ヴァントレス(Vantress)はエルドレイン次元の王国5宮廷の1つ。
※ 途中なれど暫定版として公開します(2019年9月29日)。→2019年9月30日追記おおむね追記完了(2019年10月1日)
ヴァントレスの解説
ヴァントレスはエルドレイン次元の「王国(The Realm)」をなす5つの宮廷の1つである。青を担当する。
色:青
美徳:知識(knowledge)
紋章:鍵穴
指導者:ガドウィック
本拠地:ヴァントレス城
秘宝:魔法の鏡インドレロン
世界構築担当:Doug Beyer
命名由来:Kelly Diggesの造語
特徴:伝承魔導士(loremage)、ウンディーネ(マーフォーク)、メア湖
ヴァントレスの美徳
エルドレインの王国5宮廷はそれぞれに象徴的な美徳を有している。青のヴァントレスの美徳は「知識(knowledge)」である。カードのフレイバー・テキストでは、ヴァントレス城(Castle Vantress)で言及されている。
「知識」を美徳とするヴァントレスには博学な伝承魔導士(loremage)たちがいる。
ヴァントレスの世界構築と命名由来
エルドレインでは色の理想を5つの宮廷を通して描いており、今回の青にはいつもよりも積極性が必要だったという。ヴァントレスの世界構築(ワールド・ビルディング)ではDoug Beyerがそういった特色を持たせた。(出典)
「ヴァントレス(Vantress)」の命名由来は、Kelly Diggesによる造語である。Diggesには「Vantress」の音の響きがクールかつハイファンタジーに響いた。長い髪の不気味なマーフォークが取り囲む城を連想して、陣営よりも城の名称として付けたようだ。「-tress」は「要塞・砦」を意味する「fortress」から。他の連想には「vanguard(前衛・先陣・先駆者)」「vaunted(自慢)」そして「Vance(ヴァンスという人名や地名)」もあったかもしれないという。(出典)
ヴァントレスの指導者
老いたる者、ガドウィック(Gadwick, the Wizened)
His name is spoken only in whispers—but he hears just the same.
その名は囁き声でのみ口にのぼる。しかしその耳にはそのまま届いている。
引用:老いたる者、ガドウィック(Gadwick, the Wizened)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
老いたる者、ガドウィック(Gadwick, the Wizened)はヴァントレスの指導者である人間男性の魔術師。カード名の「Wizened」は「(年齢や病気で)しわくちゃの」という意味合いがある。
マーク・ローズウォーターは公式記事において、各宮廷の指導者はレアの伝説の貴族クリーチャーであるとコメントしたが青には該当するカードがなかった。実はヴァントレスの指導者は王でも女王でもない魔術師のガドウィックであったため、自身のブログで訂正を行った。(出典1、出典2、出典3)
ヴァントレスの本拠地
ヴァントレス城(Castle Vantress)
Without Vantress’s knowledge, the realm would lose itself in darkness.
ヴァントレスの知識がなければ、王国は闇に迷ってしまうだろう。
引用:ヴァントレス城(Castle Vantress)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
ヴァントレス城(Castle Vantress)はメア湖に浮かぶ島の城。
魔法の鏡インドレロンがあり、探索中の騎士や答えを求める探究者はヴァントレス城を訪れるという。魔法の鏡に問いかける資格を示すには湖を泳いで城まで渡らなければならない。
通路の監視者(Corridor Monitor)
Castle Vantress has no locks on its doors, but interlopers rarely make it past the foyer.
ヴァントレス城の扉に鍵はないが、侵入者が正面広間を抜けられることは希だ。
引用:通路の監視者(Corridor Monitor)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
通路の監視者(Corridor Monitor)はヴァントレス城の通路を守る監視機械。ヴァントレス城の扉には鍵がないという(紋章が「鍵穴」であるというのに)。
真夜中の時計(Midnight Clock)
真夜中の時計(Midnight Clock)はヴァントレス城の尖塔にある時計と思われる。
12という数と真夜中の時計というカード名から考えて、「シンデレラ」の魔法が解ける深夜零時をイメージしているのだろう。
ヴァントレスの秘宝
魔法の鏡(The Magic Mirror)
魔法の鏡(The Magic Mirror)こと「インドレロン(Indrelon)」は各色の宮廷に割り振られた神話レアのアーティファクト・カードのヴァントレス版である。
不可解な幻視(Unexplained Vision)
Rowan and Will exchanged a baffled glance. Could the stag in the vision lead them to their father?
