エルドレイン:ジョシュア卿とサクソン卿

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ジョシュア卿とサクソン卿(Syr Joshua and Syr Saxon)はカードセット「アルケミー:エルドレイン」に収録された伝説のクリーチャー・カードである。

ジョシュア卿とサクソン卿の解説

They were inseparable in waking life, and they fought in perfect coordination even as puppets of the Wicked Slumber.
目覚めている間も離れられなかった二人は、忌まわしき眠りの操り人形になってからも完璧な連携を図って戦った。
引用:ジョシュア卿とサクソン卿(Syr Joshua and Syr Saxon)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下がMTGアリーナの和訳

ジョシュア卿とサクソン卿(Syr Joshua and Syr Saxon)

ジョシュア卿とサクソン卿(Syr Joshua and Syr Saxon)
公式カードギャラリーより引用

ジョシュア卿とサクソン卿(Syr Joshua and Syr Saxon)はカードセット「アルケミー:エルドレイン」に収録された伝説のクリーチャー・カードである。2人組の騎士という特徴を、二体掛り能力と、条件付きでのレジェンド・ルールの無視によって表現している。

イラストの左がジョシュア卿でギャレンブリグ騎士、右がサクソン卿でアーデンベイル騎士だ。カードの色が緑白なのは、ジョシュア卿が緑のギャレンブリグ、サクソン卿が白のアーデンベイルに属しているためだ。

このカードの2人は忌まわしき眠りに囚われており、身体を取り巻く紫色の眠りの力の命じるままに動く操り人形状態になっている。

目覚めていた頃から、そして忌まわしき眠りに落ちた後までも、2人はずっと一緒にいる。戦闘では、2人は連携して続けざまに武器で打ちかかる戦法を行う。

イラスト担当したXabi Gazteluaは2人を恋人同士(lovebirds)だとはっきり記している(出典)。



ジョシュア卿

ジョシュア卿(Syr Joshua)

ジョシュア卿(Syr Joshua)は獣使い1であり、戦鎚を武器としている。人間男性。

緑系統の武具と装束には、ギャレンブリグの象徴である鎚をデザイン化したT字模様が確認できる。ギャレンブリグ騎士である証だ。

サクソン卿

サクソン卿(Syr Saxon)

サクソン卿(Syr Saxon)は寛大なる心を持つレインジャーで、骨の斧2を振るって接近戦を行っていた。人間男性。

武具や装束は白と水色が基調で、円模様が各所にデザインされている。これはアーデンベイル騎士の証拠だ。

ストーリー中の描写と同じく、片手に斧を持ち、レインジャーらしく弓と矢筒を背負っている。

ジョシュア卿とサクソン卿の登場ストーリー

ジョシュア卿とサクソン卿はカード化の発表に先立って、カードセット「エルドレインの森」の連載ストーリー第3話「Episode 3: Two Great Banquets」において登場した。

以下のような短い場面である。

廃墟となり魔女エリエットが根城と変えたアーデンベイル城において、ローアン・ケンリスは魔女の操り人形となった眠れる騎士たち、つまりかつての仲間たちに襲われる。

その中にジョシュア卿とサクソン卿がいた。2人は連携攻撃でローアンに迫った。

ローアンの放った魔法の衝撃によって、2人は足を掬われて転倒したが、睡眠状態でぐにゃぐにゃに脱力していたことが良い方に働いて怪我を負わなかった。

ローアンはかつてジョシュア卿から「身体を脱力しておくのが怪我を避ける最善策なのだ」と教わったことを思い出す。

2人を無力化したのも束の間、彼女の前にはまだたくさんの眠れる騎士たちが立ちはだかっていた……。

ジョシュア卿とサクソン卿の出番はここまでだ。

公式和訳版の第3話「二つのもてなし」に関して

連載ストーリー第3話の公式和訳版として「二つのもてなし」が公開されている。

この公式和訳版のジョシュア卿とサクソン卿の登場場面において意味の通らない文章が出てくる。上述した「脱力すると怪我をしにくい」という件なのだが……。公式和訳版では以下のような文章である。

Slumber keeps their bodies limp—in this case, a good thing. Staying limp is the best way to avoid injury at times like that.
忌まわしき眠りが彼らの四肢から力を奪っていた――それが功を奏した。今のような時に負傷を避ける最良の方法は、動かないことだ。
上が英語原文。下が公式和訳版

これはローアンがジョシュア卿とサクソン卿を転倒させた直後の文章だ。

この日本語文を読み解くと以下になる。忌まわしき眠りでジョシュア卿とサクソン卿の四肢は力を奪われた状態にあり、それがローアンの攻撃を成功に導いた。現在置かれている状況下で、ローアンが負傷を避ける最善策は動かないことなのだ。以上のようなところだろうか。

他の解釈もできる日本語文かもしれない。正直よく分からない。だが少なくとも、四肢の力を奪われているとか、動かないことが怪我を避ける方法だとか、は原文の内容とは違っている。

原文を読み解く

原文には2回「limp」という単語が出てきているが、和訳で一番引っ掛かるのはその前後の部分だ。ではそこを意識しながら読んでみる。

最初の「Slumber keeps their bodies limp」は、「(忌まわしき)眠りの影響で彼ら(ジョシュア卿とサクソン卿)の身体はぐにゃりと力が抜けたままである」とこんな感じだ。公式和訳の「四肢」だけでなく「身体」から力が抜けている。

次の「in this case, a good thing.」の部分は「この場合は、それが良かった」くらいか。

後ろの「Staying limp」は「力を抜いた状態を保つこと」つまり「脱力状態」と言い換えられる。「動かないこと」と解釈するのは無理がある。

とすると後ろの文は「脱力状態はこういう場合には怪我を避ける最善策なのだ。」となる。

眠りの影響で彼らの身体は脱力状態であり――今回はそれが幸いした。こういう場合、脱力状態が怪我を避ける最善策となるのだ。

整理してこんな内容の訳文が作れる。

ジョシュア卿とサクソン卿はローアンの魔法で転倒したが、脱力状態で倒れたので幸いにも怪我を負わずに済んだ。つまり、ローアンは敵に操られているだけの仲間と不本意ながらも戦っており、転倒させたがそれ以上のダメージは望んでいないのだ。

そういう特に難しく考える必要はない流れの文章だ。



さいごに

名前付き脇役くらいの扱いだった騎士コンビ。それがまさかの伝説のクリーチャー・カードで収録!?「アルケミー:エルドレイン」のカードを眺めて驚かされた。

しかしよくよく見ると、ジョシュア卿とサクソン卿は2人の設定も、カードのメカニズム的実装も、どちらも興味深いものであった。それで個別記事を作成してみた次第だ。

また、記事作成に当たって連載ストーリー第3話を再読すると、改めて意味の通らない和訳文にも気付くことができ、ついでにそこも取り上げられたのは幸いだった。

では、今回はここまで。

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  1. 原文「the Beast Tamer」
  2. 原文「bone axe」