ストリクスヘイヴン:謎の賢者、カズミナ

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謎の賢者、カズミナ(Kasmina, Enigma Sage)はカードセット「ストリクスヘイヴン:魔法学院」に収録されるプレインズウォーカー・カードである。

カズミナのカード化は謎めいた指導者、カズミナ(Kasmina, Enigmatic Mentor)に続いて、これで2度目となる。

前回は完全に謎の人物であったカズミナの正体がいよいよ明かされる時が来たようだ。本記事では、現在までに公開されているカズミナの情報や書籍に掲載されたカズミナの設定を紹介する。

※ ネタバレになりうる設定情報や、それを踏まえた私個人の推測などは折り畳み表示にしている。

謎の賢者、カズミナの解説

謎の賢者、カズミナ(Kasmina, Enigma Sage)

公式カードギャラリーより引用

謎の賢者、カズミナ(Kasmina, Enigma Sage)はカズミナの2度目のカード化である。

カズミナはカードセット「灯争大戦」では謎めいた指導者、カズミナ(Kasmina, Enigmatic Mentor)として登場していたが、その経歴や素性、目的などほぼ全てが謎のキャラクターであった。

今回のストーリーでカズミナは、物語の舞台であるアルケヴィオス次元の魔法学院「ストリクスヘイヴン」に何らかの縁のある人物として登場している。

前回のカードが青単色であったのに対し、今回は緑青の2色である。ストリクスヘイヴンの5大学のうち緑青は数学系魔法を扱う「クアンドリクス大学」である。カズミナの2つ目の忠誠度能力は「フラクタル」クリーチャー・トークンを生成するものだが、このフラクタルはクアンドリクスの魔法の人工生物のことだ。このことから、カズミナはクアンドリクス所属の教授か卒業生である可能性がある。

ストーリー第1話和訳版)に登場した段階では、カズミナに関して判明している情報はまだまだ限られている。

第1話の段階では:

  • カズミナはストリクスヘイヴンとの付き合いは長いがアルケヴィオス次元出身者ではない。
  • カズミナはケイレム次元に滞在中の双子プレインズウォーカー、ローアン・ケンリスウィル・ケンリスに接触し、2人を勧誘してストリクスヘイヴンに入学させた。
  • カズミナはフクロウの目を通して遠隔地を見ることができる。
  • アルケヴィオス次元に来訪したプレインズウォーカーのルーカ(Lukka)が魔導士の秘密組織オリーク(The Oriq)に拘束されるのを、カズミナはフクロウの目を通して目撃した。

では次節以降では、カズミナに関連する諸々のカードを取り上げる他、書籍で公開されたカズミナの核心に迫る設定を含めて紹介していこう。



特別版イラストの謎の賢者、カズミナ

謎の賢者、カズミナ(Kasmina, Enigma Sage)

公式特別版カードギャラリーより引用

イラストを担当したライアン・パンコースト(Ryan Pancoast)はツイートでカズミナの全身像を公開している。イラストのアートディレクターはテイラー・イングヴァルソン(Taylor Ingvarsson)だという。(リンク

こちらのバージョンのイラストの方が、カードセット「灯争大戦」収録の謎めいた指導者、カズミナ(Kasmina, Enigmatic Mentor)と全体の雰囲気がよく似ている。

カズミナの正体?

設定集The Art of Magic: the Gathering – War of the Spark (Amazon)

カードセット「灯争大戦」設定集The Art of Magic: the Gathering – War of the Sparkでは、これまでずっと謎であったカズミナの設定が部分的に公開されている。

※ 現在公式サイトのストーリーはまだ連載途中であり、カズミナの正体はまだ隠されている。したがって、ネタバレになると考え折り畳み表示とした。

カズミナの設定(ネタバレ注意)

Kasmina is the leader of an ancient, secret order of Planeswalkers, a shadowy cabal with mysterious aims. Her larger goals are unknown, but her recent obsession is recruitment. Her preferred method is to identify what she calls “embers”–mage who possess a Planeswalker spark that has not ignited. She helps them discover their potential (even if it means causing a little trauma to force the spark to ignite), then indoctrinates them in the ways of her order.
It is clear that Kasmina is preparing for a looming conflict which she believes will make the battle against Nicol Bolas seem like a trivial squabble over petty stakes. Despite her best efforts, though, her activities are beginning to draw the attention of other Planeswalkers, and it seems that some kind of confrontation with the Gatewatch–Planeswalkers who believe in putting their magical abilities to good use–is inevitable.

