ザルファーのおとり(Zhalfirin Decoy)はカードセット「モダンホライゾン」収録のクリーチャー・カード。
ザルファーのおとりの解説
ザルファーのおとり(Zhalfirin Decoy)はドミナリア次元ジャムーラ大陸北西部のザルファー国の兵士である。“Make sure they look at you.”
–Sidar Jabari
「敵がお前から目を離せないようにするのだ。」
–シダー・ジャバーリー
引用:ザルファーのおとり(Zhalfirin Decoy)のフレイバー・テキスト
イラストでは、この兵士は一角獣のようなシマウマに騎乗して草原を疾駆しており、後方には3人の騎兵が追走している。追手はおとり役に誘い出された敵兵だろう。
モダンホライゾンのカードの類にもれず、このカードにもオマージュ元がある。それが1997年に発売されたカードセット「テンペスト」のおとりの達人(Master Decoy)である。
両者の共通点をまとめてみる。
イラスト:同じ構図。一角獣のシマウマに騎乗。追手。草原。
呪文コスト:(1)(W)
クリーチャー・タイプ:人間・兵士
起動型能力:クリーチャー1体をタップ
それが次元の違いである。ザルファーのおとりは上述の通りドミナリア次元に属する。一方、おとりの達人が収録されたカードセット「テンペスト」の舞台次元はAR4205年のラースである。
ドミナリアとラース、それぞれ別の次元でほぼ同じ兵士が存在するのはどういったわけであろう?カードデザインがオマージュだからという理由をひとまず置いておくと、どういう説明ができるか考えてみた。
次元間移動はプレインズウォーカーでなければ不可能。これが現在の基本原則である。
しかし、大修復前の多元宇宙は現在と法則が違っていた。プレインズウォーカーでなくても次元間の移動が可能であったのだ。次元同士がつながるポータルを通ったり、何らかの魔法や装置によって次元移動ができた。その上、ラースを支配するファイレクシア人は度々人為的に次元を繋いで、ドミナリアの人々を誘拐していた。
したがって、このザルファーのおとりが次元を移動して何も不思議はない。
おとりの達人は(次元移動した手段や理由は定かではないが)ドミナリアのザルファーからラースにやってきた人物なのだ。
おとりが騎乗する一角ゼブラ
ザルファーのおとりが騎乗している一角獣のシマウマは過去にカード化されている生き物である。
それが1996年発売のカードセット「ミラージュ」に収録された一角ゼブラ(Zebra Unicorn)である。ミラージュの舞台はザルファー周辺地域であるから、騎乗生物に用いられていてもおかしくはない。「ミラージュ」と「テンペスト」にはストーリー上の直接的な繋がりはなかった。だから当時を思い返しても、ジャムーラの一角ゼブラが、ラースのおとりの達人のイラストに描かれていてもイラストレイターのお遊びぐらいに受け取られたくらいで、ことさら設定的な意味では注目はされていなかったと記憶している。
しかし20余年が経過し、ザルファーのおとりが今回デザインされたことで、一角ゼブラとおとりの達人に強固な設定的な結びつきが生まれることになった。このこだわりはイーサン・フライシャーとケリー・ディグズの手腕によるものに違いない。
ザルファーのおとりのトリビア
このカードのイラストを担当したPaul Scott CanavanはTwitterのコメントで、製作段階のスケッチを数点公開してくれている。スケッチ段階ではおとりの達人と同じ「つば有の帽子」を被っていた。完成版でもかなり似せているが、これはもうほとんど同一人物だ。
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