ハールーンの将軍、セスロン(Sethron, Hurloon General)は2020年発売の特殊なカードセット「ジャンプスタート」収録の伝説のクリーチャー・カードである。
※ 記事は途中だが一旦未完成状態で公開する。
追記(2021年8月23日):記事全体の体裁を見直し、記述内容を追加し、解説用の地図などの画像を挿入した。
ハールーンの将軍、セスロンの解説
ハールーンの将軍、セスロン(Sethron, Hurloon General)はドミナリア次元のハールーン山脈(Hurloon Mountains)に住むミノタウルスの指導者である。男性。
セスロン将軍は燃え盛る鎚を振るい侵入者を撃退する武闘派の指導者であり、ハールーン谷(Hurloon Valley)の防衛の最前線とみなされている。ハールーン山脈にはミノタウルスが小規模部族に分かれて暮らしているが、ハールーン谷は山脈でも肥沃な土地であり、谷の部族はハールーン・ミノタウルスでも最大である。セスロンは種族の指導者であると共に、ハールーン谷の最大部族の長でもあるのだろう。
セスロンがどの時代の人物かは不明だ。ただし、AR4205年勃発のファイレクシア侵略戦争中から戦後にかけてはグリズルゴム司令官(Commander Grizzlegom)が指導者であったので、この期間でないことだけは確かである。詳細は後述。
ハールーンの将軍、セスロンの公開されているストーリーと設定
ハールーンの将軍、セスロンの設定やストーリーは公式記事The Lore of Jumpstart on the Cardsで語られている。
該当部分を引用して翻訳してみたのが以下の通りだ。
A leader among the Hurloon Minotaurs of Dominaria, Sethron is the first line of defense against any who would cross into the Hurloon Valley. The sound of his flaming hammer greeting the skull of an intruder echoes for miles throughout the Red Iron Mountains.
ドミナリアのハールーン・ミノタウルスの指導者セスロンは、ハールーン谷の横断を試みる者に対する防衛の最前線だ。彼の燃え盛る鎚が侵入者の頭蓋骨を出迎える音は、何マイルも遠くの赤鉄山脈にまで響き渡る。
引用:公式記事The Lore of Jumpstart on the Cards
上が英語原文。下が私家訳
文章中のキーワードを解説していこう。
ハールーン・ミノタウルス
The minotaurs of the Hurloon Mountains are known for their love of battle. They are also known for their hymns to the dead, sung for friend and foe alike. These hymns can last for days, filling the mountain valleys with their low, haunting sounds.
ハールーン山脈のミノタウルスは戦いを好むことで名高い。また、敵と友との隔てなく、死者への賛歌を捧げることでも知られている。この賛歌はときとして数日にわたり、もの悲しい低い声で山や谷を満たす。
引用:ハールーン・ミノタウルス(Hurloon Minotaur)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
ハールーン・ミノタウルス(Hurloon Minotaur)はカードセット「リミテッドエディション(基本セット第1版)」に収録されたMTG史上初のミノタウルスである。
ハールーン・ミノタウルスはドミナリア次元の北エローナにあるハールーン山脈(Hurloon Mountains)に居住する種族で、平和的ではあるのだが隠遁生活を好んでいる。
ドミナリアのミノタウルスは、身体的特徴から2つの系統に分けられる。手の指が5本系ミノタウルスか、4本系かである。ハールーン・ミノタウルスは5本系で、人間と同様の5本指を持っている(ちなみに4本系は、2本の親指に挟まれた2本の指がある。タールルームやスタハーンのミノタウルスなど)。
ハールーン・ミノタウルスは身体や角に種族独特の紋様を刺青したり、染料で描いたりする文化がある。例えば、交配祭では身を清め、紋様を描いて化粧する。
