ガルガドン(Gargadon)はドミナリア次元に生息する大型四足獣である。
カードセット「プロフェシー」のレッサー・ガルガドン(Lesser Gargadon)が初出である。その後、カードセット「時のらせん」で大型種が、カードセット「モダンホライゾン2」では通常種がデザインされている。
追記(2022年10月17日):小説Chainer’s Tormentにガルガドンが登場していたことに気付いたため記事を再編集した。
ガルガドンの解説
ガルガドン(Gargadon)はドミナリア次元ケルド地方やオタリア大陸に生息する象に似た大型四足獣である。
外見は全体的に象と類似しているが、ガルガドンには象のような長い鼻や大きな耳はなく、代わりに2-3本の真っ直ぐな角が生えている。体色は苔のような緑色である。
ガルガドンには象牙のような湾曲した鋭い牙が2本かそれ以上生えている。頭部の角は左右に2本1組あり、さらに額からもう1本生えている種もいる。
レッサー・ガルガドン
Trod on by a gargadon
–Kipamu expression meaning “wiped out”
ガルガドンに踏まれた。
–「一掃された」という意味の、キパムの言い回し
引用:レッサー・ガルガドン(Lesser Gargadon)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
レッサー・ガルガドン(Lesser Gargadon)はカードセット「プロフェシー」に収録された最初のガルガドン・カードである。名前の通り「小型種」のガルガドンである。
角は3本あり、小さな牙が2本確認できる。戦象のような鎧を着せられ、背中に騎乗用のやぐらが組まれている。
AR4205年のプロフェシー戦争では、ケルド侵略軍はガルガドンを本国からはるばる北ジャムーラ亜大陸まで海上輸送してきたものと思われる。
“In some cultures, elephants are ridden by those in power. I don’t think a mere elephant would even be noticed in Keld.”
–Onean sergeant
世の中には、権力者が象に乗ってるところもあるって話だ。ケルドでは、象なんて気にもされてないけどな。
–オネイアンの軍曹
引用:レッサー・ガルガドン(Lesser Gargadon)のフレイバー・テキスト(基本セット第8版再録バージョン)
上が英語原文。下が和訳製品版
レッサー・ガルガドンはカードセット「基本セット第8版」に再録された際に新規のフレイバー・テキストに差し替えられた。ケルドにはガルガドンがいるため、他の国と違ってただの象じゃ気にもされないだろう、と比較されている。
フレイバー・テキストの発言者は「オネイアンの軍曹(Onean sergeant)」。この「Onean」はケルドと同じドメインズ地方にある「オネイア(Oneah)」の変形とみなし、「Onean」で「オネイアの、オネイア人」という意味と考えられている。
大いなるガルガドン
大いなるガルガドン(Greater Gargadon)はガルガドンの大型種である。
裂け目時代(AR4306-4500年)を舞台にしたカードセット「時のらせん」に収録された大いなるガルガドンは、時の裂け目を通り抜けて過去の時代から出現するカードとしてデザインされている。
小型種(レッサー)との相違点は、額の角が無く2本角であること、たてがみがあること、牙が多い(少なくとも3組6本はある)ことである。
最初の「Lesser Gargadon」を「レッサー」と訳したにも拘らず、こちらの「Greater Gargadon」は「大いなる」となっていて、日本語として対称性が無くなっている。翻訳担当者の違いや「Greater」の翻訳先例が「大いなる」であることなど事情はあるだろうが、統一感が欠けているのは残念である。
現実世界で生き物の大型種・小型種を「greater」「lesser」で区別するのはよくあることだし、D&DなどのRPGでもモンスター・データをそのように分けるのは昔からやられている。だから、カードセット「プロフェシー」で「Lesser」が登場した時点でいつか「Greater」の方も出るのだろうと少なくない人に期待されていた。MTGの歴史を振り返る節目の「時のらせん」は登場させるのにちょうどいい機会だったと感じる。
ガルガドン
ガルガドン(Gargadon)はガルガドンの通常種である。小型種・大型種に遅れて一番最後に登場したカードだ。
マナ・コストとパワー/タフネスの数値は、小型種と大型種の平均値(端数切捨て)になっている。
Intent: Magic has made a Greater Gargadon and a Lesser Gargadon(see ref). We want you to design the “average” Gargadon.
狙い:マジックではすでに《大いなるガルガドン》と《レッサー・ガルガドン》を作った(資料参照)。「普通の」ガルガドンをデザインして欲しい。
引用:スケッチ版ガルガドン(Gargadon)のフレイバー・テキスト(イラスト発注指示)
上が英語原文。下が和訳製品版
ガルガドンの特別イラスト・スケッチ版ではフレイバー・テキストがイラスト発注指示からの抜粋になっている。
ストラタドン
Designed like the gargadons of Keld–big and brutal.
作りはケルドのガルガドンに似ている–大柄で粗暴だ。
引用:ストラタドン(Stratadon)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
ストラタドン(Stratadon)はカードセット「プレーンシフト」に収録されたアーティファクト・クリーチャーである。
フレイバー・テキストではストラタドンは「ケルドのガルガドンに似ている」とコメントされている。この文章によってガルガドンがケルドの生き物であることが確定した。
また、フレイバー・テキスト原文の「Designed like the gargadons of Keld」の部分は「ケルドのガルガドンのように設計されている」という意味だが、MTGファンの中にはガルガドンに似せて設計されたと解釈してケルドに属する戦争機械とみなす者もいるようだ。イラストを見ると、地面にはファイレクシア人とみられる兵士たちが死屍累々たる有様なので、ストラタドンがドミナリア陣営であることはおそらく間違いではない。とはいえ、これがケルドに属すると断定できるまでの根拠にはならない。(インベイジョン・ブロックはこういう所属陣営不明カードがあるので困る)
ガルガドンの登場作品
ガルガドンは小説や短編に登場していない。ケルドが関連する作品群を片っ端から調査したものの、ガルガドンの存在は確認できなかった。
追記(2022年10月17日):その後の調査で、小説Chainer’s Tormentに登場していたことを発見した。ケルドとは無関係なオタリア大陸でも、ガルガドンは生息していたのである。
小説主人公のチェイナー(Chainer)は相棒のカマール(Kamahl)を連れて陰謀団の「狩りの儀式(shikar)」を行った。カバル市から徒歩で3日ばかりクローサの森の林縁部で、2人は若い雄のガルガドンに遭遇した。ガルガドンは普通はもっと開けた土地に棲み、林縁部に生えてるものとは違う植物を餌にしているはずだった。チェイナーもカマールもそうした習性を知っていたため、ガルガドンはオタリア大陸では意外とありふれた生き物だったのかもしれない。この若い雄は巨体であり、肢1本ですら、チェイナーの全身より長く太かった。チェイナーはガルガドンを自分の狂気空間(Dementia Space)に呑み込んで、召喚するレパートリーに加えたのだった。
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