カードセット「エルドレインの森」のウェブストーリー、連載第2話「Episode 2: Wandering Knight, Budding Hero」を読んだ時の雑感をまとめた。
第1話の雑感はこちらに。
連載ストーリー第2話の雑感
カードセット「エルドレインの森」の連載ストーリー第2話を読んだ雑感を以下にまとめた。ツイートとは順番や表現が変わっているので注意。
フォーン?
冒険に旅立ったケランはエッジウォールの街を訪れた。オリンシャーの村しか知らなかったケランは、初めて外の世界のあれやこれやを目にした。
ケランが見た人々の中に「fauns」が出てくる。「フォーン(ファウヌス)」はおそらくエルドレイン次元で言及されたことが無い種族だ。
もしフォーンがカードになるなら、クリーチャー・タイプは「サテュロス」となるだろう。
ケランのバスケットヒルト
ケランはクエストに旅立つにあたり、フェイの王タリオンから武器を賜っていた。
それが「the pair of basket hilts」つまり「1組のバスケットヒルト」だ。
「バスケットヒルト」とは拳を守る様に作られた剣の握りの部分のことだ。「護拳」と訳されることもある。
タリオンのバスケットヒルトは、成長した古木でできていて人間の鋼のバスケットヒルトに似せて作られている。
ケランの初公開された時のイラストにも描かれているものだ。両手に握っているのがそのバスケットヒルト(護拳)だ。刀身は魔法のエネルギーで、まるで鞭のようにしなって伸びてもいる。(連載ストーリーの現時点では、ケランは魔法の刀身を出すことはまだできていない)
「バスケットヒルト」という言葉には、日本語で一語でそれを想起させるようなピタリとはまる言葉ってなさそうだ。特にケランのものは特別だ(そもそも刀身が無い)。
だから作中で最初の1回目くらいは「刀身のない護拳付きの剣の柄、それが一組」みたいにやや長めの説明的な文章でも良かったんじゃないか…?と感じてならない。
バスケットヒルトの公式和訳版
公式和訳版では「バスケットヒルト」をどう訳しているのか気になったのでその部分を確認したところ、予想外の文章が飛び込んできて驚かされた。
どういうことかというと、「the pair of basket hilts」が「蔓を編んだ二本の柄」と訳され、その後の「Kellan stows his hilts」が「(ケランは)鞘をしまい込んだ。」となっていたのだ。
「蔓を編んだ」!? 「鞘」!? 何か…何か非常におかしなことが起きている。
もしや「basket hilt」というのが剣の部位を示している既存の言葉と知らないのでは?「バスケット」を入れ物の「籠」と勘違いしている気がする。バスケット(籠)のようなヒルト(剣の柄)と考えて、籠のように「蔓を編ん」で作った「二本の柄」という誤解釈に見えるのだ。
次の、バスケットヒルトをしまう件の方は、「hilts(柄)」を「鞘」と訳している。剣の握りである「柄」が剣を収める「鞘」になるなんてちょっと尋常じゃない。ここも想像だが、「ヒルト(剣の柄)をしまった」という原文だから、剣をしまうという場面なのだろう、じゃあ「鞘に収めた」 という意味に違いない、そういう誤った解釈の連鎖。こんな勘違いをしていそうだ。
ケランの旅の仲間ルビー
ケランがエッジウォールで出会った娘さんが初めての仲間になる。名前はルビー(Ruby)と出てきてビックリした。
ルビーというキャラクターは、赤ずきんそっくりの「Ruby, Daring Tracker」としてイラストが既に公開されていたのだ。更に、カードセット「エルドレインの森」では、赤緑アーキタイプは「赤ずきん」モチーフとも明かされていた。
今回第2話では、ケランとルビーが森の奥の魔女アガサの小屋に辿り着く前に、魔女跡追い(Witchstalker)の狼の群れや不気味な狼騎士に遭遇している。ルビーがエルドレイン版赤ずきんなのだから、第2話の描写はおとぎ話の赤ずきんを意識したものに違いない。
1人目の魔女アガサ
ケランとルビーは、森の小屋で魔女アガサ(Agatha)に出会った。アガサは捕まえた騎士を大釜で調理しようとしており、ケランは出たとこ勝負で小屋に忍び込み、運よく魔女を大釜に叩き込んで退治したのだった。しかも、狼の騎士の正体がルビーの兄ピーターで、魔女が倒されたことで彼を操る魔法が解けたのだ。
第2話ではアガサの名前は言及されず、第1話で「飢えたるアガサ(Agatha, the Hungry)」と説明されていたキャラクターだ。エルドレイン次元を脅かす忌まわしき眠りをかけた三魔女の1人だ。
そして、アガサもルビーと同じように既に公開されていたキャラクターだ。「Agatha of Vile Cauldron」という名前で、「ヘンゼルとグレーテル」モチーフの魔女である。カードセット「エルドレインの森」では、黒緑アーキタイプは「ヘンゼルとグレーテル」だという。
治癒の軟膏
ピーターはアガサに捕まっていた女騎士の手当てをすると約束している。
公式和訳版では「ルビーと俺とで薬を作ってやる」となっている件だが、この「薬」は原文では「a healing salve」なので「傷を治す塗り薬・軟膏」の類である。飲み薬とかではない。
ちなみにMTG最初のカードの1枚には同名の「治癒の軟膏(Healing Salve)」があるので、古参プレイヤーには見覚えがあるだろう。
魔法の鏡インドレロン
1人目の魔女を倒したケランは、2人目に捜す魔女はヒルダ(Hylda)だと告げられた。ヒルダは、フェイの王タリオンに見つからぬように姿を隠してしまっているが、魔法の鏡インドレロンに尋ねれば居場所が明らかになるという。
この鏡はかつてヴァントレス城にあったものだが、ゲラ・グランドスコール(Gerra Grandsquall)が城から遠くに奪ってしまったとのこと。タリオンの導きで、豆の木に登ればその頂上で鏡を見つけられるのだ。
次のケランとルビーの冒険の目的地が決まった。
豆の木のヴィダルケン
次の冒険は「ジャックと豆の木」よろしく、豆の木登りだ。実は公開済みのイラストには、ルビーとケランが豆の木を登っているものがある。
このイラストにはもう1人、ヴィダルケンの人物「Troyan」が描かれている。ヴィダルケンは元々エルドレイン次元には存在しない種族だが、次元と次元を繋ぐ領界路から次元越境してやってきたのだ。次の旅の仲間が、この「Troyan」なるヴィダルケンなのだろうか?
さいごに
カードセット「エルドレインの森」連載ストーリー第2話の雑感をまとめた。第1回目と違ってツイートしたよりも多くの追記をしている。
今回第2回ストーリーでは、前半にローアン・ケンリスの単独冒険行があるのだが、本記事はケランを主軸にして省いてしまった。ローアンのストーリーの方は、先行きが暗い不穏な空気がある。彼女はかつての家、アーデンベイル城に導かれている。おそらく3人目の魔女エリエット(Eriette)に魅入られてしまうって流れにあるんじゃないか(あるいは悪夢が大好きなあのプレインズウォーカーか)、と私は想像しつつ楽しみにしている。
では、今回はここまで。