ハールーン・ミノタウルスは習慣的に歌を捧げる。フレイバー・テキストにもあるように、敵味方問わずに死者への哀悼を歌い上げるだけでなく、男性たちは晩になると峰に上って他の者と競い合うように歌声を轟かせ、女性は交配祭には男性の猛々しさとは違った歌を捧げる。短編The Lament(短編集Tapestries収録)は、まさに死者への哀悼歌を扱った作品だ。短編Horn Dancer(短編集Distant Planes収録)には哀悼歌以外の歌が描かれている。
ハールーン・ミノタウルスの指導者
ハールーン・ミノタウルスの「指導者(leader)」と呼ばれたキャラクターを各種ストーリー作品や記事を漁って探してみた。すると、セスロンの他には1人しか発見できなかった。それがグリズルゴム司令官(Commander Grizzlegom)である。
ハールーン・ミノタウルスはMTG初期のストーリー作品ではそれなりに登場してはいたものの、種族全体の指導者や統治者といった情報にはほとんど触れていなかったのだ。複数の部族が存在していることや、村の規模のミノタウルスの生活(特に交配祭関連)についてなら、それなりに詳しく書かれていたのだが…。
情報不足でハールーンの一般的な指導者像が語れないので、ここでは既知の指導者である唯一の人物グリズルゴムについて簡単に解説しておくにとどめる。
グリズルゴム司令官はインベイジョン・ブロックのカードセット「プレーンシフト」と「アポカリプス」、および、その小説版(小説Planeshiftと小説Apocalypse)で活躍したキャラクターである。ハールーン・ミノタウルスの男性。1
AR4205年に始まったファイレクシア侵略戦争において、グリズルゴムはドミナリア連合のミノタウルス軍の司令官となった人物だ。ただの軍司令官ではない。この時のハールーン・ミノタウルスはファイレクシアの攻撃で都市カルドルーム(Kaldroom)で大虐殺が起き、種族として壊滅的な大打撃を被った。生存者をまとめたグリズルゴムは、軍の指揮官であるだけでなく、実質的な種族の指導者であった。そして小説Apocalypseのエピローグでは、ハールーン・ミノタウルスの戦後復興はグリズルゴムの手に委ねられていた。
以上のように、グリズルゴムは少なくともファイレクシア戦争中から戦後において、種族の指導者となっていた。したがって、セスロンはこの時代の人物ではないことになるのだ。
ごく少ない例から指導者の共通点を拾ってもあまり意味はないが…。戦争中に指導者を務めた人物だけあって、グリズルゴムは軍司令官であった。セスロンも自ら戦う将軍である。あるいは、ハールーン社会では男性の軍事有力者が指導者に選ばれる傾向があるのかもしれない。
ハールーン谷
ハールーン谷(Hurloon Valley)はハールーン山脈内にある肥沃な土地である。雪を頂く峰々に守られるように囲まれたこの谷には、ハールーン・ミノタウルスの最大の部族が暮らしている。ハールーン・ミノタウルスの先祖が、氷河期にこの谷に移住したのが種族の始まりである。
ハールーン谷にはモーニングスター川(Morningstar River)が流れている。この川は谷の外にあるモーニングスター断崖(Morningstar Cliffs)を落ちるモーニングスター滝(Morningstar Falls)から繋がる流れである。
ハールーン谷は、短編Horn Dancer(短編集Distant Planes収録)と1997年ドメインズ地図付きカレンダーの説明文で語られた場所である。セスロンの設定文で言及されたのは実に23年振りだ。
赤鉄山脈
赤鉄山脈(Red Iron Mountains)はハールーン山脈の西に隣接した、南エローナの山地帯である(位置は上記した地図を参照)。
赤鉄山脈は金属資源が豊富であり、「Crookshank Kobolds」こと「曲がり脛のコボルド」が居住している。
セスロン将軍の解説文では、鎚の打撃音がハールーン谷から赤鉄山脈にまで響き渡ると語られている。ただ、隣接地域とはいえ南北エローナを跨いでこだまする打撃音とは、いささか誇張が過ぎるだろうか。
ハールーンの将軍、セスロンの鎚
セスロンのイラストを担当したジェイソン・レインヴィル(Jason Rainville)は、発注指示や制作過程をツイートで公開している(出典)。
このツイートで驚かされたのが、セスロンの振り上げている「燃え盛る鎚」である。実は鎚は牛の頭部を模したデザインとなっていたのだ(カードの小さめなイラストでは気付きにくい)。
拡大したイラスなら一目瞭然だ。イラストの発注指示にもある通り、牛の目と口の部分から炎が噴き上がっている。
さて、ハールーン・ミノタウルスついてはまだ語れるネタはあるのだが、セスロン将軍から離れすぎてしまうので、今回はここまでとしたい。ではまた。
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※ 今のところカードセット「ジャンプスタート」関係のリスト作成の予定はない