カズミナはプレインズウォーカーによる古代の秘密組織の指導者である。その組織は謎めいた目標を掲げる影の陰謀団だ。大きな目標は不明であるが、最近のカズミナは勧誘を熱心に行っている。彼女の好みのやり方は、未点火のプレインズウォーカーの灯を有する魔導士(彼女は「エンバー」と呼ぶ)の見極めである。彼女はエンバーが自分の潜在力を発見する手助けをする(たとえ多少のトラウマを与えたとしても灯を強制点火させる)。それから彼らに組織の流儀を吹き込むのだ。
明らかなのは、カズミナは迫り来る闘争に備えていることだ。ニコル・ボーラスとの戦いがわずかな賞金を懸けた喧嘩に思えるような闘争である。最善の注意を払っているにもかかわらず、彼女の活動は他のプレインズウォーカーの注目を集め始めている。魔法能力で善行を施すことを信条とするプレインズウォーカー集団「ゲートウォッチ」との間で何らかの衝突は不可避である。
引用:設定集The Art of Magic: the Gathering – War of the Spark
上が英語原文。下が私家訳

カズミナの設定を踏まえて(ネタバレ注意)
上記したカズミナの設定によると、カズミナは「プレインズウォーカーの秘密組織(secret order of Planeswalkers)」の指導者である。そして、未点火の灯を抱えた「魔導士(mage)」であるエンバーを組織に勧誘しているという。
この設定を踏まえて、カードセット「ストリクスヘイヴン:魔法学院」で公開されている設定を見回すとオリーク(The Oriq)の存在が目に入る。

プレインズウォーカーのためのストリクスヘイヴン案内原文記事)によれば、オリークは禁忌の魔術を振るう「魔導士の秘密結社(secret society of mages)」である。
ストリクスヘイヴン:魔法学院には、魔導士を構成員とする秘密組織が2つ存在していることになる。これらは別の存在なのだろうか?
オリークはカズミナの組織の一部または下部組織である可能性はあるかもしれない。例えば、オリークの構成員がエンバー候補の魔導士であるとか。
あるいは、逆にオリークはカズミナとは対立する組織で、カズミナの手がかかった組織はむしろストリクスヘイヴンの学院そのものであるとか。

カズミナの関連カード

カードセット「ストリクスヘイヴン:魔法学院」の中でカズミナに関連があるカードを挙げていきたい。

歯車の文書管理人

“It’s the largest library in the Multiverse. Of course it has the largest librarians.”
–Kasmina
「ここは多元宇宙最大の図書館よ。もちろん働く司書も最大。」
–カズミナ
引用:歯車の文書管理人(Cogwork Archivist)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

歯車の文書管理人(Cogwork Archivist)

歯車の文書管理人(Cogwork Archivist)
公式カードギャラリーより引用

歯車の文書管理人(Cogwork Archivist)はストリクスヘイヴンの図書館「大図書棟」で従事する機械仕掛けの司書のようだ。イラストとフレイバー・テキストで分かる通り、人間の3倍ほどの身長がある。カードの能力や機能を見ても、パワー/タフネスが4/5とただの司書にしては数値が大きいし、飛行クリーチャーをブロックできる到達能力も持っており、それらは身長の高さを反映したものだろう。

導師の導き

Kasmina had encouraged the twins to apply. Strixhaven would test not only their magical potential, but also their character.
カズミナはその双子に受験を勧めた。ストリクスヘイヴンでは魔法の才能のみではなく、人格も試されるからだ。
引用:導師の導き(Mentor’s Guidance)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

導師の導き(Mentor's Guidance)

導師の導き(Mentor’s Guidance)
公式カードギャラリーより引用

導師の導き(Mentor’s Guidance)では、カズミナがケンリス家の双子をストリクスヘイヴンまで導き、送り出した場面を描いている。ストーリー第1話和訳版)にある一幕である。

カズミナの設定を踏まえて(ネタバレ注意)
カズミナの設定を考慮すると、最近のカズミナは未点火の灯を持つ魔導士を自身の秘密組織に勧誘している。勧誘者には潜在能力を自分で発見させ、組織の流儀に染めてしまう。ケンリス家の双子はまだ灯が点火してそう経っていない新米プレインズウォーカーであり、その意味ではカズミナの標的になり得る逸材であろう。
カズミナがストリクスヘイヴンへの入学を斡旋しているのは、ゆくゆくは自分の組織に利用するため、という裏がある気がしてならない。

才能の試験

才能の試験(Test of Talents)

才能の試験(Test of Talents)
公式カードギャラリーより引用

才能の試験(Test of Talents)では、イコリア次元出身のプレインズウォーカー、ルーカ(Lukka)がカズミナに殴りかかっている。

ストーリー第1話和訳版)時点では、カズミナは、アルケヴィオス次元をさまようルーカがオリークに拘束される場面を目撃しただけであった。だから、これは現在進行中のストーリーではまだ描かれていない未来の情景である。

