う者はいなくなった。現在の2人はストリクスヘイヴンで2人組で教壇に立つ特別許可を受けている。2人は様々な難解な数学原理に関する議論を戦わせているのが常である。しかし、もし教え子が危機に陥ったならば、阿吽の呼吸で行動に出る。
双子の設定情報の出典(リンク1、リンク2)。ちなみにリンク1の動画で、ウィザーズ社のガヴィン・ヴァーヘイ(Gavin Verhey)は「Adrix」を「アドリックス」ではなく「エイドリクス」と発音している(おそらくこちらの発音の方がより正確だろう)。
熟練した予言者
One of the first lessons divination students learn is how to recognize the difference between a portent and a simple surface ripple.
予言を学ぶ学生の最初の課題は、予兆と、単なる表面の波の違いを見分けることだ。
引用:熟練した予言者(Soothsayer Adept)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
熟練した予言者(Soothsayer Adept)はカード名やフレイバー・テキスト、イラストの内容から、大学の講師側の魔導士と思われる。服装はプリズマリ大学らしさが窺える。
クアンドリクスの誓約魔道士
“The first step toward transcending physical limitations is discarding assumptions about what is possible.”
「肉体の限界を超えるための第一歩は、何ができるのかに関する思い込みを捨てることよ。」
引用:クアンドリクスの誓約魔道士(Quandrix Pledgemage)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
クアンドリクスの誓約魔道士(Quandrix Pledgemage)は自身の身体を巨大化する魔法を扱うクアンドリクス大学所属のマーフォーク魔導士を表現している。
奔流の彫刻家
奔流の彫刻家(Torrent Sculptor)はプリズマリ大学所属のマーフォークを描いている。
マーフォークの描かれたカード
カードセット「ストリクスヘイヴン:魔法学院」と関連セットの「統率者2021」に収録されたカードの中からマーフォークがイラストに描かれているカードを紹介する。
カードサイズのイラストでは細部がはっきりせず、見逃しやすいものが多い印象だ(それにオークやジンのイラストと互いに混同しやすいのも分かりにくい一因であるが)。
降雪日
“Advanced Elemental Manifestations is canceled until all students have thawed.”
–Prismari dormitory notice
「上級精霊顕現法は生徒が全員解凍されるまで休講とする。」
–プリズマリ寮の掲示
引用:降雪日(Snow Day)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
降雪日(Snow Day)のイラスト左側の人物はマーフォークだと思われる。
フレイバー・テキストを考慮するに、体中からつららを生やした魔道生徒たちはプリズマリ大学所属であろう。
献身的な塵語り
“The Founder Dragons weren’t even hatched when this scroll was written!”
「この巻物は、創始ドラゴンが生まれてもいなかったころの物なのだ!」
引用:献身的な塵語り(Ardent Dustspeaker)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
献身的な塵語り(Ardent Dustspeaker)のイラスト右側の人物はマーフォークに見える。
献身的な塵語り自身の方はロアホールド大学に所属するミノタウルスの教授で、マーフォークを含む魔道生徒たちは歴史学系の講義を受講しているのだろう。
爆発的歓迎
Rowan and Will were a natural fit in Prismari College, the school of outrageous elemental arts.