ローアンとウィルは当惑して顔を見合わせた。幻視の中の鹿が父親の居場所を知っているということだろうか?
引用:不可解な幻視(Unexplained Vision)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
このカードは魔法の鏡から幻視を授かるローアン・ケンリス(左)とウィル・ケンリス(右)の双子を描いている。
鏡細工(Mirrormade)
“Share your darkest secret and the Mirror will reveal your soul’s essence.”
–Ceri, royal mirrorkeeper
「一番暗い秘密を伝えれば、鏡が魂の本質を明かすでしょう。」
–王室の鏡守り、セリ
引用:鏡細工(Mirrormade)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
鏡細工(Mirrormade)のフレイバー・テキストには「王室の鏡守り、セリ(Ceri, royal mirrorkeeper)」が登場している。インドレロンの世話係だろうか。
選択(Opt)
“Sometimes the hardest choice is between two wonders.”
–Gadwick, the Wizened
「時に難しい選択がある。二つの驚異から一方を選ぶときだ。」
–老いたる者、ガドウィック
引用:選択(Opt)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
選択(Opt)は再録カードである。今回のイラストとフレイバー・テキストでは、魔法の鏡インドレロンに問いかける人物が描かれている。
秘儀の印鑑(Arcane Signet)
It started as a mere drop of water. The Magic Mirror crystallized it into much more.
初めはほんの一滴だが、魔法の鏡がそれ以上のものを形にする。
引用:秘儀の印鑑(Arcane Signet)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下はMTGアリーナの和訳
秘儀の印鑑(Arcane Signet)はエルドレインの王権の「ブロールデッキ(Brawl Decks)」にのみ収録されるカードである。ブロール・デッキは日本語版では発売されないためか、カードデータベースGathererには和訳版データがない。その一方、オンラインゲーム「Magic: The Gathering Arena(マジック:ザ・ギャザリング アリーナ)」には和訳されて実装済みである。
この秘儀の印鑑は魔法の鏡インドレロンに関連するアイテムのようだ。
ヴァントレスの騎士
具眼の主、エレノラ卿(Syr Elenora, the Discerning)
具眼の主、エレノラ卿(Syr Elenora, the Discerning)は各色のアンコモンに収録されている各宮廷の伝説の騎士クリーチャーである。
エレノラの背後にはヴァントレス城がある。
ヴァントレスの聖騎士(Vantress Paladin)
“Someone knows where the king is. They can’t expect to keep it a secret from us.”
「誰かが王の居場所を知っているはずだ。その秘密を我々から隠し通せると思うな。」
引用:ヴァントレスの聖騎士(Vantress Paladin)のフレイバー・テキスト
ヴァントレスの聖騎士(Vantress Paladin)は各色コモンに収録されている宮廷の聖騎士である。ヴァントレスの聖騎士は大梟のようなグリフィンに跨った飛空騎士だ。
メア湖
メア湖(Lochmere)はヴァントレス城の周囲を取り囲む湖である。ウンディーネ(Undine)と呼ばれるマーフォークが生息している。
「loch(ロッホ)」はスコットランドの言葉で「湖」を意味する。さらに「mere(ミア)」の方も「湖・池」を意味する言葉である。この「Lochmere」は湖の意味を持つ言葉が二重に重ねられている。エルドレインにおける湖の中の湖、あるいは、湖と言ったらこの「Lochmere」を指すということではなかろうか。
魔法の井戸(Witching Well)
It was built by the Witch of Lochmere. Most of the wishes it grants are its own.
その井戸はメア湖の魔女が作った。それが叶える願いのほとんどは、井戸の願いだ。
引用:魔法の井戸(Witching Well)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
魔法の井戸(Witching Well)はメア湖の魔女が作った魔法の井戸である。
メア湖の海蛇(Lochmere Serpent)
メア湖の海蛇(Lochmere Serpent)はメア湖に生息する大蛇。
カード名は「海蛇」と訳されているがメア湖は海ではなく湖であるので誤りである。原文の「Serpent」は単に「蛇」のことで「海蛇」だけに限定する言葉ではない。このカードの場合は初期翻訳の先例に従ったがための不自然さが現れている。ちなみに、これまでカード名の「Serpent」は状況によって「蛇」や「大蛇」に訳を変化させて対応した事例もいくつかあることを注記しておく。
「MTGアリーナ」のエルドレイン・モチーフの対戦画面では、右上にヴァントレス城とメア湖が配置されているが、時折この大蛇が城の周りを泳いでいる。
焼尽の連射(Searing Barrage)に描写されているメア湖の深部から出現した怪物は、この大蛇と同類に見える。
湖のドラゴン(Loch Dragon)
Despite its ferocity, its favor can be won with a gift of something it’s never seen before.
