トンガ山脈(Tonga Mountains)はドミナリア次元の地名である。
本記事ではドミナリア次元のトンガ山脈とその周辺地理の解説を行う。それと共に、トンガに縁のある死をもたらせし者ネクロス(Necros, the Deathbringer)の神話と、ネクロスを信奉するジャナール(Janar)の暗殺団を紹介する。
※ トンガ山脈は架空の地名であり、現実世界のトンガとは無関係なことに留意されたい。
※ 2022年1月現在、短編The Deathbringer(短編集The Myths of Magic収録)でのみ言及があり、カードには登場していないマイナーな情報ばかりとなっている。ご了承願いたい。
トンガ山脈の解説
トンガ山脈(Tonga Mountains)は南エローナ大陸中央部の西海岸に沿って南北に延びる山脈地帯だ。
トンガ山脈に関する既存情報は2つだけだ。1つ目が「地下に居住するドワーフ」、2つ目が「世界的規模の暗殺団が伝承するカンヴァル山(Mount Canval)」である。
トンガ山脈の周辺地域を見ると、トンガの北限はラノワール(Llanowar)のフォルス川河口のフォルス盆地(Fors Basin)にまで迫り、北端の連なりは北東の鉄爪山脈(Ironclaw Mountains)へと繋がっている。一方、トンガの南限はクシュ(Kush)まで及ぶ。トンガ山脈の東部一帯はサーシ(Sursi)地方だが、その北部はミラブ砂丘(Erg Mirab)だ。また、トンガ山脈の南東の平原は現時点では無名である1。
トンガ山脈のドワーフ
トンガ山脈の地下にはドワーフが居住する隧道網がある。2
トンガ山脈のドワーフ錬金術師は肉を石に変えることができ、さらにそれを元に戻せる術を知っている。この魔法的能力はドミナリアのあるドワーフ族を連想させる。
カードセット「アポカリプス」および小説Apocalypseには、青い肌の石ドワーフ(Stone Dwarf)が登場しており、小説では自身の肉体を石化し元に戻せる能力があると語られていて、トンガ山脈の錬金術師と類似性が認められる。トンガ山脈のドワーフは肌の色が青いかは不明ではあるが、石ドワーフと同族なのかもしれない。
カンヴァル山と世界的規模の暗殺団
トンガ山脈の南端部のどこかには、3つの峰を持つカンヴァル山(Mount Canval)がある。
この山は、ドミナリア次元で活動する「世界的規模の暗殺団3」の始祖である死をもたらせし者ネクロス(Necros, the Deathbringer)の生誕地である。
この暗殺団の拠点はトンガ山脈にはなく、東の平原を渡ったランドヴェルト山地帯(Rundvelt Range)付近の都市ジャナール(Janar)にある。
「カンヴァル山」という呼び名はこの暗殺団のみが伝承しているものだ。おそらく外部でカンヴァル山の名を知る者は居るとしても、決して多くはないはずだ。
ネクロス神話
短編集The Myths of Magic収録の短編The Deathbringerは、ドミナリア次元の暗殺団の神話にまつわる物語だ。
世界的規模の暗殺団が信奉する死をもたらせし者ネクロス(Necros, the Deathbringer)がどのようにしてドミナリアに「死」の概念をもたらしたのかが語られる。以下に要約した。
ドミナリア次元がまだ若かりし時代、世界にはまだ「夜」も「死」も存在せず、生き物は不死であった。しかし、ひしめく生命で飽和した世界はむしろ苦痛に満ち溢れていた。死による解放はなく、永続する飢えや諍いに苦しみ続ける悪夢のような世界である。
都市フジェク(Hujek)に住む人間の女、ベサネル(Bathanelle)は、この苦痛の満ちた世界で何もなく、誰もいない地を求めた。フジェクを旅立ち、平原を越えて西に向かった。流浪の末にトンガ山脈の南部、カンヴァル山(Mount Canval)に上り終着点とし、そこで「虚無の本質4」を身に宿し4兄弟を産んだ。
ベサネルを母、虚無を父として誕生した兄弟には力があった。長兄ブラグノン(Bragnon)は「静止5」の力を、次兄フェニス(Fennis)は「沈黙6」の力を、そして三兄ルノウ(Lunow)は「忘却7」の力を有していた。兄弟たちの力は母ベサネルにある種の救いを与えることに成功した。しかし、残りの1人、末弟ネクロス(Necros)は兄たちと違い何の魔法の力も持たず、ただ「無」だけを抱えていた。
ネクロスは3人の兄からの能力を奪い取った。カンヴァル山を離れ方々を旅してその力を振るった。世界に「夜」が生まれ、生き物は「眠り」を知ることになった。
世界を変えていくネクロスは、天使アヴァール(Avarre)に追われることとなった。ところが、ネクロスの力はアヴァールすらもアンデッドの死の使いへと変えてしまった。死の天使アヴァールはドミナリア中に「死」を拡散させて命を奪っていった。また、たとえ生き残れた生物であっても不死を失い定命の存在となったのである。
このようにしてネクロスはドミナリアの世界に「死」という概念を生み出した。その「死」を最初に世界中にあまねく広めたのが死の天使アヴァールである。
神話を受け継ぐ者
遥かな時が過ぎ去り近代となった。かつてのフジェクの位置には都市ジャナール(Janar)と霊廟のある墓地が築かれ、カンヴァル山の南には都市エスターク(Estark)が誕生した。
ジャナールを拠点とする世界的規模の暗殺団はネクロスの伝承とカンヴァル山の名を語り伝えている。暗殺団の入団希望者はジャナールの墓地にてこの神話を受け継ぎ、黒き翼の死の天使アヴァール自身による試練を受けることになる。そして、試練を成し遂げ暗殺団の一員と認められたなら、ネクロスの名の下に世界に「死」の救いを広げる使命を負うのだ。
さいごに
以上で短編The Deathbringer(短編集The Myths of Magic収録)でのみ語られたトンガ山脈に関する情報を語り終えた。
ドミナリア次元に「死」の概念をもたらしたネクロスの神話は非常に興味深いところだ。だがあくまで神話であり、どこまでが史実と見做せるのかは定かではない。ただ、カルト教団的暗殺団による偽りの伝承と決めつけてしまうのはいささかもったいない。
ヴォーソスのコミュニティにおいて、ウィザーズ社クリエイティブ部門スタッフがコメントしている内容を見るに、フジェク、ジャナール、トンガ山脈といった存在はしっかり認識されていることが確認できている。だから、ネクロスの神話はドミナリアの神話あるいは歴史に(部分的であっても)きちんとはめ込まれると私は期待しているのだが……それは一体いつになるのだろうか。ずっと待ち続けている。
では今回はここまで。
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