ローアンとウィルがプリズマリ大学に入ったのは必然であった。そこは凶暴な精霊術を学ぶ場所であったから。
引用:爆発的歓迎(Explosive Welcome)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
爆発的歓迎(Explosive Welcome)はプリズマリの学舎(Prismari Campus)での新入生歓迎を描いている。このイラストには少なくとも2人のマーフォークが描かれている。左から2番目の人物と、ウィルのすぐ左側の人物だ。
イラストの右手には物語の主人公ローアンとウィルがいる。ストリクスヘイヴンではまだ初年度の2人だが、フレイバー・テキストによると、プリズマリが馴染むと語られている。
フレイバー・テキストの和訳製品版では、「ローアンとウィルがプリズマリ大学に入ったのは必然」と書かれているが、明らかにおかしい。原文は、プリズマリ大学が2人の性に合っていた、くらいの意味合いに過ぎない。それに設定上では、ストリクスヘイヴン大学の1年生は一般課程を学修する時期であり、プリズマリ大学などの専門5大学の選択は2年次からになる。したがって、入学1年目のローアンとウィルがプリズマリ大学に入ることはあり得ないのだ。
もう1つ「outrageous elemental arts」を「凶暴な精霊術」と解釈しているのも腑に落ちない。プリズマリ大学は芸術を専攻しているが、その性質は「凶暴」よりもむしろ「突飛な」「常識を超えた」ものだからだ。
ローアンとウィルにはプリズマリ大学が性に合っていた。そこは常識を超えた精霊術の学び舎であったから。
訳し直してみたがこのようなものではないだろうか?来年はローアンとウィルはプリズマリ大学を選択しようと計画を立てているようだ。
クアンドリクスの命令
クアンドリクスの命令(Quandrix Command)のイラストで集合したクアンドリクス大学の面々。その中で一番右の人物はマーフォークである。
公式サイトでは壁紙が公開されている(2560×1600サイズへのリンク)。
表現の反復
Prismari students dance in the tension between passion and perfection.
プリズマリの学生たちは情熱と完璧の葛藤の中で踊る。
引用:表現の反復(Expressive Iteration)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
表現の反復(Expressive Iteration)のイラストでダンスを披露しているプリズマリ大学の魔道生徒はマーフォークである。
プリズマリの学舎
Mage-students who see spellcraft as the highest form of expression choose Prismari, the college of elemental arts.
魔術を最高の表現手段と考える魔道生徒は精霊術の大学プリズマリを選ぶ。
引用:プリズマリの学舎(Prismari Campus)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
プリズマリの学舎(Prismari Campus)のイラストで左の階段に座っている人物はマーフォークである。
統率者の眼識
No amount of solitary studying can replace a master’s tutelage.
どれだけ一人で研究しようとも、師の助言には代えられない。
引用:統率者の眼識(Commander’s Insight)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
統率者の眼識(Commander’s Insight)のイラストの左右の2人の人物はマーフォークである。服装からプリズマリ大学所属で、2人とも女性のように見える。
また、中央の人物はトロールの男性で、クアンドリクス大学所属と思われる。
カード名とフレイバー・テキストによれば、師から学生への助言を描いたカードと分かるのだが、イラストの様子からは3人のうち誰が師なのか私にはちょっと判断つかなかった。
参考までに、Mike Jordanaが描いたこのカードのイラストだが、制作途中のスケッチはこちらで公開されている。制作時の仮名は「Commander’s Instruction」だったようだ。
難解な試験
“Your proofs were a bit nontraditional, but effective nonetheless. Full marks.”
「君の証明は少々風変わりだったが、実に効果的だ。満点だ。」
引用:難解な試験(Perplexing Test)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
難解な試験(Perplexing Test)の左側の両手に本を抱えた人物はマーフォークである。
イラストとフレイバー・テキストによれば、このカードの主役は右奥の2人である(左が人間女性の魔道生徒で、右が梟人オーリンの教授)。人々の装束から考えて、クアンドリクス大学での一場面である。
熱狂のリフレイン
熱狂のリフレイン(Rousing Refrain)のイラストの4人のうち、左から2番目がマーフォークのように見える。4人は芸術を学ぶプリズマリ大学の人々だ。
ちなみに、このマーフォーク氏はどうやら靴を履いていないようだ。貴重なマーフォークの素足なのだが、大きな画像でないので細部はよく確認できなかった。
治癒の技
治癒の技(Healing Technique)のイラストの右側の人物はマーフォークである。
そして、負傷した1本角の生き物を治療している人物は、頭部が木の枝のような形状なので、おそらくドライアドであろう。服装はウィザーブルーム大学所属のようだ。
では以上をもってアルケヴィオス次元のマーフォークに関するカードが弾切れとなってしまった。語れる情報も思い付く妄想ももう出てきそうにない。今回はここまで。
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