獰猛だが、それが見たことのない物を贈れば好意が得られることもある。
引用:湖のドラゴン(Loch Dragon)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
湖のドラゴン(Loch Dragon)
ウンディーネ
ウンディーネ(Undine)はエルドレイン次元のマーフォークの呼称である。ヴァントレス城を囲むメア湖の他にも、僻境の河川にも生息している。
湖に潜む者、エムリー(Emry, Lurker of the Loch)
湖に潜む者、エムリー(Emry, Lurker of the Loch)はアーサー王伝説に登場する湖の乙女をモチーフにデザインされた伝説のキャラクターである。
潮流のマントル(Mantle of Tides)
潮流のマントル(Mantle of Tides)
マーフォークの秘守り(Merfolk Secretkeeper)
Merfolk curiosity usually has dire consequences, but rarely for the merfolk.
マーフォークの好奇心はたいてい悲惨な結末を招くが、それはマーフォークにとってではない。
引用:マーフォークの秘守り(Merfolk Secretkeeper)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
マーフォークの秘守り(Merfolk Secretkeeper)
月明かりの掃除屋(Moonlit Scavengers)
They comb the shallows of Lochmere for relics of a bygone era. And if they happen upon a lone traveler, all the better.
掃除屋たちは往時の遺物を求めてメア湖の浅瀬をくまなく探す。ついでに一人歩きの旅人に出くわすようなことがあれば、大喜びだ。
引用:月明かりの掃除屋(Moonlit Scavengers)のフレイバー・テキスト
月明かりの掃除屋(Moonlit Scavengers)
今までカード名の「Scavenger」はもっぱら「ゴミあさり」と訳されてきたが、このカードでは初めて「掃除屋」と翻訳されている。
神秘の論争(Mystical Dispute)
“Poor, lost mage. Your feet are on land, yet you’re in over your head, aren’t you?”
「哀れな迷える魔道士よ。足は地についていても、手は届かない。そうだろう?」
引用:神秘の論争(Mystical Dispute)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
神秘の論争(Mystical Dispute)
フレイバー・テキストで「手は届かない」と和訳されている部分について、原文の「be in over one’s head」という表現は「手に負えない状況」「困難に直面している状態」「処理能力を超えている」「お手上げだ」といった含みで用いられる。頭の上にまで水がたっぷりあって息もつけない状態がイメージできる。
足が水底に届いたとしても、依然として頭の上まで水があれば息もつけない(困難な状態のまま)、といった意味合いか。
滝の賢者(Sage of the Falls)
Ask a merfolk even a simple question and the answer is a journey far beyond the known.
単純な質問でも、マーフォークに問えば常識を遥かに超えた答えが返ってくる。
引用:滝の賢者(Sage of the Falls)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
滝の賢者(Sage of the Falls)
切望するマーフォーク(Wishful Merfolk)
She yearned to walk on dry land so she might take her vengeance there.
彼女は乾いた地面を歩くことを強く望んだ。そこで復讐を果たすために。
引用:切望するマーフォーク(Wishful Merfolk)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
切望するマーフォーク(Wishful Merfolk)は人魚から人間の姿に変身するマーフォーク。
このカードは明らかにアンデルセンの童話「人魚姫」をモチーフにしたカードだ。しかし、フレイバー・テキストを読むとエルドレインの王権版は恋をした王子に会いに行くためではなく、復讐を果たすために人間の足を望んでいる。
湖での水難(Drown in the Loch)
湖での水難(Drown in the Loch)のイラストには湖に引きずり込むウンディーネが描かれている。
魔術遠眼鏡(Sorcerous Spyglass)
魔術遠眼鏡(Sorcerous Spyglass)はカードセット「イクサラン」からの再録カード。エルドレインの王権版ではイラストがウンディーネに差し変わっている。
ヴァントレスに関連性を持つカード
空想の書物(Folio of Fancies)
空想の書物(Folio of Fancies)のイラスト背景には鍵穴型デザインの窓枠が並んでいる。これは明らかにヴァントレスに属している。
圧倒される弟子(Overwhelmed Apprentice)
圧倒される弟子(Overwhelmed Apprentice)は人間の魔術師見習い。
このカードもイラストの背後に鍵穴型デザインが確認できることからヴァントレス関連と推測できる。伝承魔導士の見習いが、ヴァントレスの知識に圧倒されてしまった描写なのだろう。
共に逃走(Run Away Together)
“Virtue is virtue, whatever the heart that nurtures it.”