何らかの経緯によって2人が激突することになるようだ。カードを素直に読めば、カズミナによるルーカの才能を評価する試験ということになるのだろうが…それにしてはルーカは本気で殴りかかっているよう見える。

カズミナの設定を踏まえて(ネタバレ注意)
カズミナの設定を考慮すると、ケンリス家の双子と同様にルーカも新米プレインズウォーカーとしてカズミナの勧誘対象になるだろう。このカードはルーカの能力を評価して組織に組み込むに足る人材かどうかを調べているのかもしれない。
カズミナの設定を踏まえて(ネタバレ注意)
ストーリー第1話和訳版)の最後では、ルーカはオリークと何らかの取引をしているようだ。もしオリークとカズミナが対立関係である場合は、ルーカがカズミナと敵対する理由になりうる。
もしくは、逆にオリークがカズミナの息がかかった組織であった場合は、ルーカがオリークと縁を切ってカズミナに反抗した状況がこのカード、という可能性もあるのではないだろうか?
カズミナの設定を踏まえて(ネタバレ注意)
また私の考えすぎになるのかもしれないが、ルーカがイコリア次元でプレインズウォーカーの灯が点火した顛末は彼にとって非常に苦くつらい経験であった。イコリアの社会に居場所がなくなり、得られるはずであった全てのものをも失ってしまったのだ。
銅纏いののけ者、ルーカ(Lukka, Coppercoat Outcast)

カードセット「イコリア:巨獣の棲処」に収録された銅纏いののけ者、ルーカ(Lukka, Coppercoat Outcast)
データベースGathererより引用

カズミナはエンバーを「たとえ多少のトラウマを与えたとしても灯を強制点火させ」て、組織に引き入れるとされている。もしルーカの点火がカズミナの影からの干渉によって操作されたか仕組まれたものであったとしたら?カズミナはルーカの敵だ。

強迫的な研究

“Every Planeswalker remembers the first time their mind touched the staggering vastness of the Multiverse.”
–Kasmina
「プレインズウォーカーは皆、多元宇宙の驚異的な広大さに初めて精神が触れたときのことを覚えているわ。」
–カズミナ
引用:強迫的な研究(Compulsive Research)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

強迫的な研究(Compulsive Research)

強迫的な研究(Compulsive Research)
公式特別版カードギャラリーより引用

強迫的な研究(Compulsive Research)はカードセット「ラヴニカ:ギルドの都」初出のソーサリー・カードである。フレイバー・テキストはカズミナのコメントである。

強迫的な研究(Compulsive Research)

強迫的な研究(Compulsive Research)
公式特別版カードギャラリーより引用

こちらの強迫的な研究(Compulsive Research)は日本語版ブースターパックから入手できる「日本画ミスティカルアーカイブ」という特別版である。詳しくは公式サイト記事(リンク)を参照。



おまけ:カズミナは元々はエルドレインの王権のキャラクター

カードセット「エルドレインの王権」が発売される前、私はこちらの記事でこんなメモを残していた。

メモ:カズミナ(Kasmia)の装束ってローアンの鎧とデザインが似てない?

しかしエルドレインの王権が発売されると、カズミナの姿はそこには欠片もなかった。私の考え過ぎがまた空振ったか、とそれっきり忘れていたのだが…カードセット「ストリクスヘイヴン:魔法学院」を目前にして、驚きの新情報が入って来た。

マーク・ローズウォーターによると、カズミナは当初はエルドレインの王権で魔術師マーリン的な役割を担うはずであったが、ストーリーを展開していく過程で除外されることになった、とのことだ(出典)。

つまり、カズミナは元々はエルドレイン次元を意識してデザインされたので、装束のデザインがエルドレイン的なのはむしろ当然だったのだ。

カズミナはストリクスヘイヴン:魔法学院で本格的に登場となったわけだが、アルケヴィオス次元は故郷でないという。それに、王家の跡継ぎたる双子を学院に導いており、その様がアーサー王の助言者マーリンの姿に重なって見えはしないだろうか?

カードセット「エルドレインの王権」に出てこなかったものの、カズミナはやっぱりエルドレイン次元出身で、彼女に割り当てられた魔術師マーリンの役割はもしや現在もまだ活きている設定……なのかもしれない。

以上、本記事ではネタバレを含めてカズミナの正体を推測して色々と可能性を挙げてみた。ウィザーズ社には早く真相を明かして欲しいものだ。では、今回はここまで。

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