エルドレインの森:連載ストーリー第1話の雑感

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カードセット「エルドレインの森」のウェブストーリーの連載が開始された。

連載第1話「Episode 1: Pure of Heart」を読んだ時の雑感ツイート1を整理して、ここに記録しておく。

Wilds of Eldraine | Episode 1: Pure of Heart
Rowan and Will try to piece together a broken kingdom. Meanwhile, an unlikely hero receives a quest from an even more unlikely source.
第1話 純なる心|読み物|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト
世界中で5千万人を超えるプレイヤーとファンを持つ世界最高の戦略トレーディングカードゲーム、マジック:ザ・ギャザリングの日本公式ウェブサイト。

連載ストーリー第1話の雑感

カードセット「エルドレインの森」の連載ストーリー第1話を読んだ雑感を以下にまとめた。ツイートとは順番や表現が変わっているので注意。



ウィルとローアン、ケンリス双子の描写の変化

ローアン(左)とウィル(右)
ブースターのボックスアートより

ウィルとローアンの2人だが、今までより大分うまくいっていない…歯車が狂って調子が出ていないキャラクターとして描写が変わっている感じを受けた。

これまで見守って来た読者としては、君たちもうちょっとできる子だっただろって、見ていてヤキモキあるいはイライラを覚える人も少なくなさそうである。

ファイレクシア侵略戦争の影響が大きすぎたのだ。

ケンリス王家の葬送(The Kenriths' Royal Funeral)

ケンリス王家の葬送(The Kenriths’ Royal Funeral)
データベースGathererより引用

「戦争で滅茶苦茶にされた故郷」、「両親の戦死」、「指導者を継いで国を立て直そうとする重責」

これらは勿論だが、プレインズウォーカーの灯を失った影響が2人の精神に悪い作用を及ぼしているようだ。

灯の喪失に2人とも気付いていないけれど、特にローアンの方は集中力が低下して判断が雑になって、さらに魔法の力も暴走気味になっている。

これはウィルの方もきっと同じだ。

Ceriseの発音表記

話は変わって、前作「エルドレインの王権」小説のキャラクターの名前がケンリス双子の他にも出てきた。

それが「Cerise」だ。

このキャラクターだが名前は「セリーズ」か「セリース」と読むはず(英国風世界のエルドレインならば)。けれど、過去の公式和訳は「シーリス」だった。

今回の「エルドレインの森」第1話公式和訳版が公開されているので、該当部分を見ると。

シーリスに治してもらう気がないのか、それとも何かを主張したいのか。後者に違いない――もしもシーリス
引用:公式和訳版 第1話 純なる心

確認したところ、やはり今回の翻訳も「シーリス」だった。うーん。

実は「Cerise」のウィザーズ公式の発音は確認できるのだ。今回のストーリー連載はyoutubeで朗読動画(英語)が作成されている。

リンクも第1話冒頭にある(日本公式版の方にはリンクが欠落しているが、おそらく英語しかないため敢えてリンクを削ったのだろう)。

こちらの動画19分34秒辺り(動画リンク)から「Cerise」の名前が2回出てくる。やっぱりカタカナ表記なら「セリーズ」と聞こえる発声をしていた。

High Kingは覇王ではない

帰還した王、ケンリス(Kenrith, the Returned King)

帰還した王、ケンリス(Kenrith, the Returned King)
データベースGathererより引用

それから気付いたのは、「High King」の公式訳が「覇王」になっていたことだ。以前はまた別の言葉で、「崇王」と置き換えられていたストーリー用語だ。

「覇王」とは「武力や権謀で統治・支配する王」という意味だ。

エルドレインの「High King」とは性質があまりにも違い過ぎるだろう。

英雄的な探索を成し遂げつつ、5つの宮廷の騎士号全てを獲得し、王国に認められた者が「High King」の地位に就けると語られていた。

亡くなったケンリス王も人徳で王国を治めていて決して武力・策略を用いてではなかった。

「High King」に対しする訳語に「覇王」を当てるのは言葉の意味としておかしい。

ケランの冒険

ケラン

第1話では、おそらく今回の主人公のケラン(Kellan)が登場した。

慈愛の王、タリオン(Talion, the Kindly Lord)

ハーフフェイの自分の生まれの謎を知るために、3人の魔女を倒し眠りの呪いを解くというクエストをフェイの王タリオン(Talion)から受け旅立った。

いよいよ冒険の始まりだ。

The Cotter boys

ケランが住むのは国の外れのオリンシャーの村。ケランはフェイとの混血を理由に、村の男の子たちからいじめを受けている。

いじめているのは「the Cotter boys」だ。私はこれを「コッター家の兄弟」だと読んだ。

しかし、公式和訳版は「農地の子たち」となっていた。うーん。

「cotter」はくさびの一種なので、部品に由来する名前を持つ「コッターの一家」ではないか?そして「マチルダ(Matilda)」がコッターの奥さんでケランをいじめている兄弟の母親であろう。そういう人間関係に思えるのだ。

「cotter」に「農地」の意味が見つからなかったので困惑した部分だ。だが、「cotter」にはスコットランドでは「農民」の意味もあるようなので、エルドレインの文化・言語のモチーフ的にはこの意味かもしれない。

だとしても、「cotter boys」ではなく「the Cotter boys」なのでやっぱりコッターは家名だろうと思える。

ケランと誰が抱擁したか

母はケランへと両腕を回した。一瞬、彼はどちらがどちらを抱きしめているのかわからなかった。(中略)
だが母がそう言ったのも、こうして抱擁し合うのも初めてではなかった。
引用:公式和訳版 第1話 純なる心

この場面、公式和訳版ではケランと母親の「2人」が抱き合ったと読める。でもここは義父も含めた家族全員だと思われる。

His mother throws her arms around him. For a moment, he’s not sure who’s embracing who.
引用:Episode 1: Pure of Heart

原文では、母親がケランに腕を回す。すると、誰が誰を抱いているのか分からない風になる。

母がケランを抱いているのか?ケランの方から母を抱きしめているのか?そんな雰囲気を感じる文章だ。

しかし……

But it isn’t the first time she’s said this to him, nor the first time they’ve all embraced.
引用:Episode 1: Pure of Heart

続く場面で「they’ve all embraced」と書いてある。「彼らみんな」つまり「そこにいるみんな」なら、ケランと母と義父の3人だ。家族3人で身を寄せ合って互いを抱きしめてる光景が目に浮かんでくる。

ここで、母親がケランに話しかけ抱きしめる直前の場面を振り返ると、義父はケランに温かい慰めの言葉をかけてケランの肩に手を置いていた。この時点でケランに触れていてすぐそばに3人がいる。だから、「they’ve all embraced」は義父も含めた3人だと解釈しても位置的に自然なのだ。

誰が誰と抱き合っている状態なのか分からない。その時点で義父も2人の上から抱きしめてると私には感じられた。ケランは母と義父の2人から愛され、3人で同じ家族なのだ。

さいごに

カードセット「エルドレインの森」の連載ストーリー第1話を読んでの雑感・感想などをまとめた。

ちなみに、連載ストーリーを楽しむためには、公式記事A First Look at Wilds of Eldraine公式和訳版)は連載終了まで目を通さない方がいいだろう。この記事にはネタバレがバッチリ記されているのだ(忌まわしき眠りの魔法をかけたのが誰か、ケランの親は誰か)。

では、今回はここまで。

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  1. ツイッターがXに変わったからツイートではないかもしれないが