–Malacan, Vantress exile
「美徳は美徳だ。それを育んだ心がどうであれ。」
–ヴァントレスの追放者、マラカン
引用:共に逃走(Run Away Together)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
共に逃走(Run Away Together)のフレイバー・テキストには「ヴァントレスの追放者、マラカン(Malacan, Vantress exile)」が登場している。おそらくイラスト向かって右側の人物。
フレイバー・テキストから推測するに、イラスト向かって左側の異形の人物は何らかの美徳を備えている。そして、マラカンは美徳は美徳だと異形の人物を認めているが、周囲に理解を得られずにヴァントレスから2人揃って追放されたのではないだろうか。
鋼睨みのグリフィン(Steelgaze Griffin)
“If we didn’t guard our secrets, they wouldn’t remain secrets for long.”
–Gadwick, the Wizened
「我々が秘密を護らなければ、秘密はそう長く続かなかっただろう。」
–老いたる者、ガドウィック
引用:鋼睨みのグリフィン(Steelgaze Griffin)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
鋼睨みのグリフィン(Steelgaze Griffin)は、梟のような顔つきなどの特徴を備えたヴァントレスのグリフィンである。フレイバー・テキストがガドウィック(Gadwick)であることから考えて、このイラストのグリフィンはヴァントレス城の尖塔の天辺にいると思われる。
ヴァントレスのガーゴイル(Vantress Gargoyle)
ヴァントレスのガーゴイル(Vantress Gargoyle)
屋敷の踊り(Dance of the Manse)
屋敷の踊り(Dance of the Manse)は踊り出した時計や椅子、額縁に入った絵画、そのほか屋敷中の色々な物。
イラストの細部を注意深く見ると、ヴァントレスの紋章である鍵穴型デザインをそこかしこに見つけることができる。窓や出入口の枠、垂れ布の模様、椅子の背もたれとひじ掛け、そいういった部分だ。
統率の塔(Command Tower)
“Approach my tower on bended knee or depart from it as ash upon the wind.”
–Gadwick, the Wizened
「この塔に近付くものはひざまずくがよい。さもなければ灰になり、風に乗って去ることになる。」
–老いたる者、ガドウィック
引用:統率の塔(Command Tower)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下はMTGアリーナの和訳
統率の塔(Command Tower)はカードセット「統率者」から収録された土地カードである。イラストもフレイバー・テキストも、エルドレイン次元を描く新規のものに差し変わっている。
今回このカードは、エルドレインの王権の「ブロールデッキ(Brawl Decks)」にのみ収録されるカードである。ブロール・デッキは日本語版では発売されないためか、カードデータベースGathererには和訳版データがない。その一方、オンラインゲーム「Magic: The Gathering Arena(マジック:ザ・ギャザリング アリーナ)」には和訳されて実装済みである。
フレイバー・テキストに注目すると、この塔がヴァントレスの指導者である老いたる者、ガドウィック(Gadwick, the Wizened)の塔であることが判明する。和訳版では訳から漏れているが英語原文では「my tower」と書かれているのだ。したがって、エルドレインの王権版のこのカードはヴァントレス城にあるガドウィックの塔であると考えられる。
ヴァントレスの島
エルドレインの王権収録の基本土地は種類ごとに4枚ずつあるが、イラストを観察してみると、「王国」と「僻境」を描いたものが半々になっているらしいことに気付けるだろう。
基本土地の島(Island)のうち以下の2種類がヴァントレス領内であることは明白だ。
この島(Island)のイラストはメア湖の全景が描かれている。中央奥に見える円形の島はヴァントレス城だ。
この島(Island)にはヴァントレスの旗と敷設された道が描かれている。
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